魔法少女リリカルなのはStrikerS~機動六課と妖精の尻尾~ 作:ZEROⅡ
ウェンディの最後の攻撃も失敗し、絶体絶命のピンチに陥った機動六課。そんな中彼女達の世界の大犯罪者と呼ばれる男…ジェラールだった。
「ほ、本当に…ジェラールなの?」
未だに驚愕と困惑が入り混じった表情でジェラールを見るウェンディ。
「久しぶりだなウェンディ……アカネビーチの西の丘で会って以来か」
その言葉でウェンディは目の前に居るジェラールが本物だと悟った。
「どうしてジェラールがここに……!?」
「話はあとだ。まずは……あの二人を、倒す」
ウェンディの言葉を遮り、ジェラールは上空に居るオットーとディードを見据えて言った。
「あの男は…危険だ」
ジェラールを見据えたオットーは直感的にそう言った。
「今、この場で排除する。IS『レイストーム』」
オットーはジェラールに向かって数本の光線を放った。対するジェラールはまったく動じず、ゆっくりと口を動かした。
「
そう呟くと、ジェラールの身体が光に包まれる。そして同時に、ジェラールは凄まじいスピードで飛び始め、オットーの光線をかわした。
「無駄だ。そのスピードはもう見切った。ディード」
「えぇ」
オットーの指示を受けたディードはジェラールの動きを予測し、彼に向かってツインブレイズを振り下ろした。だが…
キィン!
「「っ!!?」」
なんと、ツインブレイズが当たる瞬間、ジェラールのスピードがさらに速くなり、攻撃をかわした。
「まだ、速くなるのか?」
感情表現に乏しいオットーとディードも流石に驚きを隠せない。
「オレにお前たちの攻撃は当たらない。見せてやる…天体魔法の力を……!」
そう言うと、ジェラールはそのスピードのままさらに上空に飛び上がり、二人の頭上に立った。
「七つの星に裁かれよ……」
そしてそう言いながら両手の指を七本立てる。
「
すると、天から七つの巨大な光の玉がオットーとディードに向かって降り注いだ。
「「うぁぁぁああ!!」」
それを喰らった二人は地面に叩き落され、地に伏せたのだった。
「凄い……!」
それを見ていたシャマルはそう言葉を漏らした。
「ねぇ、ウェンディちゃん。あの人も
シャマルはウェンディにそう尋ねるが、ウェンディは首を横に振って否定する。
「いいえ、あの人は
「っ!? それって、犯罪者ってこと!?」
「あ、いえ……そうかもしれませんが、でも…私の知ってるジェラールはとても優しい人です」
「……?」
犯罪者なのに良い人と言うウェンディの言葉に疑問を感じながら、シャマルは視線をジェラールへと戻した。
「くっ……」
「っ…!」
ジェラールの魔法を喰らい、地面に叩き落されたオットーとディードはヨロヨロと立ち上がった。
「……隕石に相当する破壊力を持った魔法を喰らって立てるとは……見た目に反して頑丈のようだ」
「「………!」」
ジェラールの言葉に何も返さず、二人同時にジェラールに向かって駆け出した。
「『レイストーム』!!」
「『ツインブレイズ』!!」
そして同時にISを発動させてジェラールを攻撃する。だが……
「無駄だ」
ガシャァァァァアン!!
魔力を込めた腕の一振り。
たったそれだけで、ジェラールはオットーの光線を霧散させ、ディードのツインブレイズを粉々に打ち砕いたのだ。
「「っ………!!?」」
ジェラールの圧倒的強さに言葉を失う二人。そしてジェラールはそんな二人に向かって手を翳し…
「すまない……」
そう呟いて、魔法を発動させた。
「天体魔法…
すると、まるで星空のような黒い球体が出現し、オットーとディードを飲み込んだ。
「「うわぁぁぁぁぁぁぁあああ!!!」」
そしてそれを喰らった二人の断末魔が響き、球体が消滅すると、そこには倒れているオットーとディードの姿があった。
「……終わったか」
それを見たジェラールはそう呟きながら一息ついたのだった。
だがその時……
ドゴォォォォォォォオオン!!!
