魔法少女リリカルなのはStrikerS~機動六課と妖精の尻尾~   作:ZEROⅡ

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表記するのを忘れていましたが、フェアリーテイル組の時間軸は【天狼島編】~【大魔闘演武】の中間らへんです。ご了承ください。


六課の休日

 

 

 

 

 

 

『休暇?』

 

 

食堂で昼食を取っていた妖精の尻尾一同は、はやてに告げられた言葉に首を傾げる。

 

 

「せや。今朝の訓練でティアナ達が第2段階の見極めテストに合格してな、今日一日お休みにしたんや。そこで、妖精の尻尾(フェアリーテイル)のみなさんには色々お世話になってるから、みなさんにもお休みをあげようと思うたんや」

 

 

「「おお!」」

 

 

「街にでも出かけて、遊んできぃ」

 

 

「「よっしゃー!!」」

 

 

「うぱーー!!」

 

 

はやての妖精の尻尾休暇宣言に一同…というより、ナツとグレイとハッピーが両手を挙げて喜ぶ。

 

 

「休暇だ休暇だー!」

 

 

「あいさーー!!」

 

 

「正直、この世界の街ってやつに興味があったんだよな」

 

 

「ふむ、たまには思いっきり休むのもいいかもしれないな」

 

 

「やったねシャルル♪」

 

 

「……まぁ、たまにはいいかもね」

 

 

と、休暇を喜ぶ妖精の尻尾メンバー達。すると……

 

 

『…当日は、首都防衛隊の代表レジアス・ゲイズ中将による管理局の防衛思想に関しての表明も行われました』

 

 

『………!』

 

 

モニターに映っているニュースキャスターの言葉を聞いて、その場にいた六課メンバー全員がモニターを見た。

 

そこには、一人の男性がなにやら力説している場面が映し出されていた。

 

 

『魔法と技術の進歩と進化は素晴らしいものであるが、しかし! それがゆえに我々を襲う危機や災害も十年前とは比べものにならないほどに危険度を増している!! 兵器運用の強化は進化する世界の平和を守るためである!!』

 

 

「誰だ? この厳ついオッサン?」

 

 

ナツの疑問になのはが答える。

 

 

「彼はレジアス・ゲイズ中将。時空管理局地上本部の総司令だよ」

 

 

「総司令? そりゃまた随分と偉いヤツなんだな」

 

 

「まぁな。でもこのオッサンはまだこんなことを言ってるよ」

 

 

ヴィータはスープを飲みながら呆れていた。

 

 

「レジアス中将は古くからの武統派だからな」

 

 

シグナムが説明をすると、エルザはレジアスの隣りにいる三人について尋ねる。

 

 

「その隣にいる三人のご老人は誰だ?」

 

 

「右からミゼット提督、キール元帥、フィリス相談役よ。『伝説の三提督』って言って管理局の黎明期から今の形まで整えた偉大な方なんだよ」

 

 

それをフェイトが説明する。

 

 

「ふーん。ま、オレ達の世界で言う『魔法評議員会』みてーなもんか」

 

 

グレイは自分の世界にある組織に例えて納得する。

 

 

「でもこうして見ると、普通の老人会だ」

 

 

「確かに……」

 

 

そう言うヴィータとグレイをフェイトが注意する。

 

 

「ダメだよヴィータ、グレイ、偉大な方たちなんだよ」

 

 

「へいへい」

 

 

「ま、あたしは好きだぞ。ばーちゃん達」

 

 

ヴィータがそう言うと、全員の視線が集中する。

 

 

「防衛任務を受け持った事があってな。ミゼット提督は主はやてやヴィータ達がお気に入りのようだ」

 

 

「あぁ、そっか」

 

 

「なるほど」

 

 

シグナムの言葉に全員が納得した。すると、グレイが思い出したように口を開いた。

 

 

「そういやぁ、街にはどうやって行けばいいんだ?」

 

 

