アイテム使いの神殺し   作:アルリラ

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※この世界はアレクが超能力者をちょくちょく助けているのとその他諸々の要因がある為、『王立工廠』が変わっています。


第六話 人生は何が起こるか解らなすぎる

「さてさてお騒がせしました、では魔術結社《王立工廠》について説明を始めさせて頂きます」

 

 椅子に雁字搦めになっていながら何も事も無かったかのように語るアイ。辺りには疲労困憊となっている長達がいる、その点アイは特に疲れていない様子だ。長達がアイを必死に縛っている間は彼はこの素晴らしさを君に!とか叫んでいたが。

 

 一呼吸置いて説明が始まった。

 

「ここ《王立工廠》は本来ならばアレク様がとある組織に嫌がらせの為に結成したのですが、色々とありまして今は嫌がらせと神具の保管――そして超能力者の確保を主な目的としております」

 

 意外というか、なんというか例の話を聞いた為に超能力者の確保は、納得出来るのだが、保護ではなく確保と言っているため捕まえるような言い方に聞こえる。

 

「いえいえ、アレク様が恥ずかしがってるだけで実質保護に近いですから」

 

「僕もそういう感じで捕まったしね」

 

 

 銀髪の学生服も感慨深げに頷く。何だかんだで真っ当な組織なようだ。魔術結社と言うからにはヤバ気な組織に聞こえるけどもそんな事はそんなないような気がしてきた。

 建前で掲げているだけで保護に近いものだそうだし、まあ暴れた場合はそれなりの対処をするのだろうけど。

 

 それならば

 

 

 

「神具の保管て、神話のなぞりを事前に回避する為に回収して保管してるということですか?」

 

 話を聞くからに、善意的な行動をしてる筈だ。なら未然にまつろわぬ神の降臨を防いだりしてるんじゃなかろうか。

 だがしかしそんな期待の言葉は

 

「ああいえ、神具の保管は回収と言うか成り行きで」

 

 次の一言で崩れさった。

 

「大体はアレク様が――世界中から盗んできた物を、仕方なく保管しています」

 

「ここのトップは頭いってんじゃないのか!?」

 

 酷い理由だ。世界中からとか、某三世じみた事を平気でやらかしてやがる。

 と、いうか国際指名手配されても可笑しくないのだが手配書も見たことがないため、何とも言えない。

 

「まあ、こんな感じで嫌がらせも兼ねて様々な事に対応していたら組織の人員も増えましてね?使わなければ意味がないとの事で、昔はチンピラ詐欺師科学者呪術師なんでもござれと言ったような感じでしたが、今ではそれぞれの人員を各部門に配置し研究と超能力者の確保を行っているのです」

 

 人員が増えたから本格的なことに着手し始めたらしい。今のを纏めるとそういうことであろう。まあ、嫌がらせだけじゃ駄目だし、妥当な判断だろう。

 組織を相手取るならこちらも組織で行くしかないだろうし、それまで烏合の衆に近いものだったろうし本格的に嫌がらせをするからには争い事は避けられない。

 

 

 

「まあ、組織の概要も説明したところで次は私が担当している博物館についてですね」

 

 この話は長いのでカット

 つまりはアレクが世界中から集めてきた神具を保管するために作った場所らしい。今では組織の大事な収入源だとか。他にも維持費やなんやらで大変らしいが自分が係わるものではないので省略。

 ただ、人員が足りない時には頼みますね、とは言ってはいたが。これは俗に言うフラグなのか。

 まあ、その内分かるだろう。

 

 さて、と。ここから他の部門の説明と聞いていたが、どうにも説明しようとする人物に見覚えがしかも前世の知識にある奴だ。

 

「じゃあ、次は僕が担当している研究部門についてだね」

 

 銀髪学生服の男が前に出る。

  その姿は記憶にはないが知識にはあった――名前は確か、

 

「っと、説明の前に自己紹介」

 

 漫画、絶対可憐チルドレン。その中のキャラクターでかなりの人気を誇り、スピンオフ作品が作られるほど人気のキャラであり。超能力組織のトップであった男。

 

