アイテム使いの神殺し   作:アルリラ

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※後半の部分を修正しました。


第三話 千の仕事は覚悟の証

 あまりも一瞬、視認することすら出来ず体は宙に浮かんでいた。

 

「は!?」

 

 驚愕の中、落下、そのまま地面に受身すら取れずに落ちる。肺の空気が押し出されてしまい咳き込んでしまった。

 

「―ふむ、ならもう一度」

 

 その呟きと共にまた宙へと投げ出される。

 あまりにも速すぎる。察知すら叶わない。地面へと叩きつけられる。

 流石に2回目なので受身を取り、衝撃をある程度は緩和する。

 何度もやられては意味が無いが、相手のやってる事が認識出来ないのだ。

 美術館前で見せた移動の速さが、関係大有りなのだろうが、目で見れない、確認出来ない。それがこんなに辛いとは。

 

 だがしかし、2回も受けた。必然的にカンピオーネによる本能が、直感が、これがどのようなものなのかを理解させてくる。アレクを観察する、火花が出ているのを確認。

 そして

 

「ほら、どうした?」

 

 またもや宙に上げられる。

 だが今回ばかりは対応出来るものを使う。

 

「ほう…そのような物があるのか」

 

 じろじろと観察するようにアレクが視線を向けてくる。

 全身は銀色に染まり上げ、自分の体重がかなり重くなる。それにともない急速に床を陥没させながら着地。法則がおかしいがこれが正しい。体が金属になるとこうなるのがマリオである。おっさん最強。

 使ったのは人を金属にするヘビーキノコ。マリオでは金属、メタル状態になれる過程は色々と異なる。ブロックだったりキノコだったり、それに作品事に効果が違う。

 しかし自分が使う特典産のメタル状態は違う。カートなら金属になり強烈な体当たりを受けにくくなるだけだが、特典産になると他作品の効果も併用して発動するようになっている。こうなるとメタル状態はスマブラ、マリオ64、マリオカートの効果を組み合わせたものになる。

 つまり、硬いし重いが通常通り動けるしかも水中だって歩ける。

 今回はそれを使った。

 

 ちなみにアレクがやってくる事はいたって簡単、自分を捕まえてジャンプするだけ。余りにも速く、跳躍力があるため、最初は瞬間移動か時間停止でやられているだけかと思ってはいたが、前より増えた集中力でアレクを観察すると火花が出るのを発見。その後に宙に浮かされている。

 あからさまに火花が予備動作なので、先程は対応しようとしたが反応すら出来なかった。なら、持ち上げられないようにするしかない。

 

「ふむ、見たところ体が金属になる道具を使ったようだな、だが法則に喧嘩を売っているところを見るとそれだけではなさそうだ。サルバトーレ・ドニもそれと同じような権能を持っていたな。ますます興味深い」

 

 アレクが不敵な笑みを浮かべる。

 同じような権能、このメタル状態がサルバトーレ・ドニとか言う奴の権能と効果が似通うらしい。

 

 ひげミサイルを手元出現させ、投げる。

 

「青天の霹靂よ」

 

 しかしアレクから放たれる放電により爆発させられる。電気と言うかこれは雷?雷天大壮と同じような感覚がする。

 そう思っていると

 

「なあ、甚だ疑問なのだが矢島奈落よ何故その力を持っている?何故平気で使える?権能にも匹敵するであろう力を、普通ならばその力に浮つき溺れていくのが関の山だ、そんな事は無かったのか?思春期らしく性的なことに使ったり、正義の味方になるために愚かにも悪人退治をしてみたりしなかったのか?」

 

 アレクは問うてくる。普通ならば有り得ない事だと。

 自分はまだ子供だ、増長する筈だろう、思い上がる筈だろう。ロシアでの話のような結末を迎える可能性もあった筈だ。

 

 だがしかし、生憎と、此方は普通ではない。

 

 前世の記憶を持ち、凄まじい経歴持ちの家系がお隣にあり、ギャンブルでは幼馴染みの草薙護堂と一緒に連戦連勝、学校では馬鹿騒ぎを繰り返す。

 そして果てには

 