「「「「っ!!?」」」」
突如、六課の隊舎が爆発し、その場にいた全員は目を見開いた。
「まさか、他にも仲間が!?」
「そんな…中にはみんなが……!」
「とにかく中へ!!」
そう言ってシャマル、ザフィーラ、ウェンディは隊舎の中に入ろうとした。すると…
「その必要はありません」
「「「「っ!!?」」」」
四人の上空から、どこか聞き覚えのある声が響いた。そしてその声が聞こえた方へ全員が視線を向けた。そこには……
「え? なのは…さん?」
「なのはちゃん……よね?」
ウェンディとシャマルの言う通り、そこにはなのはが立っていた。しかし、髪はショートカットで、白いはずのバリアジャケットは黒く染まっており、その顔は無表情だった。
全員が困惑する中、ジェラールが口を開いた。
「現れたか……マテリアル」
「「マテリアル?」」
ジェラールが発したマテリアルと言う言葉に二人は首を傾げた。だがジェラールはその問いには答えず、ただマテリアルと呼ばれた女性を睨んでいた。すると、その女性はペコリと頭を下げて、名を名乗った。
「初めまして。私は闇の書から生まれたマテリアルの一人……マテリアルS、
◆◇◆◇◆◇◆◇
その頃、ミッドチルダ上空ではフェイト、エリオ、キャロの三人が六課へと向かっていた。すると……
「っ……!」
遠くで何かが光ったのに気がついたフェイトはすぐにエリオとキャロを庇うようにバリアを展開する。すると、フェイトのバリアに水色の魔力弾が直撃する。
「ふ~ん…咄嗟にアレを防ぐなんて、結構やるじゃん!」
「「「っ!!?」」」
声が聞こえてきた方を見て、三人は絶句した。何故なら…
「わ、私……!?」
「フェイトさんが…」
「二人!?」
そこには、フェイトによく似た容姿とバリアジャケットを纏い、ツインテールにした水色の髪を靡かせた女性が目の前にいたのだ。
「こいつよりかは、遊べそうかな~?」
そう言って、女性はフェイト達に向かって何かをポイッと投げた。
「っ!? フリード!!」
投げられたそれの正体に気がついたキャロはフリードの背中でそれを受け止める。その受け止めたものとは、なんと人であった。
「こ、この人たちは……!」
「戦闘…機人!?」
その受け止めたものは何と、ナンバーズの一人であるディエチだった。
「そいつ、ボクを君と勘違いして襲ってきたんだ。ま、返り討ちにしてやったけどね♪」
と、子供のような無邪気な顔で語る女性。
「貴女は、一体……!?」
「あ、そう言えばまだ名乗ってなかったね」
女性は思い出したように言うと、バルディッシュによく似たデバイスを掲げ、高らかにこう名乗った。
「いいかよく聞け!! ボクは闇の書から生まれたマテリアルの一人…マテリアルL!
◆◇◆◇◆◇◆◇
そしてもう一方のミッドチルダ上空では……
「ぐあぁぁああ!!」
「「リリー!!!」」
何者かに攻撃され、吹き飛ぶリリー。エルザとゼストはその攻撃した者を睨み、ヴィータは驚愕した表情でその人物を見ていた。その人物とは……
「ククク……」
邪悪な笑みを浮かべたはやてと瓜二つの女性だった。
「何なんだよテメェは!? はやてと似たような姿しやがって!!」
ヴィータは怒りを込めて女性に怒鳴るが、女性は笑みを崩さない。
「ククク…知りたければ教えてやろう! 王たる我が名を!!」
そう言って女性ははやてのデバイス、シュベルトクロイツとよく似たデバイスを構えて、こう名乗った。
「我は闇の書から生まれたマテリアルの王! マテリアルD、
今此処に、三人のマテリアルが舞い降りた。
◆◇◆◇◆◇◆◇
「闇の書の……」
「マテリアル…だと?」
突如六課に現れたなのはにソックリの女性…シュテル。彼女の口から出てきた『闇の書』という言葉にシャマルとザフィーラは目を見開いていた。
「そんな…闇の書は十年前に消えてなくなったはずじゃ……」
「おかしなことを言いますね。湖の騎士、シャマル」
シャマルの疑問に答えるようにシュテルが口を開いた。