「兵部京介、超能力者だよ。よろしくね?同郷の新人くん」

 

 彼は薄く笑っていた。

 普通なら不信感を持つが自分が持ったのは、懐かしいと思う感情。

 なんとも言えない、こんな事で感傷に浸りかけるとは。

 

「ん?僕の顔に何かついてるかい?」

 

「ああいえ、何でもないっす」

 

 そんな事に思いを巡らしたせいで彼の顔を思わず凝視していたようだ。

 

「そうかい?なら僕が長をしている研究部門について説明を始めるよ」

 

 研究部門も話が長かったので要点だけ纏めると

 

 ・研究班は複数あり班ごとに魔術、超能力、科学を研究

 ・班によっては魔術と科学の複合物の開発、超能力の制限装置などなど

 ・研究員は、様々な分野の人間が集まっている

 

 と、言った感じだ。

 入ってきた時に結ばされた契約書はここで開発されたものであり、カンピオーネ用として飲み込んで身体の内部で魔術契約を発動するという仕様になっていた。

 他には、使い魔を召喚する魔法陣をビル40階まで魔力で飛ぶ改造小型ラジコンヘリの底に描いておき高度から使い魔を召喚し敵対対象を圧殺する物や、超能力者の力を魔力で作ったカードに封じ、封印を解くとその力が使えるカードと言ったものがあった。他にもあるよ、と兵部さんは言っていたので今度見せてもらおう。

 

「いやー僕の研究部門に興味を持って貰って嬉しいね。けどまだ他の長の説明が残ってるし他の物は今度、また機会があったら見せるよ」

 

「なら、次は俺の番だな」

 

 そう言って出てきたのは

 

「管理部門の長をやっている。ダンバン・ライプニッツだ。よろしく頼む」

 

 この人もなんか見たことあるんだけど、ベジータ声だし!

 

 ●

 

 その後、管理部・調査部・経理部の説明が続いた。

 最初の変態紳士のアイさんを除き、長達はなんか見たことある人達だった。

 こんな事あるんだ、流石転生。

 そう思っていると

 

「さぁ、これで一通り終ったな。次はお前のやる事についてだ」

 

 と、アレクがそんな事を言い始めた。

 

「え、この中の何処かに所属じゃないの?」

 

「誰がそんな事を言った、お前のやる事は既に決まっている」

 

「はぁ、一応所属するのは確定してるから文句は言わないけど...自分学生ですよ?ずっとここにいる訳にはいかないし」

 

 忘れかけるが今は旅行中だ。明後日には帰る予定である。四月から二度目の高校生活に内心ワクワクしている。それがここで潰されるわけにはいかない。

 

「大丈夫だ。向こうでも出来る仕事だからな、問題は無い」

 

「それなら何とかなりそう...」

 

 

 

「やってもらうのは日本の組織の内部事情を流す事と、神具の確保。そしてまつろわぬ神討伐のさいに稀に出現する『竜骨』の確保――いわゆるスパイ活動だな」

 

 

 

 

 口から紡がれた言葉は余りにも理不尽だった。

 

「ちょっと待って、待って。え?正気?スパイ活動?一応自分カンピオーネですよ?」

 

「ではあらためて、矢島奈落。お前を『王立工廠』所属のスパイとして任命する」

 

 ニヤリ、と凄まじいまでの悪人面でそう言った。

 

「……嘘ですよね?」

 

「あの凄惨な光景を元に戻してくれる組織に入れてやったんだ、ならそれ相応の働きを頼むぞ?」

 

「ヤバ気な役職なんているか!自分はこの組織を抜けるぞ!」

 

 と叫んでいると、なんか身体の中に感じる契約の縛りが強くなった感じがした。まさか...

 

「『王立工廠』に関する俺からの命令は契約破りの権能を簒奪するか何かしないと到底解けんぞ」

 

「ちくしょおおおおおお!!」

 

 酷い、これは酷い。一刻も早く権能を得ないと不味い。自身の権能は行動の強化のようなものだが一流の魔術師がやったなら兎も角、カンピオーネのものは解呪仕様が無い。

 投影魔術で『破戒すべき全ての符』を作ればいいと思ったが、構成物質や何やらが分からないので投影魔術自体は出来るだろうがそれを作る事は出来ない。

 どうにもなんねぇ...!

