目の前の敵が持っている斧を投げる。
回転する斧を剣で叩き落とす。
落ちた斧が地面に刺さった。
後ろではスラルともう一人が武器をぶつけ合っている。
「始まりの街を壊すなんてよ。お前ら正気か?」
「可笑しいか?あの街にたまってるクズを殺してやるんだよ」
「それが可笑しくないって時点で可笑しいんだよ」
斧使いは会話をしながらウィンドを開く。
「はぁ!」
新たな斧を取り出す前に踏み出し左から右に一閃。
斧使いは反応できずに胴体を横に切られる。
「なら、クズの処分は俺に任せろ」
そのまま下からの切り上げにつなげる。
「っ!」
攻撃の連撃に驚き声を出せずにいる。そこに振り上げた剣を高速で振り下ろす。
「終わりだ」
俺の殺意を乗せた声に周りの者に恐怖を植えつけた。
俺は、剣を止めていた。
今、あの死闘の中で生まれた感情が蘇った。
「クオン君。危ない!」
剣を止めている間にウィンドから斧を出し切りかかっている。
慌てて後ろに下がった。
「すまん」
スラルに誤る。
「お前、良いな。今の殺気、思わず後ろに引いてしまったぞ」
先ほどの両手剣の使い手も両手剣を持ってこちらに来た。
「今の殺意で殺しに来ていたら街を救えるかもな。さぁ、死の晩餐会の始まりだ」
叫び終わると無数の足音が聞こえた。
「まさか「油断する余裕があるのか?」
大きな剣を持った奴は驚異的速度でこちらに迫っている。
「|お前(テメェ)!」
叫びながら大きな剣を受け流し前に進む。そこに斧使いが横から斧を振って来る。後ろに下がるしかなかった。
「何にも3人で来るはずないだろ」
剣の先を地面につけ余裕の表情で言う。その背中には10名を超える者たちがこちらに走ってくるのが見えた。
増援だ。
犯罪者達の増援。
「嘘…」
刀を構えたまま増援を見つめたスラルの口からこぼれた言葉。
「なぁ、スラル」
俺は落ち着いた声を出す。
「今から、殺し合うからよ。こっちを見ないでくれ。絶対、守り抜くからこっちを見ず。遠くに離れるんだ」
俺の望み。死に満たされた俺を見てほしくない。
「だめです。行っちゃだめ「来い、殺し合おうぜ」
遮った言葉は俺の渇きを潤す物だった。
殺意に染まった心を潤す物だった。
「…」
無言で斧使いの左肩に剣を刺した。
心臓を一突きするつもりだったがどうやら避けられたようだ。
「あぁ…」
力をなくした声が呟かれる。剣を抜き蹴り倒す。そいつは何もできずに倒れて「痛い」だの「死ぬ」だの叫んでいる。
「本当にいい殺気だな!一瞬動けなかったぞ」
両手剣を持ったそいつは先ほどたっていた場所からかなり後ろに下がっている。
「ならよ。見せてみろよ。俺を殺せるって事をよ!」
剣を敵の方に向け、両手で柄を持つ。
先に動いたのは敵だ。大きな剣を持ち上げ振り下ろす。それを体を横にして紙一重のところで避ける。
「その程度か…」
すごく、残念そうに言った。楽しみにしていた事がなくなった様に。
「避けれるか?」
両腕を振り上げた時、後ろから、投擲された短剣が俺の左肩を刺さった。
後ろにいたのは…。
「スラル…?」
倒れる瞬間、巨大な剣が迫ってくるのを見た。
両手で持っていた片手剣を片手に持ち替え受け止める。
「仲間に裏切られるとは終わったな!」
俺は片手剣に奴は両手剣に力を込める。
「違う!俺を戻したんだ。死に満たされる俺から」
「つまらないな。殺気が全然感じない」
そうは言うが力を緩めはしない。
「ゾックさん。助太刀します」
とうとう、増援が来てしまった。
「こいつは俺の獲物だ前線を叩け」
剣を交えているこいつが全体の指揮をしているのか…。
「畜生…」
「今のお前は無力だ。あの殺気で遣り合ったらどうなったかは解らないがな」
その時、バリンと音を立てて折られた。
両手剣は俺の体を真っ二つに切り裂いた。
攻撃力の高い両手剣で防御の低い俺が切られHPはどんどん減っていく。
「終わってしまった」
先ほどの俺と同様に楽しみにしてしまったことがなくなったようにつぶやいた。
「あっちも終わったな」
あっちではスラルが倒れていた。
「あの時に、短剣を投げてなかったら倒れてたのはこっちかも知れませんね」
スラルの背中に乗って頭を地面に押し付けている奴が言った。
「前線も俺たちとゴブリンの相手で時間の問題だろう」
オレンジがしゃべる中スラルの口が動くのに気づいた。
「ごめん」その言葉は俺に届いた。
スラルがつないだ理性の糸は断ち切られた。
「良いぜ。殺し合おう」
HP1で殺意に満ちた俺は立ち上がる。
クオンの死への渇きが潤され。死に満たされる。
クオンの死闘の中で生まれた殺意は犯罪者(オレンジ)を恐怖を植えつけるほどの物です。レッドギルドの幹部並みですね。
死に満たされていると人間変わります。