「私が此処に居る……それが何よりの証拠じゃないですか?」
「っ……」
静かだが、確かな威圧が篭った星光の瞳に見つめられ、シャマルは息を呑んだ。その時……
「鉄竜の咆哮!!!」
どこからか星光に向かって鉄の破片を含んだブレスが放たれた。
「……………」
しかしシュテルは一切動じず、朱色のバリアを展開してそれを防いだ。そして、ブレスが飛んできた方向に視線を向ける。そこには…
「テメェ……! ルーテシアをよくも……!!」
傷だらけのルーテシアを抱えて怒りの表情を浮かべているガジルの姿があった。
「ガジルさん!?」
「っ、小娘! ちょうどいい、コイツを頼む!!」
「は、はい!!」
「私も手伝うわ!」
ガジルはルーテシアをウェンディとシャマルに預ける。そして傷だらけのルーテシアに治療魔法をかけながら、ウェンディはガジルに問い掛ける。
「ガジルさん、一体なにがあったんですか?」
「……オレとルーテシアは、ここに保護されているヴィヴィオとか言うガキを攫うつもりだった」
「ヴィヴィオちゃんを!?」
「んで、オットーとディードが陽動している間にオレとルーテシアがガキを攫う……予定だったんだが、ルーテシアがいきなりあの女に襲われて、この様になっちまったんだよ」
そこまで言うと、ガジルは上空に浮かぶシュテルをギロリと睨む。
「テメェ……オレの仲間に手ぇ出したこと、後悔しやがれ!!!」
そう叫びながらガジルはシュテルに向かって飛び上がる。
「鉄竜剣!!」
そして、腕を刺々しい剣に変形させ、シュテルに斬りかかった。
「…………」
ガキィィィィィン!
しかし、星光は顔色一つ変えず、手に持っていたレイジングハートによく似たデバイス『ルシフェリオン』でそれを防いだ。
「この……!」
ガジルは押し返そうと腕に力を込めるが……
「……邪魔です」
そう呟くと同時に、ガジルの攻撃を受け流す。
「っ!?」
突然の事態にガジルは体勢を崩す。そこを狙って星光はルシフェリオンを構え……
「ブラストファイアー」
そう呟き、ガジルに向かってなのはのディバインバスターに似た朱色の砲撃を放った。
「なっ!? うおぉぉぉぉぉおお!!?」
それを喰らったガジルは地面に叩きつけられる。
「ぐっ…バカな……オレの鋼鉄の鱗に傷をつけただと…!?」
そう言うガジルの身体からは血が流れていた。
「ヤロウ……!」
ガジルは再び星光に攻撃を仕掛けようとするが……
「待て。今ヤツと戦うのは得策ではない」
ジェラールに止められる。
「あぁ? テメェは…ミストガン?」
ジェラールの顔を見たガジルは、彼とソックリの
しかし、ジェラールは気にせずシュテルに向かって口を開く。
「また会ったな…
「……そうですね。ジェラール・フェルナンデス」
ジェラールの言葉を淡々とした口調で返す星光。
「ここへ来たのは、ヤツの命令か?」
「はい。機動六課、及びジェイル・スカリエッティ一味の殲滅。それが私たちの主の命令です」
「「「「っ!!?」」」」
その言葉にジェラール以外の全員の表情が驚愕に染まったのだった。
◆◇◆◇◆◇◆◇
「機動六課とスカリエッティ一味の…殲滅?」
「そうだよ。それが主よりボク達、闇の書のマテリアルに与えられた仕事。と言うワケで、君達を始末させてもらうよ」
「「「っ……!」」」
フェイト達の前に現れたマテリアル……レヴィはそう言うと自身のデバイス『バルニフィカス』を構える。それに対して、フェイトはバルディッシュを構えながら後ろに居るエリオとキャロに声をかける。
「エリオ、キャロ。先に六課に戻ってて」
「でも、フェイトさん!」
「すぐに追いかける。行って!!」
フェイトはそう言うが、キャロは未だに戸惑っている。
「フリード!」
すると、エリオがフリードに指示を出し、その場から離れた。
「エリオ君……」
「相手は空戦でアウトレンジで戦える。僕達がここに居たら、フェイトさんは全力で戦えない!」
「……うん」
エリオの説得に、キャロは納得し、その場から離れていった。
「逃がすか!