 

 思わず膝を付いてしまうが気にする暇などない、これからは解呪の力を持つ権能を簒奪するまでスパイ生活なのだ。明日香っちをからかったり静花を高い高いしたり、密かに特典を使った悪戯をする暇もなく、スパイ活動。

 

「辛すぎる...!!」

 

 思わず出た声に周りの長達、そして真っ白になっていたアイスマンさんが哀れみの目で見てくるが気にしない。しないったらしない。

 

「...ふん、奈落については俺が権限を預かろう。何かしらこいつに頼みたい事があれば俺に申請。じゃあ長達は解散しろ、あとは俺とアイスマンでこいつを見送ってくる」

 

「アレク様が見送ってくるという単語を使っている...!?」

 

「すぐさま組織のみんなに一斉送信しろ!今すぐだ!明日はどんな大物神が出現するかわからねえぞ!」

 

「折角まどマギ最終回直前なのによぉ...!こんなのってありかよぉ!?」

 

「貴様らは普段から俺をどんな目で見ているのかよくわかった」

 

 前世でも思わされた人の不条理に今世でも振り回されるわけにはいかない、利用されていると思わせて逆に利用してやる...!

 そう決意を新たに顔を上げると辺りには積み重なった長達の姿が

 

「なんだこれ」

 

「気にするな、一先ず、今日は解散だ。スパイ活動についてはお前が日本に付いてから資料を届けさせる」

 

「あ、はい」

 

 アレクから呪力だろう力と火花が散っていたような気がするがアレクの発する雰囲気に呑まれて何も言えなかった。

 死屍累々のような長達を会議室に置き去りにしたまま会議室を出た。あのままにしていて良いのかと思ったがまあ、何とかなるだろうと思考に蓋をした。これ以上考えてアレクになんかやられるのはいやだし。

 

 受付の前を通り、外に出る。

 

「うい、寒」

 

 あの戦闘から地味に時間は経ち、朝の忙しい時間帯は過ぎ去り今は徐々に昼に向かって時間が進んでいる。

 なので、日本は今の時間帯だと春の陽気か感じられるのだが、日本とイギリスは同じ北半球である為、季節に差はない。が、気候の性質が違う為温度に差が出てくる。

 日本はこの時期は桜が咲く位に暖かいが、イギリスは冬と比べそこまで寒くはないが雨が降るため気温は低い。

 

「これを使うといい」

 

 と、横合いから上に羽織るカーディガンを差し出された。思わず差し出された方向を見ると微笑みながらアイスマンさんが差し出していた。

 

「あーと、有難うございます」

 

「いえいえ、これくらい騎士としては当然の行動だよ...アレクの分はないがな」

 

「おい」

 

 流石英国紳士である。

 目の前の首領(笑)とは違うな。

 

 いそいそとカーディガンを羽織、歩く。

 横にはアレクとアイスマンが付いてくるのだが何がしたいのだろうか。説明会の間に呪力が権能行使出来るぐらいまで回復したのでさっさとホテルに戻って寝たい。と考えていると

 

「今回の件に関してはすまなかった」

 

 アイスマンさんが唐突に謝ってきた。

 突然な事で狼狽える、何か自分やったっけ?

 

「今回の一件は一般市民であった君を巻き込んで締まい、カンピオーネにしてしまった。意図しない形で君を裏の世界に関わらせ、闘争の運命を背負わせてしまった。本当にすまない」

 

 今回の件、それはきっとスリス――まつろわぬミネルヴァの事だろう。自分を客観的に見ればどんな主人公だ馬鹿野郎と言いたくなるが、立場が変われば考えは変わる。現に今もアイスマンさんは自分に対して何かしらの責任を感じているのだろうか。

 

「まつろわぬミネルヴァについてはアレクから調査し対処しろと命令が下っていた。それを遂行出来ず、顕現をさせてしまいその上を君を...巻き込んでしまった」

 

