ソードアート・オンライン『疾風の狂戦士』   作:神滅

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未帰還者

 俺に託された、世界の種子は、キリトに渡した。

 俺にはどういったものか解らなかったからだ。

 あいつならうまく使えると信じた。

 

 

 今日はエギルの店でオフ会だ。

 俺は自室で、横になり天井を見つめる。

 エギルからのメールを無視しているのだ。

 俺はあの世界で死んだ。なら、あの世界のオフ会になど参加できない。

「今頃、終わりか…」

 行かないことの後悔してるわけじゃない。

 

 ピンポン

 

 インターホンがなる。

 扉を開ければスラルが立っていた。

「あー。やっぱり、オフ会行かなかったんだね」

 スラルには先にオフ会、行っといてと送ったはずなのだが…。

「解っていたのか…」

「音哉君が一緒に行かないって事で解っちゃうよ。家にはいないと思ったけどね」

 ソードアートオンラインの被害者が通う学校があるのだが、その中で昼休みや放課後は、基本的にスラルと一緒に行動している。そのことから考えたら不自然すぎたか…。

「良いんだよ。俺は、ヒースクリフに殺された。だから、オフ会には行かなくても」

 ここから動かないとアピールで部屋に横になる。

「しかたないですね…」

 スラルは俺の横に座った。

「今頃、終わってるでしょうね」

 

「「…」」

 静寂。

 

「私は「夢だ」

 スラルが須郷の話をしようとしところを夢だと言って止める。

「でも…」

「夢だよ。俺とお前が争うなんて、ふざけた夢見やがって」

 そう、言い聞かせる。

「大体、争ったとしてもお前の実力じゃ、俺に遊ばれて終わりだ」

「あー。それはひどいよ!戦ったこと無いから解ってないだろうけど、私強いんだよ」

 すこし怒った風に言うが笑っている。

「そうだな、そろそろって言っていたな。どうだ?もう一度あの世界に行くか?」

 それは、キリトから誘われていることだ。

「行くよ!覚悟してね!」

 購入したアミュスフィアを2台出し、お互い世界に入る準備をする。

「慣れてないから、なんて言わないでよね」

 スラルが俺の手を握る。強気でいるが囚われたことがトラウマで怖いのだろう…。

「怖いか?」

「怖くないよ」

 慌てて、手を離す。

「俺は怖い。また、世界に閉じ込められるんじゃないかって考えると怖いよ。安全なんて言葉は信じられないようになっている」

 スラルの手を掴む。

「じゃ…なんで、もう一度行くの?」

「俺はまだ…。囚われているんだと思う。あの世界は終わっていないんだ…。まだ、4分の1残っている。それを終わらせた時、俺は解放されるんだ」

 隣にいる彼女の表情を横から見る。

「俺は、終わらせたいんだ」

 スラルは静かにこちらを見つめ…。

「しかたないですね…」

 いつものようにあきらめた風に言う。

「さて、そろそろ行こうか」

 お互いの手を強く握り言う。

「「リンク・スタート!」」

 

 

 ログインした場所は何も無い平原。

 体を動かして、慣れさせる。

「あれか…」

 空を見上げれば、空を浮く城が存在している。

「浮遊城アインクラッド…」

 俺達が囚われていた城が世界樹の上に浮いている。

「お待たせ」

 キャラクター設定を済ませたスラルが現れる。

 あの世界と同じ容姿だ。ソードアートオンラインの容姿をそのままにできる。だが、銀色の長い髪からひょっこりと耳が出ている…。スラルが選んだのは猫妖精(ケットシー)だ…。

「似合ってる?」

「似合ってる!」

 即答だ。

 可愛い!すごく可愛いよ!

「良かった…。猫耳とか出て変かなって心配してたんだけど…」

「そんなこと無いから、可愛いよ」

 スラルは安心して、刀を取り出す。

「それじゃ、試そっか」

 俺もエージスを2本取り出す。

「あぁ、遊ばれて終わりだ」

「そんなこと無いよ」

 スラルが先に動く。下段からの振り上げを軽く横に飛んで避ける。

 左の剣で突く。それに対し刀を振り下ろし、鍔で剣先を叩く。

「甘いよ」

 下ろした刀がこちらに向かってくる。

「甘いのは、お前だ」

 もう一本の剣がスラルを切り裂く。

「く…。はぁ!」

 刀が俺ののどを貫く。

「終わりだ…」

 のどに痛みを感じながら言う。

 次の瞬間に叩かれた左の剣で斬り、右、左と剣撃を繰り返していく。

 スラルは引くタイミングを無くした。

 最後の一撃をあたる寸前で止める。

「俺には勝てないぜ」

 これでも、バーサークは使っていない。

「一撃入れたら、左右からの攻撃で抜け出せないなんて、反則でしょ…」

 その場に座って感想を言う。

「一撃を止めて、下がることで攻撃を止めれるけどな」

 スラルの横に座る。

「あの城に閉じ込められていたんですね…」

「あぁ、そうだ。あの世界でスラルと出合った…。そして、世界は中途半端に終わった」

「終わらせたいんだよね。あの世界を」

「あぁ、最上階にはきっとあいつが…」

 俺を殺した男がいるはず…。

「今度こそ…。終わらせよう。あの世界を」

「クオン君が望むならどこへでも、付いて行くよ。最初からだけどね」

「いや、最初からじゃないよ。だって、隣にスラルがいるからな」

 お互い顔を赤くして、城に向かって飛ぶ。

 

「さぁ、挑戦してやるぜ」




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