そんなエリオとキャロに向かってレヴィは水色の魔力弾を放つ。
「バルディッシュ!!」
それを見たフェイトはソニックムーブで移動し、バリアで魔力弾を防いだ。
「お前の相手は…私だ!」
「ふーん…まぁいいや。さっさと倒して追いかけるだけだもんねー!」
「そんなことはさせないっ!!」
フェイトとレヴィはしばらく睨み合ったあと……
「「ハァァァァァァアアア!!!」」
金色と水色の閃光となり、激突した。
◆◇◆◇◆◇◆◇
「でえぇぇぇぇぇええい!!!」
「五月蝿いぞ。塵芥」
「うわっ!!」
「「ヴィータ!!」」
ヴィータがはやてそっくりのマテリアル……ディアーチェに向かってグラーフアイゼンを振り下ろそうとするが、彼女が放った魔力弾に阻止されてしまう。
現在エルザとヴィータ、そしてヴィータとユニゾンしているリィンは先ほど合流したシグナムと共にディアーチェと戦っていた。
因みにいつの間にかゼストはアギトとリリーを連れてどこかに消えてしまっていた。
「大丈夫か、ヴィータ?」
「くそっ……アイツ、六課を潰すとかわけわかんねーこと言いやがって……!」
心配するシグナムを他所に、ヴィータはディアーチェを睨みながら歯軋りをする。
「機動六課ははやての夢だ!! それを潰させてたまるか!!」
「…そうだな。主はやての夢は、私たちが守る!」
そう言うと、シグナムとヴィータは共にディアーチェのもとへ突撃する。そして…
「ギガント・ハンマァァアア!!!」
「飛竜…一閃!!!」
ディアーチェを挟み込むように同時に強力な攻撃を仕掛ける。だが…
「弱い」
その一言と同時に自身のデバイス『エルシニアクロイツ』を振るい、そこから発せられた衝撃で二人の攻撃をシグナムとヴィータ諸共吹き飛ばした。
「うわぁぁぁああ!!」
「くっ……!!」
「失せろ! 使えぬ守護騎士共よっ!」
そう言いながらディアーチェは二人に向かってエルシニアクロイツを構え……
「アロンダイト!!」
強力な黒い砲撃魔法を放った。
「くっ……!」
「くそぉ……!」
迫る黒い砲撃を見て毒づき、後に来るであろう衝撃に備えて身構える二人。その時…
「ハァァァァアア!!!」
スパァァァァン!
「なにっ!!?」
「「っ!?」」
見ると、砲撃と二人の間に割って入って来たエルザが手に持った剣で砲撃を切り裂いたのだ。
「そう簡単に仲間はやらせんぞ」
エルザは剣を構え、ディアーチェを睨む。
「ふ、ふふふふふ……!」
対するディアーチェはそんなエルザを見て、不気味な笑い声を上げ始める。
「ハハハハハハ!! 面白い! 王である我の砲撃を切り裂く者がいようとはな!」
ディアーチェは楽しそうに笑いながらエルザに向かって言う。
「うぬの名を聞いておこうか?」
「
「覚えておこう。そして光栄に思え! 我が魔導に滅びることを!!」
◆◇◆◇◆◇◆◇
「六課の…殲滅?」
「そんな……!」
シュテルの口から発せられた言葉にシャマルとウェンディは驚愕していた。
「させると思っているのか?」
そう言ってザフィーラは一歩前に出てシュテルを睨む。しかしシュテルは相変わらずの無表情で淡々と告げる。
「無駄な抵抗はしない方がよろしいかと。どうせ……」
シュテルは語りながらルシフェリオンを掲げ……
「六課も貴方達も……全て消し去るのですから」
冷たく、そう言い放った。その瞬間、ルシフェリオンに朱色の魔力が集まっていく。
「アレは…集束砲!!? なのはちゃんのスターライト・ブレイカーと同じ…もしくはそれ以上の!?」
それを見て驚愕するシャマル。しかしその間にも、ルシフェリオンに魔力が収束されていく。
「集え…明星……全てを焼き消す焔となれ……!」
そして集束が終わり、シュテルは無表情のまま…それを放った。
「ルシフェリオン・ブレイカー!!!」
巨大な朱色の閃光が、六課の隊舎とその場に居る全員に襲い掛かる。
「ておぉぉぉぉぉおおお!!!」
その瞬間、ザフィーラが咆哮を上げ、全員を守るためにバリアを展開して砲撃を食い止める。しかし……
「くっ…魔力が……足りん!」
先ほどのオットーとディードとの戦闘で殆どの魔力を使い果たしたザフィーラにはもう魔力が残されておらず、ザフィーラのバリアは容易く崩れ去ってしまった。そして……
ドゴォォォォォォォォォオオオン!!!
