魔法少女リリカルなのはStrikerS~機動六課と妖精の尻尾~   作:ZEROⅡ

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強襲!機動六課

 

 

 

 

 

 

 

ナツとグレイの戦闘が終了した頃と同時刻。本局の地下では、なのはとフェイトがFWメンバーとの合流場所であるロータリーホールに向かっていた。すると…

 

 

「高町一尉!」

 

 

「シスターシャッハ!」

 

 

呼び止められた2人が後ろを振り返ると、聖王教会のシスター兼カリムの護衛であるシャッハが息を切らしながら近付いて来ていた。

 

 

「シスター、会議室にいらしたんじゃ?」

 

 

「はぁ、はぁ…会議室のドアは勇姿の努力でなんとか開きました。それで、私も急ぎ、二人を追って……」

 

 

「はやてちゃん達は?」

 

 

「お三方共、まだ会議室にいらっしゃいます。ガジェットや襲撃者達についての説明を……」

 

 

シャッハがそこまで説明すると、なのはとフェイトの背後から複数の足音が聞こえてきた。その音に振り返ると、そこにはFWメンバー四人が走ってきていた。

 

 

「わぁ、良いタイミング」

 

 

フェイトがそう呟くと同時に、FWメンバーが到着した。

 

 

「お待たせしました!」

 

 

「お届けです!」

 

 

スバルとティアナは息を切らしながらも預かっていた二人のデバイスを差し出す。

 

 

「うん!」

 

 

「ありがとう、みんな」

 

 

二人は感謝の言葉を口にしながらデバイスを受け取る。

 

 

「こちらは私がお届けします」

 

 

「お願いします」

 

 

そう言ってはやてとシグナムのデバイスを受け取るシャッハ。

 

 

「みなさーん!!」

 

 

すると、ティアナ達がやってきた道とは別の方からギンガが走ってきていた。

 

 

「ギン姉!」

 

 

「スバル! 良かった、無事だったのね」

 

 

ナカジマ姉妹はお互いが無事だったことに喜ぶ。

 

 

「あれ? ナツは?」

 

 

「そう言えば、グレイさんも…」

 

 

そこで二人はFWメンバーと共に行動していたナツと、ギンガと行動していたグレイが居ないことに気がつく。

 

 

「実は……」

 

 

ティアナとギンガはあったことを有りのまま二人に説明する。

 

 

「そう…じゃあ、早く二人の援護に行かないとね」

 

 

なのはの言葉に全員が頷く。

 

 

「ロングアーチ、こちらライトニング1」

 

 

そしてフェイトは現状を報告するため、ロングアーチに連絡を取った。しかし……

 

 

『………こちら…ロングアーチ……』

 

 

聞こえてきたのはノイズが酷く、まとも聞こえない通信だった。

 

 

「グリフィス!?どうしたの、通信が!?」

 

 

『こちらは今、ガジェット達やアンノウンの襲撃を受けて…持ち堪えていますが、もう……!』

 

 

ここで、グリフィスからの通信が途絶えた。すると、なのはとフェイトは頷き合い、メンバーに指示を出した。

 

 

「分散しよう。スターズとギンガはナツ君とグレイさんの安否確認と襲撃戦力の排除」

 

 

「ライトニングは、六課に戻る」

 

 

「「「「「はい!!」」」」」

 

 

「シスターシャッハ。上のみんなをお願いします」

 

 

「この身にかけて!」

 

 

そして、全員それぞれの行動を開始し、分散して行った。

 

 

 

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 

その頃、機動六課。

 

 

「「「はぁ…はぁ…!」」」

 

 

六課の隊舎の前では騎士服を着たシャマルとザフィーラ、そしてウェンディが息を荒げて膝をついていた。そして彼女たちの前には、ボーイッシュな髪形と気だるそうな顔が印象的な少女、ナンバーズのオットーが立っていた。

 

 

「たった三人でよく守った。だけどもう終わり。僕のIS『レイストーム』の前では、抵抗は無意味だ」

 

 

そう言いながら、オットーは手のひらに緑色の魔力球体を生成する。

 

 

「っ!? クラールヴィント、防いで!!」

 

 

オットーが放った緑色の光は5条の光線となって六課に襲いかかる。だが間一髪でシャマルがバリアで防ぎ、均衡状態に持ち込んだ。

 

