ソードアート・オンライン『疾風の狂戦士』   作:神滅

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やさしさ

 世界最強の騎士との戦いも終わり次の日。

「今日は狩りに出ない。ちょっと、用事があるからな」

 エプロン姿のスラルが朝食の準備をしているときにふと思い出すように言った。

「え、師匠どうしたんですか…。体調でも悪いんですか?それとも、昨日の敗戦が…」

「まったく違う」

「ま、まさか…。で、デート…」

「年齢=彼女いない暦に対しての嫌味か?」

「なら、私と!」

「ダメだ!」

 力強く言った。その言葉だけはダメなのだ。

「師匠は変ですよ。こんな可愛い子が目の前にいるって言うのに」

「お前は俺の事を誤解している。俺はお前の思うような善人じゃないんだよ」

 俺は、アスナやヒースクリフ、あの剣士のようなこの世界の人を救う『勇者』じゃない…。

「師匠の過去を知りませんけど、私が見る限りは師匠は善人だと思いますけど…」

「俺はそんな『勇者』じゃない…」

 ただの『偽善者』だ…。その言葉を口にすることは出来なかった。

「まぁ、師匠がそういうなら仕方ないですね」

 スラルは1度その場で追求したことを何度も追求しない。俺が話すのを待ち続ける。

「それじゃ、ご飯にしましょう」

 スラルの料理スキルは徐々に磨かれていき、料理スキルのマスターも夢じゃないほどになっている。

 本人いわく。食べてくれる人がいればすぐに上達するそうだ。

「「いただきます」」

 本日の朝食はサンドイッチにコーヒー。

 今日もおいしい朝食を食べ。一日の活力とする。

「それじゃ、怪我とかするなよ。夕方には戻る」

 そういい残して、宿をでた。

 

 

1階層 始まりの町

 

「半月ぶりか…」

 俺は町の教会の前にいる。

「お久しぶりです」

 そういって、ドアを開ける。

 周りから騒ぎが起こる。

「クオン兄ちゃんお帰り」

「お帰りー」

 周りの子供たちが俺に気づいて周りに集まりだす。

「動けなくなるだろ」

 ブロックといわれる行為でプレイヤーの周りを囲んで動けなくする行為である。

「クオンさん。お久しぶりです」

 奥からこの子供たちの面倒を見ているサーシャが現れた。

「久しぶりです。サーシャさん」

 挨拶をして、子供たちを掻き分けてサーシャさんのとこに行く。

「今日も少しおいしい肉を取って来たので、少ないでしょうが分けて食べてください」

「いつもありがとうございます。みんなもクオンさんが持ってくる。お肉をおいしく食べさせてもらってます」

「ハハハ…。俺より持ってくるものが楽しみですか」

「いえ、遊んでくれるのも楽しみにしていますよ」

「クオン兄ちゃん遊ぼう」「遊ぼう」

「なら、良かった」

 それから昼時になるまで遊び続けた。

 遊びとしては、しりとりのような言葉遊びや俺の冒険してきた話をした。ボス攻略を1人でした話をしたがさすがに信じてもらえなかった。

「俺もクオン兄ちゃんのように強くなる」

 男の子が拳を上げて言う。その子の頭を撫でて、

「だめだぞ。お前たちは、ここの仲間を守るんだ」

「うん。解った」

「素直で良いよ」

 そういって、もう一回頭を撫でる。

「クオンさん。お昼の用意をするんですがどうします?」

 サーシャさんがどうするのか聞いて少し考える。

「この辺で、今日は帰りましょう」

 その言葉に周りの子供たちはブーイングする。

「一緒に食べようよ」「クオン兄ちゃん」

「悪いけど用事あってな。また来るよ」

 そうそう、と思い出したようにアイテムウィンドを出す。

「上のほうで使われている。軽鎧を5個ほど、作ってもらったんで使ってください」

 俺が来た理由はこれである。

「いつも持ってきてくれるけど本当に大丈夫なのかい?」

「俺は、この装備で良いんで」

「そうかい。ありがとう。この装備があるから安心して子供たちを外に向かわせれるよ」

 この教会の生活費は子供たちが集めている。

 この鎧はそんな子供たちを安全に狩を進めるための物だ。

「それじゃ、また今度な」

 そういって教会を出て行った。

 

