ソードアート・オンライン『疾風の狂戦士』   作:神滅

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リズベット

 夜遅くまで話し続けた。自然と話題は生まれ会話は途切れることがなかった。

「そういえば、あの子と何を探してたんだ?」

「あ…。あぁぁ…」

 今日のことを思い出して聞いてみたらスラルはどんどん落ち込んでいった。

「鍛冶屋のスキル上達クエ手伝う約束だったんだ。また明日かな…」

「鍛冶屋か、あの場所となると氷の牙と翼か」

「うん。…あれ?し、クオン君はなんで知ってるの?」

「あぁ、店長に頼まれて集めたことがある。牙は大量に余ってたはずだ」

 そういって、まだウィンドにあった氷の牙をオブジェクト化する。

「30個だったかな」

「あ、はい。10個くらい集まってるから20個で大丈夫です」

「翼も少しだけあったぞ」

 続いて翼をオブジェクト化する。

「それじゃ、あの子に渡しておいて」

「やっぱり、自分で渡さないんだね」

 「もちろんだよ」と答え。「俺は嫌われているからね」と軽くつぶやく。

「リズも事情をしったら…」

「話すな」

 命令口調で言ってしまった。

「これが罪なんだよ。背負って行くしかない。5人の命を奪った分だけ、命を奪っておいて、事情を説明して俺は悪じゃない。そんなことはしたくない。俺は、悪だ。少なくともあの5名の命を奪ったあの瞬間。俺の体は悪意が支配した。とりあえず。事情は説明しないでくれ」

 これが俺の罪の背負い方。

「わかりました。師匠がそこまで言うなら」

 作り笑いで、答えた。心ではどうにかしたいという気持ちがあるのだろう。

「それじゃ、これは明日、リズに届けますね」

 そうして、俺は自室に戻った。

 静かな空間をゆっくり歩き、ベットに横になる。

 眠る前に考えるのは想いを伝えた彼女の事。

 自分の過去を知られれば嫌われると思っていた。もう、師匠とすら呼ばれないかと思った。

 だが、違った。彼女は俺の事を受け止めた。好きだとも言ってくれた。

「ありがとう。スラル」

 そうつぶやいて眠りについた。

 

 

 

 リズの誤解をどうにかしたいけど、人の過去をしゃべる訳にも…。

 クオン君が出って行ってから、私の頭はショート寸前までフル稼働している。

「何事もうまいこと行かないよね。とりあえず明日はこれを届けよ」

 とりあえず。好きな人に気持ちを伝えれて素晴らしい一日だった。

 これからたくさん楽しい事があると信じ眠りにつく。

 

 

 翌日

 いつもどおりに起きて料理をし始める。

 食べてくれる人のことを考えると料理も楽しくなる。

「クオン君…」

 なんとなく。彼の名前を口にする。

 今まで、名前で呼んでいなかった憧れの人の名前。

「よし、今日も頑張ろう」

 自分を元気付けて、クオン君と朝食を食べた。

 

 

 

「それじゃ、行ってきます」

 宿を飛び出し、リズを探す。

 探すのは簡単だった。昨日と同じ場所で手伝ってくれる人を探していたからだ。

「おはよう。リズ」

「あ、おはよう。スラルさん」

「いやー。昨日は中途半端でごめんね。あの後、一人で狩して集めたから、これどぞ」

 そういって、昨日のうちに考えていた台詞を言ってクオン君からもらった物をオブジェクト化する。

「え…?こんなにも?」

「うん。残りも集めるからがんばろうね」

「あ、ありがとう」

 何だかリズの様子がおかしく感じる。

「今日も一緒についていく?」

「あの、師匠さんは大丈夫なんですか…?」

「大丈夫。はじまりの街に用事があるって言ってたから」

「そう、ですか」

「それで、リズも一緒に行く?」

「もらった材料を加工していくんで今日は待ってますね」

「うん。じゃ、がんばってね」

 マシンガンのように話して私は迷宮に入っていった。

 

 

 

