ソードアート・オンライン『疾風の狂戦士』   作:神滅

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 時は満ちた!

 75階層のボス攻略にヒースクリフが動いた。

 入ってから、かなりの時間が経ってから俺は動き出す。

 おかしい、情報では、ボス攻略中は扉が閉まっていると聞いたが開いているのに、剣を打ち合っている音が聞こえる。

 扉の前でこっそりと中を見る。

 中を見れば、ヒースクリフとキリトが戦っている。

 つまり、俺の考えは正しく、その答えにキリトもたどり着いたのだろう。

「くそぉっ…!」

 中から聞こえるキリトの叫びキリトが勝負に出た。剣技を発動する。

 俺の目には見える。27の連撃、俺のバーサーク状態の普通攻撃並の攻撃だ。

 それを、ヒースクリフは、盾の中心ですべて受け止める。

 馬鹿な…。攻撃をすべて先読みしているのか…?

「さらばだ…キリト君!」

 今、ヒースクリフは隙だらけだ…。今なら殺せる。

 今まで動いていなかったアスナが動く。両手を広げ、キリトの前に…。

 

「退けろ!」

 叫んで走る。一瞬でキリトを蹴り飛ばし、アスナを殴り飛ばす。

 そして、神聖剣を体で受け止める。

「よぉ、最強騎士。何やってんだよ。いや、ゲーム管理者さん」

 HPが一発で1になる。心臓のようなクリティカルヒットでもないのになんていう威力だよ…。

「君も解っていたのか、なるほど。なら、君の挑戦を認めよう」

 ヒースクリフが盾で殴ってくる。後ろに飛び何とか避ける。

 今の俺は、どの攻撃でも受ければ一撃なのだ。

「キリト、選手交代だ。倒れてろ!」

 動こうとしているが、動けないのを見るとヒースクリフが何かをしているのだろう。

「クオン!お前まで…。やめろ!頼むからやめてくれ!」

 後ろにはボスを攻略したメンバーが立っている。こちらも何かされているのだろう。

「やめろ!こいつには1人じゃ勝てない!」

 故買屋のエギルまで居やがる。

「ちなみに、ヒースクリフ。あんたは、このゲームの管理者でゲーム攻略のアドバイザーって事でいいのか?」

 最後の疑問を解消するために聞く。

「違う!こいつは管理者なんてもんじゃない…。茅場晶彦本人だ!100階層のボスだ」

「私をここで倒せばゲームはクリアだ。アドバイザーというのはあっている。君の洞察力も素晴らしい物だ。ここで消えてしまうのはひじょうにもったいない」

「大丈夫だ。俺は死なない。ここで死ぬのはあんただ」

 剣を構える。刀身の黒い店長の剣。

「これはすごい。魔具の武器を手に入れたのか」

 茅場晶彦は驚いた顔をした。

「あぁ、この剣は魔具スキルを持った奴が最後に作り上げた。奴の魂だ。この剣ですべて終わらせる!」

 茅場晶彦に向けて剣を振る。

 その速度は瞬間移動に近い。

 それを容易に盾で受け止め、反撃をしかけるが後ろに下がって避ける。

「その速さは厄介だな」

「あぁ、俺は速さを極めている」

 茅場晶彦は投剣を投げる。俺は剣を弾く。

 剣を投げた後に、俺に突進してくる。突進をジャンプして避ける。

「はっ!」

 投剣を投げられる。天井に足を着け飛んでくる剣を切り落とす。

「らぁ!」

 そのまま、茅場晶彦に向けて飛ぶ。

 奴も俺に向けて剣を振るが俺の狙い通りだ。

 俺の剣を相手の剣に向けて振り下ろす。金属音が鳴り響く。

「なるほど、そういう狙いか。いい狙いだが、命が持つかな?」

 未だ空中の俺に向かって盾で殴りかかる。

「あめぇ!」

 この程度のことで負けるわけには行かない。奴の剣の上で剣を滑らせて強引に盾にぶつける。

「さすがだ。HP1のままで戦っているのにここまで生き残るだけの実力がある」

「ゲームマスターにほめられるとは光栄だ!」

 着地した瞬間、剣と剣がぶつかり合う。神聖剣を刀身で滑らせて茅場晶彦の顔をめがける。

 剣と顔の間に盾をすべりこませる。俺の速度についてこれるだけで、すごいものだが、滑り込ませるのはさすがだと関心する。