「こっちは神を殺してる、それが行える時点で普通じゃなかったって事を理解してくれ」

 

『神殺し』

 

 純粋な人間種では到底なし得ることが出来ない偉業。

 神話に語られる、半神半人のギルガメッシュでさえエルキドゥと2人で闘わねば得られなかった称号。それを手に入れる事が出来た人間の何処が普通であろうか。

 

 

「ふん…それもそうだったな能力の事だけを注視していたが能力だけでは成し得ない。実力、地勢、運命、その全て合わせてやっとその奇跡を手にする事が出来るのが神殺し――カンピオーネだったな、俺はどうやらお前を無意識に舐めていたらしい」

 

 此方に顔を向ける。

 

「さて――お前はそれだけの事を言ってのけた。これがどういう意味か解っているのか?」

 

「それだけの事を言わせて見せた。これがどういう意味か解るよな?」

 

 お互い顔を向き合わせる。

 アレクの顔は相も変わらず無愛想だが、瞳に宿る獰猛な意思を隠しきれてはいない。

 

 そして、誰も指し示した理由でもなく、指示したわけでもない。しかし、一歩だけ二人共同時に踏み出し、

 

 ――その瞬間にアレクは捉えきれない速さ、神速で消え。

 自分は手にシールドを呼び出し取り込む。周りに緑色の膜が出来、

 

 ――膜にサインペンが突き刺さる。

 

「先程の言葉を撤回するんじゃないぞ」

 

 目の前にはアレク、そしてまた消えていく。

 その間、一面の空間に進路妨害のトラップを、ドッスンと呼ばれる、厳つい顔の棘のついた石と、頭があり口があり文字通り生きてる花、パックンフラワーを放つ、何もないであろう空間にパックンフラワーは食らいつく、が服の端しか捕らえられなかったようで不機嫌そうだ。予想以上のパックンフラワーの動きに内心ビビりまくりだが。

 

「神速に追いつくのか…!?」

 

 それは堪らないのかアレクが神速をやめ姿を現す。

 ここが狙い目。動きを止めるため手に唇と蝶ネクタイがついたマイクを出現させ

 

「福祉科教室の床をふくしかねえ」

 

 ダジャレを放ち、アレクは驚愕の表情を浮かべながら凍ったように動かなくなる。

 

 このアイテムはダジャレのあまりの寒さに聞いた奴は全員凍る。ダジャレマイクは見た目と名前と裏腹に凄まじい能力をもつ。どれくらい効果を発揮できるか心配だったが能力は健在のようである。

 

 今の隙にメタル状態での強烈なチャージを放ち、

 

 ――アレクの姿が蜃気楼のように消え去る。

 

「分身かよォ!?」

 

「当たり前だろうが、 その能力は権能に近いが権能では無い。故に権能の方が力は上だ、それに簡単に俺がやられる訳ないだろうが」

 

 傲慢な物言いとともにアレクが現れる。まさかの分身だったらしい。

 しかも自分が知らない事まで今の間に解析されている。

 このままではヤバイ、舌打ちまじりにロックオン出来る金色の亀の甲羅ゴールドこうらとグニャグニャしている赤色のぐみ、ぐにゃグミを投げるがアレクは神速で避ける。

 その間にペンを一発投げられるがなんとか紙一重で避ける。

 

「興醒めだな、先程の啖呵は何だったのだ、そのようなものでは俺はやられん」

 

 何が足りない、相手を倒せる何かそれは何だ、思考する。頭を回転させながらもアイテムを投げる、たつまき、ビリビリスティック、ロックオン効果は無いが牽制で放つ。

 

 その間にもアレクは一手を切る。

 

「そらお返しだ」

 

 突如後ろの空間が歪み、何処かの部屋へと繋がる。

 そこには妖女と呼ぶにふさわしい容姿の女がたっている。そして片手には先程放ったゴールドこうらとビリビリスティック、たつまき、ぐにゃグミを持っている。ヤバイ悪寒と共に顔が引き攣る。

