ソードアート・オンライン『疾風の狂戦士』   作:神滅

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[オリキャラのリアル名]
クオン=|九藍(くらん) |音哉(おとや)
スラル=|鈴切(すずきり) |奈夕(なゆ)


フェアリィ・ダンス
現実


 現実世界に戻ってきた俺に待っていたのは絶望だけだった…。

 俺が現実世界に戻って来たが、海外で働く親達は、メールの1つも寄越さない…。

 俺の親は海外で働いている。俺は、海外に行くのを拒んだ。その結果、親から仕送りはきちんと来るが連絡など1年に一度すればいい方だ…。

 俺が二年間ゲームの中にいることを知っているのかも怪しいところだ…。

 生活していくために通帳を見たが、きっちりと仕送りはされている。いや、考え方を変えれば、俺がお金を使えない

 

状態だということを知らないのかもしれない…。

 ゲームをする前の俺だったら、こんなに事を考えなかっただろう…。これが、2年間の経験なんだろう…。

 ちなみに、俺と共にゲームを始めた相棒の親には、「どうして、あんたが生きててあの子が…」と泣かれた。

 あいつは、俺のせいで死んだのだから、当然だ…。

 俺は、すべてを背負って生きるしかないのだ…。

 

 

「ここに、俺の居場所なんて無いのかもな」

 思わずつぶやいてしまう。

「そんな事言うなよ。彼女が泣くぞ」

 エギルが言った。あの世界では、故買屋を営む商人プレイヤーだったエギルはリアルで喫茶店を開いており、俺の住んでいるところから近く、ちょくちょく遊びに来る。コーヒー一杯で2時間ほど居たのは結構な記録である。ちなみに、この彼女というのは、スラルの事だ。

「泣かない。いや、泣けないよ…」

 「今は…」と言った後に付け足す。空気が重たくなる。

「まだ、目覚めないのか…」

「あぁ、皮肉だよな…。HPが0になって死んだ俺が生きていて…。生き残った奴が目を覚まさないなんてな…」

 デスゲームは終わった。確かにそうだが…。二千人ほどのプレイヤーは未だに目を覚まさない…。

 何度も俺はスラルの病室に行っている。今日こそ目覚めるだろうと信じて、何時も行く…。

「お前もだが、良く解ったな」

「ん?何がだ?」

「病室だ病室」

「あぁ、話していないか、総務省があの世界に対する対策本部から、役員が来たんだよ。死んだのに、生き返っている俺を訪ねにな。そこれで、条件を少し出しただけだ」

 簡単に聞き出せたのは驚いたがな…。

「そういえば、キリトも同じ手段だと聞いたな」

 キリト、デスゲームをクリアした勇者だ。自宅の留守電に奴が記録していたのは驚いた。

 エギルがここで働いているのを知ったのもあいつのおかげである。

「なんでも、キリトは知り合いの住所や連絡先を聞き出したらしい。本当、頭の回る奴だ」

「お前もな、役所の人間が来て、住所を聞き出そうなんて思わないからな」

「知らないでも良かったかもって思うけどな…。それじゃ、ごちそうさん」

 店が込み始める時間になる前に、出て行く。さすがに邪魔はしたくない。

「また来いよ」

 俺は、その言葉を言ってくれるだけでうれしかった。

「あぁ、必ずな」

 そういい残して、病院に向かう。

 

 朝も来たが、暇な時間があれば、行っている。

 返事はされないが、ノックをして病室に入る。

「よぉ。眠り姫」

 入るときには、いつも言っている。

 最先端のフル介護ベットに入っている少女はあの世界のスラルとまったく一緒だ。

 銀色の髪をして、目を開けば緑色の綺麗な瞳を見せてくれるのだろう…。今にでも目を覚ましそうな気がする。

 彼女が着けているナーヴギアのLEDが青く輝いており、正常に通信していることだけを知らせる。

 俺は、意識の無い彼女に対して、会話をする。

 エギルのこと…。キリトのこと…。そして、自分のこと。

 1人で何を話しているんだろうと思うが、いつも続けている…。

 

 時計を見れば、かなりの時間を1人でしゃべっていることに気づく。

「スラル、また来るからな」

 そういって病室を出て行く。

「来てくれていたか九藍君」

 出るときに入ってきたのはスラルの父、鈴切さんだ。

 鈴切さんは工場で働いていると聞いている。スラルを男1人で育てた結果、趣味などもなく、家事などを良く手伝ってくれる子といっていた。茅場晶彦のゲームが男女に流行ってると聞いて、新作の『ソードアート・オンライン』を買ってあげたらこんなことになってしまったと言う事も話してくれた。

