当クロスではファフナー勢はゆゆゆ勢の勇者システムに合わせた戦闘スタイルとなるためか独自設定が多いです。そのため色々超展開気味だと思います。
以下、会話の括弧書詳細。
「」:通常の言葉での会話。
《》:電話やシステムを通しての会話。
【】:思念(テレパシー)関連の会話。
2016/2/6 誤字&一部加筆修正
2016/2/22 表現一部修正
-一騎&総士のクラス-
犬吠崎姉妹が邂逅したその頃、友奈・東郷の隣のクラスではもう一組がこの異変に巻き込まれていた。
「総士、これは!」
一騎は流石に自分たち以外の時間が止まってしまうともいえる異様な状況ははじめてだった為少し困惑気味だった。しかし、このような異質な状況でも冷静だった総士が立ち上がる。
「……一騎、どうやら僕たちのやるべき時が来たようだ」
「(!?)じゃあ、これが」
既に総士たちから説明を受けていた一騎はこの事象が何かを思い出す。
「あぁ……『敵』が来た!」
総士がそう叫んだと同時に彼らもまた壁から迫る光に巻き込まれる。強烈な閃光に目を瞑った一騎だったがその瞼が開かれるとそこは未知の世界ともいえる異質な空間が広がっていた。しかし、彼にとってはどこか見覚えがある場所のように思っていた。
「『樹海』だ…。神樹が展開する結界で敵との戦場とも言える場所だ」
一騎の元へ総士が説明しながら歩み寄る。
「竜宮島の戦闘フィールドのようなものか……それにしても前に神樹と会った所に似ているな」
「同じ場所だからな」
なるほどと一騎が頷く。
【一騎さん、総士さん聞こえますか?】
不意に頭の中に声が響く。声の感じから神樹が2人に呼びかけたようだ。
【……バーテックスの侵攻がはじまりました。それに応じて『あの存在』も……準備はよろしいでしょうか?】
「あぁ」
「僕も問題はない」
【それでは貴方達のこの世界に合わせた力を……!】
端末がほのかに光を放つ。一騎は画面を見ると表示が変わっていた。何故か背景のロゴには何故か
『Alvis』
の文字があった。
【総士さん達のおかげでなんとか完成させることが出来ました。一騎さん、総士さん…どうか…私が選び戦う
神樹の声が遠ざかるようにして聞こえなくなる。すると、一騎は総士へと向き直る。
「それでどうする?」
「これを使ってみんなの所へ向かう。時間がないから説明しながらの移動になるぞ」
「分かった」
総士が携帯のアプリを起動しマップ画面を表示させる。そこには彼らにとって見知った人たちの名前が表示されており、2人はその人たちと合流するために樹海のなかを進んでいった。
「待て、一騎!」
総士が突如として足を止める。一騎はどうしたのかと聞こうとしたが戦闘中なのか轟音が辺りに響く。
「総士、あれが」
「あぁ。この世界の敵である『バーテックス』だ!」
2人は偶然にも見晴らしのいい位置にいたためそこから神樹が選んだ勇者とこちらの世界の侵略者バーテックスの戦いを眺める。
「友奈たちの使っているのがこの世界での力なのか?」
「そうだ。『勇者システム』、四国を守護する神様である『神樹』の力を扱う為に大赦が開発した討伐システムだ」
「それで『勇者』と呼ばれるのか…っ!?」
総士が淡々と説明していく中、勇者部の3人はバーテックスを取り囲む。そして、バーテックスからコアのようなものが摘出され、友奈と風はそれに攻撃を加えるとバーテックスの残された体は砂となり崩れていった。
「……普通の女の子があそこまでやれるなんてな。ある意味凄いな」
「……そうだな」
「…総士?」
一騎は総士の表情の僅かな変化に気付いた。さらにそれを踏み込んで聞こうとした。その時である。
「(!?)なんだ!」
「あれはっ……!」
2人は上空から迫る光の玉に気付く。その光の玉が弾けその正体が露わになる。
「……(ソロモンに応答有り…だが種類は分からず。やはりこちらの世界での独自の進化個体か)」
総士が無言で端末のアプリを操作し金色の敵を解析し始める。
【あなたはそこにいますか】
「…ッ!?」
「あれが神樹の言っていた『敵』か!」
一騎と総士は金色の敵の声により背筋が凍るような感覚に襲われる。そして、一騎が前へと出る。
「……行くのか?」
「あぁ。どうすればいい?」
総士は一騎の意図を接したかのように言葉を続ける。
「簡単だ。アプリに意志を示せばいい。だが、前のファフナーとは勝手が違うぞ……また飛ぶことになる。飛べるか、一騎」
「……飛べるさ。俺とお前なら。そうだろ」
