「師匠ー。こっちですよ」
フークスと別れて15分ほどした所で大声で叫ぶ銀髪の少女に出会う。
お気づきだろうが、俺の知り合いだ。ひょんなことから師匠になってしまったのだ。
近づけば短い銀髪で丸くて緑色の目をしたテンションの高い少女が走ってくる。
「師匠。手を振ってくれたって良いじゃないですか」
見つけたときの俺の反応に対しての不満をぶつけて来た。
小さくため息をして運がないな。とつぶやく。
「何か言いました?」
「今日も、可愛いな。て呟いただけだ。スラル」
「そ、そんな。堂々と言われると照れますね…」
顔を赤らめ両手を頬に当てる。いつもの反応なので特に気にならないがな。
「それにしてもボス部屋が見つからないな」
「ふふふ。師匠ビックニュースですよ」
スラルが楽しげに話す。
「この一番弟子がボス部屋を見つけちゃいました」
「本当か?」
「はぃ、間違いなくボス部屋です」
さぁ、こちらに。とスラルに先導されてボス部屋を目指す。
7分ほど歩いた先にあったのは白い扉だ。中をのぞけば薄暗く、何かがいる気配がした。
「間違いないな。ボス部屋だ。よく見つけれたな」
スラルをほめながら撫でれば、かわいげな声でえへへと満足そういう。
「もっとほめてー」
元気いっぱいの笑顔で言われ俺は…。
「調子に乗るな。武器の調達に行くぞ」
マップを見て町の方へと歩く。
「あ、待ってくださいよ。師匠ー」
その後ろをスラルが追う。
町に戻って行きつけの鍛冶屋に行く。鍛冶屋には大量の武器が置かれている。
「店長。また来たぞいるか?」
店の奥にいるプレイヤーに問いかける。
「お前か。また武器の注文か?」
「いや、すぐにでも大物を狩る。数合わせでも良いから貸してくれ」
「大物か、ボスでも狩るのか?」
「…」
「はぃ、ボス部屋を見つけたので行きます」
俺が答えないでいるとスラルが答えた。
「1人で行くきか悪い事は言わん。他の攻略組に知らせていくんだな」
「問題ない。俺なら1人で狩れる」
「まぁ、お前さんは自分の力に溺れないから考えがあると信じよう。その辺の武器を持って行け。レンタルだ。報酬はボスのアイテムを少し分けろ」
「解った。いつも助かる。6本持っていく」
俺とスラルで3本ずつ持って鍛冶屋をでる。
「死ぬなよ」
鍛冶屋の奥でつぶやいた店長。
「死ねないよ俺は」
小さくつぶやいた店長に答えて扉を閉める。
再び町を出て、ボス部屋を目指す。
「さて、ボス部屋に入って戦うのは俺だけだ」
ボス撃退の策を説明していた。
「でも、師匠それだと…」
「俺は死なない。いや、死ねない」
「前から気になってたんですがそれってどう…」
意味ですが、続けようとしたスラルの言葉を止めて静かに、と合図する。
「距離はどれくらいか…。確実に近づいてる」
俺の耳が敵を捉えた。
「数はたいした事ない。俺が行こう準備運動だな」
雪の地面を駆ける。すこししたところでスノーバードを3体見つけた。
体格は人間と同じくらいの鳥にしかみえない。
「翼の音がうるさいんだよ」
飛翔し一匹の翼に目掛けて剣を振り下ろす。
キン
金属同士を当てるような音が響いた。
「固い!?」
驚いたときには翼を羽ばたかせて地面に叩き落されていた。
「がふ」
頭から突っ込んで少し埋もれた。すぐに出てくる。
「はぁ、こういうとき筋力がないのが痛いな」
雪を掃いながらつぶやく。
「師匠大丈夫ですか?」
少し離れた所から聞こえた。大声でなくとも俺に届くと知っているはずだが、相変わらず大声で叫んでる。
「あぁ、俺は死ねない。大丈夫だ」
そういって、俺は自身を剣で刺した。
「がぁぁ…。はぁはぁ…。死ぬことはできないんだ」
心臓を一突きしたが俺のスキルの一つが『俺の死を止める』。
「つまり、俺は死なない」
ライフは死ぬ一歩前の1で止まってる。
「これが、俺のトップスピードだ」
跳躍する。さっきと同じように翼を振り下ろし。翼を切り裂いた。落ちていく鳥の体に着地し、剣を胴体に突き刺す。最後に鳴き声を放って消えていく。
後ろから風の音が迫ってくるのが解った。剣を捨てて新たな剣を取り出し飛んでくる鳥の頭に上から突き刺す。先ほどと同じように鳴いた。
1羽目が完全に消えて自由落下し始めたときに生き残った1羽が逃げていく。俺は逃がす気などない。落下している中で1羽目に刺さっていた剣を踏み台にして
《リニアー・スラッシュ》
真っ直ぐに飛ぶ。足場が悪かったせいか、速度が遅かったり飛びたい方向と大きくずれたりと最悪だったが、羽を切り落とし、雪の上に落ちたところを頭から突き刺す。
「ほら、俺は死なない」
遠くから見ているスラルに向かって笑顔で答えた。