 

 そして妖女はそれらを放った。

 ――此方に向けて

 

「嘘でしょお!?」

 

「嘘ではない、これが現実だ」

 

 律儀に返してくるアレクを睨みつけながらも対応する。足がついてつぶらな瞳が特徴の爆弾、ボム兵を出し、返されたアイテムが近づいて来たところで踏みつぶし爆発させる。自分は未だにメタル状態なのでダメージを受けないから取れる手である。

 

「そら次だ」

 

 その言葉と共に床が消える。

 メタルなのも相成って法則を無視したように凄まじいスピードで落ちる、そして下には全てを削り取りながらも少しずつ上がってくる黒い球体があった。

 パッと見というか、どう見ても暗黒天体です。

 

「こなクソ! 」

 

 雲フラワーを取り込んで変身、後ろに小さな雲を3つ連れている雲状態になり雲を投擲して大きくしながらちょうど三つ目で登りきり、

 

 宙に放り投げ出されていた。

 

「しまった…!」

 

「他に手段があれば良かったものを」

 

 神速による行動、先程床が消えたことによりパックンフラワーが落とされ神速に対応できるものがなくなっている。しかも元の場所に戻る時にメタル状態を解除してるため格好の餌食である。

 

 自由落下が開始し、なんらかの効果が付与されているであろうペンが投擲される。堪らず反応するが捉える事は叶わず足に突き刺さり、再度出現した床に落ちる。

 体は所々ボロボロだが痛くない。これもカンピオーネの恩恵だろうか。

 そんな状態の自分にアレクは言う

 

「諦めて降参するんだな」

 

 迷路と化した美術館自体が彼の手である程度弄れ、その上カウンター用の権能であろう、それによる妖女を呼び出しておき、下にはブラックホール、そして止めに神速による陽動と戦術。

 

 もう勝ち目がないから降参する――訳がない

 

「アホかそんな事する訳ない、ここから逆転するから見とけよバカ野郎」

 

 プライドがある、それにあんな啖呵を切った。なら覚悟を決める。

 

 脳裏にあの時の言葉が甦る。

 

『あんたの気持ちは判るがね、前を向いていかなきゃ明日は変わんないよ。力があるから一歩踏み出せるんだ、人は常に一歩踏み出しそれから歩き、走り、疾走して未来を作ってきた。だからさ、頑張りなよ』

 

 彼女は言っていた、頑張れと明日を変えろと。

 死に際までまつろわぬ神でありながらも叱咤激励してくれた彼女の思いを胸に。一歩はもう踏み出してある、それからはもう走り抜けるだけだ。

 

「――我が振舞は千の執行へと繋がる」

 

 言霊を唱え、権能を行使する。

 

 自分が殺したスリス――いや、まつろわぬミネルヴァは、音楽の発明者でもあり、多様な側面を持つことから『千の仕事の女神』と呼ばれている。

 

 この権能はその千の仕事を行うための権能である。

 

 仕事とは複数の様々な作業、行動が重ね合わせ目標を達成し、結果を出していくものだ。

 神様基準の仕事を千もこなす、その為には一つ一つの振る舞いが完璧で無ければこなせなどしない。

 ゆえに効果は一つ、何らかの行動全てを完璧にこなせるようになる権能だ。

 

 例えば、歩く動作は走る様なスピードを出すようになり、走ればオンリピック選手の走る速さにまで速くなり、材料さえあれば業物の武器を作り出せる。

 

 そして、この世界にはないラノベや漫画の技術を代用するものが必要だが使用可能になる。

 

 

ここからは手札も増え、切り札も増えた。さっきと同じようには行かせなどしない。

言葉を胸に覚悟決める、ここからが勝ちどきだ。

 

 

「覚悟は良いか、俺は出来てる 」

 

 ――第2ラウンドの開始だ




権能については迷いましたがこれで行きます。
作者が独自に解釈してるだけなのでご注意を。

それでは

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