帰りに、ゲームショップでアルヴヘイム・オンラインを購入する。
アミュスフィア
というナーヴギアの後継機があるらしいが購入しなかった。ナーヴギアの人を殺すシステムは起動しないから安心をしていた。
住んでいるアパートに帰って
アルヴヘイム・オンラインの説明を読む。
九種類の妖精を選ぶことができ、それぞれが高位である光妖精アルフになることを目指し、世界樹と呼ばれる巨大な樹木を目指す。そして、種族の抗争があったり、レベルは存在しないようだ。戦闘能力はプレイヤーによるらしく、最大の特徴は空を飛ぶことにあるらしい、九つの種族は飛べる時間が決まっているが光妖精はそれが決まっていないようだ。
一通り、内容を読んだ俺はつぶやく。
「くだらねぇ…。オンラインゲームは別の職と協力してやるもんだろ…。なんで、お互いを憎みあってやらなきゃならないんだよ…」
これを管理している運営はかなりひねくれている。
一通り、内容を読んだので、この世界に入り込む準備をする。
「さて、行くか…。リンク・スタート」
目の前に虹色の光が弾けた。複雑な和音を組み合わせた起動音がなり、俺は妖精の世界に入り込む準備をする。
IDやパスワードといった基本的な物の入力をして決定する。ネームは迷わずクオンと入力する。スラルがいる可能性があるのだ、わかりやすいようにしておきたい。
最後に種族の決定だ。少し、闇妖精(インプ)にしようかと思ったが、風妖精(シルフ)を選択する。
やはり、俺は速さを求めるスピード狂だ…。
容姿は完全にランダムらしい。
そして、妖精の世界に入り込む。
きっと、種族の街から始まるのだろうと思っていれば、 いきなり全ての映像がフリーズした。あちこちでポリゴンが欠け、雷光のノイズが視界のそこかしこを這い回る。モザイク状に全オブジェクトの解像度が減少し、世界が溶け崩れていく。
「!?」
驚いたが何かの演出と思い、動かずにいると俺は地面に落ちていった。
「まじ…かよ!」
「がは!」
ログイン直後に地面に叩き付けられ、相当なダメージを受けた。
「あぁ…。初心者だったら気絶する上にトラウマ物だな、飛ぼうなんて思わないだろう…」
さて、ここはどこだろう…。とりあえず、あれを探す。
システムオプションを開いて、ログアウトの文字を見て安心をする。こんなことはおかしいのだがな、次に装備の能力などを確認する。
「嘘だろ…」
もぅ何が何だかわからない…。アイテム欄のコインマークが書かれている横、きっとこの世界のお金だろう最後に『ユルド』と付いている。だが、この前が問題だ。初心者が持っているのがありえないほどの金を持っている。
「バグかよ。しっかりしやがれよな…」
つぶやきながら他は大丈夫か確認していく。
スキル欄がまた異常だ…。
「このサーバー大丈夫かよ…。なんか、すごいスキルがいっぱいあるぞ…ん?」
良く見れば…。数値や能力が見たことあるものだ。
「あの世界での俺のスキル?」
アイテムウィンドも見れば、お金は多分俺が持っていた金額だ。
「ここは、あの世界なのか?もしかして…。死ぬことがあれば…」
最悪な考えを消す。そんなことができるなら問題になっているはずだ。ナーヴギアを買って使っていない貧乏人とかを考えれば、この考えは消える…。
まぁ、悩んでも仕方ない、死なないように行こう。
スキルを見直す。
片手剣の熟練度とかはなくなっているな…。バーサークと頑丈(能力が脱死と同じ)といった、世話になったスキルは使えるようだ。さすがに聴力はないな。その横に魔法が書かれている。こちらも大量にある。いくつかを目を通す。風の刃や、風の槍…といった攻撃呪文に、移動速度を上げ、攻撃力をかなり下げる魔法に、相手の移動速度を下げるや、混乱状態にするといった補助魔法。
