アイテム使いの神殺し   作:アルリラ

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第五話 後ろ盾は計画的に

 イギリス、コーンウォール州に存在する魔術結社《王立工廠》

 その会議室でアレクからの発表に集められたメンバー全員が唖然としている。

 カンピオーネの大体は組織に関わる場合、頂点にたつか対まつろわぬ神専用の傭兵になると言った役割になる。

 今回のように首領と同格の位ではなく、特別な役割を与えることも無い、普通の一般メンバーとして所属させる。

 前代未聞のその自体に徐々に喧騒が広がっていく中、先頭に立っていた男がアレクに詰め寄る。

 

「アレク、どういうことだ!? 何故まつろわぬ神を殺しに行ったらカンピオーネを新メンバーとして連れてくる!?」

 

「ホイホイ契約したコイツが悪い」

 

 アレクの肩ほどの身長の少年、奈落を指差す。

 気まずそうに顔を逸らす奈落、心無しか目が死んでる。

 その様子に衝撃を受けながら男は問うた。

 

「失礼しますが矢島王よ」

 

「あ、堅苦しくしなくていいですよ、あと奈落でいいです」

 

「そう…か、では取り敢えず自己紹介から、私の名前は「アイスマンだ」副首領をしている…アレク!口を挟まないでくれ!」

 

 割り込みをするアレクを怒鳴るアイスマン。対する方はニヤニヤと笑っている。そんな様子に溜息を付くアイスマン。

幾度となく行われたやり取りなのだろう、もう仕方ないと諦めの表情だ。

 

「はぁ…もうアイスマンで良いです。まあ気を取り直して奈落さん、この男に何を言われて付いてきたんですか?」

 

 彼アイスマンは本題に映った。何故このような事になっているのか。そしてなにより様々な火種が眠る《王立工廠》にトラブルメーカーとも呼ばれる人類種の頂点をこの組織にもう一人増やすなど只事ではない。その理由が今――明かされる

 

「いえ、あのその後ろ盾やるとか言われてホイホイ付いてって契約を結んだら端っこの所にここに所属するとか言う条件が入ってたんですよ…」

 

 ――余りにも古典的でシンプルな詐欺の処方に引っ掛かるカンピオーネは初めて見た、と後にアイスマンは友人にそう語ったという。

 

 見事に白目になっているアイスマンを尻目にアレクは

 

「さて、それでは新メンバーの奈落に今からカンピオーネ関連とここ《王立工廠》についての話をする、そのため各部門の長達は此処に残れ」

 

 新しいカンピオーネ、矢島奈落に様々な知識を教えようとしていた。さながら新人研修である。

本来なら、当人が教える必要はないのだが、何を思っているのかアレク本人が教える気でいる。突如言われた内容に大部分は部屋を出ていき、数人がこの場に残った。

 

 だがそんなアレクに待ったを掛けた人物がいた。

 

「アレク、今回は別の用事で此処に来たけど僕はこれでも忙しい身なんだ。また今度じゃダメかい?」

 

 銀髪に学生服といった、この場で最も合わない服装を来ている青年は用事があるらしく、早く戻りたいという意思を示している。

組織にとって関係がある為、普通ならばその意思を優先する、のだが

 

「いや、駄目だ。今回でないと困る」

 

 流石カンピオーネとしか言いようが無い、自分の組織なので我侭に振る舞う。

ぶっちゃけた話迷惑なのだが、逆らうだけ無駄なので青年は溜息を付きながら諦めたように了解の意思を示した。その反応を見て他の長達も諦めたようで、アレクの指示を待っている。

 

暫くして

 

「それでは、《第一回 王立工廠大説明会》を始める。奈落は椅子に座れ。長たちは、出番が来るまで立っておけ」

 

「散々振り回しておいてそれは酷くないですか、あと服ください」

 

 ボロボロの服を着ていた奈落、アレクが溜息を吐き、服が投げ渡され着替えたあとようやく

 

 この世界と《王立工廠》についての説明が開始された

 

 ●

 

「さてと、初めはあれだな奈落。お前はその異能以外にこの世界について何を知っている?」

 

「えーと、神様、カンピオーネ、魔術師、超能力者がいる事と言う事ぐらいしか知らないです」

 

