魔法少女リリカルなのはStrikerS~機動六課と妖精の尻尾~   作:ZEROⅡ

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襲撃

 

 

 

 

 

9月11日 機動六課隊舎 PM19:14

 

 

「と言うわけで、明日はいよいよ公開意見陳述会や」

 

 

隊舎に集合したFWメンバーや妖精の尻尾(フェアリーテイル)の面々に向かってはやては言う。

 

 

「明日14時からの開会に備えて、現場の警備はもう始まってる。なのは隊長とヴィータ副隊長、リィン曹長とフォワード4名、それからナツ君とグレイさんとエルザさんはこれから出発。ナイトシフトで警備開始」

 

 

「みんな、ちゃんと仮眠取った?」

 

 

「「「「はい!」」」」

 

 

「私とフェイト隊長、シグナム副隊長は明日の早朝に中央入りする。それまでの間、よろしくな!」

 

 

「「「「はい!」」」」

 

 

「「おう!!」」

 

 

はやての言葉に全員大きく返事を返したのだった。

 

 

 

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 

その後、メンバーは会場へ向かうヘリに乗るため、ヘリポートに来ていた。

 

 

「では、留守を頼むぞウェンディ」

 

 

「はい! 任せてください!」

 

 

「オイラとシャルルも居るよ!」

 

 

「バカね。私たちじゃ戦力にならないでしょ」

 

 

「んなことねーよ。頼りにしてるぜ、ハッピー、シャルル」

 

 

「あい!」

 

 

「……ふん」

 

 

ナツの言葉にハッピーは元気良く返事を返し、シャルルは恥ずかしそうにそっぽを向いた。

 

 

一方、なのはとヴィヴィオは……

 

 

「なのはママ、今夜は外でお泊りだけど、明日の夜にはちゃんと帰ってくるから」

 

 

「……絶対?」

 

 

「絶対に絶対」

 

 

そう言ってヴィヴィオに向かって小指を突き出すなのは。

 

 

「良い子で待ってたら、ヴィヴィオの好きなキャラメルミルク作ってあげるから」

 

 

「……うん」

 

 

そう頷いてヴィヴィオは自分の小指をなのはの小指を絡め、指きりをしたのだった。

 

 

その後、全員ヘリに乗り込み、会場へと出発した。

 

 

「う…おぷっ……気持ち…わる…」

 

 

「ちょっとナツ、酔うの速いわよ。そんな調子で大丈夫なの?」

 

 

「あ、あたりめぇだ……全然大丈…おぶぅ…」

 

 

ナツは虚勢を張るが、やはり乗り物には勝てない。それを見たティアナは「はぁ…」と溜め息をつき……

 

 

「仕方ないわね。ほら、膝を貸してあげるから横になってなさい」

 

 

と言った。

 

 

「お、おう……すまねえ…うぷっ……」

 

 

ナツは特に深く考えず、ティアナの厚意に甘え、ティアナの膝枕で横になる。その光景をみた他のメンバーは驚き半分、微笑ましさ半分で見ていた。

 

 

「それにしてもヴィヴィオ、本当に懐いてちゃっていますね」

 

 

「まったく」

 

 

スバルが話を切り出すと、ティアナが同意する。

 

 

「そうだね……結構厳しく接しているつもりなんだけどなぁ……」

 

 

「きっとわかるんですよ。なのはさんが優しいって」

 

 

「いっそ、お前がこのまま引き取っちまえばいいんじゃねえか?」

 

 

グレイの提案になのはの表情が曇る。

 

 

「受け入れてくれる家庭探しはまだまだ続けるよ。良い受け入れ先が見つかってヴィヴィオがそこに行くことを納得してくれれば……」

 

 

「納得しない気が……」

 

 

「うん……」

 

 

「だな」

 

 

「うむ」

 

 

「「うんうん」」

 

 

「おぷっ…(コクコク)」

 

 

エリオを初めとした全員が頷く。

 

 