一騎と総士は携帯端末のアプリに触れる。2人は光に包まれると一方は友奈たちの方へ、もう一方は東郷のもとへと飛翔する。
―――――――――――
――― 時は前話の直後へと戻る……。
side:東郷美森
「……何? 今度は何なの?」
友奈ちゃんと風先輩が突然現れた金色のバーテックスに捕まったけど一騎君が助けてくれた。……と思ったら今度はこっちにも光が降ってきた…。
光が収まるとそこには一騎君と同じような服装だけど深い紫色のコートを纏ってる。
「…無事か、東郷?」
「総士君! その姿……」
同じ勇者部の一員である総士君がそこにいた。
「幾分か説明する事もあるが今はそうは言ってられない状況だ。友奈と風先輩が樹に連れられてこっちに来る」
「でも、あのバーテックスはどうするの?」
「あれは一騎がやる」
「一騎君が!?」
いくら一騎君とは言ってもあの化け物……。
「今から僕がそのサポートをする」
そう言うと総士君は端末の操作をし始めて呟いた。
「一騎、聞こえるか?」
《あぁ、聞こえる》
「今からシステムとの完全なクロッシングを行う……エンロール完了、クロッシングを開始する!一騎…僕が見ているものが見えるか?」
端末を操作すると何もない空間にいくつもの画面が出現し総士君はそれを操作しはじめた。
side out
――――――――――
「ああ…見える」
『ジークフリード・システム』 ――― 一騎たちの世界での戦う力ファフナーの指揮管理システムのである。それは一騎や総士の使っている端末にはそれが内蔵されており、総士はシステムを起動させる事で一騎の脳の被膜神経に
金色のバーテックスは一騎に対し綺麗な声で問いかけるように。
【あなたは、そこにいますか】
そんな一騎は後ろにいる友奈や目覚めかけてるも意識が朦朧としている風を抱えている樹の姿をちらりと1回見る。そして、口を開いた。
「ああいるさ、……ここにな!」
その『答え』と同時に風ははっと目覚める。
「……いけない。そいつに『答え』ちゃ駄目!」
風がそう叫ぶと金色のバーテックスは一騎の方へと高速で向かってくる。一騎は3人から離れるように駆け出した。
「バーテックスが一騎さんの方に向かってます!」
「まさか…真壁のやつ、囮を…」
「風先輩、どういう事なんですか?」
金色のバーテックスについてある程度聞いている風が2人に説明をする。
「あの金色のバーテックスは…質問を何度もしてきて、『答えない』と問答無用で襲ってきて、『答える』と『同化』しようとしてくる」
「ど…同化って」
「さっき、私と風先輩が受けたやつですよね。……それじゃあ一騎君は!」
友奈は一騎のとった行動の意味に気付く。
「……なんだか感覚が違うな」
一騎は総士からもらったアプリの説明を一通り目を通してある。島にいた時は刷り込みのように情報を覚えさせられていたが、こちらの世界ではそれはないためでもある。さらに、神樹がこちら世界で使えるようにした専用の戦闘システムはファフナーに近い感覚で動かせるようなっているとあった。
だが、実際に使ってみるとその感覚の違いに今、戸惑っていた。
《そのシステムは言わば人間サイズ化したファフナーみたいなものだ。…まあ、サイズや今の状態だと違和感があるのも仕方ないが一応は『エインヘリヤル・モデルのマークエルフ』くらいの追従性はある…来るぞ!》
総士の指示を受けながらも友奈たち3人から敵を引き離す一騎。彼は消耗した友奈たちや東郷の安全のために囮として移動している。
目論見通り、追跡してきた敵は『同化』しようとその触手を一騎へと伸ばす。
《この辺でいい。一騎、敵を迎撃しろ!》
【分かった】と声でなく思念で返した一騎は伸ばされた触手を回避しその懐に入ると『ルガーランス』と呼ばれる槍で斬りつける。袋のように見える胴体を横薙ぎに引き裂く。
【!?】
突如の攻撃に敵は明らかに面をくらったようになる。残った触手を刃のように変えるとそれらを振り下ろしてきた。それを一騎は尋常ならざる反応速度で回避し、その一本を両断する。
「一騎さん、凄いです!」
「でも、さっきは友奈ちゃんや樹ちゃんの攻撃をあっさり避けたのに…一騎君が凄いのかしら?」
友奈と風を引き連れ東郷と総士の元へと辿り着いた樹は一騎を賞賛する。東郷は敵が先程の友奈と樹の攻撃をあっさり避けたのに一騎の攻撃には対応できていないことに疑問をもった。
「東郷、あの金色のバーテックスは『同化』の他に『読心』って能力も持ってるの」
「『読心』ですか?」
