「それって…。どういうことですか…」
「余命だよ。話によれば、このゲームをやり始める前に医者に聞かされた余命は約1年ほど」
聞いて驚きを隠せない。
「しかも、ゲームで寝たっきりだ。まぁ、診察とかしやすいのかもしれないが体に悪いだろう。食べ物じゃなくて点滴しか無理だからな。そして、最近店長の体調が優れない。長くないんだ…」
「そ、それじゃ…。なんで悠長に材料を頼んで材料集めしてるんですか!?」
「これは約束だ」
「約束?」
「あぁ、俺が店長の剣を使う。そして、店長は俺のために最強の剣を作る。前に話した店長と出会ったときに交わした約束だ」
「何でそんなこと…」
「俺はスピード特化。筋力を上げないから武器が変わりにくいんだよ。だから、生きている限り使ってくれそうな人材が俺なんだろう」
「それもなんですけど、何で受けたんですか?」
「あぁ、そっちか、店長はユニークスキルを持ってるんだよ」
「どんなスキルを?」
「魔具製造スキルらしい」
「魔具…?」
聞きなれない言葉に疑問を持つ。
「自分の作った武器に能力を付けることができるらしい。まぁ、材料が高価だからやったこと無いらしいがな」
「信用してるんですか?」
「例え、ユニークスキルが偽りだったとしても、俺は店長の剣使い。その剣が最強であると証明する」
「そうですか、なら、いいんです」
HPを見ればほぼ全回復まで回復している。
「さぁ、行くか女王様の終わりだ」
「はい」
HPの回復するために、休憩していた。俺達は立ち上がり奥へ進む。
この先にいるのは、アリの女王様。
「いたぞ」
壁際を歩いていた俺が、つぶやく。
王冠をかぶったアリを見つけた。
武器として、持っているものは見えない。
「さて、開戦だ」
走り抜ける。女王アリが俺を認識した。その頃には、俺の間合いに入っている。
高速で剣を十字に振る。
アリは鳴き声を上げ羽根を羽ばたかせる。
「反撃がこないのか?」
続けて、連撃を放とうとしたが、俺の本能が危険を察知し、後ろに飛んだ。
俺に続いて攻撃をしようとしていたスラルが後ろにいて、ぶつかって倒れた。
「クオン君どうしたんですか…」
お互い素早く立ち上がり、武器を構える。敵の追撃があるかと思われたがアリは動いていなかった。
「身の危険を感じてな…」
本来のオンラインゲームにおいてそんな理由は通らないが、この世界では、その感覚が無ければ死ぬ。
「見てください。新たな敵が!」
女王アリの後ろから他の種類のアリたちが沸いて出てくる。
「自身は攻撃をしない仲間を呼び寄せるタイプのボスか」
来るまでに倒した雑魚敵が3匹ほど登場した。
「3匹か、俺が思うに、一定ダメージごとに、登場する敵が変わるな」
「一気に畳み掛けますか?」
アリたちはこちらに向かって行進してくる。
俺の頭に問いかける。
『どうするべきか?』
本来なら、一気にたたみかけて、モンスターたちが沸いて出て来たところに転移して逃げるのが得策だろう。
無駄な戦闘も無い、しかし、女王が羽を羽ばたかして、出ている粉塵が気になる。
「あの粉塵は、ダメージか異常状態を起こす物だと思う。だから、時間をかけてでも粉塵が消えてからの攻撃をしていく。まずは、雑魚を片付けるぞ!」
「はい!」
迫ってくる雑魚敵を倒す。
「粉塵は切れた。一気に行くぞ!」
「はい!」
スラルの後を追う。
スラルが空中に打ち上げるスキルで女王を打ち上げた。
それと同時に、俺は追撃のために大きくジャンプする。
空中で女王に剣を突き刺す。その間も女王は羽を羽ばたかせ粉塵をばら撒く。
「がぁ!」
粉塵を吸ってしまいダメージを受ける。
「クオン君!」
空中から重力によって地面に叩きつけられる。
かなりのダメージを受ける。
女王も地面に落ちてきて、粉塵をばら撒きながら、援軍を呼び寄せる。
「クオン君、逃げて!」
スラルの声と同じく、俺の中の本能が逃げろと言うが動けない。
麻痺毒か…。
現れる。雑魚敵が俺に襲ってくる。
「あぁ!」
アリの持つ槍で攻撃される。
「クオン君!」
スラルは粉塵の中に飛び込んできた。
一振りでアリたちに牽制をいれ、俺の服を引っ張り粉塵の中からひっぱりだす。
「無茶しやがるな…」
「クオン君がいつもやってることですよ」
スラルは微笑みながら解毒結晶を使ってくれる。
「ありがとう」
「当然のことです」
進行してくるアリを相手にして言う。
「粉塵が切れたら、止めを刺しに行く」
先ほどの行動で解ったことがある。
粉塵の攻撃は一定時間、粉塵の中にいないといけない。
つまり、高速で入り、高速で抜ければノーダメージなのだろう…。
「やるんですね…。わかりました」
スラルの一閃で最後のアリが倒され、女王の粉塵が切れる。
「打ち上げろ!」
「はい!」
スラルが女王に向かって駆ける。俺は剣を取り出し、いつもながらの心臓に突き刺す。
「はぁぁ!」
HP1バーサークを発動させて、走る。その途中で剣を谷の崖に向かって投げる。
スラルの攻撃で再び女王は打ち上げられる。
先ほど女王を突き刺した剣を地面から拾い上げ、崖に向かって飛翔する。
「悪いが…。お前の勝利は死んだ!」
≪リニアー・スラッシュ≫
最速の剣技。女王を切り裂き向かいの崖に着地し、落下する女王を追うように、崖を下に向かって駆け走る。
そして、剣を女王に向かって投げ、先ほど崖に向かって投げた剣を抜き、再び剣技を発動する。
≪リニアー・スラッシュ≫
最速の一振りが空中で女王の止めをさす。
「転移を!」
地面に着地した俺に向かって結晶を投げ渡される。
俺達の周りには沸いて出たアリの雑魚敵で溢れている。
スラルはともかく俺は1撃で死ぬから、すぐに脱出するしかない。
「「始まりの街!」」
同時に叫んで、その場を脱出する。