目の前には大きな扉がある。
「この扉を開ければ、全妖精の夢。グランドクエストだ」
ウォルバが言った。
「ここに入った瞬間から、ガーディアンが襲ってくるわ」
「ガーディアンは強いのか?平原で言ってた邪神級なのか?」
「いえ、邪神と比べれば弱いです。でも、数が多すぎて、邪神より厄介です」
「そういうことか…。俺は行くけどどうする?」
ここまで来るのは一緒だが、光妖精になるのは最初に頂上についた種族。
ここからは、俺一人で行くべきである。
「もちろん行きます。アルフには興味ないので」
即答したのはメイアだ。
「しかたないわね…」
「俺も行こう」
今回も4人で行くことになる。
「死んでも知らないぞ」
そういって、扉を開ける。
空けた瞬間に、白い騎士が壁のように立ちふさがっている。これがガーディアン。
ガーディアンは片手には剣が握られ、もう片方は何も持っていない。
「行くぞ!」
ウォルバが言って、俺達は駆け出す。
俺とウォルバが目の前のガーディアンを倒して道を作り、それを塞ごうとするのをメイアとテルナが攻撃する。
「はぁ!」
俺の攻撃が命中すれば一撃で倒せる。
他の三人だと2、3撃必要だ。
入り口から、20歩も進んでいないところで囲まれてしまった…。
俺1人なら突破できるが3人は無理だ…。
「クオンさん!行ってください!」
メイアがガーディアンを迎撃しながらそういった。
「でも!」
「いいから行け!」
ウォルバも言う。
「さっさと…「またな」
テルナも何か言おうとしたが俺は聞かずに駆け抜ける。
目の前に走り、正面の一体に剣を突き立て。そのまま、横になぎ払い、進む。
全力で走れば、ガーディアンは俺に追いつけない、前に壁のように立ちふさがろうとするが、速度アップの呪文を唱え、壁になる前に突破する。
時には、空中のガーディアンに向かって飛び、攻撃を剣で弾いて、ガーディアンに着地して足場として進む。
わずかな隙間を広げて走り続ける。
どれだけ走っただろう。
それすらも解らないくらい、走り続けてゴールを見つけた。
閉ざされた大きな扉を見たのだ。
周りに、ガーディアンたちがいるが俺は1撃なら死なない…。そのまま突撃する。
減速せずに大閉ざされた大きな扉に体当たりする。単純な理由だ。敵が大勢いるなかで止まることもできないから、体当たりで明け、すぐに入る。それが最善だ。
痛みを感じながらしっかりと前を見る。
「嘘だろ?」
絶望の声。近くにガーディアンが来る。先ほどから追っているガーディアンもトレイン(モンスターが列で動くこと)状態で押しかけてくる。
「こんなことがあっていいのか!」
大声で叫んでやる。
「これが、お前らのやり方か!」
叫びながら刺され、HPがどんどん減って行く。
「夢だけ見せて、争わせて!」
最後の一撃が俺の体に刺さる。
「|開(・)|か(・)|な(・)|い(・)|扉(・)なんて作りやがって!」
HPが0になる。あの時と同じ、視界が真っ黒になる。
今度こそ死ぬのか?
