アイテム使いの神殺し   作:アルリラ

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第四話 合縁奇縁

あのゲーセンでの邂逅から数日が過ぎた。

 

その間にアレクに連絡をし、沙耶宮さんから連絡を待ったが未だにない。

護堂にもゲーセンでの件は話しておいた。本人はそこまで思われてるのかと戦慄していたが、旅先であったドニの存在もあり当たり前の対応かと納得した。

納得の仕方が自身と一緒だったから何とも言えない。

 

 

後はどう足掻いても壊れなかったゴルゴネイオンだが、今それについてのお話が行われようとしている。

あからさまな厄介事、どのように動けばいいのかは決まっているので後は時期を知るだけだった自分と護堂は、二人揃ってとある場所へと向かったのだが、その件は最早どっか行ってしまった。

 

 

 

 

ここは都内、七雄神社。呪力の気配を微弱ながら感じ取れる場所、そこで自分と護堂は

 

「草薙さん、矢島さん!何で住民を危機に陥れようとしている物を押し入れなどに封じ込めて置いたんですか!之がどんな被害をもたらすか分かっていたでしょう!天地を揺るがす程の厄災が来る可能性が今だって感じ取れます。触ってるだけでそれが判るのにどうしてそんなぞんざいに扱っていたんですか!」

 

『モウシワケアリマセン』

 

叱られてます。神社の石畳で、正座で。

 

「あなた方達はカンピオーネです。神殺しとなり権能を持っています。そう言った大いなる力を持ってるのです。持ったからには、その立場に至ったのだから責任を持たなければなりません。なのに、何故こんな事を!それに、あんな破壊行動をとっているのですか!」

 

凄く心が痛いです。

 

「草薙さんはイタリアの世界遺産、過去闘士たちが力を競い合ったコロッセオを、矢島さんはイギリス、トラファルガー広場とナショナリー・ギャラリーを世界的に有名な画家ゴッホが描いたひまわりを、それぞれ歴史的価値があるものを崩壊させています」

 

ヤメテ

 

チラリと横を確認。護堂、顔面蒼白。

多分自分も同じ状況。カンピオーネだからとスルーされてきた事案を突きつけられてる。

 

「それにより政府や地元の観光業や飲食店が多大な被害を受けています。大変だとは思わないんですか!」

 

『スイマセンデシタ!』

 

声を合わせて謝る、がそれは悪手!

 

「謝るのは私ではなく倒壊事件の関係者達に言ってください!全く高校生ですけども自身の置かれた立場をもうちょっと自覚をですね!」

 

何故、こうなったか掻い摘んで説明しよう。

 

 

 

 

 

護堂が万里谷祐理という少女からゴルゴネイオンを持って来てほしいと言う連絡があったらしい、面倒な神様案件という訳で付いていくことになった。

 

そして約束をしていたらしい金曜日、学校から帰宅した後各々私服に着替えて一緒に神社まで行った。

 

 

そこで出会ったのは大和撫子、上品で聡明な雰囲気を感じさせる巫女の姿があった。その巫女さんは連絡してきた万里谷祐理さんで、同時に前に聞いたヴォバン公爵というカンピオーネの騒動に巻き込まれておりカンピオーネの恐ろしさを見に染みて解っている少女だった。

 

それ故に、出会いは最悪だった。何しろこっちは何もしてないのに

 

彼女は自分達を確認するやいなや()()()()()

 

突如として起きた状況に狼狽えるながら彼女から聞きだす自分達。

 

ある程度話は聞いたことはあると、言ってはいたが、一度も出会ったことがないという要素に加え、噂の魔王らしい魔王ヴォバン公爵の同族、それに昔の記憶、忘れたい程のトラウマを思い出してしまったから、と彼女は言った。

 

巫山戯るなと叫びたくなる思いを胸に秘める。今ここで叫んだら彼女はもっと怯えるだろう。護堂も同じ考えのようだ。

 

ヴォバン公爵許さない。もしも今度あったら全力で葬り去ろう、と二人して心に魂に誓った。

 

誓いあって次にやったのは、全力で彼女の震えを止めにかかることだった。

彼女のカンピオーネに対する恐怖はヴォバン公爵がやった事にある。クソ傍迷惑な野郎だ。

 

だったらカンピオーネに対する印象を変えてやろう、無理に変えろとは言わないが面白いことをする馬鹿な二人のカンピオーネがいると思ってもらえばいい。カンピオーネは全て悪という訳では必ずしも無いのだから。

 