「それって、心を読むって事ですよね?」
「そうよ。さっき友奈と樹の攻撃が避けられたのもそれよ」
「そして、今は僕がシステムを起動させて『読心』に対する防壁を展開している。『読まれない』からこそこれで敵と同じ土台で戦うことが出来る」
風と共に空中に浮いたいくつもの画面からあらゆるデータを照合し操作していた総士が東郷の疑問に答えていく。
そのようなやり取りをしていると状況に変化があった。触手を何本も切り裂かれた敵に一騎が
「っ…!?」
槍に触手が纏わりついていた。無理やりにでも突き込もうとした槍だがこれ以上敵を貫けない。そう思っていると音をたてて
《(!?)一騎、離れろ!》
総士の指示と同時に一騎はその場から離脱する。すると敵の背後に黒い何かが蠢いたように見える。
そして、周囲の何もないところに黒い球体を何個も発生させる。まるで敵が自分の危機を察知し身を守ろうともがき無差別に放ってくる。
一騎は自らにくるものだけを避ける。しかし、球体の一つが樹海の一部に接触。呑み込まれた根の部分が抉れたように消えていた。
《『ワームスフィア現象』…ひと通りの基礎現象は押さえてあるのか! 一騎、樹海を傷つけるな!》
「くっ!」
一騎は樹海を極力傷つけないように回避に専念しながら右手に破損した
「(!?)総士、みんな危ない!」
無差別に放たれた一種のブラックホールとも呼べる球体が総士たちに迫る。一騎はそれに気づき叫んだ。
近づいてくる狂気に東郷は青ざめる。友奈は咄嗟に東郷を風は樹を抱えその場から離れようとする。
だが、そんな状況にでも総士は動じてなかった。
「……防げ、『ニヒト』!」
球体が総士を飲み込もうとしたとき障壁ともいえる力場が発生し黒い球体を弾いた。何事もなかったのを察した友奈と東郷が顔を見上げると総士の目の前に紫色で、形状が鋭角的で各部に結晶体のような装甲所々にある。生物的でまがまがしい姿の機械人形が浮いていた。
「「精霊!?」」
ちなみに大きさは友奈たちに使わされた精霊と同じ大きさである。
「「「「(!?)」」」」
その時である。友奈たちが驚いてるのを他所に突如背後から飛んできた飛行物体が敵に煙と火をあげながら突き刺さった。
【今私にできるのはこれだけだよ。総士!】
《(!?)一騎! 『レールガン』を使え!》
総士はその正体をすぐに察し行動を始める。総士の指示と同時に動き出した一騎はハンドガンを投げ捨て敵の方へと走り出す。その間に敵に突き刺さった飛行物体が開くどうやら一種の武器コンテナのようで中から長銃のような武器が射出され一騎はそれを空中でキャッチした。
【!?】
「そこだぁぁぁぁーっ!」
一騎は敵の口をもいえる箇所に
炸裂し吹き飛ばされ無残にもボロボロとなった敵の奥に煌く結晶のような物体が露わとなる。
《敵の
「任せろ!」
すぐに右手に持っていた折れた
「……くらえぇぇぇぇ!!!」
一騎はその場から素早く離れると、敵は黒い球体に包まれてその場から消滅した。
「「「……」」」
敵は撃破されたが友奈・東郷・樹あまりにも出来事の連続により呆けていた。
「……倒した…の?」
風がそんな重苦しい空気ながらも口を開く。総士はしばらく辺りを警戒しているようで緊張はしていた様子だったがこれ以上の敵は認められない事を確認した彼は画面を閉じると警戒をやっと解いた。
「あぁ。これ以上は確認されない」
その言葉を聞いた勇者部の女子陣だったが気が抜けた影響なのか友奈・風・樹はその場にぺたりと腰が抜けたかのように座り込み、東郷は車椅子の座席に寄り掛かった。
こうして、選ばれた『勇者』と呼ばれる少女たちと『祝福を受けた来訪者』2人の最初の戦闘が終わった。
――――――――――
「……ちぃ。
――― その一方で、この光景を見ていた存在が舌打ちをするとふっと消えていった。
次回は初戦後の処理というオリジナル回となります。多分、まさかのキャラを出すと思います。
以下、解説
●ジークフリード・システム
『蒼穹のファフナー』に出てくる兵器ファフナーの指揮管理システム。当小説では現在総士の端末にこれの本体が組み込まれており、総士はこれを用いて指揮管制やフェストゥム勢力の読心を防ぐ役割を担っている。
●マークザインとマークニヒト
しばらくは精霊と同ポジションで一騎と総士をサポート。ファフナーのコアであるミールが意志を持っているという事からこのポジションで出してみたかった。
ただし、最終付近で本気を出す予定。
●武器コンテナミサイル
ぶっぱなしたのはあの子。