「あ、そっか。グレイさん達はこの辺の地理は全然知らないんだよね?」

 

 

「一応ここから街までは一本道やけど、歩きやと時間掛かるしなぁ……グレイさんはバイクっって乗れます?」

 

 

「バイク? あぁ、この間ヴァイスに見せてもらったアレか。オレ達の世界にも魔導二輪っつう似たような乗りモンがあるから、乗れねぇこともねぇが……」

 

 

「せやったら、後でヴァイス君にでもバイクを借りたらどうや? ヴァイス君バイクを二台持っとるし…」

 

 

「んじゃあ、そうさせて貰うか。ナツ、テメェはどうすんだ?」

 

 

「オレはもちろんハッピーに運んでもらうぞ」

 

 

「あい!」

 

 

「あ、それは止めた方がええわ」

 

 

「何でだよ!?」

 

 

「こっちではハッピーちゃんやシャルルちゃんみたいな喋るネコは珍しいんや。そんなんが街中を歩いてみい。捕まって売られて見世物にされるのがオチやで」

 

 

「うっ……!」

 

 

はやての言い分にナツは言葉を詰まらせる。そんなナツの肩にグレイの手が乗る。

 

 

「ま、安心しろ。オレが運転するバイクの後ろに乗っけてやるからよ」

 

 

「…………」

 

 

乗り物に乗りたくないという思いと、グレイに借りを作りたくないという思いがあるナツは心底嫌そうな顔をするが、街に行きたいという気持ちが強いため、何も言わなかった。

 

 

「エルザさんはお休みどうしますか?」

 

 

「うむ、私はこの世界に来て日が浅いからな。シグナムかヴィータの外回りに同行して、色々と見て回ろうと思っている。ウェンディは?」

 

 

「私はさっき、エリオ君とキャロちゃんに一緒に街に行こうって誘われたので、三人で街に行く予定です」

 

 

「そうか、楽しんでくるといい」

 

 

「はい♪」

 

 

エルザの言葉に、ウェンディは嬉しそうに笑いながら答えた。

 

 

「ねぇシャルル? 最近オイラ達、影薄くない?」

 

 

「気のせいと思っておきなさい」

 

 

ハッピーとシャルルの間で、こんな会話があったことは、誰も知らない。

 

 

 

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 

その後、ヴァイスからバイクを借りることが出来たグレイとナツはバイクを押して六課の入り口前に来ていた。すると……

 

 

「あ! グレイさんにナツだ!」

 

 

「よお! スバルにティアじゃねーか」

 

 

スバルとティアナの二人にバッタリと出会った。

 

 

「二人もお出かけ?」

 

 

「あぁ、クラナガンってところを適当に回ろうと思う」

 

 

グレイがそう言うと、スバルは突然なにかを思いついた表情になり、口を開いた。

 

 

「それじゃあ、私達と一緒に行こうよ!」

 

 

「「「は?」」」

 

 

その言葉にスバル以外の全員が呆気に取られた。

 

 

「私達ならドコに何があるか知ってるし、何も分からないで回るよりか良いでしょ?」

 

 

「ふぅん、スバルにしては良い案じゃないの」

 

 

「酷いよティア~」

 

 

「けどまぁ、お言葉に甘えるとするか」

 

 

「だな」

 

 

そう言ってナツとグレイは頷きあう。

 

 

「よかったねティア~。ナツとお出かけが出来て」

 

 

「なっ!? なに言ってんのよ!!?」

 

 

「あれティア~顔が赤いよ~」

 

 

「うう…うっさいバカスバル!!」

 

 

ティアナはスバルに怒鳴るが、当のスバルはそれをモノともせずにニヤニヤと笑っている。

 

 

「(……ほう)」

 

 

そのやり取りを見ていたグレイも意地の悪そうな笑みを浮かべる。

 

 

「「…………(コク)」」

 

 

そしてグレイとスバルはアイコンタクトで何かを伝え合うと、同時に頷き合った。

 

 