 そのころ俺は悩んでいた。ない頭を使って悩んでいた。

「今日は一日相手をしてやるか。いや、おいしい肉でも取りに行こうか…」

 教会に行こうとして街には来たがどうしようか悩んでいた。

「よし、コインで決めるか…」

 1コル(コルはお金の単位)をオブジェクト化して適当に裏表を決める。

「表は遊ぶ。裏は肉」

 チリン。上に弾いたコインが回転しながら落ちてくる。目の前に来たコインをキャッチしようとした時。

「スラルさんの師匠さんですよね?」

「え?あ!?」

 急に話しかけられコインは地面に落ちた。地面に落ちたコインは表を向いていた。表だということを確認してから声のした方を向く。

「昨日のか」

 そこにいたのは昨日、スラルと一緒に迷宮に入っていた。俺を人殺しと呼んだ少女だ。

「何のようだ」

 態度を悪くする。そのほうが自然だろう。

「昨日のことはすいませんでした」

 そういって急に頭を下げられた。

「おいおい。何がだよ。お前は何も悪くはない。ただ事実を述べただけだろ」

 返答はするものの心の中では混乱している。なぜ誤っているのかわからずに。

「今思えば、あなたがオレンジになっていないということは相手はオレンジで何か事情があったんだと思います。それなのに軽々と人殺しなんて…」

「やめろ」

 俺も驚くような冷たい言葉が出た。

「相手が犯罪者なら、事情があったなら人を殺していい理由になるのか?」

「なりません」

「なら、そんな言葉をかけるな」

「情けをかけているわけではないです。ただ、軽率にあんな事を言ったのを誤ってるんです。あのことに何も感じていないわけないのに」

「へー。立派なもんで。用はそれだけか?」

「何でそんなに悪くいようとしてるんですか…」

 この子には何度も驚かされる。率直過ぎる物言いに。

「さぁ、これが俺だからじゃないかな?」

「うそです」

「何を根拠に言える」

「スラルさんの話を聞いていれば。あなたが悪い人じゃないなんてすぐにわかります」

 やっぱりか…。心の中でつぶやく。きっと、スラルに話たことを聞いたのだろう。

「昨日、スラルさんと狩にでたらあなたの話ばかりをしてました。スラルさんがあなたの話をするときはすごく笑顔で、生き生きしていました。そんな人が悪い人だと思えないからです」

「そりゃ勘「あ、お兄ちゃんだ」

 教会の子供たちが現れた。

「怖い顔してどうしたの」

「体調悪いの?」

「風邪?」

 子供たちは個々にしゃべっていき俺の周りを囲む。いわゆるブロック状態だ。

「「……」」

 俺も少女も会話が止まった。

「勘違いじゃないようですね」

 少女が小声でつぶやいたのを俺の耳は聞き取っていた。

「とりあえず。避けろって。いつも言わせるな!」

 周りの子供たちを下がらせる。

「えっとだな。俺は偽善者かな?」

 もう、いろいろぶち壊しだ。

 

 

 

 「後で行くから」と言って、子供たちを教会に帰らせた。

「で、悪人か善人かを見極めにきただけじゃないだろ?」

 いつもの話し方に変えて少女に問う。

「お礼と謝罪です」

「謝罪は解った。だが、お礼の意味が解らない」

「スラルさんに会って、アイテムをいただきました」

「あぁ、聞いている」

「いただいたアイテムはあなたのでしょ?」

「あぁ、そうだ。俺がスラルに渡した」

「ありがとうございます。助かりました」

「まず。礼ならスラルに言え。後、俺が渡したってどうして解った?」

「簡単なことじゃないですか。1人であの量を1日で集めるなんて思えませんからね」

「あぁ、簡単なことだったな。盲点だった」

 確かに簡単なことだと心の中で苦笑する。

「じゃ、お互い聞くことも言うことも終わったな」

 その場を離れようとしたとき「待って」止められた。

「名前を聞いてない。私はリズベット」

「クオンだ」

「クオンさんですか。よかったら今度店に来てくださいね」

 笑顔で俺に言った。

「残念ながら契約した鍛冶屋がいる。そいつの武器を使い続けるってな」

「そうですか…」

 明らかに残念そうな顔をするリズベット。

「軽鎧を作れるか?」

「はい!作れます」

「材料が集まったら大量生産を頼みたいがいいか?」

「喜んで!」

 彼女の笑顔を見て思った。

 俺は悪役すらなりきれない偽善者なんだと…。

 そして、こっちが重要なんだが…。スラルになんて話そうか…。

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