ソードアート・オンライン『疾風の狂戦士』   作:神滅

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ゴブリンの計略

 その夜。

「まぁ、そんなことでリズベットだったか。和解してしまいました」

 スラルが俺の部屋に入ってきてすぐに今日あったことを話して謝罪した。

「解りました。怒ってないんでそんなに離れなくても」

 笑顔でスラルが話しかける。

「い、いや、怒ってるだろ。浮気してるとか疑ってるだろ…」

 情けなく、おびえた声で言う。

 目の前には刀を持ったスラル。

「まぁ、仲良くなれば良いなとは思ってましたから。でも!リズに浮気なんてしたら…」

「しない!絶対しません!」

 今、オーラが見えた。黒いオーラ見えた!

 

 

 スラルが今日の報告をする。

「無事、リズのクエストは終了しました」

「よかったな」

 いつもの雰囲気に戻ったスラルと話を続けた。

「クオン君、明日はどうするの?」

「明日からは攻略組に戻る。そろそろ、ボス部屋が発見されるだろう。まぁ、今回は参加せずに見守ろう。それより気になることが少しある」

 左右の手を組んでそこに顔を乗せる。

「気になることって?」

「オレンジプレイヤーとギルドだ。30階層近くからオレンジプレイヤーをよく見ている。活動が活発になりつつある。そのうち、攻略組との戦争もありえる。そういったとき狙われるのはボス攻略中と終了直後だ。ボス攻略中は少し見回りをしよう」

「解りました。とりあえず。今はレベル上げを目標ですね」

「そういうことだ」

「じゃ、クオン君と二人きりですね」

 頬赤くしていった。付き合いはじめて二人きりは初めてだ。

「そうだな。まるで、デートだな」

 目をキラキラさせるスラル。

「楽しみだな」と聞けば即答で「はい!」と返してきた。

 

 

 翌日はいつもより10分早く朝食が作られていた。

「早いな…」

 起きてすぐだったから驚いた。

「食べて元気を出して今日も頑張りましょう」

 二人きりということからか…。スラルはすごく元気である。

 

 

 朝食を食べ終わった俺たちはすぐに迷宮に入った。

「クオン君。少し変だよ」

 スラルが俺の後ろでつぶやく。

「気づいたか?」

 折れ薄々は気づいていた。しかし、確証もなく、運がないだけかもしれないと見逃していた。

「まだ、一度も戦闘してないね」

 スラルが言うとおり。今日は一度もこの階層のモンスターであるゴブリンを見ていない。

「あいつらは仲間を集める能力あるからどこかに固まってるのかもな…」

 ちなみに、この能力も攻略組が検証中である。

「でも、一時間くらい、歩いていて一体も見つけれないのはおかしいよ」

「んー。何か原因があるのか…。それともたまたまいないだけか…」

 そのとき、足音が聞こえた。

「いたぞ。一匹だがな」

「さすがですね」

「スキルさ。スキル」

 見えてきたゴブリン。

「行くぞ」「はい!」

 高速移動して、剣を抜き上段から振り下ろす。

 こちらに振り向くよりも早く右に飛ぶ。

「せや!」

 俺の後ろからスラルが出て刀を抜刀。刀身は白っぽい透明で氷の牙と翼を使った物だと解る。

 抜刀した剣はスキルエフェクトを纏ってゴブリンを切り裂いた。

「終わり」

≪バーチカル・スクェア≫

 横から発動したスキルは、上段から振り下ろし。素早い二連撃の後の突き、中級レベルの剣技に見られるエフェクトの奇跡が四角を描いた。

 あっさりとゴブリンを倒した。

「一体じゃ弱いな」

「数で勝負する敵ですからね」

「なんか、ドロップしたぞ」

 アイテムをドロップしたときのメッセージが出る。

「おぉ。クエストスクロールだ」

「やりましたね!」

 クエストスクロールとは、巻物みたいなアイテムにクエスト内容が書かれていて実行するかを決めれる。

「さて、内容は…」

 

『ゴブリン襲来

ゴブリンたちが階層を渡って始まりの町へ襲撃を試みたことが発覚した。

ゴブリンの攻撃が成功してしまうと町が消えてしまう!