「それは、ずっと一緒にいられたら嬉しいけど、本当に良い行き先が見つかったらちゃんと説得するよ。良い子だもん……幸せになって欲しいから……」

 

 

なのはの言葉に一同は黙り込む。

 

 

「……本当に、それでいいのか?」

 

 

グレイが沈黙を破り、なのはに問い掛けた。

 

 

「どういうこと?」

 

 

「お前はヴィヴィオの幸せを考えてそう言ってるんだろうが…ヴィヴィオからしてみれば、お前と離れること事態が最大の不幸だとオレは思う」

 

 

「っ……」

 

 

グレイの言葉になのはは顔をしかめる。

 

 

「ヴィヴィオがお前に一番懐いているのはただ単に保護責任者だからじゃない。あの子は心の底からお前のことを信頼しているんだ。その信頼をお前の方から切っちまったら、ヴィヴィオはどう思う?」

 

 

「…………」

 

 

そう言われたなのはは思案顔になるが、グレイは構わず続ける。

 

 

「なのは……失ってから後悔しても遅いんだ」

 

 

「っ!?」

 

 

グレイの言葉になのはは大きく目を見開いた。

 

 

「オレも…失ってからたくさん後悔した……」

 

 

それを聞いたなのはは以前聞いたグレイの師匠、ウルの話を思い出した。

 

そのことも踏まえて上でなのはは出した結論は……

 

 

「それでも、受け入れ先は探してみるよ。ヴィヴィオの幸せのために……」

 

 

「……そうか。だったらオレはもう、何も言わねえよ」

 

 

グレイのその言葉を最後に、再び沈黙が訪れ、それは目的地につくまで続いたのだった。

 

 

だがその時、グレイは気付いていた。

 

なのはの瞳が大きく揺れていたことに……

 

 

 

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 

翌日。中央管理局・地上本部。

 

 

「さて、じゃあ私はそろそろ中に入るよ」

 

 

陳述会の開始が近付いて来た事で内部の警護することになったなのはは先ほどまで共に警備をしていたスバルとギンガに声をかけた。

 

 

「でね、内部警備の時デバイスは持ち込めないそうだから…スバル、レイジングハートの事お願いしていい?」

 

 

「あ、あぁ、はい!」

 

 

そう言って、なのははポケットからレイジングハートを取り出し、スバルに預けた。

 

 

「前線の皆でフェイト隊長達からも預かっておいてね」

 

 

「はい!」

 

 

スバルがそう返事をすると、なのはは本部内、スバルとギンガは周辺の警備を再び再開したのであった。

 

 

一方、グレイとエルザは本部周辺の警備をしながら今回のことについて話し合っていた。

 

 

「それにしても、わっかんねえな。予言通りにことが起こるにしても、内部からのクーデターの可能性は低いんじゃなかったか?」

 

 

「うむ。アコース殿が調査してくれた範囲ではな」

 

 

「だとしたら外部からのテロだが…その目的がわかんねえ。犯人はガジェットを作った張本人、スカリエッティだったか? 管理局を襲って、何の得があるんだ?」

 

 

「わからん。管理局に恨みがあるのか、ただ自分の兵器の威力を証明したいのか……」

 

 

「ま、確かにこんなデケー組織を潰した兵器となりゃ、欲しがるヤツはいるだろうな。だが、リスクが高すぎじゃねぇか?」

 

 

「……考えても仕方ないだろう。もしヤツ等がここを狙ってきたとしても、全力で叩き潰すまでだ」

 

 

「……そうだな」

 

 

そこで会話は終了し、二人は再び警備に戻った。

 

 

「それからグレイ」

 

 

「ん?」

 

 

「服はどうした?」

 

 

「だあぁ!!?」

 

 

 

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 

陳述会が開始してから4時間と少し経ったころ、FWメンバーとナツは休憩がてら本部前に集合していた。

 

 

「開始から4時間ちょっと…中の方もそろそろ終わりね」

 