 俺にもう一本の剣が使う事ができれば。

 キリトが羨ましいと思った。奴のスキルが俺にあればと思う。さすがに脱死や、聴力を持ってる俺が二刀流まで会得すれば、反則キャラだろう。

「何で、この世界に人を閉じ込めた!」

 剣を打ちつけながら問う。

「それは、最初に教えたはずだ」

「そうか。ならいい!」

 全力で剣を振る。

「おっと、君の剣は装備を壊す能力でも付いているのか」

 ヒビだらけの剣を見て言った。

「俺の最強の剣の力だ」

 自慢するように言って剣を打ちつける。

 魔具の能力は無数あるようだ。防御無視は、その1つなのだろう。

「君の次にはキリト君が待っている。ここらで決めさせてもらおう」

 あの時見せた。筋力を使う踏み出し。

 俺は、ウィンドを操作し、剣をオブジェクト化する。剣は地面に落ちる。

 奴を迎え撃つ。

「来い!殺してやる」

 魔剣を構えて奴を見る。

「やめろ。やめろ!」

 誰かが叫ぶが、俺には届かない。

 奴の剣を受け止め、魔剣を手放す。逆の手で、先ほど出した剣を取る。逆手でもった剣を振り上げる。

 2撃目を盾で防がれる。ここまでは予想通りだ。

 決めれなかった2撃目の剣を捨てる。そして、1撃目の魔剣を空中でつかみなおす。

「決め手だ」

 一瞬にてこれだけの攻撃、3撃目は奴の胸に剣を突き立てる。

 殺した。今までの経験場で俺の勝利を確信した。

 茅場晶彦が俺の目の前で言った。

「残念ながら、私は生きている」

 いつもの胸を貫く感触。

「ぁ…。あぁ…」

 情けない声を漏らす。

 周りでは、騒がしいが、聞こえなくなっていく。聴力の耳を持っていても…。

「さらばだ。疾風」

 最後に聞こえたのは、軍での、速さだけしか持たない者の名。

 

 スラルが居なくて良かった…。居たら、自殺しかねないからな…。

 キリト…。勝てよ…。そして、スラルを現実世界に帰してやってくれよ…。

 最後に、スラル…。約束守れなくて悪かった…。俺はいつでも約束を守ってやれなかったな…。

 

 俺の体は消えて行き。見えるのは闇。

 光などどこにもない。闇の世界。

 その中で、俺は足を掴まれる感触を感じた。

 下を見れば、見覚えのあるアバターが俺の足を引っ張っている。

 俺と共に鉱山の地下2階に入った仲間に見えた。

「久しいな。迎えに来るなんて、優しいじゃないか…。連れて行けよ」

 俺は死んだのだ。どこにでも連れて行け、そんな投げやりな気分で言った。

 死に飢えていた事もあったが、死んでも何も変わりはしない。

 求めていたものがこんなものだと思うばかりだ…。

 

 そんな時、無機質なシステムの声が聞こえた。

『ゲームはクリアされました…。ゲームはクリア…』

 そして、闇は消え去り、光が包み込んだ。

 

 

 目を開ければ、眩しい光が目に入った。

 何かが頭にかぶせられてのが感じ、取ろうとするが体を動かすのが辛い…。呼吸するのがしんどい…。

 何もかもが重い…。

 数分ぼんやりとして、ようやく、ここがどこだかわかる。

 地獄でもなければ、死の世界でもない…現実だ。

 デスゲームが終わったのだ…。部屋の外で、ばたばたするのが聞こえる。きっと、ここは病院でデスゲームに囚われたプレイヤーが集まっており、目を覚ましたことに慌てているのだろう…。

 帰ってきたことを実感しても喜びはしない…。むしろ、寂しく思える…。

 デスゲームの中で死んだ俺は死ぬべきだった…。

 仲間達を守れず。仲間達と死ぬこともできず。また、生き残ってしまったのだ…。

 俺はそんなことしか考えることができないのだから…。

 こんなこと、スラルに言ったらなんて、怒ってくれるだろう…。

 あいつに会いたい。そう思ったとき、眠気が襲ってきた。

 抵抗もできず眠りに落ちた。




SAO編完結。
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