俺はフィールドに出たら自分のHPを1になってボス部屋を目指す。
「死んだら、許さないぞ!」
ボス部屋に近づくにつれてスラルの声がはっきり聞こえる。
「ゾック!」
ボス部屋に入ったとき名を叫ぶ。
「来たか!だが、遅かったな!」
ゾックの大剣はスラルを狙っている。スラルはボロボロで倒れて立ち上がれないでいる。
走る。間に合わないなんて考えない。間に合うと信じて。
「間に合った!」
ゾックを蹴り飛ばす。
「く!以前より速いじゃないか!」
蹴られて地面を転がり、すぐ立ち上がった。
剣は蹴られたときに落としている。
「スラル!生きてるんだろうな!」
スラルをにらみつけるように見て怒鳴る。
「はぃ…」
弱弱しい声が聞こえた。
「帰ったら昼食を食いながら説教だ。帰って、飯作ってろ」
そういって、俺のウィンドにある最後の転移結晶を放り投げる。
「でも「クオン、よく来たな。殺してやる!」
スラルの言葉を消し去るほどの大声で叫び、大剣を手に取る。
「俺には許せないことが山ほどある」
俺はつぶやきながら剣を構える。
「その中の2つにお前は当てはまった」
ゾックが飛翔する。一直線に俺に向かって。
「仲間を傷つけるような奴は許せない。だから、仲間を殺して得た力を持ってるお前を許せない」
奴の剣撃を片手剣で受け、そのまま横に流す。
「そして、俺の恋人を傷つける奴は、もっと許せない」
怒りの感情を乗せて睨む。
「お前に許されなければならないわけでもないだろ?」
重いはずの大剣を振り回す。
全部受け流す。
「だから、お前は俺が|倒す(・・)!」
そう言った時、ゾックは驚いた顔をして、後ろに下がった。
「倒す?殺すのでないのか?」
「あぁ、倒して拘束アイテムで捕まえ軍に引き渡してやるから、覚悟しやがれ!」
「ははは…。ははははは!」
軽く笑った後に高笑いをして笑い続ける。
「クオン君、ご飯の準備して待ってますね」
スラルは安心したのか帰った。
ここに残るのは俺と殺人鬼のみ。
「くだらないこと言ってんじゃねぇぞ!」
剣撃が来る。先ほどのまでのは全力でなかったのか先ほどよりも速い。
風の切り裂く音がうるさい。
大剣が斜めに振られる。見極め安置でやり過ごす。
「お前から、殺気が全然感じられない!あの時しとめておくべきだったか!」
振り切った後に下からの振り上げ、振り下ろしと続ける。
それをすべて避けていく。
「どうして、それほどつまらなくなった!」
「死を振り切る。その結果だ」
「抜け殻が!」
続けていく、攻撃を避ける。
「なぁ、本気になれよ。人食らってきたんだろ?そして、時間も無いだろ?俺もぎりぎりだ。全力でやりたくないのかよ」
「良いだろ。見せてやる。殺人鬼の最後を」
その時、ゾックは何かを飲んだ。
「ドーピングアイテムか。良いだろ」
「殺してやる」
ドーピングアイテムにも種類が多すぎて、何を飲んだかは解らない。
「さぁ、殺してやる!」
地面に落ちている巨大な剣を拾う。
巨大な剣を持って、本来なら移動速度は落ちるが、落ちるどころか上がっている。その速度で振り下ろす。
その大剣を受け止めるが受け流せない。受け止めた事で、剣が折れる。
折れる瞬間に横に転がり避ける。
「おせぇ!」
地面に突き刺さったまま、刃をこちらに向け、地面をえぐって切りに来る。
転がってる俺はすぐさま、空中に飛ぶ。
空中でウィンドを出して剣を取る。
「さっきのは、速度向上か!」
速度が上がる系のアイテムは攻撃力を下げるものが多いが、先ほどの威力を見れば下がっているのか解らない。
「空中に逃げたな!」
力を溜めて大剣を振り下ろす。逃げ場の無い空中で仕留めるようだ。
「ダンジョンでこもった経験が生かされるな」
俺は、俺の剣で大剣を横から叩く。軌道は変わらない、当然だ。向こうの方が強いのだから。
だが、剣が触れた瞬間に力をかけ、空中で俺自身の軌道を変える。