 

「つまんねーなぁ。結局なんも起きねぇでやんの」

 

 

「何も起きない事に越したことはないよ。最後まで気を抜かずにしっかりやろう!」

 

 

「「はい!」」

 

 

スバルの言葉にエリオとキャロは元気良く返事をする。

 

 

「そういや、ギンガはどこ行ったんだ?」

 

 

「ギン姉なら、グレイさんと一緒に北エントランスに報告に行ってるよ」

 

 

スバルの回答を聞いたナツは「ふーん…」と興味なさ気に言ったのだった。

 

 

 

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 

一方その頃、ミッドチルダ上空ではゼストとアギトが中央本部を見下ろしていた。

 

 

「連中の尻馬に乗るのは、ど~も気が進まね~けど」

 

 

「それでも、貴重な機会ではある。今日ここで全てが片付くのであれば、それに越した事は無い」

 

 

「ま~ね。つか、アタシはルールーも心配だ。大丈夫かな、あの子?」

 

 

「ガジルがついているから大丈夫だろう。それに心配なら、お前もついてやればいい」

 

 

ゼストのその発言に、アギトは少しムッとして反論する。

 

 

「今回に関しちゃ、旦那の事も心配なんだよ!ルールーには蟲たちやガリュー、それにガジルとリリーもいるけど、旦那は一人じゃんか」

 

 

アギトはそう言いながら、空間モニターに映った男性、レジアスを指差す。

 

 

「旦那の目的はこの髭オヤジだろ?そこまではアタシが付いて行く。旦那の事、守ってあげるよ」

 

 

「……お前の自由だ。好きにしろ」

 

 

「するともさ!旦那はアタシの恩人だからな」

 

 

 

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 

もう一方、こちらはスカリエッティのアジト。

 

 

「ナンバーズ。No.ⅢトーレからNo.ⅩⅡディードまで、全機配置完了」

 

 

その司令室とも呼べる場所で、鍵盤の様なコンソールを叩きつつ、ウーノは全ての準備が整ったことをスカリエッティに告げる。彼女らの前の巨大なモニターには、ゼストとルーテシア、そして地上本部が映し出されている。

 

 

『お嬢とガジル、ゼスト殿も、所定の位置につかれた』

 

 

『攻撃準備も全て万全。あとはGOサインを待つだけですぅ~』

 

 

「ええ」

 

 

「ふふふふふっ……!」

 

 

トーレとクアットロからの通信に、ウーノが微笑みながら答える。その時、ウーノの後ろに座していたスカリエッティが小さく笑い声を上げた。

 

 

「楽しそうですね。ドクター」

 

 

「ああ、楽しいさ。この手で世界の歴史を変える瞬間……研究者として、技術者として、心が沸き立つじゃないか。そうだろ? ウーノ」

 

 

心底楽しそうに笑うスカリエッティに、ウーノは微笑みを返す。

 

 

「我々のスポンサー氏にとくと見せてやろう。我々の想いと、研究と開発の成果をな……」

 

 

椅子から立ち上がり、不気味な笑みを浮かべながらスカリエッティが手を振り上げる。

 

 

「さあ!始めよう!!」

 

 

「はい」

 

 

スカリエッティの言葉を聞き、ウーノが両手をコンソールに落とす。その指がコンソールの上を滑るように動き、それに合わせて荘厳なパイプオルガンの音色が響き渡ったのだった。

 

 

 

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 

「っ!? なんだこりゃ!!?」

 

 

本部周辺を警備していたナツが突然大きな声を上げた。

 

 

「どうしたの、ナツ?」

 

 

「嘘だろ……ありえねぇ!!」

 

 

「だからどうしたの!?」

 

 

一人焦っているナツにティアナが怒鳴るように問い掛ける。そしてナツは冷や汗を流しながら口を開いた。

 

 

「大量のガジェットの匂いだ! ここいら一帯にいきなり現れやがった……囲まれてんぞ!!」

 

