ソードアート・オンライン『疾風の狂戦士』   作:神滅

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墓場

「最初はソロで活動をしていた!」

 ゾックは自身の過去を語り始めた。それと同時に切りかかる。

「う!」

 受け流しはしたが、衝撃がすごい。ダメージにならないが何度も食らっていると足が持たない。

「だが、ソロで限界を感じた俺は一緒に戦ってくれる仲間を探した」

 次の横払いをしゃがんでやりすごす。

「PTを組む奴はすぐに見つかった。しかし、罠PTだった」

 罠PT、聞いたことはある。オレンジのやり方で、一般プレイヤーが獲物をPTに誘い。街の外へ連れ出す。

 そして、外で待機していたオレンジが獲物を狩る。

 引っ掛けられても、転移結晶で逃げることができ、逃げた者がすぐに罠PTのことを注意した。

「結晶が無くてな、逃げることができなかったよ」

 言葉とともに剣を振る。ジャンプしながら、大剣に剣をぶつけ、大剣の勢いを落とす。

 勢いに任せて回転し、大剣にのる。

 切りかかろうとしたが同じ戦術は通じない。無理やり振り切られ振り落とされる。

「俺は戦った。敵は7人だ。まずは、PTの5人を倒した」

 ゾックは話をしながら攻撃を続ける。

「その時、能力を得たのか」

 攻撃を避けながら、問う。

「あぁ、そうだ。6人目を殺った時、力が増したのを感じた。そのまま7人目を殺した」

 これが、こいつの過去…。

「その後は、オレンジギルドに狙われる生活だ。殺した奴が有名で俺の名はオレンジの中で有名になった」

 オレンジの中では、誰を殺したなどで地位が変わっていく。

「俺を狙う連中を殺していくうちに俺の下につきたいといった奴が出てきた。そして、オレンジギルドになった」

 お互いに剣を打ち合う。

「それが、あのときのメンバーか」

「あぁ、しかし、お前に負けてから、離れていった。だが、悲しくなかった。奴らは俺についてきたのではない。力についてきただけだから」

「だったら、どうした?」

 話がずれてきてる気がして聞いた。

「この世界はな最後に信用できるのは1人だ。つながりなんて無い」

 剣を打ちつける。奴の目は怒りに満ちていた。

「お前は、1人でいることに理由をつけているだけだ!」

 後ろに大きくジャンプし、ゾックに向かって飛ぶ。

「違う!」

 俺の突撃に対してゾックはその場に立ち止まり、大剣を振り下ろす準備をしている。

「お前は周りに、人がいないことに理由をつけてるだけだろうが!」

 ゾックに剣技のエフェクトが見られた瞬間、俺は剣を地面に突き刺し急停止する。

「違う!」

 ゾックの声に荒さが増していく。

「なら、どうして、オレンジギルドを作り上げた!下につきたい奴なんて切り倒せばよかっただろ!誰かといたいだけじゃないのか!?」

 剣を抜き、硬直しているゾックに向かって走る。

 ゾックは振り下ろしている剣を振り上げようとするが…。遅い。

《リニアー・スラッシュ》

 急加速をした俺はゾックの一歩前で剣を振り切った。

 そして、通り過ぎる。

「終わりだ。お前の剣は折れた。それにスキルも切れる頃だ」

 俺は先ほどの攻撃を剣の一番傷ついてるところへぶつける事で、大剣を切り裂いた。

「まだ、剣はある!」

 ウィンドを操作する。

「遅ぇ…」

 ウィンドで出された大剣を剣で弾き、逆の手で殴る。

「がぁ!」

 ゾックは前のめりになって倒れた。

「お前は可愛そうだ。初めてのPTがそんなのじゃなかったら攻略組のメンバーだっただろう…」

 倒れているゾックに話しかける。

「殺せ」

 起き上がりせずにそういった。

「悪いが倒すだけだ。殺さない」

 俺は、拘束アイテムを取り出し拘束をしようとした。

「それが甘さだ」

 手刀が俺に向かって突かれる。

「さっきの答えだ。確かに、誰かと居たい気持ちはあったが、オレンジになった俺には、オレンジしか居場所は無かった。だから、オレンジとして人を集めただけだ」

 静かな空間にゾックの声が響き渡る。

「ドーピングに何を飲んだ?」

「聞いたことはあるはずだろ。一定時間、力、速度、防御。すべてのステータスを上昇させる秘薬。その代償は、能力が切れると同時に行動不能と猛毒状態になる」

 秘薬。30階層あたりで発見されたアイテムだ。

 ゾックが言うとおり、すべてのステータスの上昇後、行動ができなくなり猛毒に苦しむ。力を一時的に得る代償つきのアイテムだ。使われ方の多くは能力が切れる前に街に戻り、街では行動不能にならないのを利用して猛毒を解毒するのが使われる例だ。

「なんで、そんなもん飲みやがった」

「俺の周りに、誰も居なくなった。だから、ここで死ぬ」

 俺は素早くウィンドを操作し、解毒結晶を探す。

「死なさいぞ!軍の黒鉄宮にぶち込む!」

 解毒薬を探すが、見つからなかった。最近毒を使うところに行っていないから、ウィンドに残していない。

「飛びやがれ、始まりの街に!」

 転移結晶を握らせて言う。

「勝者に従え!」

「断るに決まってるだろ」

 ゾックはそのまま光の粒子になった。

 死んだのだ…。

 

 宿に帰った俺は、スラルに事の結末を話した。

「まぁ、軍に渡すことはできなかったが、殺人スキルが世の中に出ることは阻止できた」

 スラルの作った昼食を食べながら話す。

 食事をしながら話すような内容ではないが、この話はするべきだと思った。

「大変でしたね…」

「あぁ、誰かさんがアラームをいじったりするからな」

 ここから、スラルの説教タイムが始まり、終わった頃には、スラルは疲れて倒れていた。

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