その隙にザフィーラがガジェットの光線を掻い潜りながらオットーに飛びかかる。

 

 

「ておぉぉぉぉぉおお!!!」

 

 

だが…

 

 

「ディード」

 

 

オットーがそう呟くと同時に、ザフィーラの前に栗色のストレートヘアの少女、ナンバーズのディードが現れた。

 

 

「IS『ツインブレイズ』」

 

 

そしてディードは赤い刃の双剣、ツインブレイズでザフィーラを斬り付けた。

 

 

「ぐあぁぁぁぁぁああ!!!」

 

 

斬られたザフィーラはそのまま地面に激突した。

 

 

「あぁっ!」

 

 

「ザフィーラさん!!」

 

 

ウェンディとシャマルがその光景に眼を見開くと同時に、シャマルのバリアが破られ、光線が六課に直撃し、大爆発を起こした。それを悔しそうに見ているシャマルとザフィーラ。

 

 

「さよなら」

 

 

そう言ってオットーが二人に向かって手を翳したその時……

 

 

 

「天竜の咆哮!!!」

 

 

 

「「っ!?」」

 

 

オットーとディードに向かって一陣の竜巻が放たれた。二人はそれを飛び上がって避けると、竜巻が放たれた方向に視線を移した。

 

 

「はぁ…はぁ…!」

 

 

そこには息を荒げながらフラフラと辛そうに立っているウェンディの姿があった。

 

 

「六課は壊させない……! ナツさんやグレイさんやエルザさん……エリオ君…キャロちゃん……みんなの、帰る場所だからっ!!!」

 

 

ウェンディは悲痛な叫びを上げながらオットーとディードを睨む。対する二人は、特に動揺した様子もなく、ただ冷静に分析していた。

 

 

「あの子…ドクターの捕獲対象の一人だ」

 

 

「なら、彼女の捕獲を開始します」

 

 

そう言うと、ディードはツインブレイズを構えてウェンディに襲い掛かり、彼女に向かって刃を振るう。

 

 

「バーニア!!」

 

 

ウェンディはスピード強化の魔法を自身にかけ、ディードの攻撃をかわした。

 

 

「天竜の咆哮!!」

 

 

そして再びディードに向かって竜巻のブレスを放つ。しかし…

 

 

「『レイストーム』」

 

 

「っ……!」

 

 

ディードの後ろに控えていたオットーが五重に重なった光線を放ち、ブレスを打ち消した。さらにその光線はウェンディに襲い掛かった。

 

 

「きゃぁぁぁぁぁああ!!」

 

 

直撃こそしなかったものの、余りの衝撃にウェンディは吹き飛ばされ、地面を何度も転がった。

 

 

「う、うぅ……」

 

 

「ウェンディちゃん!大丈夫!?」

 

 

そんなウェンディにシャマルが駆けつける。

 

 

「はい…まだ…戦えます!」

 

 

「無茶よウェンディちゃん! そんなボロボロの状態で!」

 

 

「大丈夫です。私に考えがあります……ザフィーラさん、シャマルさん、協力してください」

 

 

ウェンディのあまりに真っ直ぐとした眼を向けられ、シャマルとザフィーラは何も言えなくなる。そして……

 

 

「わかったわ」

 

 

「何をすればいい?」

 

 

ウェンディに協力することにした。

 

 

「私の準備が整うまで、攻撃を防いでください」

 

 

「わかったわ」

 

 

「心得た」

 

 

シャマルとザフィーラは頷くと、残っている魔力を全て使い、強大なバリアを展開した。

 

 

「そんなことしても無駄なのに」

 

 

そう呟きながらオットーはガジェットと共に光線を放ち始めた。

 

 

「くっ…うぅ……!」

 

 

「ぬおぉぉ……!」

 

 

シャマルとザフィーラは顔をしかめながらも持ちこたえ、バリアを維持する。

 

 

「天空を切り裂く剛腕なる力を…アームズ!!」

 

 

ウェンディは自身に攻撃力強化の魔法をかけ、彼女の身体が光に包まれる。しかし、ウェンディの行動はそれだけではなかった。

 

 

「アームズ×アームズ×アームズ!」

 

 

なんと、アームズを連続で使用し、彼女の身体がさらに輝きだす。

 

 

「アームズ! うっ……!」

 

 