 

『っ!!!?』

 

 

ナツの叫びにその場にいた全員が驚愕したのであった。

 

 

 

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 

同時刻、中央本部から遠く離れたビルの上では、三人の人影があった。

 

 

「始まりましたね」

 

 

「うん。どっちが勝つんだろう? ワクワクするー!」

 

 

「ふん、くだらん……塵芥どもの戦いなど、どちらが勝とうが我らには関係のない」

 

 

上から冷静に淡々と言葉を発する茶髪の女性。無邪気で子供のような笑みを浮かべる青い髪の女性。興味無さそうに鼻を鳴らしながら吐き捨てるように言う白髪の女性。

 

 

「……時間だ。そろそろ我らも動くぞ」

 

 

「はい」

 

 

そう言って、茶髪と白髪の女性は朱色と黒色の閃光となってその場から飛び立った。

 

 

「あっ! ちょっと待ってよー!!」

 

 

少し遅れて青髪の女性も水色の閃光となって二人の後を追いかけていったのだった。

 

 

 

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 

襲撃が始まって数分。

 

本部の管制室、エネルギー室が破壊され、さらには敵の策略により内部にいるなのはやフェイト達を閉じ込めてしまった。

 

それを見ていたナツ達はFWメンバーは行動を開始していた。

 

 

「チッ! 通信妨害がきつい……ロングアーチ!!」

 

 

『外からの攻撃はひとまず止まってますが、中の状況は不明です!』

 

 

「副隊長!」

 

 

その通信を聞いたスバルがヴィータに声をかける。

 

 

「私達が中に入ります! なのはさん達を助けにいかないと!!」

 

 

その言葉に他のメンバーも頷く。

 

 

「………」

 

 

行かせるべきか止めるべきか、ヴィータは考え込む。すると、引き続きロングアーチから通信が入った。

 

 

『本部に向かって航空戦力!?』

 

 

『速い! ランク…推定オーバーS!?』

 

 

「っ!? リィン!!」

 

 

「はいです!」

 

 

その報告を聞いたヴィータはすぐさま駆け出す。

 

 

「そっちはアタシとリィンが上がる! 地上はこいつ等がやる!」

 

 

「ならば私も共に行こう!」

 

 

「……そうだな。頼む!」

 

 

そう言うと、ヴィータはポケットの中からはやてとシグナムから預かっていたデバイスを取り出す。

 

 

「こいつらのことも、頼んだ!」

 

 

「届けてあげてくださいです!」

 

 

「「「「はい!!」」」」

 

 

一同はそう返事をし、二人のデバイスをティアナが預かる。

 

 

「ナツ! お前はFWメンバーと行動しろ!」

 

 

「おう!」

 

 

エルザの指示にナツは頷き、そのままFWメンバーについていった。

 

 

「リィン! ユニゾン行くぞ!」

 

 

「はいです!」

 

 

「「ユニゾン・イン!」」

 

 

赤と白の魔力光が一つとなり、リィンがヴィータの中へと入る。

 

すると、ヴィータの深紅のバリアジャケットは白を基調とした物となり、髪の色素が少しだけ薄まり目の色はリィンと同じ碧眼となった。

 

 

「換装!!」

 

 

同時にエルザも身に纏っていた鎧を消し、代わりに黒い羽の生えた鎧『黒羽(くれは)の鎧』を身につけ、ユニゾンが完了したヴィータと共に飛んで行った。

 

 

 

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 

その頃、内部では閉じ込められたなのはとフェイトが話し合っていた。

 

 

「会議室や非常口への道は完全に隔壁ロックされてるね。中との連絡が付かない」

 

 

「エレベーターも動かないし、外への通信も繋がらない」

 

 

「とにかく、此処でじっとしているわけにはいかないよね」

 

 

そう言ってなのはは目線をフェイトからある方向へと変える。フェイトもそれに釣られて目線を横に移すと数人の男がエレベーターのドアを開けようとしていた。

 