と、言うわけでそこからは遊んだ。巫女さん姿だったが構わず遊んだ。鬼ごっこ、缶けり、ケイドロ、チャンバラごっこ等々。それはまあ遊んだ。

最初は震えていた彼女だったが途中から笑って遊んでいた。良かった、良かった。

 

ちなみにチャンバラは権能発動して護堂に九頭龍閃を叩き込んだ。

 

万里谷祐理。あだ名、万里さんは堅苦しい敬語はなくなり、今は砕けた敬語となっている。

 

そして、無駄に洗練された動きで楽しみ、境内で軽く休んだ後。

 

ゴルゴネイオンの話をしようとしていた時のことである。

 

遊んで仲良くなって口が弾み、スルリと出てきた事が原因だった。

 

「やっぱ護堂は違うな...世界遺産をぶっ壊した男は違うや」

 

「奈落お前な、人のこと言えないだろうが、ゴッホの作品壊したって言ってたろう」

 

「二人とも?そこに正座」

 

『あ、ハイ』

 

そして今に至る。

 

 

 

 

 

「大体奈落さんも護堂さんも自分がした事に責任を持ちましょう。被害総額がどの位になるか考えたことがありますか?」

 

万里さんは自分達のことを下の名前で読んでいる。提案したらすんなりと呼んでくれた。さん付けだが。しかし長い。誰かタスケテー

 

「思っているより修繕費用は大きいのですよ?コロッセオはまだ元の形に戻せる範囲内かも知れませんが、絵画などは貴方達の力で容易く壊れてしまう程脆いものです。つまりはそこで────」

 

「あ、そうだ!」

 

そんな中の護堂がふと思い出したように横に置いていた、ゴルゴネイオンを掲げる。

 

「これこれ!これ!これの話しないか祐理!これの話をしようぜ!今ある意味危機が迫ってるからさ!」

 

説教から逃げ出したくて必死になって無理矢理話を逸らす護堂。

これこれ言い過ぎて逆によく解らなくなってる。

 

が、

 

「それは後で私の家で夕餉を出してからお話をします!今はやった事についてです。全く調査書をに書いてある通りでしたよ!せめて二人とも回りへの配慮をしてください!」

 

ゴルゴネイオンから感じる厄災は後に回すのか...大丈夫かいな。夜ご飯出してくれるのは有難いけどさ。

 

それと、何気なく調査書の存在が明かされたが、特に動揺はしない。護堂にもその存在はあるだろうと言っていた為問題は無かった。

 

そうして、説教が続くかと思っていた時。

 

「奈落さんも護堂さんも全くもう、全くもう!」

 

「まあまあそこまで言わないであげて、欧米では良くあることなのよ。壊された事によって前よりいい店にする事が出来た場所も有るのだし...まあ世界的に価値がある建造物と絵画については弁明のしようがないけど」

 

 

長い説教で疲弊しているの心に突き刺さる言葉と共に声が響いた。

 

咄嗟に振り向くと、金髪美人がいた。隣で正座していた護堂は驚愕に目を見開かせていた。護堂の知り合いだろうか?

 

「初めまして私の名前はエリカ・ブランデッリ。そこにいる護堂の恋人よ」

 

金色の髪をたなびかせ、凄まじい美人がそこにいた。

 

 

赤みがかった金髪が暗くなってきた中でも仄かに煌めいて綺麗である。それにこの華麗な雰囲気。護堂から聞いていた評価通りとは恐れ入った。

 

「あら護堂、何その顔はメドゥーサに見つかった侵入者見たいな顔してるわよ」

 

「お前、ミラノにいるはずの人間がなんでここにいるんだ。あと恋人じゃないって言ってるだろ?」

 

「そう、私と過ごしたあの夜の日出来事も全て嘘だったのね...薄情な人」

 

「ただ部屋に閉じ込められて仕方なく一夜過ごしただけで何も無かっただろ!」

 

「今思い出せば私が恋に落ちるキッカケの夜だったのかも知れないわね...そんな夜を貴女は何も無い、と言うのね」

 

「護堂さん、そんな無責任な事を...常識を説く前に人としての在り方を言うべきでしたね」

 

ゆらりと万里さんが護堂に近づいて行く、何か鬼と悪魔が合体した姿が後ろに見える、怖い。必死に護堂が助けてとばかりに視線を自分とエリカさんに向けて来るが顔を背ける。

 

「お、おい祐理落ち着け。そんなんじゃないんだ、エリカが勝手に言ってるだけで...ちょっ、エリカ!奈落!助けてくれ!特に奈落!お前俺の話聞いてたろうが!」

 

「ナンノコトデショウカ」

 

「奈落ぅぅぅぅぅ」

 

「嘗て人は言いました、物事全てには原因がある。それが「因」で。起こった結果が「果」。それすなわち因果応報というように、 必ず結果は来るのです...それを護堂さんは理解しましょうか?」

 

「もう説教は勘弁してくれぇぇぇぇぇ!!」

 

護堂が夕焼けに響く程の声を出しながら正座へ移行する。またお説教タイムだ。とても大変そうで助けてやりたいが護堂のためと思って目を背ける。決して面倒だからという訳では無いのだ、本当だよ?

