ソードアート・オンライン『疾風の狂戦士』   作:神滅

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ダンジョン

 それから、特に問題は起こらなかった。

 ボスの攻略も順調に進み49階層まで行くことができた。

 強いて問題を挙げるなら、ボス攻略パーティーに参加をすることで俺達の名が知れ渡り、ギルド勧誘が来たことだ。

 まぁ、断り続けていけば誘われることもなくなった。

 何もない日常が続いた。

 その日常になれていってしまった。

 何が起こるかわからないゲームの世界で…。

 

 だから、非日常に対応できなかった。

 

 

 49階層

 いつものように狩りから帰ってきた。

「武器の整備を頼んでくる」

 スラルに言ってから、店長の所に行く。

「店長ー。武器の整備頼むー」

 気の抜けた声で店内に入っていく。

「返事はない。ただ無人のようだ…」

 一人で有名な台詞を少し変えて言う。虚しかった。

 店内の奥に入っていく。

 メモと武器を置いて行こうかと思ったが足元に倒れている店長を見つける。

「おぃ!店長!」

 慌てて頭を持ち上げ声をかける。叩いて意識を取り戻さしたいとこだがエラーコードが出るだけだ。

「あぁ…。み、ず」

 声は弱弱しかったが俺にはしっかり、聞こえた。

 水筒をオブジェクト化して水を口に流し込ます。

 店長は咽せながら「もぅ。大丈夫だ」と俺に言った。

「すまんな迷惑かけた」

「いや、良いけど。体を大事にしてくれよ…」

「もう、短い命だ。気にするな」

 店長の命はもう、残りわずかなのだ…。

「それより用は何だ?」

「剣の整備だが、無理するな、鍛冶屋なら知り合いがもう一人いる」

「いや、大丈夫だ…。それより、もうすぐ『あれ』を作る。また、材料が解ったら頼む」

「あぁ…」

 俺はそう答えることしかできなかった…。

 

 あれから、三日後。メッセージが飛んできた。

 店に来いということなのでスラルと共に店に向かう。

「来たぞ」

 中に入るといつもと違って、店長は椅子に座っていた。

「悪いな。早速だが、このアイテムを持ってきてくれ」

 店長は早速本題に入った。その様子を見る限り、俺には余裕がないように見えた。

「解った」

 すぐに、入ってきた扉から出て行く。

「え?それだけですか?」

「スラル。行くぞ」

 スラルを急かして、店を出て行く。

 閉じる扉の隙間から店長の辛そうな顔が見えた…。

 そんなにも時間がないのか…。

「できるだけ、今日中に集めよう」

「クオン君。怒らないんですかあの態度に」

「いや、良いんだ。行こう」

「はい…」

 元気のない返事が返ってきたが、気にせず進む。店長の事を教えればスラルは動揺する。この材料が集まるまでは、話すわけにはいけない。

「じゃ、まずは…」

 

 

 5時間をかけて簡単な材料を集めきった。

「次がラストか…」

 問題のアイテム以外は集めることができた。

「次は何なんですか?」

「難関だ。情報によれば…。47階層のダンジョンのボスだ」

 

 迷宮とダンジョンは違う。

 迷宮は、次の階層へ進むためのボス部屋がある。

 ダンジョンには、次に進むために用意された部屋なんてものは無い。変わりに、レアアイテムやクエストなどが用意されている。

 47階層のアリの谷を進む。

「大丈夫か?」

 スラルのことを気にしながらボスを目指す。

「はい、大丈夫です」

 ここに来た理由は女王アリの羽だ。ドロップ率は割りと高めらしい、露天で探したがかなり高価格で買うことはできなかった。仕方なく、情報だけを購入して、現地で探す。

「「…」」

 お互いが黙る。

 もくもくと進んでいく。時たまモンスターに遭遇するが瞬殺して行く。

 

 最深部まであと少しの所まで来た。

「ボス前の中ボスか」

 槍や剣で武装したアリが立っている。

 ここまで来るときも思ったがありは2速歩行で2本しか手なかったけ?疑問を飲み込んで戦いの準備をする。

「突破する」

「はい」

 俺が前を走り、後ろにスラルが続く。

 片手剣の切り上げ、それを槍で守られる。スラルが俺の背に乗って、追撃を仕掛ける。

 アリの体を切られる。タフな奴だ。まったくHPゲージが減っていない。

 アリが鳴きながら反撃する。狙われたのはスラルだ。

 スラルは俺の背を蹴り飛ぶ。足をまげて衝撃を吸収。

 アリの羽を片手剣で切り裂き、アリがこちらを向く頃にはスラルが落ちてきて剣技を繰り出す。

 アリは鳴き声を上げて、槍を横に振る。

 俺はしゃがんでかわしたが、スラルは空中でモロに食らって吹き飛ぶ。

「かは!」

 壁に叩き付けられ空気を吐き出す。

 立ち上がろうとするがダメージの痛みでうまく立ち上がれない。

 このアリ、かなりの攻撃力のようだ。

 スラルのHPはまだまだあるが戦える感じはしない。

「戻れ!後は俺がやる!」

「だめです。クオン君は無理をします」

 アリは倒れているスラルに槍を向け突進する。

「じゃ、しっかり守ってやるよ」

 二人の間に割り込み向かってくるアリの足を切る。

 アリはこちらに向かった倒れてきた。

「クオン君!!」

 巻き込まれた俺はかなりのダメージを受けた。俺の中の安全ライン(HP半分以上)を下回った。

「中途半端なHPになっちまったな」

 一撃で死ぬかもしれない。しかも、バーサークも効果を発揮していない。

 もっとも最悪なHPだ。

「クオン君一回引こ」

 後ろで弱音を吐く。

「だめだ。時間が無い。押し切る!」

 殺される前に、殺すしかない。

 槍の連突き。それを弾き続ける。

「なんで、そこまで…」

「店長には、時間が無いんだ…」

「え?」

「だから、俺は進むしかない」

 下段に来た槍を踏み。一撃を与える。

≪バーチカル・スクェア≫

 四角形に切り刻む。

 アリは槍を持ち上げる。飛び降りるのが間に合わず持ち上げられる。槍の上に立っていられず倒れる。そこに向かってやりを振り下ろされる。だが、死を感じない。

「はぁ!」

 スラルの突きが決まり、槍の攻撃が止まる。

「ナイス!」

 立ち上がった俺の一発。

 アリは鳴き声を出して消えていった。

「クオン君。どういうことですか?店長に時間が無いとは?」

「あぁ、店長はもうすぐ死ぬ」

 俺ははっきりと言った。

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