 

「ちょっと荒業になるけど……フェイトちゃん、付き合ってくれる?」

 

 

「当然!」

 

 

なのはの言葉にフェイトは頷く。その後、二人は男性の局員達と協力してエレベーターのドアを開ける事に成功した。そして開いたドアの中を覗き込む。

 

 

「うん…これなら…」

 

 

そう言うと、二人はエレベーターのワイヤーを伝って勢い良く降りて行った。因みに二人の両手には魔力コーティングがされているため、摩擦熱が伝わることはない。

 

 

「こんなの育士訓練校以来だけど、色んな訓練やっとくもんだね」

 

 

「だね! 緊急時の移動ルートは指示してある。目標合流地点は地下通路、ロータリーホール!」

 

 

「うん!」

 

 

二人は闇の中へと消えて行き、目的地へと急いだ。

 

 

 

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 

ミッドチルダ上空。

 

中央本部へと急接近を始めたゼストとアギト。すると、彼らに向かってどこからか声が聞こえる。

 

 

『こちら管理局。あなた方の飛行許可と個人識別表が確認できません!』

 

 

「あ…この声……!」

 

 

『直ちに停止してください。それ以上進めば迎撃に入ります!』

 

 

だが二人はそんな渓谷を無視して進み続ける。すると、彼らの下の雲の中から数発の赤い魔力弾が襲い掛かる。

 

 

「むっ…」

 

 

「にゃろ!」

 

 

それを紙一重で避ける二人。

 

 

「フレネンスヒューガ!!」

 

 

そしてアギトはその魔力弾を撃ち落とそうと火炎弾を放ち、爆発を起こす。しかし、その爆発の中から鉄球が彼ら目掛けて迫り来た。

 

 

「実体弾!?」

 

 

驚くアギトだが、ゼストの方は動揺することもなく、冷静にバリアを張って鉄球を防ぐ。だが……

 

 

「ハァァァァァアア!!!」

 

 

雲の中から剣を構えたエルザが現れ、ゼストに向かって剣を振り下ろした。

 

 

「むっ……!」

 

 

ゼストは咄嗟に槍で剣を防ぎ、金属音が辺りに鳴り響く。

 

 

「ハァァ!!」

 

 

「ぬぅん!!」

 

 

それを皮切りにエルザとゼストの激しい攻防が始まる。斬っては防がれ、防げば斬る。そんな攻防が数秒の間で何度も繰り返され、激しい金属音が響く。

 

 

そして―ガキィィィィン!―っと、一際大きな金属音が鳴ると、エルザとゼストは互いに距離を取る。

 

 

「やるな……かなりの槍の使い手だ」

 

 

「お前もな。長いこと生きてきて、お前のような剣の使い手は初めてだ」

 

 

エルザとゼストは互いに賞賛の言葉を送る。そして再び斬り合いが始まるかと思われたその時……

 

 

「ぬおぉぉぉぉぉおお!!!」

 

 

「「っ!!?」」

 

 

突然二人の上空から咆哮が聞こえたと同時に、エルザに向かって一振りの大剣が振り下ろされる。エルザはそれを後ろに飛んで避けると、声を張り上げた。

 

 

「貴様…リリー!!」

 

 

現れたのはガジルの相棒であり、戦闘モードシフトの身体となったパンサー・リリーだった。

 

 

「久しぶりだな、エルザ」

 

 

そう言うと、リリーは視線をゼストとアギトに向ける。

 

 

「リリー……」

 

 

「何でお前がここに居るんだよ!? ガジルと一緒だったんじゃ……」

 

 

「妙な胸騒ぎがしてな、心配でこっそり着いてきたんだ。エルザはオレに任せろ」

 

 

そう言うと、リリーは再び剣を構え、エルザに向き直る。その時……

 

 

「ギガント・ハンマァァァァァアア!!!」

 

 

雲の中に身を潜めて機会を伺っていたヴィータは背後からリミッターギリギリで出せる高威力の攻撃を繰り出す。だが…

 