「よし! それじゃあ行くか!」

 

 

「おおー!」

 

 

そう言ってグレイがバイクに跨ると、何とその後ろにスバルが跨った。スバルの予想外の行動にティアナは驚く。

 

 

「ちょ、ちょっとスバル! なんでアンタそっちに乗ってるの!?」

 

 

「いいからいいから♪」

 

 

と、スバルに軽くあしらわれるティアナ。

 

 

「そう言うわけだナツ。わりぃがお前はティアナの方のバイクに乗せてもらってくれ」

 

 

「んー…まぁ別にいいけどよ」

 

 

ナツは特に深く考えもせずにティアナが跨っているバイクの後ろに乗った。

 

 

「~~~!!! あぁもうわかったわよ!! ナツ、しっかり掴まってなさいよ!!」

 

 

「おう!」

 

 

そう言ってティアナの腰に手を回すナツ。

 

 

「──────!!!?」

 

 

すると、ティアナはトマト顔負けなほど赤面する。

 

 

「ん? おいティア、何かオメェ顔があか──うおぉ!!?」

 

 

ナツが言い切る前にティアナはバイクを発進させた。

 

 

「お、おいティア! 急に発進させ…おぶぅ……」

 

 

「うるさいうるさいうるさーーい!!!!」

 

 

段々と叫び声が遠くなっていき、取り残されたグレイとスバルは……

 

 

「初々しいねぇ」

 

 

「ティア、頑張れ!」

 

 

と、呟きながらバイクを発進させ、二人を追いかけて行った。

 

 

 

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 

その頃、六課隊舎では……

 

 

「ハンカチ持ったね。IDカード忘れてない?」

 

 

「えっと……大丈夫です」

 

 

そこでは、これから街へ出かけるエリオにフェイトが世話を焼いていた。

 

 

「あ、お小遣いは足りてる? もし足りなくなると大変だから……」

 

 

「あの、フェイトさん! その、僕もちゃんとお給料をいただいてますから」

 

 

エリオはやや過保護気味なフェイトの言葉を遮って話す。

 

 

「あ……そっか」

 

 

「大丈夫です! ありがとうございます!」

 

 

「とりあえず、エリオは男の子だし……キャロとウェンディをちゃんとエスコートしてあげるんだよ?」

 

 

「あ、はい!」

 

 

エリオの髪を撫でながら話すフェイトに、しっかり返事をするエリオ。

 

 

すると、そこへキャロとウェンディが支度を終えて走ってくる。

 

 

「ごめんなさい! お待たせしました!」

 

 

「二人で服を選んでいたら遅くなっちゃって……」

 

 

「あ! キャロいいね。かわいいよ。ウェンディもよく似合ってる」

 

 

「「ありがとうございます!」」

 

 

白とピンクを基調にした、私服に身を包んだキャロと、いつもとは違う服に身を包み、髪をツインテールにしているウェンディをフェイトが褒める。

 

 

「サイズは……大丈夫?」

 

 

「はい! すっごくピッタリです!」

 

 

「私もアイナさんに頂いた服、丁度いいです!」

 

 

フェイトの言葉に、その場で一回転して見せるキャロとウェンディ。

 

 

「うん……よかった」

 

 

その後、子供三人は出かけるために…フェイトはそんな三人を見送るために隊舎前へとやって来ると、そこでバッタリとなのはに出会った。

 

 

「あ、三人も一緒にお出かけ?」

 

 

「「「行ってきます!」」」

 

 

なのはの言葉に、エリオとキャロとウェンディは声をそろえて答える。

 

 

「はい、気を付けて」

 

 

「あんまり遅くならないうちに帰るんだよ? 夜の街は危ないからね……」

 

 

「「「はい!」」」

 

 

笑顔で見送るなのはと、やはり心配そうな様子のフェイト。

 

そしてエリオとキャロとウェンディは、元気よく返事をして出発していった。

 