ゴブリンたちの軍勢が始まりの町にたどり着く前に討伐して欲しい。

注意:失敗してしまうと始まりの町が圏外とされます。

 

参加できる人数:チームで数は無限

報酬:参加者全員にステータスポイント2

   討伐数がもっとも多いチームに10万コルクにゴブリン武器の一つ

勝利条件:ゴブリンの軍勢が全滅or撤退

敗北条件:ゴブリンが一体でも町の中に進入』

 

「やばいな…。とんでもないもんドロップしやがったぞ」

「え、何が…?」

 内容を見ていないスラルは何も知らずに聞く。

 内容を教える前に気になることがあった。

 一番最後に書かれている。クエストの状態が[進行状態]だった。

「やばいどころじゃないな…」

 そういって、クエストスクロールをスラルに渡す。それを読んだスラルの表情が変わった。

「何これ…」

「進行中だ。まずいな、誰が進行させたのか知らないが進行させたやつは頭のねじが1本外れていやがるな」

「これ、今日の午後に攻め入る事になってますよ」

「やばいな…。KoB団に連絡を取って協力を申請しよう」

「はい…」

 二人の時間が終わりを告げてスラルがつらそうに言った。

 

 

「ここか」

 KoBの本部。

 扉を開ければ色んな者の視線を感じる。

「ヒースクリフに話したいことがある。通してくれ」

「団長に?どうしたんですか?」

 たまたま、扉の近くにいたアスナが聞いてくる。

「ゴブリンがクエストスクロールを出したが厄介だ」

「その事に関しては手を考えています。団長と話したいならどうぞ」

 アスナに言われた扉の中に入っていく。中ではヒースクリフが椅子に座っていた。

「君は部屋に入るのにノックもしないのかね?」

 椅子に座って団長殿にしかられた。

「久しいな、ヒースクリフ」

「二日ほど前に会ったばっかりだろう。そして、用件は解っている。拾ったんだろうクエストスクロールを」

「あぁ。そうだ」

「手間が省けた。君たちに協力を願おうと思っていたところだ」

 ヒースクリフはこちらに手を差し出す。その手をたたき払う。

「え!?」

 俺の行動にスラルが驚きこちらを見る。

「協力はするつもりだ。だが、気に食わない」

 「何がだね」弾かれた手をまた、組みなおす。

「お前は、ギルドの全隊員で始まりの街を守るつもりはないな」

 「嘘…!」今度はヒースクリフを見る。

「あぁ、その通りだ。私のギルドの10名ほどは参加をしない」

「そのメンバーが次の扉を探すってことか…」

「その通りだ」

 モンスターが少ないうちに次の扉を探す。確かに、その通りでもある。

「今、モンスターは少ない。この期を逃すには惜しいだろう」

 右手の拳で近くの壁を思いっきり叩く。

「それで、もしも、始まりの街がつぶれたらどうする気だ!ここは、全勢力を集めるべきだ」

「君の意見ももっともだ。しかし、ゴブリンの軍勢がどれほどか解らないが30名もいれば十分だろう」

「30名…。つまり、KoBだけじゃないと」

「もちろんだ。攻略組の者がステータスポイントを欲しいのだろう」

「多すぎても無駄と言うことか」

「そういうことだ。始まりの街から3方向を守らなければならない。私たち|血盟騎士団(KoB)、聖竜連合、風林火山がその3方向を守ろうということになっている。各10名以上の者がつくことになっている。君たち二人には風林火山の者たちと一緒に守ってもらいたい」

「解った。風林火山と防衛すればいいんだな」

「話が早くて助かるよ」

「邪魔したな」

 俺は開いたままの扉から出て行った。

 

 

 借りている宿屋でクエストの時間まで待っている。

「クオン君どうしたの。あんなに怒って…」

「あぁ。さっきの会話か。始まりの街の教会には小さな子供がいるんだ」

「そうなんですか。よく知ってますね」

「言ってなかったが、俺は時々教会に行って鎧とかを寄付している。子供たちを守れるか不安だ…。一体でも通してしまうと…」

「大丈夫です。私たちが守るんですから。ゴブリンなんて突破させません」

 スラルが俺を励ますように言った。

「勘違いしてるぞ」

 「ふぇ?」驚いたあまり変な声をだす。

「ゴブリンだけなら、よほどの大群でない限り一方向に5名いれば問題ないだろう。問題なのはこのクエストを受けた奴だ」

「あ…」

 ここでスラルも気づいた。

「前にもいったがこのクエストを進行させたやつは頭のねじが1本外れていやがる。こんなことをするのはオレンジの可能性が高い。オレンジにとっては始まりの街で救助を待つ奴らを殺すだけでも、価値があるんだろうからな」

「そんな…」

「あくまで可能性だけど、確立としては大きいと思う。だから、ヒースクリフも各10名にしたのはそのためだろう。まぁ、俺なら10名と言わず全勢力を使うがな…」

「そろそろ、時間ですね」

「そうだな。行くか」

 二人は宿屋を出て始まりの街へと向かう。




クオンと誰かが話しているとスラルは空気になります。
まぁ、話に入り辛いって事ですね。
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