 さすがに、娘のプレゼントにあのゲームは…。と思ったが、娘に何かしてあげたいと思っていたときに流行っていると聞いて、喜ぶのを信じたのだろう…。

「こんにちは、お邪魔してます。鈴切さん」

「いえ、お邪魔なんて。奈夕もきっと喜んでます」

 そういって、先ほどまで俺が座っていた椅子に座る。

「この子は、昔から、誰にも興味を持たなくてね…」

 鈴切さんはいつものように話しだす。

「オンラインというのは、良く解らないけど、たくさんの人が集まるのだろう?」

「はい。同じゲームを一緒にやります」

「その中に、娘が入ってしまって、みんなと仲良くできるか不安でした。しかし、君みたいな子が居てよかったよ」

 そういって、笑顔で言ってくれる。

「そういってくれると、ありがたりです」

 差し向けられる笑顔が温かく…。それで居て、悲しく感じた…。

 俺が戻ってきているのに、スラルは戻ってこない…。

 それが悲しかった。

 いつか、3人が笑えたらと思う…。

 

 それから、別れを告げて病室を出た。

 病院を出て行こうとすると、キリトが帰ろうとしているのを見つけた。

 キリトとは何度かリアルで顔をあわせている。

 そして、キリトの彼女、アスナもこの病院に居て…。スラルと同様に帰ってきていない…。

「キリトー」

 院内なので控えめな声で言ったせいか、キリトは病院を出て行った。

 邪魔にならない程度に走って後を追う。

「和人ー。聞こえてますか?」

 肩を掴み、ゲーム名でなく、本名を言う。

「クオンか…」

 俺を見て、俺を認識したが、声に力がない。まるで抜け殻だ…。

 どうしたのか聞くと、弱弱しく

「アスナが…遠くに…行っちゃうんだ…俺の手の…届かないところに…」

 それから、何があったかを聞いていった。

 

 須郷伸之というソードアートオンラインを開発したレクト・プログレスの社員だということを聞いた。

 アスナの父から信頼も高く、結婚が来月に控えていることも聞いた。そして、その目的が…。アスナの父が経営する会社を手に入れることだということも。

 

 それを聞いた俺は、

「くだらないな」

 そういってやるとキリトが胸元を掴んで怒ってきた。

「くだらないだと!」

 目には怒の文字が見えた。動じずに続けてやる。

「お前がくだらないんだよ。ゲームをクリアした勇者様が泣き言か?くだらねぇ」

 こちらも睨みつける。

「あきらめるなよ。お前があきらめなかったから、あのゲームは終わった。どれだけくじけても、あきらめるな。アスナを守り抜いて見せろよ」

 キリトは手を離した。

「悪い…」

「いや、良いよ。和人には感謝している。俺が生きているのはお前がクリアしたからだってな」

「そんなことない…。本来、あそこで死んでいたのは俺だ…」

「まぁ、何か解決策はあるはずだ。あきらめるなよ勇者」

「お前の方が勇者だよ」

 そういって、キリトと分かれた…。

 

 次の日、何もすることのない俺はまた、病院に行こうとしていたところ、メールが来ているのに気づいた。

 メールはキリトからの物で、『エギルの店に来い』と書いてある。

 何だよと重いながらエギルの店に向かう。

「邪魔するぜー」

 そういって勢い良く扉を開く。

「アミュスフィア? 知らないハードだな」

「出たのは去年だ。ナーヴギアの後継機だよそいつは」

 俺を無視して、二人は話を続ける。

 

 後から説明を聞くと、アルヴヘイム・オンラインというゲームのスクリーンショットでアスナに似たキャラが居たという

 

事で、キリトが呼ばれ、キリトはアスナだと判断した。それで、未帰還者の情報だということで俺を呼んでくれたわけだ。

 アスナはプレイヤー達のゴールである世界樹の頂上にいる。

 アスナは鳥かごに入っていて、囚われている感じにみえる。

 エギルの容易したアルヴヘイム・オンラインのケースを見れば『レクト・プログレス』と書かれていた。

 すべてが繋がった気がした。

 須郷という奴がアスナを好きにできるということを言っていたらしい、さらに須郷はソードアートオンラインのサーバを管理している。そして、極め付けがこのスクリーンショットだ。

「エギル…。これ、貰っていいか」

「構わんが……行く気なのか」

「ああ、この目で確かめる」

「待てよ。俺も行く」

 ゲーム内容は聞いていなかったが後で調べれば良いだろう。

 エギルは一瞬気遣わしげな顔をした。

「行くのは好きにすれば良いが、悪いが1つしか用意できていないぞ」

「俺は後で購入する」

「死んでもいいゲームなんてヌルすぎるぜ。…ゲーム機を買わなくちゃな」

「ナーヴギアで動くぜ。OSもCPUも一緒なんだ」

「そりゃあ助かる」

 キリトは、コーヒーを飲み干して、立ち上がり代金を置いて、

「じゃあ、俺は帰るよ。ご馳走様、また情報があったら頼む」

「情報代はツケといてやる。アスナを助け出せよ。そうしなきゃ俺達のあの事件は終わらねえ」

「ああ。いつかここでオフをやろう」

 店を出て行ってから、俺はエギルに尋ねた。

「あいつ、喜ぶのは良いが、足元を見ていない感じだったな」

「あぁ、心配でならねぇ…」

「まぁ、安心しろよ。俺も行くからさ」

「お前が行っても安心できねぇよ」

「そうだろうな」

 俺も席を立ち、何も頼んでいないからそのまま扉に向かって歩く。

「取り返して来いよ」

 エギルが最後に言う。

「当たり前だ」

 そう言い返して、店を出た。

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