 この世界についての事などそれぐらいしか知らない、まあそれ以外はある程度の予想がつくのだが、無闇な発言で前世の記憶まで判明しそうな気がするので黙っておこう。

 

「そうか、ならまずこの世界にいる、魔術師、こっちでは呪術師という言い方をするが…まあそう呼ばれる奴らの説明を始める」

 

 初めて聞く言葉だ、魔術師が魔力を使うから魔術師だし呪力を使うから呪術師なのだろう

 

「基本的に、呪術師と呼ばれる者共は魔力や呪力、気だとかの精神の力を消費して魔法と いう力を行使できる。まあ地域によっては呼び方は違うがな、それは今は置いておく」

 

 

 魔術ではなく魔法と言ったのでFateの要素は消え去った。色々と不安だった要素が無くなったので力が抜けそうになるが我慢。教師モードのアレクは寝た奴に容赦ない制裁をしてきそうなので我慢。

 今の説明で判明したのだが、気・魔力・呪力を纏めて精神の力 所謂、精神力と言った。と、言うことは魔力と気、呪力は別々に呼ばれてはいるが結局別の呼び方なだけで大元は一緒と言うことなのだろう。

 つまり魔術を使える素質があればそれは呪力、気が使える事と同義であるという事だ。

 気は別物だと思っていただけにこの発見はでかい。

 アレクの説明は続く

 

「こういった超常の術を扱うもの達には性別による力の差は無いと言われてはいるが適正自体は女の方が上だ。各地には媛巫女や魔女と呼ばれる女達の名声がデカい事から其れが分かる。あとは俺達カンピオーネと神には纏う呪力の差が隔絶しているため魔術が効果はほぼ無いが、西欧戦闘魔術とインド魔術の秘奥は絶大な威力をもたらす物だと言う事を覚えておけ」

 

 西欧は解らないがインドは洒落にならないと言うのは前世の記憶からも判っているので首を縦に降る。

 

 核ダメ絶対、魔術世界でもそれを示していきたい。

 

「さて、質問はないか?ないな、では次へ行くぞ」

 

 地味に長達から手が上がっているのが見えたがガン無視で次へと映るアレク、いやよく見れば上げていた人達に神速でチョークが当たった跡が…ホワイトボードなのに何処から出したんだろう。それ以前によく無事だなこの人達。そんな疑問がありながらも次の説明へ。

 

「それではカンピオーネについて説明する」

 

 今一番知りたいことであるカンピオーネ。ぶっちゃけ自分の中では神を殺した者、直感が鋭い、なんか筋肉が違う、ぐらいしか分かってない。

 余り見たこともないし聞いたこともない事柄であり現状でもある。

 

「カンピオーネとは神を殺しその神の力――権能と呼ばれるものを簒奪したものの事だ。呼び名としては色々あるが、主に《神殺し》《魔王》《羅刹王》と呼ばれる場合が俺は多い」

 

 俺は多いのかよ、なら他の人たちは何て呼ばれてるんだろう。別のカンピオーネと出会ったら聞いてみよう。

 それはそれとして権能のことだが、それは美術館での戦闘で使った力の事だろう。

 色々あって獲た権能だが取得してから数時間しか立ってない、今思うが状況が変化しすぎである。

 

「ちなみに初めて神を殺したときには、権能を簒奪する他にパンドラと呼ばれる女神による一種の人体改造が行われる」

 

 思わず吹き出しかけた自分は正直悪くない、だから睨まないでください。

 

「俺との戦いの中でも覚えがあっただろう?動きの冴え、直観、集中力、そして呪力の量。このどれもが違っていた筈だ」

 

 確かに、直観と筋肉の他に変わった事と言えば神殺し前と比べてかなりの量のアイテムが展開出来ていた。今まで何を消費しているのかわかっていなかったが人体改造の話と合わせると、呪力を媒介にしていたんだろう。

 

「この肉体改造をしなければ神の力と言える権能を使用出来ない。それに神とこれからも戦っていくための土台を作っていくためでもある。最低でもこれらがないときついからな」

 

 きつい?