 

 

───今やってきたエリカさんについてだがイタリア旅行の時にあったらしいやり取り、そして今の会話の様子だけでテンポがあっていると感じた。

話を聞いた時から思っていたがここまで相性がいいとは。護堂のイタリア旅行での話で頻繁に出てきた人物で、最初はツンケンした態度だったそうだけど、とある一件から愛人と名乗り始めたらしい。

 

説教に移行した2人を見たエリカさんが声をかけてきた。

 

「あと、そちらがカンピオーネの矢島王ですね?私の素性は聞いていますか?」

 

「あいよい、聞いてますよ。自分の名前は矢島奈落です、敬語はなしでいいよ」

 

軽い自己紹介をし護堂から聞いていた彼女の所属を思い出す。

 

『赤銅黒十字』

中二病溢れる名前の組織、最近コロッセウム爆破事件で苦労してそうな組織、そんな場所の魔術師でかなり実力はあるらしいが、こちとらカンピオーネなのでそこらは気にしない。

 

だが──逆に気になるのは、彼女の特性である。なので一つ問うことにした。

 

「では一つ聞きたい事が────護堂に関する印象を上げて下さい」

 

一瞬だけ考える素振りを見せ彼女は言う。

 

「いざと言う時に頼りになるけど野蛮人で────弄りやすくてカラカイ易い人」

 

『イエーイ』

 

 

一人の生贄で成り立つ素晴らしい友情誕生の瞬間であった。

 

「おいこら待て!何嫌な予感がする友情を繋いでんだよお前ら!」

 

説教を受けていた生贄の護堂が話しかけてくる。

 

『あれ(ら)、護堂嫉妬?』

 

「違う!」

 

スルリと出る言葉、カラカイ言葉の打ち合わせは特にしていない。これはこれは、思わずエリカさんと顔を見合わせニヤリと口角が上がる。

 

『もう、そうならそうと言ってくれれば言いのに』

 

「そうじゃないからな!」

 

『それが噂のツンデレね!』

 

「何処からそれを感じ取ったんだよ!?」

 

弄る友人が増えるとこうまでなるとは、取り敢えず話がこのままでは進まないので続けることにする。

 

「一先ず話が止まるから聞くけど何しにここへ?エリカさん」

 

「あら私ったらつい」

 

「お前ら覚えてろよ...」

 

恨み節が聞こえるがそれを無視する自分達。

 

「思わず会話が弾んでしまったから忘れていたわ」

 

「絶対嘘だろ...」

 

「護堂さん!きちんと聞いてください!」

 

「はい!すみません!」

 

哀れ護堂。

説教を受けながらもこちらに耳を傾ける護堂、万里さんも説教をしながらこっちに意識を向けている。え、凄くない?

 

そんな予想外の特技を目の当たりにしながらエリカさんは実は、と前置きを作り、言った。

 

「ゴルゴネイオンを追い掛けてる女神様の場所がわかったわ。護堂の話通りの女神様だったわ、銀髪で小柄な神様ね。まさか海を超えてまで来るとは思ってなかったけど」

 

 

「ああ...成程だからエリカが此処にいるのか...」

 

説教途中だった護堂が項垂れる。理解したらしい。

 

「え...?」

 

説教をしながら他者の話を聞いていた万里さんはその言葉に理解が追いついていなさそうだ。だって信じたくないもんな、これ。

 

 

「ええ、ここ東京に厄災、まつろわぬ神が襲来したわ。そこのゴルゴネイオンで完全体になる」

 

真剣な顔つきで彼女は告げた。

 

 

 

 

 

今度こそ固まる万里さん。仕方ないだろう、未曾有の大災害の危機に直面してしまったのだから。

普通の人でも呪術師でも混乱する事を告げられた常人の神経なら有り得ることだ、まあ常人ならば

 

こっちにしてみれば

 