ゾックの大剣は地面に振り下ろされ、すごい効果音がした。
無事、着地し次の剣を取る。
「生き延びたか」
「悪いが、俺は生きて帰らないといけないんでな。あー後、英雄にならないといけないらしいな」
その剣は刀身が黒い。
「ここからが本気だ。俺も攻撃に移るぞ。殺人鬼!」
剣が俺の魂を吸い取っていく。HPは1吸い取るものもは本物の命だ。
だが、この剣は俺の命を取れない。これは前に実験をしたことだ。HP1だと痛みが永遠に続くが死にはしない。
痛みを感じながら戦う。
どれほど痛みを感じても、倒れてはならない。目を閉じてはならない。
目の前をの敵を見て、剣を振るしか、俺には無い。
力を込めて一歩踏み出す。以前、ヒースクリフがやった。筋力で高速移動をするものだ。
ダンジョンでこの技術を習得した。といっても、通常状態では意味の無い技術だ。バーサークで力が強化されていなければ意味が無い。
弾丸のような速度で地面すれすれを飛ぶ。
その速度で放つ、俺の最初の一撃。
それを大剣で受ける。正しい判断である。俺のようなスピードキャラの攻撃は避けるものじゃない。
避けた後に攻撃されるかもしれないからだ。
しかし、俺の剣の能力はすごい。
聞きなれた金属同士がぶつかる効果音。なっている最中にビキとひびが入る音が聞こえた。
俺の魔剣の能力は防御力を一定無視する…。
ならば、武器や防具に設定されてる。耐久力も無視するのではないかと、前に調べた。
結果は有効だ。
普通のエージスと魔剣エージスを比べれば壊れるのが速かった。
つまり、この剣は防御力だけでなく、耐久度も無視する。
「これが俺の最強の剣だ」
ゾックを守る大剣に向かって何度も斬る。
大剣に無数の傷を作っていく。
「その最強を折ってやる!俺の大剣で」
盾にしていた剣をこちらに向かって、放り投げる。それをしゃがんで避ける。
ウィンドを操作する奴に切りかかる。
「がぁ!この野郎!」
操作してい避けれずに受け、普通の大剣を取る。
ゾックと俺の攻防が始まる。
移動速度は俺が勝っているが、奴の攻撃が止まらない。
大剣は両手装備だというのに片手で振り回したりしやがる。
俺の剣と奴の剣交わり続ける。打ち合い、受け流し、次の攻撃を繰り出す。
剣を打ちつけるとき、俺達は相手の目を見ている。
お互いに目でこういっている。
「「隙を見せたら斬り倒す(殺す)!」」
俺の4連撃の剣技と奴の一回転しての剣技がぶつかる。
剣の側面に2連撃ずつ打ち込み、剣を破壊した。
「そんな、剣に負けるか!」
俺が来たときに使っていた巨大な剣の剣先を踏み、回転して飛ぶ、回転する大剣の柄を掴む。
剣技のわずかな硬直時間で行われ防ぐことができない。
硬直時間が終わった頃には大剣を降り始めている。剣で受け止めスライドさせゾックに近づき肘で突く。
少し、後ろにふらつき、片手で振り回していた大剣を両手で持つ。
「この剣は、あいつと俺を繋ぐ物だ!」
俺と店長を繋ぐ物、最後のものである。
「繋ぐものだ?仲間と繋がってるとでも言うのか!」
大剣の横払い剣で受け止めたが、剣が吹き飛ぶ。
「仲間などいらない!」
大剣を振り回す。
「だろうな!PTのメンバーを殺すような奴は、仲間を必要としてないんだろうな!」
回避しながら剣の行方を追う。
「この世は力があるものが無いものを支配するだけだ」
ゾックの攻撃が大振りになっている。
後ろに飛び、攻撃を避ける。
「そんなことは無いな。俺は力じゃなく、別の物で繋がっているギルドを知っている」
「力での支配がすべて仲間など裏切られるだけだ」
まるで、自分はそんな世界にいるようにゾックは言った。
剣を地面から抜く。ゾックは剣先を地面に付かせ、ただ立っている。
「どうした?殺人スキルとやらが切れたか?」
「そう、俺にとって仲間はいない。いるのは俺の力の糧になる者のみ。この気持ちが解るか!」
ゾックはそう叫んだ。