 その言葉に疑問を浮かべ質問しようとするがアレクが、ここからが大事だ、と前置きを入れた。

 

「基本的な事としてカンピオーネは強者ではない――勝者だ。これを頭に入れておけ。俺達は実力のある相手等関係なしに勝つ種族だ、そして実力差のある相手と戦う事が義務化している種族でもある」

 

 義務、この言葉には嫌な予感しか覚えない。まさか、と脳裏に戦慄が走る。

 

「――まつろわぬ神、神話の外へ抜け出した厄災。これを相手取り勝利することがカンピオーネの義務だ」

 

 そんなラスボスレベルの相手と何度も相対しないといけないとか無理じゃね?

 

 

 

 

 

 確実に目が死んでいるであろう自分にアレクは目を向けるが、鼻を軽く鳴らしただけで無視。先生ヒドイや。

 

「それでは――この世界にいる神、善神悪神関わらず人々に厄災をもたらす傍迷惑な存在、まつろわぬ神についての説明をする。まつろわぬ神とは、世界各所に伝わる神話の性質を持ちながらも神話の役目に背いて自侭に振る舞い厄災をもたらす存在だ」

 

 危険度MAXに近いレベルの世界に生まれ落ちていた事実が発覚、この先自分が闘うものがどのような存在なのかがぼんやりと理解出来た。

 つまり、神話の闘いをしろと。前世の記憶を省みて何て遠い世界に来てしまったのだろうと秘かに思った。

 

 説明は続く

 

「魔術的要素を一定量持つものはその存在を知覚出来るがそれ以外の人間にはただの自然災害にしか見えない。まあ顕現した神によるんだが」

 

「はい!アレク先生!質問です!」

 

「奈落、質問は一言以内だ」

 

 何か厳しい返答が来たがまあ、取り敢えずは気になった事を一つ

 

「まつろわぬ神て言ってますが、神話に出てくる英雄や化物なんかもまつろわぬ神扱いされるんですか?」

 

 神話と言うのは神の他に英雄による化物退治等が多い。神話の性質を持ち自侭に振る舞う存在をまつろわぬ神と言うならば逆説的に言えば、何かしらの性質が神話で描写された英雄や化物、例えば悪竜の血を浴び背中以外が頑丈になったジークフリート、例えば北欧で有名なオーディンを飲み込んだ化物フェンリルなどが顕現すると言う事だ。

 

「ああ、神話に語られる存在ならばどのような形であれ神話から抜け出しこの世に顕現する。伝承や特定の神にまつわる神具や何かしらの神話をなぞる状態があれば現れ人々に厄災をもたらす。それがまつろわぬ神だ」

 

 なんと傍迷惑な話である。神話のなぞりはそうそう無いとは思うけれどカンピオーネはトラブルメーカーだと誰かが言っていたような気がするので安心は出来ない。

 

 

「世界の説明は以上だ、ここまでで何か質問はあるか?」

 

「特にないです」

 

「ではお前が所属する《王立工廠》について説明する。これからお前が世話になるんだ、よく聞くんだぞ」

 

 何か、手のかかる生徒に指導する先生みたいな事を言ってくるアレク。軽く聞き流しながらもさっきまでアレクが立っていた位置についている人に顔を向ける。

 

 茶髪に眼鏡、そして整った顔にスーツを着ている人だ。

 

「それでは初めまして矢島奈落さん。私の名前はアイヴィ・ラッター、ここ《王立工廠》で博物館の責任者をやっております。お気軽にアイとお呼び下さい」

 

 おおイケメンだ、そう思った矢先

 

「ではお近づきの印に各国の美女たちのあられもない姿を収めた写真集を受け取って下さい、ご不満ならジャパンの肌色アニメも」

 

 ――顔の横を神速で何かが通り過ぎた、そしてアイが吹き飛ばされるのを皮切りに他の長達が飛び掛かった。

 

「奴は一応俺達が運営している博物館の責任者だ。様々な点に優れた男だが欠点が一つあってな」

 

 そのアレクの言葉に何故か直観が警鐘を鳴らした。

 

「人前でも暇さえあれば紅茶を片手にアダルト雑誌を読む――いわば変態だ」

 

 ――あ、やべえなこの組織




今年中に完結と目標を立てながらこの体たらく…やべぇよ...やべぇよ...頑張って行きますはい。

ちなみにアレクの詐欺契約書は王立工廠の次回で説明する部門が作った、飲み込んで効果を発動する契約書です。
因みにここが型月世界とカンピオーネが混在する世界だったら常に死徒二十七祖とカンピオーネとの争いが絶えない世界の様な気がする。世紀末だね!
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