────・・・・・・・いつ死んでもいい。
そう思い始めたのは、いつからだろうか。
そんな事を考え『全てが終わり、始まった日』の前夜、僕は夜更かしをした。
僕の名前は佐々木 研(ささき けん)。
藤見学園に通う学生だ。
父親を幼い頃に無くした僕は、母によって育てられた。
僕にとっては、父親が残した本を母がパートに行っている間に読むのが唯一と言っていいほどの楽しみだった。
それから数年の時が流れ、母が死んだ。
過労死だったらしい・・・。
僕は親戚の家を回り、中学卒業したと同時に床主市にある全寮制の藤見学園高等学校に入学した。
それから、2年の時が流れ・・・春がきた。
また、いつもの日常が始まる・・・・・そう思っていた。
『繰り返します!現在、校内で暴力事件が発生中で[ブッ!!]ギャアアアアアアアッ!!・・・あっ・・・・・助けてくれっ!やめてくれっ!たすけっ・・・ひいっ痛い痛い痛い!!助けてっ!死ぬっ!ぐわぁぁぁあ!!!』
放送を聞いた教室中の人が・・・・・・いや、学校中の人が逃げ出した。
だが、僕は逃げなかった。
何が起こっているのか分からない・・・その思いが、逆に僕を冷静にさせた。
そして、僕は遅れて誰もいなくなった教室から出た。
廊下に出て、見えたのは────
「kすまぃいsっjうぃkjhz」
「いやああああああ!!!」
「いぢdjdじゅあうあhgんぢ」
「ああっ・・・たす、たすけっ!うわああああああ!!」
────地獄だった。
人が人を喰うという、映画みたいな光景を目の前で見てしまった僕は頭の中が真っ白になり、吐いてしまった。
僕は逃げ出した。
喰われていく人を横目に、僕は逃げた。
助けを求める人をも無視をして、僕は必死に逃げた。
僕はある教室に逃げ込み、急いで鍵を閉めて呼吸を荒くしながら座り込んだ。
呼吸が落ち着いた途端にさっきの光景が目に浮かび、また吐いてしまった。
落ち着きを取り戻した僕は、この教室が家庭科室である事を確認した。
「sっじぇふあklmしmなhkm」
!!
奴らの声が聞こえた瞬間に、急いで包丁がある引き出しをあけて包丁を取り出した。
そして、掃除用具入れのほうきを取り出して、ほうきの先を足で折る。
ほうきの先が折れたら、近くにあったセロハンテープでほうきの先に包丁を取り付けた。
気休め程度だが武器になるだろうと思った僕は、それを持ちながら、ドアの方に近づき鍵を開けて、ドアをゆっくりと開けた。
ドアを開けた瞬間に、急いで家庭科室から逃げ出した。
廊下を走っていると、一匹の奴らと出くわす。
奴らを見た瞬間に、呼吸が乱れ始める。
その呼吸音が聞こえたようで、奴らは僕の方へと向かってくる。
「あうmdhfhなおおあkmjぉs」
「・・・・・・あ、あ・・・ぁぁぁぁああああああ!!」
僕は、包丁が付いたほうきを奴らの心臓のある部分に突き刺す。
それでも、奴らの動きは止まらずに僕を喰おうと暴れる。
(死なない!?心臓を刺したのに・・・・・・!)
「hsyjkxじゃいいwmhす8じゅあm」
僕は、奴らの声に震えながらも心臓から包丁の付いたほうきを素早く抜き、頭に突き刺す。
ナンデボクハコンナニモヒッシニイキヨウトシテイルンダ
さらに奴らの頭に突き刺す。
突き刺す
突き刺す
突き刺す
突き刺す
突き刺す突き刺す突き刺す突き刺す突き刺す突き刺す突き刺す突き刺す突き刺す突き刺す突き刺す突き刺す突き刺す突き刺す突き刺す突き刺す突き刺す突き刺す突き刺す突き刺す突き刺す突き刺す突き刺す突き刺す突き刺す突き刺す突き刺す突き刺す突き刺す突き刺す突き刺す突き刺す突き刺す突き刺す突き刺す突き刺す突き刺す突き刺す突き刺す突き刺す突き刺す突き刺す突き刺す突き刺す突き刺す突き刺す突き刺す突き刺す突き刺す突き刺す突き刺す突き刺す突き刺す突き刺す突き刺す
ナンデソンナニイキヨウトスル
もう、ただの肉の塊を見下ろしながら、僕は息を整える。
息が整ったら、階段を駆け下りる。
階段を走っていると、職員室の方から悲鳴が聞こえた。
(僕の他にも生きている人が・・・・・・!?)