二人の姿が見えなくなるまで見た後、なのはとフェイトは隊舎に戻る。そして、隊舎の廊下で出口に向かって歩いてくるシグナムとヴィータ、そしてエルザと出くわす。

 

 

「外回りですか?」

 

 

「ああ、108部隊と聖王教会にな」

 

 

「ナカジマ三佐が合同捜査本部を作ってくれるんだってさ、その辺の打ち合わせ」

 

 

フェイトの質問にシグナムが答え、ヴィータが補足する。

 

 

「ヴィータちゃんも?」

 

 

捜査担当でないヴィータも、外回りに行く事を疑問に思ってなのはが訪ねる。

 

 

「私は向こうの魔道師の戦技指導。全く、教官資格なんて取るもんじゃねぇなぁ」

 

 

「にゃははは」

 

 

溜息をつきながら話すヴィータに、なのはは苦笑いを浮かべる。

 

 

「エルザは……」

 

 

「私はヴィータの方に同行しようと思う。この世界の魔導士というモノを見てみたいからな。出来ることなら、私も訓練に参加しようと思ったのだが……」

 

 

「向こうの連中がやる気をなくすからヤメロってアタシが釘を刺しておいた」

 

 

「あ、そうなんだ……」

 

 

「確かにエルザさんはレベルが違うと言うか……規格外だからね~」

 

 

ヴィータの言葉に同意するように頷くフェイトとなのは。

 

実を言うとエルザは一度、新人FW部隊の訓練に参加したことがあるのだ。そこでなのははエルザの実力を確かめるために、訓練の最初にFW部隊VSエルザと言う対戦カードを組んでみたのだが……

 

 

結果はもちろん、エルザの完全勝利。

 

 

四人がかりでもエルザに傷一つ負わせられなかったと言う事実に、新人四人は軽く自信喪失しかけたのである。

 

とまぁこんな事があったため、今ではエルザを極力訓練に参加させないと言う暗黙の了解が出来てしまったのである。

 

因みにその対戦を見たシグナムの戦闘狂(バトルマニア)にも火が着き、彼女に模擬戦を申し込もうとしたのだが、訓練場が壊れるかもしれないと危惧したはやての静止により、渋々引き下がった。

 

 

「捜査周りの事なら、私も行った方が……」

 

 

「準備はこちらの仕事だ。お前は指揮官で、私はお前の副官なんだぞ」

 

 

フェイトの言葉に、シグナムは指揮官と副官の部分を強調して答える。

 

 

「う……ありがとうございます……で、いいんでしょうか?」

 

 

「……好きにしろ」

 

 

申し訳なさそうに話すフェイトに、シグナムは笑いながら答え、出口の方へ向って歩き始めたのだった。

 

 

「よし、アタシらも行くぞエルザ」

 

 

「あぁ」

 

 

その後ろに続くように、ヴィータとエルザも出口へと向かって行った。

 

 

 

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 

その頃、幼少組みの三人は、街へ出る為に六課の最寄りの駅までやって来ていた。そこでなにやら、エリオが今回の休日のプランがあるらしく、それを三人で確認する。

 

 

「えっと、シャーリーさんが作ってくれた今日のプランは……」

 

 

「「うん!」」

 

 

エリオが空間モニターを表示して、それをキャロとウェンディが覗き込む。

 

 

「まずはレールウェイでサードアヴェニューを出て、市街地を散歩。ウインドウショッピングや会話等を楽しんで……」

 

 

「食事はなるべく雰囲気が良くて、会話の弾みそうな場所で……」

 

 

「その後、映画に行って、夕方には海岸線の夕焼けを眺める……」

 

 

エリオに続いて、キャロとウェンディがプランを音読する。

 

 

「な、何だか難しいね…」

 

 

「うん……とりあえず、順番に頑張ってみよう」

 

 

「うん♪」

 

 

「そうだね♪」

 

 

そう言って笑顔で頷きあうエリオとキャロとウェンディの三人。

 