とりあえず、移動速度を上げる魔法は暗記した。
「とりあえず。メッセージを送るか…」
メッセージは遠くにいる相手に送れるようになっているのでキリトというキャラに向けて、いたずらメールと書いて送る。
さて、どこ行くか…。
ここがどこかも解らないが、とりあえず前に進む。三歩ほど進んだところで地面の感触がなくなる。
「え?」
情けない声を出した瞬間には、再び地面に叩きつけられる。
「もー!嫌だ!」
思わず大声で叫んだ。どうやらさっきまで立っていたのは崖の上だったようだ
「もう、死ぬかも…」
HPはどんどんと、減っていく、なぜだろう…。敵なんてどこにもいないのに…。
風のように、走り抜けたデスゲームが懐かしい…。
「この辺で聞こえたぞ」
人の声が聞こえた。そちらに向かって走る。
青いい髪と青い瞳の妖精が4人いた。
「すいません。初心者で、町どこに…てあぶね!?」
ありますか?と尋ねる前に切りかかってきた。俺は普通に避ける。
「風妖精(シルフ)がここに何のようだ」
前を立っていた妖精が尋ねてくる。
「いや、初心者で…」
言うが、向こうは聞いてくれない。細剣や短刀、杖に弓…。あの世界ではなかった遠距離武器や、魔法武器がある。
1人が詠唱し水の矢が放たれ、普通の矢も撃たれる。
それを避けながら言う。
「初心者で、突然ここに出てきてですね!」
事情を述べていくが、聞いてくれない。
「あの、やめません?やめないと、斬りますよ?」
攻撃を避けながら、言う。
「化けの皮を剥がしやがったな」
最初に話しかけてきた奴が言う。きっと、このPTのリーダーだろう。
「初心者がこれだけの攻撃を避けれるわけがない。何が目的だ」
目的っていわれてもな…。
「はぁ…」
ため息をついて、敵の得物を見る。
地面を蹴り、一番遠くにいる弓使いの目の前まで移動する。
初めての戦いだが、感覚はあの世界と一緒だ。
俺の得物、長刀(ちょうとう)の柄を持つ。長刀は薙刀(なぎなた)と違い、刀の刀身が長いだけである。
「ひゃ…」
目の前の女の妖精が小さな悲鳴を上げる。
抜刀術で切りかかろうとしたが、長すぎて抜けなかった…。
「え…」
片手剣とは違う感覚に戸惑う。
目の前で矢が引かれる…。当たる寸前に、横に飛ぶ。その時に、刀を抜く。
「これ、結構使いにくいね」
周りの奴らに同意を求める。
「なんだ、今の速度…。お前、何もんだ」
リーダーが聞いてくる。
「俺?俺はクオン。ほんの少し前に、この世界に入ってきた」
「面白いこと言い続けるな」
リーダーが俺に切りかかってくる。
「やってきたのはあんたらからだぞ…」
そういって、リーダーが持っている、細剣のど真ん中を叩き切る。
パリン、といい音がして、細剣は折れた。
「な…」
短刀使いの姿が見えないのに気づいて前に走る。思ったとおり、後ろに短刀使いはいた。
「後ろに目があるのか?」
あせる短刀使いの質問に
「昔は良い耳があった」
そう答え、目の前の岩に半回転して着地し、短刀使いに向かって飛ぶ。
目の前で強引に着地し、短剣を斬り壊す。
「つ!?」
後ろで詠唱が聞こえ、振り返らずに横に飛ぶ。着地したら、すぐに詠唱をしている奴を見る。
水の槍が綺麗な軌跡を残してこちらに向かってくる。左右に避けるがホーミングされているようで、こちらの動きについてくる。
それなら、術を発動している奴まで駆け抜ける。水の槍は俺の速度について来れない。刀を振り下ろそうとしたときに、弓使いがこちらを狙っているのを見た。振り切らずに、横に転がって飛んでくる矢をやり過ごす。
水の槍は時間が切れたのか、消えていた。
「やめません?無駄と解ったでしょ?」
そういうが、向こうは武器が壊されてご立腹だのようだ…。