六課は巨大な爆発と轟音に包まれた。
「……これで私の任務は完了です。彼らはもう……!」
そこまで言いかけて、シュテルは言葉を止めた。何故なら……
「ぐっ……くぅ……!!」
「フゥ…フゥ…フゥ……!」
爆煙の中から傷だらけになりながらも全員を守るように立っているジェラールとガジルの姿があったのである。
「ぐっ…!」
「ガジルさん!!」
しかし、ついに力尽きたガジルがその場に倒れこみ、ウェンディが駆け寄った。
「驚きました。まさかあの砲撃を受けてその程度で済ませるとは……」
シュテルはそう言うが、その表情はまったく驚いてはいない。
「しかし、その様子だと防御に殆どの魔力を使い果たしてしまったようですね。そんな状態で戦うことが出来ますか?」
シュテルはジェラールに向かってそう問い掛ける。そして、ジェラールから帰ってきた答えは……
「ふっ……」
小さな笑みだった。
「?…何故この状況で笑っていられるのですか?」
「いや……それよりいいのか?」
「何がですか?」
ジェラールの言っている意味が理解出来ず、首を傾げる星光。
「後ろが……がら空きだ」
「っ!?」
突然ジェラールの声が背後から聞こえ、シュテルはすぐさま後ろを振り返った。そこには、何と目の前にいたハズのジェラールが居た。
「……!」
シュテルはすぐに迎え撃とうとするが……
「遅い!!
間に合わず、天空から振ってきた七つの光がシュテルに降り注いだ。
「っあぁぁあ!!」
ジェラールの魔法をまともに受けたシュテルは地面に叩きつけられた。
「……やられましたね。まさか思念体とは……」
だが、シュテルは何事もなかったかのように立ち上がった。
因みに思念体とは、実体を持たない自分の分身を作る魔法である。ジェラールは先ほどの爆発の際にコレを造りだし、シュテルの気を引く囮に使用したのである。
「私も、本気で戦えそうです」
そう言ってルシフェリオンを構える星光。それを見たジェラールも身構える。だがその時……
キィィィィン…
「っ……」
突然ルシフェリオンのコアの部分が淡く輝き始めた。
「……どうやら撤退のようですね」
それを見たシュテルはどこか残念そうな口調で言う。どうやらその光は撤退の合図だったらしい。
「貴方と本気で戦える日を、楽しみにしています」
シュテルはそう言い残して、朱色の閃光となり、その場から飛び立っていった。
「……………」
シュテルの撤退は、魔力が尽き掛けていたジェラールにもありがたいことだったので、ジェラールはそれを静かに見送ったのだった。
◆◇◆◇◆◇◆◇
その後…六課から撤退したシュテルは別の場所でレヴィとディアーチェの二人と合流した。
「ちぇ…もう少しでボクがカッコ良くスラッシュするところだったのに、撤退なんてつまんないの……」
「うむ……我も久しぶりに心躍る戦いが出来ると思ったのだがな」
レヴィとディアーチェは不満そうに言う。そんな二人をなだめる様にシュテルが口を開く。
「仕方ありません。私たちの主の命令は絶対ですので」
「それはそうだけど~」
「…………」
尚も不満そうにする二人にシュテルは溜め息をつく。
「ほら、行きますよ」
「は~い」
「我に命令するな」
シュテルの言葉に渋々といった感じで二人は聞き入れる。
「では帰りましょう……方舟へ……」
そう言うと同時に、三人は朱色、水色、黒色の閃光となり、その場から去って行ったのだった。
つづく