そう思ったが現実は違った。真っ暗になどなっておらず現実は『蘇生猶予』という文字と後何秒かが書かれていた。
それが尽きた時、アルンの世界樹の扉の前に飛ばされた。
「「「クオン(さん)!」」」
三人が駆け寄る。俺はその場に座り込む。
「ダメでしたか…」
俺の様子を見て呟く。
「ダメなんてものじゃない!」
俺は|真実(絶望)を告げる。
「このクエストは!クリア不能だ!」
大声で叫んだその声を聞いた周囲のやつも騒ぎ始める。
「く、クオン?」
突然のことに驚く。
「ど、どういうこと?」
「なんだなんだ…」「何言ってやがるんだ?」「風妖精(シルフ)が騒いでるぞ」周囲の奴らが俺を冷たい目で見る。
「このクエストは扉に付けば光妖精になれる物のはずだ!だが、扉は!」
「開きはしなかった!」そう叫ぼうとしたところを止められる。
「ストップだ」
俺を止めた奴を見る。全身黒い服の服装。影妖精(スプリガン)だ。
「キリトくん?」
キリト…。こいつがキリト…。
「パパ、この人」
キリトの周りを飛び回る小さな妖精、きっとユイだろう。
「クオンだな」
キリトはいつものように言った。
「あぁ、そうだ」
「来い!」
腕を掴む。
「やめてください」
メイアがキリトを止める。
「メイア大丈夫だ。知り合いだから」
「そ、そうなんですか、すいません」
キリトに謝る。
「いや、いいから。クオンその話を聞かせてもらうぞ」
キリトは真剣だ。
俺はキリトとその後ろの風妖精(シルフ)についていく。もちろんだが、3人もついてくる。
ちなみに、周りの連中は攻略不可能なダンジョンで狂った奴だと思って散って行った。
「クオン、冷静になれ。あそこで大勢のプレイヤーに騒ぎを起こしたらBAN(アカウント削除)だぞ」
キリトは冷静だ。
ちなみに、俺とキリト以外のメンバーは状況が解らず、この人誰だろうという状況だ。
「今から言うことは、信じる信じないは自由だ」
最初にそういっておいて、真実を話す。
「この世界のクエスト。世界樹はクリアできない。俺は扉までたどり着いた」
その言葉にキリト以外は驚く。
「じゃ、何で…」
「嘘はやめなさいよ。扉にたどり着いたら光妖精になるはずでしょ!」
キリトの連れの風妖精(シルフ)が言う。
「どういうことだ」
ウォルバが言った。
「説明はあるんだろな?」
「もちろんだ。信じないかもしれないがな。俺は扉にたどり着いて開けようとした。しかし、開かない」
俺は話した。見たことを。
「そんなこと…」
「未だにクリアされてないんだろ?運営側がクリアできないようにしているかもしれない」
デスゲームを経験した俺とキリトはその可能性を考える。理不尽な世界を経験しているから…。
「そんな馬鹿な!」
もちろん、反論はでる。
「だが、それが一番の真実かもしれない…。扉の役目もあるんだろな。俺の推測では、ゲームマスターの管理場所へのワープゾーンになっているだろう」
扉を画像のために作るのはもったいないだろう。表向きにはゲーム管理室に行く場所で作ったのかもしれない…。
「クエストのフラグがあるんじゃないのか?」
ウォルバがもっともなことを言う。
「信じる信じないは自由といったはずだぜ。確かに何かトリガーがあるかもしれないが…。そういう情報は出てないだろ?」
「なんなんですか…。そんなことありえるはずないでしょ!」
「俺は、ありえないとは思わない」
皆がざわつくがキリトが
「俺もそう思う」
同意した。
「キリトくん?」
「何年もクリアされない。そんなクエストはおかしいと思う。俺はクオンの発想に同意だ」
静かになる。
「そして、試すことがある」
キリトはカードをだした。
「これは世界樹の上から落ちてきた物だ。なんでも、システム管理のアクセスコード。試す価値はあるな?」
そんなものを持ってることには驚かされる。
「何でそんなもの持ってんだよ!」「そうよ。なんで!」
「さすが、勇者だ。切り抜ける方法を持ってくるなんてな」
二人は疑問をぶつけるが俺は話を進める。
「クオン!こんな怪しい奴を信じるな」
「いや、信じるさ…。俺とこいつは死の世界を潜り抜けてきた」
もうひとつの真実を話す。
「キリトいいな?」
うなずく。別に隠すものでもないからだろう。いや、相棒には知られているのだろうか。
「俺たちは、ソードアートオンラインの世界にいた」
誰もが知っている最悪の世界。風妖精(シルフ)以外は驚いて何もいえない。
「あの世界の1人がいるんだ。世界樹の頂上に」