既にお気づきかもしれないが、シャーリーが考えたプランとは、まさしく『デートプラン』と言うものであった。これを見て『デート』という発想が出てこないあたり、彼らが子供であることを物語っていた。

 

 

その後、三人はやって来たレールウェイに乗って移動を開始したのだった。

 

 

 

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 

その後、クラナガンに到着したナツ達一行は、最初にスバルオススメのアイスクリーム店に行った。

 

 

「やっぱりここのアイスは見た目から素敵だぁ~」

 

 

スバルは店員から受け取ったアイスを見てうっとりとした表情でそう呟く。

 

 

「それ、全部食う気かよ?」

 

 

「うん!」

 

 

「すげぇな……」

 

 

ナツとグレイはスバルの持っているアイスを見てそう呟く。何故なら、スバルの手には大きなコーンの上に七つのアイスクリームが盛られているのだ。

 

 

「ホント、あんたってアイス好きよね」

 

 

「好き好き大好き~♪」

 

 

そんな会話をしながら四人は近くのベンチに腰を下ろす。

 

 

「さて…それじゃ、乾杯」

 

 

ティアナがそう言うと、四人は互いのアイスクリームを軽くぶつけ合い、食べ始める。

 

 

「はむっ! はふはふ」

 

 

スバルは幸せそうにアイスを頬張り、後の三人はそれを笑顔で見ながらアイスを食べていた。

 

 

「アイス食べたら、ゲーセンいこ!」

 

 

「いいわね~、久しぶり」

 

 

「「ゲーセン?」」

 

 

聞きなれない単語に、首を傾げるナツとグレイ。

 

 

「ゲーセンって言うのはね……」

 

 

そんな二人にスバルが簡単に説明する。

 

 

「ふーん、娯楽施設ねぇ。カジノみてーなモンか?」

 

 

「買ってもお金は出ませんけどね。でも楽しさは保障しますよっ!」

 

 

「楽しいのか! んじゃあ行こうぜ、そのゲーセンってとこ!!」

 

 

「単純ねぇ」

 

 

そんな会話をした後、四人はゲーセンへと向かったのであった。

 

 

 

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 

その頃、ナツ達と同じ街に来ていたエリオとキャロとウェンディの三人は、公園のベンチに腰を下ろしていた。

 

 

「はぁ~…何だかホントのんびりだねぇ」

 

 

「うん」

 

 

「私は見るもの全部が珍しいから、凄く楽しいです♪今日お二人が誘ってくれてよかったです、ありがとうエリオ君、キャロちゃん!」

 

 

そう言ってエリオとキャロに満面の笑顔を向けるウェンディ。

 

 

「い、いえ、そんな……」

 

 

「私達も、凄く楽しいです」

 

 

そんな彼女に、二人は照れ臭そうにしながらそう返事を返す。

 

 

「あの…エリオ君、キャロちゃん。もしよかったらでいいんだけど……私と友達になってくれませんか?」

 

 

「「え?」」

 

 

ウェンディの突然の申し出に、首を傾げるエリオとキャロ。

 

 

「実は私、歳が近い友達がいないんです。だから二人がよければ、私と友達になってくれないかなぁっと……」

 

 

「「……………」」

 

 

ウェンディの言葉を聞いて、顔を見合わせるエリオとキャロ。やがて二人は笑みを浮かべながら頷き合うと……

 

 

「はい! もちろん!!」

 

 

「私達でよかったら喜んで!!」

 

 

と、返事を返した。それを聞いたウェンディは嬉しそうな笑顔を浮かべる。

 

 

「それじゃあ今から敬語は無しで……改めてよろしくっ、エリオ君! キャロちゃん!」

 

 

「うん! よろしく、ウェンディ!」

 

 

「よろしくね、ウェンディちゃん!」

 

 

そう言って三人で友達としての硬い握手を交し合う。すると同時に、エリオの腕時計型デバイス『ストラーダ』に通信が入って来た。

 

 

「ん? はい、こちらライトニング3」

 

