「クオン君は…」
キリトが見えなくなって、口を開いた。
「蘇生アイテムがあると思いますか?」
その話を聞いたら、全員が思う疑問を聞いた。
「はっきりは解らないが…。あったとしても、そのアイテムは○○だろう…。そうでなければ、このゲームは終わる」
俺の話を聞いたスラルは驚いた顔をして、俺の目を見る。
「あの人は解ってるんでしょうか…」
「いや、俺の推測でしかないからなんともいえない…」
しかし、完全な蘇生アイテムがあれば、悪いことではない。
「さて、向こうに約束をしてしまったから、ちょっと協力したいんだがいいか?」
「仕方ないですね。でも、あんまり離れないでくださいね…」
腕のホールドが解けた。剣を持って、キリトの他の足音の聞こえるほうに歩く。
スラルは、背を木にして座っている。
「さて、クラインだろ?解ってんだよ。出て来いよ」
剣を抜く体勢で言った。
「何で解ってんだよ…」
クラインが出てきて、それに続いて、仲間達が出てくる。
「繋がったな、キリトを探してたのは、蘇生アイテムのありかを知るためだな」
「あぁ、そうだ。あいつは、一人でボス級の敵を相手するつもりだ。お前はそんな無茶を黙認するってのか!」
ボス級のモンスターか…。クラインたちは、アイテム目当てでもあったが、キリトの心配もしていたようだな。
「ボス級だぁ?俺は、ボス一体一人で殺せるぜ。悪いが、引いてくれよ。知り合いと本気で斬りあうのは嫌なんだよ」
「何言ってやがる。殺意むき出しで。言っても説得力無いぞ」
クラインたちも得物を構える。お互いに、殺り合おうとした時、
「最悪だよ。お前ら、何連れてきてんだよ」
俺の言葉に疑問ばかりを感じるクラインたち。
「何が来るんだよ…」
クラインの後ろの奴らの一人が聞いた。
「なぁ、あんたらも、蘇生アイテムか?」
俺は、クラインたちを追跡してきたのだろう、奴に向かって言った。
「お前、何もんだ?索敵スキルがMAXでもぎりぎり、見えるだけなのに、俺の存在がわかるなんて」
「目で見るからだめなんだよ」
出てきたのは、KoBに続く有名ギルドの服装を着た男だ。
「聖竜連合か。また、大きいのがきやがって。みんな、暇なのか?俺は忙しいんだけど」
俺がそういうとその場の全員が俺をにらんだ。
「さて、クライン。どうする?前には俺。後ろは聖竜だ」
「面白いこと聞くな。もぅ、俺達には聖竜の足止めしかできないだろ。みんな、協力してくれるか!」
クラインの問いに、仲間達は「ああ」「もちろんだ」といい返事をする。
「いいギルドだなクライン」
クラインの横に立つ。
「あぁ、そうだろ?お前も来るか?」
「残念だ。俺の彼女がそれを許さないな」
「おい、彼女って」「あの子か!」周りが騒ぐが聖竜は止まっていない。
「道を開けろ」
聖竜連合の大将らしき奴が言った。
「行かさないぞ」
クラインたちが言った。
「なら、通してもらおう!」
結論を言えば、クラインたち風林火山だけで聖竜連合が止められている。
乱戦になってる中、俺が混ざるとややこしいことにもなるので俺は戦わずに、突破してくる奴を仕留めようと後ろに待機していた。
「クライン、ここはまかせるよ」
そう告げて、その場を離れる。
奥へ向かって走り、目的を捉えた。
「こそこそ、汚いな。隠れてキリトの戦いを見て、止めだけをいただく腹か?」
何も見えないが、確かに、足音がしている。俺にはわかる。隠蔽スキルで隠れている奴がそこにいると。
「なぁ、止まれ」
足音のするとこにめがけて飛び蹴りを食らわす。
「がは!」
先ほど、はじめに出てきた奴が現れた。
「わぁぁ!」
「あぶな!」
叫び声上げて刀で斬りかかってくる。蹴った聖竜連合の奴を踏み台にジャンプして避ける。
「あ、クオン君…」
刀で斬りかかってきたのはスラルだ…。
「怖いなおい…。愛しすぎて殺しちゃうとか、聞いたことあるけどやめてくれよ…」
冗談混じりに言っていると聖竜連合の奴も立ち上がる。
「なんで、解った…。索敵スキルか?」
隠蔽スキルをしていると極端に防御力が低くなるらしいが、俺の通常の蹴りでこれは問題ありすぎだな。
「目じゃ見えなくても他の感覚で捉えれば良いんだろ?」
「クオン君、良いこといってるとこ悪いんですが…。オレンジになってますよ…」
一般プレイヤーを攻撃すると|犯罪(オレンジ)プレイヤーになる…。
軽率な行動だったな…。
俺達のやれることは終わった。
「スラル。行こうか」
手を伸ばして、スラルが手を取った。
「はい」
今日のスラルの笑顔は、いつもよりもかわいく感じた。
手を強く握り、ツリーへと向かう。
ツリーは綺麗だった。綺麗としか俺は表現できない。
ツリーのしたではキリトが一人たっていた。
「終わってるようだな…」
「そうですね。クオン君の予想は当たってると思いますか?」
「あたってるというより、外れてほしい」