 

『外したです! 相殺と防御で防がれました!』

 

 

「ダメージは通した。続けてぶっ潰す!!」

 

 

身の丈以上に変化させたハンマーで煙を振り払い、敵を視認するがゼストの容姿が先程までの姿と違っている。髪と甲冑の色が金へと変わり、瞳の色は紅。ゼストとアギトがユニゾンした時の状態だ。

 

近くにいたリリーも少なからずダメージは受けているが、ゼストの方はどうやら無傷のようである。

 

 

『いって~! チックショー! 思いっきりブン殴りやがって~!』

 

 

「すまん、ゼスト、アギト。助かった」

 

 

『なんのなんの!』

 

 

「気にするな」

 

 

リリーの礼に二人はそう返す。

 

 

『やっぱり、融合型!』

 

 

「アタシ達と同じか……」

 

 

「加えてリリーも相手とは……一筋縄では行かないな」

 

 

そう言うと、エルザとヴィータはそれぞれ武器を構える。

 

 

「管理局機動六課スターズ分隊副隊長、ヴィータだ!」

 

 

妖精の尻尾(フェアリーテイル)の魔導士、エルザ・スカーレット!」

 

 

二人がそう名乗ると、ゼストとリリーも武器を構えて名乗る。

 

 

「オレはパンサーリリー。エルザと同じく妖精の尻尾(フェアリーテイル)の魔導士だ」

 

 

「……ゼスト」

 

 

そして名乗りを終えると、エルザはリリーと、ヴィータはゼストとそれぞれ戦闘を開始した。

 

 

 

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 

一方その頃、なのは達との合流場所へ向かっているナツとFWメンバーは地下通路を突き進んでいた。すると……

 

 

「っ! マッハキャリバー!!」

 

 

何かに気がついたスバルがマッハキャリバーに指示を出すと同時にバリアを張り、どこからか飛んできた攻撃から身を守る。

 

 

「スバル! 危ねえ!!」

 

 

「えっ!?」

 

 

ナツの声が聞こえたと同時に、スバルの目に自分に向かって飛び蹴りを放とうとしている赤髪の女性の姿が映った。それを確認したスバルは蹴りを避けようとするが……

 

 

「あっ……!」

 

 

その女性を見た瞬間、スバルの動きが一瞬だけ止まった。その隙を女性は見逃さず、容赦ない蹴りをスバルに叩き込んだ。

 

 

「うわぁぁぁああ!!」

 

 

スバルは咄嗟に腕をクロスさせて防ごうとしたが、あまりの威力に後ろに吹き飛ばされ、壁に叩きつけられた。

 

 

「スバル!」

 

 

「っ…待て、ティア! 囲まれてんぞ!!」

 

 

「っ!?」

 

 

ナツにそう言われ、スバルに駆け寄ろうとしたティアナは足を止めた。ナツの言う通り、スバル以外のメンバーはピンク色の魔力弾に囲まれていた。

 

 

「ノーヴェ、作業内容忘れてないっすか~?」

 

 

「うるせぇよ、忘れてねぇ」

 

 

「捕獲対象4名。全部生かしたまま持って帰るんっすよ」

 

 

「旧式とはいえ、タイプ・ゼロがこれ位で潰れるかよ」

 

 

「戦闘、機人…」

 

 

現れたのはスバルと武装が似ているノーヴェと大きなボード型の銃砲を携えたウェンディだった。

 

 

「そんじゃあ、まずは挨拶代わりに……!」

 

 

そう言ってウェンディはティアナ達に向かってボード型の銃砲を構える。だがその時……

 

 

 

「火竜の…翼撃!!!」

 

 

 

「「っ!!?」」

 

 

ナツが両腕から放った炎がティアナ達を囲んでいた魔力弾を燃やしつくし、次の瞬間にはナツはノーヴェの懐に潜り込んでいた。

 

 

「火竜の……!」

 