 

『は~い。こちらスターズ3。そっちの休日はどう?』

 

 

『ウェンディもちゃんと楽しんでっかぁ!?』

 

 

『うるせぇぞナツ! 耳元で騒ぐんじゃねぇ!!』

 

 

『ちょっと喧嘩しないでよ!』

 

 

通信の相手はスターズの二人とナツとグレイの二人だった。

 

 

「はい。まだ始めたばかりですが、何とか」

 

 

『いや~、何か困ってる事とかないかなぁっとか思っただけなんだけどね』

 

 

「ふふっ、ありがとうございます」

 

 

「おかげさまで、ありません」

 

 

「大丈夫です♪」

 

 

『そっちはどんな感じだぁ?』

 

 

「えっと、予定通り公園で散歩して、これからデパートを見て回って…な感じです」

 

 

「その後食事して、映画見て、夕方には海岸線の夕焼けを眺めるってプランを作ってもらってますので」

 

 

『『『『はぁ?』』』』

 

 

キャロの『プラン』という言葉に四人は素っ頓狂な声を上げる。

 

 

「ちゃんと順番にクリアしていきます」

 

 

『……何言ってんだコイツら?』

 

 

『クリアって、あの子達は……』

 

 

『つーかそれって丸っきりデートプランじゃねぇか。気付いてねえのか?』

 

 

『あはは……まぁ、健全だ』

 

 

「「「??」」」

 

 

上からナツ、ティアナ、グレイ、スバルの順番で呆れていると、当の本人達は首を傾げていた。

 

 

『いや、こっちの話』

 

 

『んじゃ、何か困った事があったらこっちに連絡するんだよ』

 

 

『街中での遊びも、私達の方が先輩だからね』

 

 

『ウェンディもしっかり楽しんで来いよ!!』

 

 

「はい」

 

 

「「ありがとうございます!」」

 

 

『じゃ~ね~』

 

 

スバル達からの通信が切れると、エリオとキャロとウェンディは笑顔を浮かべる。

 

 

「スバルさんとティアさん、ナツさんとグレイさんも優しいね」

 

 

「うん!」

 

 

「だね!」

 

 

 

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 

一方その頃、クラナガンのとあるトンネル内では、交通事故が起こっていた。

 

 

「陸士108部隊、ギンガ・ナカジマ陸曹です。現場検証のお手伝いにまいりました」

 

 

と、敬礼ながら言う女性はスバルの姉、『ギンガ・ナカジマ』だった。

 

 

「横転事故と聞きましたが…」

 

 

「ええ。ただ、事故の状況がどうも奇妙でして……」

 

 

「運転手も混乱してるんですが、どうも何かに攻撃を受けて、荷物が勝手に爆発した…と言うんですが」

 

 

「運んでいた荷物は缶詰やペットボトル。爆発するようなモノじゃないですね」

 

 

「それと、下の方に妙な遺留品がありまして」

 

 

そう言ってギンガが連れてこられた先にあったのは、ガジェットの残骸と中身の無い生体ポッドだった。

 

 

 

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 

所変わって、スカリエッティの研究所では……

 

 

『レリック反応を追跡していたドローンⅠ型6機、すべて破壊されました』

 

 

「ほぉ。破壊したのは局の魔道士か、それとも『当たり』を引いたか」

 

 

『確定は出来ませんが、どうやら後者の様です』

 

 

「ふふ…素晴らしい。早速追跡を掛けるとしよう」

 

 

そんか会話をする二人に、一人の少女が歩み寄る。

 

 

「ねぇドクター。それならあたしも出たいんだけど」

 

 

「ノーヴェ、君か」

 

 

『ダメよノーヴェ。あなたの武装は調整中なんだし』

 

 

「今回出てきたのが『当たり』なら、自分の目で見てみたい」

 

 

「別に焦らずとも、アレはいずれ必ず、此処にやって来る事になるわけだがね、ふふっ。まぁ、落ち着いて待っていて欲しいな。いいかい?」

 