俺が、蘇生アイテムの話を聞いたときに言った。『そのアイテムは有効期限があるだろう』なんて事は外れてもらいたい。しかし、アイテムに有効期限が無かった場合。このゲームが死のゲームとして成り立たない…。俺の推測では最大で1時間以内の死亡プレイヤーを蘇生させる物。
このゲームが始まったとき、通信が1時間途切れた場合死ぬと言っていた。俺が思うに、死ぬことは、ゲームの通信が切れることだと思ってる。
だから、無期限の復活アイテムなんて…。
「綺麗ですね」
ツリーを見てうっとりしている。
「「お前のほうが綺麗だよ」って、言ってくれれば好感度はMAXに跳ね上がりますよ?」
スラルは言ってほしい事を言ってきた。
「おいおい、俺の好感度まだ低いのかよ」
冗談混じりに笑って言った。
「クオン君は意地悪です」
膨れ面をして返された。丁度スラルが俺を見ているのでスラルの目を見て
「もちろん、スラルのほうが綺麗だ」
「ふぇ!?」
本当に言うとは思っていなくて赤面で慌てふためく。
「熱々だな。見ててこっちが恥ずかしいぜ」
後ろからクラインたちがやってきた。
「えっと、ははは…」
笑ってごまかすしかない。
「クオン、クラインも来たのか」
暗い表情でこちらに来たキリト…。
「あぁ、悪いが追跡させてもらった。まぁ、聖竜連合の奴らを足止めしてやったんだ。悪く思うなよ」
いつもの対応で元気を取り戻させようとするがキリトは暗いままだ。
「クオン、お前はこのことが知りたかったんだな…」
「あぁ、多分それだ」
「だから、聞いても欲しがらなかったんだな」
「あぁ、そうだ。興味は持っても、欲しいとまでは思わない」
俺とキリトの会話にクラインたちがついてこれない。
「結論を聞こう。その蘇生アイテムは、何分前に死んだプレイヤーを蘇生できる?」
その問いにクラインたちも気づかされた。
「分じゃない。約十秒前に死んだプレイヤーなら生き返らせることができる」
十秒と聞いてキリト以外が驚く。
「そんなにも短いのか」
「こんな物のために俺は、ここまで…」
キリトの感情が壊れていった。命がけで得たレアアイテムをどうでもいいように捨てた。
「それが蘇生アイテムだ。効果は今言ったとおりだ。目の前で死んだ奴に使ってやってくれ」
それだけ言い残して森から出ようとした。まるで、自分の死へと進むように見えた。
「キリト……キリトよ……」
クラインが泣きながらキリトを呼ぶ。
「キリト……お前は……お前は生きろよ……もしお前、以外の全員が死んでも、お前は最後まで生きろよ……」
何度も生きろと繰り返すクラインの前を通りすぎて行く。
「キリト!」
出て行こうとするキリトの前に立ちキリトの足を止めさせた。
「くだらないことで死んだら、許さないぞ。『仲間のことを想うなら生き残るべきだろ』そうだろキリト!」
以前、俺が戦いに明け暮れていた時に言われた台詞をそのままキリトにぶつける。
「じゃあな」
俺の横を通ってキリトは森を出て行った。
取り残された俺達は、何もできなかった。
「とりあえず、クライン。蘇生アイテムはそっちのギルドで貰ってやれ」
俺も森を出ようとした。
「待てよ!良いのかよ」
「キリトの事は、本人がどうにかするだろ」
背を向けて、クラインと話す。
「それはそうだろう。そっちじゃない、こんなレアなアイテム貰って良いのかよ」
「譲ってしまって良いんですか…」
スラルもクラインと同じ意見を述べる。
「そんな、蘇生アイテムいらない。俺の命は1つ。だから、これから先も戦える。まぁ、一度死ねるなんていう気持ちを作りたくないだけだ」
俺も森の出口へと足を向ける。
「待ってくださいよ」
横に来た。スラルは俺の顔を見て驚いた。
「帰るぞ」
「はい…」
後ろのクラインたちに、気づかれないように、俺は涙を拭かずに出口へと向かった。
宿に戻って来た俺は、また見っとも無く泣いている。
「泣いたって、良いんですよ。悲しいときは泣かないとだめなんですよ」
「弱いとこばっかりで…。ごめんな…。もっと、強くなるから…」
「十分強いです。強くても、泣いたって良いんです」
クリスマス。クオンの涙が枯れるまで泣いた。
スラルは、そんなクオンを抱きしめて、涙が枯れるまで慰めた。
結果、クオンは3時間ほどでいつもの調子になった。
ちなみに、キリトは立ち直りボス攻略などにも参加をしていた。
あれから2ヶ月ほど経った。
クオンとスラルは52階層以降ボス攻略は参加せずに迷宮やダンジョンによるレベル上げをし続け、使わない武具は知り合いの故買屋に売って儲けてる。
時たま、キリトやクライン、KoBの人たちと会って話すこともある。ボス攻略に誘われることがあるが行くことは無い。
やはり、俺のような奴に団体行動はできないのだ。51階層の攻略時に仲間の攻撃を受けて死に掛けたりして、俺の速度についていける者でPTを組まなければ力が発揮できないからだ。
そして、ダンジョンなどで身に着けた力を発揮するときが来た…。