もちろん、そう何度も強化魔法を連発するのは身体への負担も激しいため、ウェンディは苦しそうに呻き声を上げる。

 

 

「まだ…まだ……!」

 

 

それでも、ウェンディは倒れることはなかった。何故なら…

 

 

「みんなが帰ってくる場所は絶対に……私が守るっ!!!」

 

 

その想いが、彼女を突き動かしているからである。

 

 

「シャマルさん! ザフィーラさん! 伏せてください!!」

 

 

「「っ!?」」

 

 

それを聞いた二人はバリアを消し、すぐにその場から離れた。

 

 

「魔力全開…!! 天竜の……!!」

 

 

ウェンディは身体中の魔力を口に集める。そして……

 

 

 

「咆哮!!!!」

 

 

 

 

今までで一番強大な竜巻のブレスを放った。

 

 

「「っ……!?」」

 

 

その余りの大きさにオットーとディードは眼を見開き……

 

 

ドゴォォォォォォォオン!!

 

 

大爆発が起こったのだった。

 

 

 

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 

一方、ナツとグレイの捜索に向かったスターズはナツとグレイを探して通路を走っていた。

 

 

「ナツ……」

 

 

ティアナは表情を暗くしてナツの身を案じていた。すると……

 

 

「なのはさん! 前から何か来ます!!」

 

 

「「「っ!!」」」

 

 

スバルの言う通り、なのは達の居る通路の前方から何かが向かってきている。それを見た全員はその場で止まった。

 

そしてその何かが近づいてくると……

 

 

「あーー! やっと見つけたっス!!」

 

 

「「っ!?」」

 

 

スバルとティアナはその声に聞き覚えがあった。その声の主とは、数十分前に自分達を襲ってきた戦闘機人、ウェンディだった。ウェンディはライディングボードに乗り、自身のISである『エリアルレイヴ』の力でこちらに向かって来ていた。

 

 

「アンタは!!」

 

 

それを見たスバルとティアナはデバイスを構える。すると、ウェンディは慌てて声を上げる。

 

 

「わぁーー!! ストップ! ストップっス!! アタシ達はもう戦う気はないっスよ!!」

 

 

「「えっ!?」」

 

 

ウェンディの意外な言葉にスバルとティアナは驚愕する。

 

 

「それより、こいつを何とかして欲しいっス!」

 

 

ウェンディはティアナ達の前で止まると、自分の後ろを指差す。そこには……

 

 

「うっ…おぷぅ……!」

 

 

苦しそうな表情をしているナツと気絶しているノーヴェが横たわる形で乗っていた。

 

 

「「「「…………」」」」

 

 

「アタシがライディングボードに乗せた瞬間に急に苦しそうに呻きだして、どうしたらいいのかわからなかったからアンタ達を探してたっス! 何とかして欲しいっス!!」

 

 

必死に頼み込むウェンディ。すると、ティアナは呆れた表情をしながらこう言った。

 

 

「大丈夫よ。それ、ただの乗り物酔いだから」

 

 

「……へ?」

 

 

その言葉にウェンディは呆気に取られる。

 

 

「ナツは乗り物に極端に弱いんだよ。だからそのボードで酔っちゃったんだね」

 

 

「とりあえず、ナツをボードから降ろしなさい」

 

 

「……はいっス」

 

 

言われる通り、ウェンディはライディングボードからナツを降ろした。すると……

 

 

「うぉぉぉお!! 生き返ったーー!!」

 

 

すぐさま復活した。それをウェンディを含めた五人が呆れた表情で見ていると、なのはがウェンディに質問した。

 

 

「それで、君はどうしてナツ君と一緒に行動してたの?」

 

 

「あ、それはっスね……」

 

 

ウェンディが説明しようとしたその時……

 

 

ドゴォォォォォオン!!