 それは、自分が顕現するのに必要な条件を満たすのに手を貸していたから

 

「君は自分のせいだと言うだろうが、そもそもまだ君は子供なんだ。このような舞台に立ち上がるのに必要なものが足りていないまま強引に這い上がって来てしまった」

 

 確かに本来ならば足りないだろう。

 教養、人付き合い、礼儀、言葉遣い。それに魔術的素養。

 この世界に入るのに足りないものは多すぎた。

 

「もういいんですよ、アイスマンさん」

 

 だけど、それはもう過ぎ去った事で。

 彼女については正体を知って、殺しあった時にもう覚悟は出来ていたから問題は無い。

 

「子供ですけど、自分は残念な事にカンピオーネです。そんな常識に囚われていたら付き合いきれませんよ?」

 

 ニッコリと微笑む。が、アイスマンさんはどうにも納得出来ていないようだ。

 

「君はカンピオーネだと言うのは解っているんだが...」

 

「アイスマン、これ以上奈落を引き止めてやるな。さっさと帰りたがっているから早く返してやれ」

 

 アイスマンさんが何か言おうとしているのをアレクが待ちきれなかったのか、強制的に終わらせた。助かったような気もするけど、何を言おうとしていたのかが気になる。

 

 

 

「さて、奈落。お前の任務については日本の家に資料を届けさせる」

 

「ウィッシュ」

 

「きちんと返事をしろ」

 

「はい」

 

 余りいない同族のカンピオーネ同士だと言うのに、何故こうも短時間で上下関係が決まってしまったんだろう。

 

「その他の『竜骨』については...資料に載せる」

 

「面倒くさがりすぎでは?」

 

「静かにしろ」

 

「はい」

 

 契約のせいで逆らえん。教えてほしい。

 

『竜骨』

 

 まつろわぬ神倒すと出るとか言ってるし...ドロップ品の様なものか、俗に言うボス素材的な。そう考えると神によっては、神話のなぞりを起こせるだろうけど、面倒い事に使いそうな気がする。

 ま、今は気にしてもどうにもならない。成るようになれだ。

 ...ひっそりとちょろまかして何か作るのもありだな。

 

 

「あとは...そうだな、まだ未確認だが神殺しが誕生したらしい」

 

「は、マジで?」

 

「どうかは知らんが、イタリアでも最近おかしな事が起きていたからな。万が一もあるかもしれん。しかもお前と同郷と言う話もある」

 

「うえ、マジか。イタリア...護堂、大丈夫かな」

 

「誰だそれは?」

 

「幼馴染みです。何か知り合いに届け物しにイタリアへ行ってるんですが今のを聞いて心配で...」

 

「もしかしたらそいつかも知れんがな」

 

「またまたそんな、幼馴染みがカンピオーネとかどんな確率ですか...」

 

「それもそうだな。まあ、同郷のカンピオーネとの縁をもぎ取れれば取っておけ。カンピオーネ共は大体がろくに話を聞かない奴らだが、そいつは同郷のよしみで話を聞くやつかも知れないからな」

 

 大半が話を聞かないなら同郷の奴も話を聞かないやつだろ絶対。

 逆らえないから帰ったら接触するけどさ。

 

「長引いたが、これで連絡事項は以上だ。何かあったら此処に連絡しろ」

 

 そういって電話番号が書かれている名刺の様なものを渡される。達筆でよくわからんがアレクのあのややこしい名前が書いてあるんだろな。

 

「じゃあお世話になりました。それと今後とも宜しくお願いします」

 

「ああ」

 

「奈落さん、今後辛くなったら私を頼ってください。平穏無事に暮らせる場所を紹介しますよ」

 

「ええ、まあその時は宜しく御願いします」

 

 何故アイスマンさんは、ここまで自分を心配してくれるんだ...カンピオーネにそんなもんないとは思うのだが。

 

「ではこれにて『我が振舞は千の執行へと繋がる』」

 

 

 

 アレクとアイスマンさんから身体を背け、聖句を唱える。

 

