三浦玲二詩集 作:三浦玲二
【秋に攫われて】
「あきかおり」
君が目を醒ます
寝惚け眼で僕を視る
柔らかな笑顔
おはよう
少し冷たくなった風は
人肌を暖めた
「肌が冷たい」
バスから眺める空は
私のようにうつろう
風が教えてくれる
季節の変わり目を
秋刀魚がいいにほい
あなたはどこだろう
「レスポールサウンド」
電話が鳴るよ
頭のすぐ横で
電話が鳴るよ
無視出来ない
明日を潰された
自由を消された
そこにあるのは
友情か愛情か
だから僕は隣にいた
愛器を掻き鳴らす
「ぜんもんどう」
私は誰 汝は誰の
自問自答に他問自答
私は誰でもない私
そんなの聞いてない
世界の折り返しに
今 私はいるの いるはず
そんな私は誰なの
答えを求めて
あなたを探すの
世界の端っこで
【パズルの欠片】
「春は酔狂に咲く」
前見て横歩き
酒瓶片手に 桃色を
掴みや 掴めぬ
扇情色物の
女人語りて 嘯くも
英傑気にもせず
呑めや呑まれや
飽きも帰りて
宴 醒めやらず
春来たりて
冬を感ず
「夏は嵐の如く」
蒼き空に覇王樹
の花 落つる
野に風吹けば
毒蜂 舞う
灰色の暗き雲は
みず 降らす
雷鳴鳴ったが
萎縮は なきに
あの 喉は未来
夢の先を映す
夏が過ぎ
秋を感じれば
冬遠からじ
「冬の夜を歩きながら」
凍てつくような風が頬を撫でる
冷たさと寂しさを感じ
ふと空を見上げる
星は雲に匿われ視界に捉えられない
川の流れは変わらない
ただ白い川岸が見えた
街灯の眩しさから目を逸らし
儚げに咲いてる名前も知らない
花を見下ろした
冬は寒くて暗い
だから あの人と
白い吐息は宙を舞って消えた
【詩納めの幸せ】
[月見草]
終わりに手を伸ばせば
天国行きのパスポートだって
買えるなら欲しくなる
切符は片道だとしても
手にする事が出来ないから
望んでしまう 願ってしまう
届かせる事が叶わないから
憧れてしまう 羨んでしまう
月が見る地球の草はきっと美しいのだろう
[鎖欠けての牢獄]
暫くは味わえないのか
苦痛に満ちたあの閉塞感
心を蝕んでいく虚無感
負にただ落ちていくだけの
光なきあの牢獄の時を
最初に味わうのは絶望
次に希望と絶望の二重奏
そして思考をやめたあの感覚
今さら世界になど戻れはしないのに
腐りかけの人形は格子に縋り泣く
[終わった始まり]
歳月を繰り返し
時を区切って終わりに幕を
始まりには光をと
決まった事の繰り返し
劇的な事はなくとも回る
劇的な事があっても回る
世界はそう出来ていた
変える事など叶わぬから
考える事を変えていった
時に正義を騙り
時に巨悪と偽り
隠し味という名の嘘を加え
世界を歩く
【こくびゃく】
四季彩に溺れてしまおう
七音に踊ってしまおう
絡繰ドールの私は誰かの
ネジ巻き待ちなのだけど
36.5度に抱かれていよう
混沌に委ねてみようか
ルーチンワーク暮らしで
退屈暇を持て余してるの
周りの敵など見えはしない
でも撫でてくれる手も見つからない
探しに行こうか
青と赤と緑と黄
夢幻虚構夢幻虚構夢幻虚構夢幻虚構夢幻虚構夢幻虚構
余波、万葉。
2009〜2015.既存作品。