キリトは確信している。カードが落ちてきたことを考えれば上には必ずいる。
ありえないことを聞き続けて、ウォルバとテルナは何もいえなくなる。メイアは話を少し知っているが俺があの世界にいたことをはじめて聞く。
「俺は行くぞ」
キリトは静かに言った。
風妖精(シルフ)の子もついていく。
「すまない、こんなことにつき合わせて…。俺は行かなければならない…」
そういって、キリトの後を追おうとする。
「なんで、あんなゲームをやってからもう一度ゲーム世界に入ろうと思ったんですか?」
「仲間が帰ってこないからだ」
メイアの疑問を即答する。
「俺達はあの世界で生きていた。死のゲームだったからこその結束がある。だから、帰ってこない奴を救う」
俺は今度こそ行く。
「…」
「どうする?」
クオンが行ってからウォルバが素朴な質問をする。
「私は、手伝います…」
メイアがそう言って立ち上がる。
「メイアが行くなら行くよ」
テルナはいつものようにメイアについていく。
「仕方ないな…」
ウォルバも付き合いがいい。
「行こう」
「「うん」」
水妖精(ウンディーネ)の3人も行く。
「キリト行こう」
門の前にいるキリトに言った。
「あぁ」
「その前に、自己紹介しておこうか。俺はクオン、言ったとおりのあの世界からの帰還者だ」
風妖精(シルフ)の子に自己紹介する。
「私は、リーファ。いちよ、キリトの妹です」
いちよという部分が気にはなったが気にせずにいく。
「私は、メイア」「テルナ」「ウォルバだ」
後ろから声がした。
メイアたちが追いついたのだ。
「ついてくるんだな?」
キリトの言葉に頷き同意する。
「クオン。どういう作戦で行けばいい?」
キリトが突破した俺に尋ねる。
「走り抜ける。ただそれだけだ。相手をしたら確実にやられる。倒すとするなら道がなくなった時のみ。一撃で倒すか、道をこじ開ける時のみ攻撃する。そして、誰が死んでも前に進む」
当然のことを言っただけだ。
「解った。皆もそれでいくぞ」
頷く。
「それじゃ、行くぞ!」
門が開き、俺、キリト、リーファ、メイア、テルナ、ウォルバという順で走っていく。単純に足が速い奴が前に言っているだけで作戦など無い。
トップを走る俺が一撃で敵を葬る。危ない時は後ろからキリトやリーファが援護してくれる。水妖精(ウンディーネ)たちには俺達三人の速度についてこれないのか、かなり離れている。
軽く後ろを振り向く。
「振り向くな!」
キリトが厳しい事を言う。俺が振り向くのは正しくなんか無いのはわかるが…。
「前を見つめるんだ。彼女たちが後ろのガーディアンを相手してくれているんだぞ!」
メイアたちのためにも…。もう一度突破してこんな争いを終わらせなければならない…。
数十秒後、俺達はガーディアンに囲まれる。
いや、俺一人なら突破できる。だが、俺一人でたどり着いても無駄だ。
先ほどからずっと、キリトのポケットの中にいるユイとカードが無ければ無理だろう。
ユイのゲーム管理能力とカードIDがそろって、あの場所からワープできるはずだ。
俺の洞察はあっているはずだ。カードを差し込むとこなど無かったから、唯一の可能性はそれだ。
敵の壁を倒しはするが、先ほど俺のトレインで奥にモンスターが多い。
「リーファ、俺がキリトを連れて行く。ここ、任せれるか?」
残酷な言葉だ。俺も思うが方法などそれしかない。
「キリト君!」
リーファは自分の武器をキリトに向かって投げる。キリトはそれを掴み俺の手をとる。
「アスナさんを救ってね」
「あぁ!」
これが兄弟の交わした言葉だ。
「飛ばされるなよ」
剣を捨て、キリトを背負う。
加速呪文を唱えて、ガーディアンの隙間を走り去る。
今、武器を持っていないが背負っているキリトが勇者の証である二刀流で敵を倒す。
「「はあぁぁぁ!」」
いっきに駆け抜ける。
扉の近くまで来て、ガーディアンたちが壁のように立ち塞がる。
「飛ぶぞ!」「飛べ!」
同じことを考えているようだ。キリトは俺を蹴り、飛翔。俺は大量に買ったエージスを出して目の前の敵を切り裂く。キリトは空中の敵を切り裂く。
「いけぇ!」
扉前について、キリトのポケットからユイが飛び出し、転送ができるか確認する。
「パパ、クオンさん。飛べます!」
思ったとおりだ。運営のワープゾーンとされていて、ユイとカードがあれば行ける。
キリトがユイを掴み。キリトを俺の手に俺が掴まる。
「飛びます!」
一瞬、光に包まれ、ワープした。