 

 教会を出て少ししたところで足を止める。

「ストーカーかお前は…」

「気づかれてるのは知っているけどね」

 教会を出てからずっと俺の後ろを歩く者がいるのは俺の耳が教えてくれていた。

「教会の子供たちにアイテムをあげているとは驚いたぞ」

 そういって姿を現したのはフークスだった。

「悪いか。子供たちに未来を託すのは」

「いや、悪くない。むしろ良いことだ」

「なら、何も言うな」

 そういって立ち去ろうとした。

「俺はうれしかったよ。お前がソロプレイヤーになって、自分と他人は違うなんて思ってると思っていたよ」

「それは、考えすぎだ」

「なんか、知らないうちに弟子もいるしよ」

「あいつか…」

「昔のお前なら弟子なんかとらなかっただろ」

 弟子なんかとらなかった以前に、この世界に弟子なんてとる奴はいない。

「あぁ、あいつは勝手にそう読んでるだけだ。何かを教えているわけじゃない。最初は付きまとうなっと追い返していたんだがな…。1人でいるのが辛かったからなのかもな」

「良かったよ。お前が大きく変わったわけじゃなくて」

「変わるさ、人はいずれな」

 そういい残して俺は歩き出す。フークスはもう、後ろを追うことはしなかった。

 

 

 

 実際の話、スラルは暇をしていた。

 少し狩をしに行こうと思ったが師匠がいない迷宮に行く価値などないと町をただ歩く。

「師匠はどうして、私の気持ちに答えてくれないんだろう…」

 あの、犯罪者に囲まれ救ってくれた。あの時から、私は師匠の事を…。

 考えていくと恥ずかしくなってきた。

 窓に映った自分の姿を見る。

 日々整えている銀色の短髪と緑色の瞳。

 考えるだけでため息をつく。

「師匠の過去か…」

 少し前に、あの剣士っと言っていたのも何のことなのか私にはわからない。

 師匠の過去に何があったかなんて…。何も知らない。

 出来ることなら…。話してほしい。何があったのか、何を悩んでいるのか。すこしでも、師匠の役に立ちたい…。

「誰か。お願いします」

 考えていると大声で叫ぶ声が聞こえた。

「誰か。誰かお願いします」

 広場で叫ぶ女の子。周りの人は無視をして通り過ぎていく。

「どうしたの?」

 大声でお願いしている彼女の目が必死なのを見てつい声をかけてしまった。

「私、鍛冶屋の見習いなんですけど。鍛冶スキルをアップさせるクエストがあって挑戦しようとしたんですけど…」

「アイテムを集めることができないと…」

 昔、料理スキルをあげようとしていたとき。クエストをクリアすれば大幅にスキルアップが出来ると聞いて挑戦をしようとしたときがある。材料を集めることが出来ずに地道に熟練度を重ねるしかなかった。

 私はあきらめたがこの子はあきらめずに必死に助けを求めているのだ。

「それで。何を集めるの?」

「えっと…。氷の牙と氷の翼が大量に…。30個くらい…」

 氷の牙といったらスノーウルフのドロップアイテムで翼はスノーバードのドロップアイテム。鍛冶屋がメインのこの子では10個集めることも出来ないだろう。

 攻略組なら簡単に狩れるモンスターだが、数が多すぎる。1日やそこらで集まるものじゃないだろう。

「結構、必要なんだね…。少しでいいなら手伝おうか?」

「いいんですか?」

 「うん」と頷くと女の子は目を輝かせて言った。

「ありがとうございます。何かお礼が出来れば…。そうだ。このクエストの武器は残るので好きな種類を行ってください。この素材で作るランクの物なら何でもいいようなので!」

「それじゃ、集まったらよろしくね。でも、今日中に集まらなかったら、また手伝うことは出来ないかな…。あ、そうなったら何もいらないから」

 こうして、私は女の子の依頼を受けることにした。

「あ、申し送れました。私、リズベット。と言います。リズって読んでくださいね」

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