――身体が全能感、何でも出来る感覚に包まれた。

 

 そしてそのままイメージするのは描写。

 前世の記憶と今世の知識にある、瞬動術と魔力放出を思い出し、それらを同時に使うイメージを立て。

その通りに、何となくやって見る。

 

「うぉおお!!」

 

 ――身体が前へ吹き飛ばされるように進む。

 咄嗟に虚空へ足を乗せ飛び上がり、進む。

 何度も、継続的にイメージし、前へ。

 感覚を掴むと魔力放出と瞬動術を継続使用イメージが要らないレベルで運用可能になった、そんな状態でダッシュキノコを作り使用。

 今以上の加速をする身体。普通ならば耐え切れないスピードだが不思議とこの身体は耐えていてくれている。カンピオーネすげぇと思いながら前へ進む。

 凄まじい開放感に溢れる感じがするのでそれに浸っていると。

 

 ――付近のビルを突き破った。

 

「あ、やっば!!」

 

 すぐさま、懐からスマートフォンを取り出す、様々な戦闘に有りながらも無事な一品である。そんなスマホを飛んでいかないように傷だらけの画面を操作、記憶にあるアレクの名刺の番号に連絡する。

 

「アレクだ、誰だ貴様」

 

「自分ですよ自分!奈落です!」

 

「どうした、何があった?お前が飛んでいってから数分もたっていないが何かあったのか?」

 

「ああ、えーとですね...」

 

  二つ目のビルを突き破る。

 中の人達が驚くのが見えた。

 

「あ、やっべぇ!!」

 

「おい!奈落貴様ァ、何をした!崩れる音がしたぞ!」

 

「事故処理頼んました!」

 

「おい待...!」

 

 そしてそのままビルを突き破りながら、泊まっていたホテルの屋根に上手い具合に飛び降りる。そしてうしろを振り返り、絶句。そのままホテルの玄関まで急いで降り、鍵を受け取り部屋へ行き荷物を纏め素早く鍵を返しホテルから脱出。目の前の光景に目をそらしながら逃避的に呟く。

 

「よし、日本に帰ろう」

 

 ――目の前では複数のビルに穴が空き、たまたま居たであろう魔術師達が必死に催眠魔術を掛けまくっているのが見えた。

 

 ⚫

 

「ああ、やっと帰ってこれた」

 

 様々な事が起こりすぎてパンクしそうになった、イギリス旅行も終わり日本に帰ってこれた。これからはスパイ活動と同郷らしいカンピオーネとの接触を図らないといけない。

 

「やっぱり嫌だなぁ……」

 

 住宅地を歩きながら呟く。

 自分勝手に生きていきたいのだが、ここに来て神殺しになるは組織に入れられるわで、ろくな事がなかった。

 

そんな反面楽しみにしている自分がいるのも分かっていた。心の底では憧れていた非日常にやっと足を踏み込めたのだから、此処に来るまでの幼き頃からの努力は無駄じゃなかったのだから。

 

 そう思いながら家にたどり着き玄関に手を掛ける。すると、幼馴染みの声が聞こえきた。何はともあれ電話でも確認していたが無事だったらしい。

安心しながらも返事を返そうと振り返った時

 

「おー奈落帰ってきたのか!聞いてくれよ、イタリア旅行散々な目に……ッ!?」

 

――草薙護堂から溢れ出る呪力の波に思わず固まってしまった。

 

護堂も思わずと言った感じに固まっている。

 

「うぇ……?まさか、護堂……!?」

 

 上擦った声で尋ねる。護堂も、自分がアレクから聞いたように誰かから聞いたのを思い出したのだろう。

 

 同郷のカンピオーネがいるという事を

 

「な、奈落お前……!?」

 

 護堂も同じように問う。

 

 まさか、こんな巡り合わせがあるなんて信じられない。

 

そうして、お互いがお互いを指差し、告げる。

 

『 お前が、同郷のカンピオーネなのか……!?』

 

――それが、自分達。草薙 護堂と矢島 奈落の、混沌と波乱を含んだ生活の始まりだった。

 




※今作品は2011年を舞台にしております。


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