 

「分かった…」

 

 

ノーヴェと呼ばれる少女が引き下がる。

 

 

「だったら、オレが出てやるよ」

 

 

すると、突然声が響き渡り、全員がそちらに視線を移すと、そこにはガジルが立っていた。

 

 

「ガジル君か」

 

 

「ガジル! テメェ何しにきた!?」

 

 

「聞こえなかったのか? オレが出るっつたんだよ」

 

 

ガジルは不気味な笑みを浮かべながらそう言う。

 

 

「ここんとこ運動不足だからな。たまには思いっきり暴れてえんだよ」

 

 

「お前はいつもアタシ達を相手に戦ってるだろ!?」

 

 

「テメェら小娘共ごときが相手じゃあ運動にもなりゃしねえんだよ。悔しかったらオレに手傷の一つでも負わせてみろよ。ま、無理だろうがな」

 

 

「ぐっ……!!」

 

 

ガジルの嫌味な言葉にノーヴェは悔しそうに歯を食い縛る。

 

 

「で、どうなんだスカリエッティ?」

 

 

「ふむ……まぁいいだろう。戦力は大きいに越したことはない。それに、君の性格だとダメだと言っても出るんだろう?」

 

 

「ギヒッ」

 

 

ガジルは肯定を意味する笑みを浮かべると、そのまま部屋を後にした。

 

 

 

 

 

「本当にいいのか、ガジル?」

 

 

ガジルが部屋を出てしばらくすると、ガジルは黒ネコに呼び止められる。

 

 

「リリーか。何がだよ?」

 

 

ガジルは自分の相棒…『パンサー・リリー』に視線を向ける。

 

 

「正直、オレはあのスカリエッティと言う男に協力するのは気が引けるんだがな」

 

 

リリーがそう言うと、ガジルは笑みを浮かべる。

 

 

「協力なんざしねえよ」

 

 

「なに?」

 

 

「オレはアイツを利用しているだけだ。元の世界に帰るためにな」

 

 

「……そうか。ならいいんだがな」

 

 

「それより行くぞ。久々にひと暴れしてやんよ」

 

 

「……やれやれ」

 

 

楽しそうな笑みを浮かべるガジルにリリーは若干呆れながらもついて行った。

 

 

 

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 

「さて、次はどこ行く?」

 

 

「オレはどこでもいいぜ。どれもこれも珍しくて楽しいからな」

 

 

「オレもお前たち二人に任せるぜ」

 

 

「う~ん…それじゃあね~」

 

 

街中を遊び歩いているナツ達一行は次に行く場所を話し合っていた。すると……

 

 

ピピピ、ピピピ

 

 

突然二人のデバイスから電子音が鳴り響いた。

 

 

「あれ? キャロから全体通信?」

 

 

「なんだろう?」

 

 

「「??」」

 

 

四人は首を傾げながらも、とりあえず通信を聴くことにした。

 

 

『こちらライトニング4。緊急事態につき、現場状況を報告します。サードアベニューF-32の路地裏にてレリックと思

おぼ

しきケースを発見。ケースを持っていたらしい小さな女の子が一人!』

 

 

『現在ウェンディちゃんが治療を行なっていますが、女の子は意識不明です!』

 

 

「「「「っ!!」」」」

 

 

それを聞いた四人の顔付きが仕事の顔付きへと変わる。同時に、なのはからも通信が入った。

 

 

『みんな、お休みは一旦中断。すぐにエリオ達の所に向かって』

 

 

『救急の手配はこっちでする。2人はそのままその子達とケースの保護。応急手当をしてあげて』

 

 

『全員待機態勢。デッキを外してる子達は配置に戻ってな!安全確実に保護するんよ。レリックもその子もや』

 

 

「「『『了解!』』」」

 

 

「「おう!」」

 

 

 

こうして、楽しかった休日は終わりを告げたのだった。

 

 

 

 

 

 

つづく

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