「とうとう来たか...避難誘導お願いしておくか護堂?」

 

「はぁ、いやそれより一応避難と修繕を担当する人を探しておこうぜ。正史編纂委員会とかの人に、調査書の件合わせて脅せばいけるんじゃないか?」

 

細かい話を決めれば戦闘準備万端だ。

 

まつろわぬ神とは話し合いをする予定ではあるが高確率で戦闘だろうし、被害も相当になる筈。

さっきは言われるがままだったけど、ホントの話。周りに配慮などしてはいられない。相手は厄災なのだ。配慮など目に入れぬ動く災害、それと相対するなら配慮しても負けるだけだ。

 

「もう!お二人共!平和的解決までとは言いませんが極力ものを壊さないという選択肢は取れないのですか!」

 

「貴女...万里谷祐理よね?カンピオーネにそんなの求めちゃダメよ、逆にどういった所を壊して今までより良くしていくかを考えておきゃなきゃ」

 

「もう他国の組織はそんな逞しい領域に入ってるんですね...」

 

「数百年も繰り返されてるから損をするならその損をどう言った方向に持っていくかが鍵よ」

 

「もう被害を止めるのは無駄だとわかりきってるんだな...」

 

他国の対応の仕方を聞いたところで情報収集をする。

それをするのは

 

「万里谷、貴女確か霊視術師よね?託宣をお願い出来ないかしら?」

 

「はい、そうですけど...あれ?私そういった事言いましたっけ?」

 

「貴女結構有名よ?正史編纂委員会の秘蔵っ子はわからないけど優れた媛巫女として貴女の存在はある程度認知されてるわ」

 

「え!そうなんですか!」

 

だろう、今回付いてきたのは優れた媛巫女として正史編纂委員会関連の資料に乗っていたからである。昔の事件の数少ない正常者と、書いてあったし。トラウマがここまで酷いとは最初思ってなかったが。

事件の被害者は何年経っても記録に残る。裏でカンピオーネが関わった事件なら尚更、どう言った人物が生き残ったか、何故生き残ったのかを調べる為に身分調査はされている.

 

 

 

「霊視、て何だ?」

 

「知らないや」

 

護堂と顔を合わせる。霊視と言うからには幽霊が見えるということ何だろか。

 

「ええとなら、ゴルゴネイオンを貸して下さい。託宣をしてしますね...私事ながら緊張感がなくなって来たような...」

 

「余裕がある方がいいじゃない、無駄に慌てるよりマシでしょ?私達が騒いでもあの2人は気にしないわよ」

 

失礼な事を言われてるような気が...

 

「じゃあ、祐理。よろしく頼む、俺が持ち込んだ厄災だけど頼んだ」

 

「はい...奈落さんは何かないんですか?」

 

無言のサムズアップ。それを見て万里さんは溜息を吐く。

 

「はぁ...じゃあ護堂さん、以前に到来したまつろわぬ神様と合っていますよね?その時どのような印象を待ちましたか?」

 

無視された。

 

道端の虫を見るような目を護堂が向けてくるので殴りかかっておく。

 

万里さんの一喝が入り、不毛な争いをやめた後、護堂が特徴を上げた。

 

 

シンプルな特徴だが厄介な予感がする。

夜に合わせて大地母神、メデューサ、いや神話に合わせるとメドュサだったか。

今までのキーワードを合わせて考えてもよくわからない。一体何が来る。

 

 

 

しばらくして、来ているらしい女神の特徴を言っていく。何も彼女はわかってなかった筈なのにここまで上げるとは、占いに見えるが違う。まるで千里眼だ。

 

「その御名は...まつろわぬ神霊の御名は────。ええっ!」

 

突然目を見開き、万里さんが絶句する。嫌な予感がする。なんだ何だ、一体何の神様が来たのさ。

 

「視えたようだけど、その驚きよう万里谷が知ってるような神様だった?」

 

「...ええ、でも彼女はメドゥサ討伐に手を貸した人物の筈、何故」

 

「え?」

 

「────アテナです。此処、東京に厄災を招きながらゴルゴネイオンを求めている神様は女神アテナです!」

 

予想以上のビッグネームの登場に頭を抱える。

 

────よりにもよってこっちの権能に縁がある神様がやって来た!

 




ヴォバン公爵、目の前で助かるとか言い合ってた人を突然塩柱にするとか絶対やってたろう。
当初は笑い合いながら我らが奈落と殺し合いをする予定でしたヴォバンさんですがテンプレよろしく敵対ルート確定です。

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