「なめるなよ…」
次々に新たな得物を出す。
「まだやるなら、命貰うぞ」
少しだけ、殺気を出して言ってやると何人かが一歩下がった。
「ヒャッハ!」
その時、後ろから声が聞こえた。
俺はとっさに前に飛び、地面を転がる。後ろから来たのは紫の妖精。
それを認識してから、とっさの行動で前に転がったのは失敗だと気づく。
周りの青妖精が俺に得物を向ける。走り抜けようとしたが短刀が首につけられている。
「終わりです」
後ろから女性の声がする。さすがの俺もここまでかと思った。
「避けろ!」
青のリーダーが言うと、俺達に向けられて黒く光る物が飛んでくる。俺の周りの青妖精は離れていく。それと同時に、俺も離れる。
それからは、青と紫の交戦だ。魔法やら弓やらが飛び交う中、剣を持ったプレイヤーが突っ込んでいく。
俺は離れたところで見ている。
「あったあった…」
ウィンドを操作して、マップを開くことに成功した。現在地は、闇妖精(インプ)と水妖精(ウンディーネ)の領土の間にいるようだ…。
「それにして、出会った瞬間斬り合いとは…。本当くだらないな…」
このゲームを見ていると本当につまらない…。
デスゲームを経験した俺からしたら、狂ってるようにしか思えないが、それがここでは普通なのだ…。
戦場を見れば、闇妖精(インプ)は7人ほどいる。水妖精(ウンディーネ)は4人圧倒的に不利だ。
「くだらね…」
最近くだらないといい続けてる気がする。
「なぁ、俺暇なんだよ。どっちか雇わないか?」
大声で戦場に向かって言ってやった。
「雇うだと?何が目的だ?」
水妖精(ウンディーネ)のリーダーが問う。雇わないかと言って、返事を返すのはもちろん不利な方。
「あぁ、俺は初心者だから、この世界のことを教えてくれ。それが報酬だ。あー、倒した奴のアイテムも少し貰おう」
説明には|PK(プレイヤーキラー)した相手のアイテムをゲットできるらしい。いい武器と防具があれば貰おう。
「…。いいだろう。しかし、俺達全員が生きていることが条件だ」
「解った。今生き残っている奴らは、追い払うまで生きているそれでいいな?」
こいつ結構話ができる奴じゃないか…。
「それでいい、雇う」
「本気かよ。こいつ風妖精(シルフ)だぞ!」
周りから非難されるが、契約成立だ。
「契約成立だ。約束は守れよ」
言うと、かなり離れているところから一気に走っていく。
「風妖精(シルフ)が来ている。対応できるものは」
闇妖精(インプ)のリーダーが指示を出すが、間に合わない。水妖精(ウンディーネ)の短剣使いと鍔迫り合いになっているやつを後ろから切り殺す。弱いのか一撃で死亡した。
「あ、ありがとう…」
お礼を言われるが返さずに次の標的を定め、切り殺す。
闇妖精(インプ)たちは悲鳴を上げて消えていく。
「何だ…あいつ…。何でこんなところに風妖精(シルフ)の実力者が」
「ログインしたら、こんなとこに飛ばされたんだよ」
闇妖精(インプ)の疑問に答えて切り殺す。
いつの間にか闇妖精(インプ)はいなくなっていた。斬った回数的に逃げた奴がいる。
「終了。約束は守れよ?」
水妖精(ウンディーネ)たちは呆然と俺を見ていた。
それから、俺の要らないアイテムなどを渡し、俺は初心者装備とおさらばした。
「こっちから、襲い掛かったのに、助けてもらってすまない」
「いや、いいよ」
話を聞いて行くと、倒せたのは攻撃の箇所と攻撃速度などが関係あるらしい、バーサークも少し発動していたことに気づいた。
「そうだ。お礼をしたい。水妖精(ウンディーネ)の領土に来ないか?おいしい食べ物をごちそうしたい」
リーダーがそういうので、飛び方とかも教えてもらっていないし付いていくことにした。