三浦玲二詩集 作:三浦玲二
捻くれ、歪めて曲げる。
第一章『表』
『斜心』
写真には写らない
ささくれ斜めった心の模様
いつかまではあったはずの
体の中の芯一本は
今では、もう歪み傷ついている
歳若さ故の純朴な
あの時は今も忘れられない
けれども、景色に立つ僕は
どうしてなのか
こうして斜めに見える
『孔服』
豪奢で煌びやかな衣装を纏い
今日も夜待ち華街へ
褒めては煽てられては悦に
浸り浸って酒が沁みる
あぁ、幸せだと呟くも
楽しいひと時もあと少しだけ
でもでも、今日が終わるだけ
明日も明後日も
幸せに沈んでゆこう
『虚幸』
いつからの一夫多妻制だろう
どうしてだろか、馴染みが深い
嫁ほど容姿に粗が見えやすい
それでも器量も中身も良しと
時間が経つほど嫁に囲まれてゆく
いつしか、粗ばかりの嫁は去らずと
忘却の彼方に消えてしまう
それでも、その時までの想いは本物
いずれは来る別れがあろうと
多幸感に勝るものなし
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第二章『裏』
『消年焼女』
涙も渇いてしまったの
こころが枯れて果ててたの
夢路の途中と思った時もあれど
今や残るは地獄の記憶
命綱もいつの間にか、見えない
聞こえていたはずの声も、今は聞こえない
救いなど願って叶わずで
今は自分と今生の別れ
だから、今こそ楽しむとする
だから、今こそ喜ぶとしよう
『同帝庶如』
どんなに容姿が優れていようが
生物学的にとか言われてしまえば
お前も私も貴方もウチも
価値など変わらぬ
同じ王様、同じ庶民
未通を貫き、魔法使いに
なるんだ、となんの負け惜しみか
はたまたとんだ皮肉か
偉くて偉くないし
けれど、そこにいる貫通済み
の、人とまた価値は変わらぬものよ
『聖婦』
異性と身体を幾度なく
重ねて大枚燃やしてみたら
時代錯誤の成金みたい
更に重ねて重ねていけど
たまるは貨幣のみ
心が贅肉を削ぎ落とされて
ただただ綺麗な黒に染まる
美しさなんてものに
永遠は存在してくれない
けれど、心が綺麗になるのだから
今は娼婦か毒婦と呼ばれようとも
このままいよう
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第三章『真』
『山痩』
地図の上に載った山々
繁栄もすれば衰退もしていく
何度も何度もその身を削りながら
一度、削ってしまった山の身体は
何年経とうが治らない
星から見たらちっぽけな思いで
身を切っているのかもしれない
それでも、山々は己が山に住む
他の生き物の為、そして自分の為に
身を焦がしているのだろう
それでも、願われるのは
山々が永遠に近い平和な安寧と
繁栄を続けて欲しいという事だ
『声示』
民草の心中図って出陣などと
宣う事を出来る者が少なかろう
当主であり、頭首であり、統主である
内治も儘ならぬ者が異国と渡れるものか
声を聴き、想いを知れ
出鱈目言われる事もあろう
滅茶苦茶叫ばれる事もあろう
けれど、その大海に沈みゆきそうな
民の真意を掬い上げて欲しいのだ
そして、それを叶え
国を育て行くのが政治だろう
理想論?理想は語り、掲げるものだ
その、どちらも出来ぬなら
主格の資格などはない
『衰塊』
雄々しく猛々しいものも
今では盛者必衰、見る影も形もない
衆目美麗なあの娘も
這い寄る歳の波には泣かされる
衰えない、風化しない
夢幻のような奇跡の事象は
それを起こさない
魔法はあくまで物語の中だけ
だからこそ、終焉までに垣間見える
生の輝きはいつでも美しい
そして、世界もまた美しいのだ
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余韻、余白。
2015.11.15製作。