 

 

「「「「「「っ!!?」」」」」」

 

 

突然近くの壁が爆発し、それを見た全員が身構えた。すると、その壁の向こうから二つの人影が現れた。

 

 

「おぉ、いたいた! な? こうした方が速かっただろ?」

 

 

「ただの偶然な気がするが……」

 

 

「「「「「グレイ(さん)!?」」」」」

 

 

「チンク姉!?」

 

 

それは得意げに笑みを浮かべるグレイと呆れた表情を浮かべるチンクだった。

 

 

その後、ウェンディとチンクはこれまでの経緯を説明した。

 

 

「えっと…つまり、ウェンディとそこで気を失っているノーヴェはもう戦う気はなくて、チンクもグレイさんに負けて、同じくもう戦う気はないってこと?」

 

 

「「はい」」

 

 

「……わかった。じゃあ、君たちの身柄は機動六課が預かるということで」

 

 

なのはの問い掛けに頷くウェンディとチンク。その真っ直ぐとした眼に、なのはは嘘偽りがないことを悟り、そう告げたのだった。

 

 

 

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 

場所は戻り、機動六課。

 

 

「はぁ…はぁ…はぁ…やった!」

 

 

ウェンディは爆発が起こった方を見て、小さくガッツポーズを取って喜んだ。それはシャマルとザフィーラも同様で、勝ったと思い、笑みを浮かべた。しかし……

 

 

 

「今のは少し…驚いた」

 

 

 

「「「っ!!?」」」

 

 

上から聞こえてきた声に三人は驚愕しながら視線を上へと向けた。そこには無傷のオットーとディードが立っていた。

 

 

「あと少し避けるのが遅かったら、やられていた」

 

 

そう、二人はウェンディのブレスを、間一髪で避けていたのだ。それを聞いたウェンディの表情に絶望の色が浮かぶ。

 

 

「そんな……もう、魔力が……!」

 

 

全魔力を込めたブレスを避けられたウェンディにはもう、成す術も魔力も残されていない。それはシャマルとザフィーラにも言えることだった。

 

 

「これで終わり。『レイストーム』」

 

 

そう言って三人に向かって手を翳し、手のひらに魔力を集め、光線を放とうするオットー。

 

 

「「「っ……!」」」

 

 

三人が諦めて目を瞑ったその時……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ドゴォォオン! ドゴォォオン! ドゴォォオン!!

 

 

「「っ!!?」」

 

 

突如、オットーとディードの周りに居たガジェットが音を立てて壊れ始める。

 

 

「なに?」

 

 

突然の事態にオットーが戸惑っていると、ディードが口を開いた。

 

 

「オットー…六課の周りに配置したガジェットが、もの凄い速さで破壊されていってる」

 

 

「なに?」

 

 

この時、初めてオットーの表情に僅かだが驚愕の色が見て取れた。

 

 

「な、何が起こってるの?」

 

 

「わからん……だが、我々ではない別の魔力を感じる」

 

 

シャマルとザフィーラは突然の事態に戸惑っているが、ウェンディは何か別のことを感じ取っていた。

 

 

「………この魔力…どこかで……?」

 

 

ウェンディは感じた魔力をどこかで感じたことがあり、それを思い出そうと首を傾げていた。

 

 

「……………」

 

 

オットーは冷静に、ジッと目に集中させて辺りを見ていた。その時、彼女の視線の端で、金色の閃光が見えた。

 

 

「ディード。そこ!」

 

 

オットーはすぐさまディードに指示を出し、それを聞いたディードはオットーが指示した場所にツインブレイズを構えた。そして…

 

 

「捕らえた」

 

 

ガキィイン! ドォォォオン!!

 

 

突如出現した金色の閃光に向かってツインブレイズを振った。しかし斬ることは叶わず、金色の閃光はウェンディ達の前に墜落し、土煙が舞い上がる。

 

 

「まさか、あのスピードを捕らえるとはな……」

 

 

「っ!!?」

 

 

閃光が墜落した場所からそんな声が響く。そしてそれを聞いたウェンディは目を見開いた。

 

 

「そんな……この声…まさか…!!」

 

 

どうやらウェンディは聞こえた声に聞き覚えがあるようで、ただただ驚愕の表情を浮かべていた。すると、土煙が晴れ、声の主の姿が明らかになった。

 

 

青色の短髪に整った顔立ち。そして右目には奇妙な模様をいれ、黒いロングコートを靡かせた青年が立っていた。

 

 

「あ、貴方は……!」

 

 

ウェンディは目を見開き、驚愕と動揺が入り混じった声で、その青年の名を叫んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ジェラール!!!?」

 

 

 

 

 

 

そう…その青年はナツ達の世界で大罪を犯した過去を持つ大犯罪者……『ジェラール・フェルナンデス』だった。

 

 

 

 

 

つづく

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