黒川冬理の放浪記(旧『無と無限の落とし子』の番外) 作:羽屯 十一
どん
どん
どん
空が震える。
二十一世紀も近づいた東京の空で、何かが物凄い速度でぶつかり合っていた。
それらは幾度も交差する。
轟音をたてて喰らいついては吹き飛ばし、螺旋を描いては何かを撃ち放つ。
互いに人ではあり得ぬ力と速度で飛び交い、戦っていた。
ところがこの時と場所、よりにもよって昼日中の東京である。
もつれ合って墜落し、アスファルトを十メートルの余も豪快に掘り返しながら突き進んだ挙句空へ飛び上がったりしたもんだから、そりゃあ目立つ事この上ない。
あれは何だと道行く人々はおのおの手をかざして仰ぎ見て、次から次へと騒ぎが広がるのは当たり前だ。
こういった正体不明の戦いというのは古来より、目立たず隠れてと相場が決まっているものなのだが……実のところあれらを操る人物が、そういったわりと重要な暗黙を気にも掛けていないだけであった。
見える場所から見れば人ごみに紛れる関係者らしき人物は一目瞭然。
幼い子供だ。
瓜二つな二人の子供が喧嘩腰でにらみ合い、明らかに何かへ指示を出していた。
―――つまるところ。ただの喧嘩だったりしまして。
番外記 『黒川冬理の放浪記』
神の抜け殻をもてあそび その1
くぁ~~~~
でっかいあくびが出た。
寝転がった下ではドッカンバッキンと賑やかしい音が聞こえている。
ここは東京上空、高度300M。
少しばかり暑い都市部の気温も、この高さではちょうどいい。
天気も昼寝がはかどる素敵な日和。
日課といってもいい空でのごろちゃらをいつもどおりしていたのだが……どうにもやかましい。
ちらりと見下ろせば、どうやら懐かしい顔がいくつか。
最近口うるさくなった相棒と身内の三姉妹から逃亡してのニート三昧。しかしサボりも年単位になると、飽きてきてちょっとばかり暇なのもむべなるかな。
「
グクッと、背の下で乗り物が
まったく。使い手の魂を入れるなんて謳い文句だけあって、暇さえあれば寝るやつだ。
いい加減下も衆目が集まりすぎてる。行こう。
まぁ――ようはちょっかいかけて暇つぶそうって訳だが。
300メートルの
ノロくさく降りるんじゃない。逆落としに、地面に突き刺されとばかりのダイブ。
目標を直下に捕らえる。
組み合った、人よりもかなり大きな無機物。
精神に感応する土木より作り出されたからくり人形。
腕の付いたこけしと、右腕しっぽ付きの矢尻。
『
ぐんぐん迫る。
「開口」
ギミックが稼動し、灰皿そっくりの
叩きつけて来る風圧が抜ける。
俺は慣れている。ふちの保持具をがっちり握り、同時に生き物じみた動きでアームの一本が背を支えた。
加速に加速を重ねた速度は、格闘中の二機からすれば虫を取る鳥。
五十
三十
十
至近。
今。
「喰え」
そんなこんなで『神様ドォルズ』でした。