 

「っ!? しまっ……!!」

 

 

「鉄拳!!!」

 

 

「うわぁぁぁぁぁぁぁああ!!!」

 

 

防御しようとしたノーヴェだが、完全出遅れてしまい、ナツの拳をモロに喰らって吹き飛ばされた。

 

 

「ノーヴェ!! っ!?」

 

 

吹き飛ばされたノーヴェに向かって叫ぶウェンディ。しかし、彼女の目の前には既にナツが迫ってきていた。

 

 

「火竜の…鉤爪!!」

 

 

「くっ…あぁぁぁあああ!!!」

 

 

ボード型の武器を盾にして防ごうとしたウェンディだが、ナツの炎を纏った蹴りの威力を抑えきれず、ノーヴェと同じく後方に吹き飛ばされてしまう。それを確認したナツはすぐさまティアナ達に向かって叫ぶ。

 

 

「お前ら! 今の内になのは達と合流しろ!!」

 

 

「「「「っ!?」」」

 

 

ナツの言葉を聞いた四人は目を見開く。

 

 

「ちょっと待ちなさい! アンタまさか……!」

 

 

「あぁ……オレはここでアイツらをぶっ倒す!!」

 

 

ナツのその言葉に、ティアナは当然反論する。

 

 

「無茶よ! さっきは不意をついたから良いけど、戦闘機人を二人も相手にするだなんて!!」

 

 

「無茶じゃねえ!!」

 

 

「っ…なんでそう言い切れるのよ!?」

 

 

ティアナの問い掛けにナツはニッと笑いながら答える。

 

 

「お前らが信じてくれるなら、オレはいくらでも強くなれる!!」

 

 

「「「「っ!!」」」」」

 

 

ナツの力強い言葉を聞いたティアナ達四人は目を見開いて呆然とする。

 

 

「行けぇ! モタモタすんじゃねえ!!!」

 

 

ナツが再びFWメンバーに向かってそう叫ぶと、ティアナはグッと拳を握り締めてスバル達に指示を出した。

 

 

「みんな、ここはナツに任せて行くわよ!」

 

 

「うん!!」

 

 

「「はい!!」」

 

 

ナツの言葉を受け入れた4人はすぐに行動を開始し、なのは達と合流するために先を急いだ。

 

 

「行かせるかぁぁあ!!!」

 

 

その時、復活したノーヴェがスバルのウィングロードに似た黄色い足場を作り、ティアナ達を追おうとした。だが……

 

 

「火竜の劍角(けんかく)!!」

 

 

「なっ!? チィッ!!」

 

 

背後から全身に炎を纏ったナツが突撃してきたため、ノーヴェはすぐにそれを回避した。

 

 

「お前らの相手はオレ一人で十分だ!! 纏めて掛かって来い!!!」

 

 

「「っ……!!」」

 

 

手の指に『COME ON』と描いた炎を灯し、挑発の言葉を口にするナツ。

 

 

「燃えてきただろ?」

 

 

「コノヤロー……! 行くぞウェンディ!!」

 

 

「OKっす!!」

 

 

ノーヴェとウェンディの二人はそれぞれ武器を構え、ナツを睨む。

 

 

「アイツ、ウェンディって名前なのか…偶然ってあるもんだなぁ」

 

 

と…ナツは自分の仲間と目の前にいる敵の名前が同じだということに少々驚きながらも拳を構え、ノーヴェとウェンディを見据えたのだった。

 

 

 

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 

同時刻…本部内の別の場所では……

 

 

「…………」

 

 

その場所で佇んでいるのはナンバーズの一人であり、片目に眼帯をした少女、チンク。

 

 

「ふん…ガジルと同じ妖精の尻尾(フェアリーテイル)の魔導士とタイプゼロ・ファースト……この程度か」

 

 

そう呟いたチンクの目の前には……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

身体中に数本のナイフを突き刺されて倒れている、グレイとギンガの姿があった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

つづく

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