階段を急いで駆け下り、職員室へ向かう。
階段を駆け下りたら、職員室前には数人の人と五匹の〈奴ら〉がいた。
「くそぉっ死ね死ね!死ね死ね死ねぇぇぇ!!」
ツインテールの女の子が電動ドリルを〈奴ら〉の頭に突き刺していた。
僕を含めた四人は、目を合わせる。
「私は右の2匹をやる!!」
「麗!!」
「左を押さえるわ!!」
「僕は真ん中の1匹を!」
木刀を持った女の子が、声を上げると同時に4人は動き出す。
僕は真ん中にいる一匹の〈奴ら〉を包丁の付いたほうきで倒す。
全員が〈奴ら〉を倒すと、2本のアホ毛が特徴の金髪の女の子はツインテールの女の子に駆け寄る。
「鞠川校医は知っているな?私は毒島 冴子、3年A組だ」
「小室 孝。2年B組」
「去年、全国大会で優勝された毒島先輩ですよね!わたし、槍術部の宮本 麗です!」
「あ、えと、び、B組の平野こ、コータです」
「・・・・・・・・・佐々木 研。3年B組」
「よろしく」
木刀を持った女の子が自己紹介を始めると、みんな名前を名乗っていった。
自己紹介が終わると、返り血を浴びたツインテールの女の子が立ち上がった。
「なにさ、みんなデレデレして・・・・・・」
「何言ってんだよ、高城」
「バカにしないでよ!アタシは天才なんだから!その気になったら、誰にも負けないのよ!!」
「もういい、充分だ」
毒島さんがツインテールの女の子の肩に手を置き、言葉をかける。
ツインテールの女の子は鏡を見て、自分の制服が血で汚れている事に気づき、毒島さんに抱きつきながら涙を流した。
僕達は、職員室に入ってバリケードを築く。
「皆、息があがっている。少し休んでいこう」
「鞠川先生、車のキィは?」
「あ、バッグの中に・・・・・・」
「ここにいる全員を乗せられる車なんですか?」
「う''っっ・・・・・・」
僕が問うと、鞠川先生は声を詰まらせる。
どうやらここにいる全員を乗せられる車じゃないのだろう。
「部活遠征用のマイクロバスはどうですか?」
「まだあります」
僕の言葉に、平野君が窓の外を確認してから答える。
「バスはいいけど、どこへ?」
「家族の無事を確かめます。近い順にみんなの家を回るとかして、必要なら家族も助けて、その後は安全な場所を探します」
鞠川先生の質問に対して小室君が答える。
「なら、僕の家はいいよ。行っても無駄だからね」
「そんな事ないですよ!きっと、佐々木先輩の家族も生きてます!」
「・・・・・・・・・いや、僕の両親は幼い頃に他界してるんだよ」
「!? あ、えっと、すいません・・・・」
「あ、気にする必要ないよ!・・・・・・もう、両親の事は割り切ったから」
「そ、そうですか・・・」
「宮本、どうしたの?」
僕と小室君が話していると、高城さんがテレビを見ていた宮本さんの様子がおかしい事に気が付き、声をかける。
「なんなのよ、これ・・・・・・」
「麗、どうした・・・・・・ !」
テレビに映っていたのは、一言で表すなら地獄だ。
町中、日本中、世界中で〈奴ら〉が溢れかえっていた。
この時に、僕らは実感してしまったんだ・・・・・・僕らが慣れ親しんだこの世界は、壊れてしまったのだと。
「信じられない・・・・・・・・・たった数時間で世界中がこんなことになるなんて・・・
ね そうでしょ?絶対に大丈夫な場所 有るわよね!?きっとすぐいつもどおりに・・・・・・」
「なるわけ無いよ」
「そ、そんな言い方しなくてもいいじゃないですか」
「孝君、これはパンデミック・・・なんだよ? 仕方ないんだ」
「パンデミック・・・・・・」
暗い空気が漂うが、毒島さんが声を出した。
「家族の無事を確認した後、どこかに逃げ込もう。ともかく、好き勝手に動いていては生き残れまい。チームだ チームを組むのだ。生き残りも拾っていこう」
「どこから外へ・・・?」
「駐車場は、正面玄関からが一番近いよ」
「・・・行くぞ!!」
宮本さんの問いに僕は答えると、小室君が声を出しみんなの先頭に立ち歩き出していく、みんなもそれに続き歩き出す
「最後に確認しておくぞ、無理に戦う必要はない、避けられる時は避けろ!」
「それから奴らは音に敏感よ!気をつけて!」
職員室を出てからすぐの階段から悲鳴が聞こえ、全員は階段を走り出し階段を駆け下りると、奴らを倒した。
「あ、ありが・・・」
「大きな声はだすな、噛まれた者はいるか?」
「え・・・いません いません!」
「大丈夫みたいだね、僕らは学校から逃げ出すんだ 一緒に来るかい?」
僕は感染者がいないことに安堵しながら、生存者である生徒達に質問する。
「え、えぇ!」
玄関前に着くと奴らがうようよと群がっていた。
「やたらといやがる・・・」
「見えてないから隠れる事なんて無いのに」
「じゃあ、高城が証明してくれよ」
「えっ・・・!?」
「たとえ高城君の説が正しいとしても、この人数では静かに進むことなどできん」
「それに、襲われたときにこの人数じゃ身動きが出来ない・・・・・・」
「玄関を突き抜けるしかないのね」
「誰かが・・・・・・確かめるしかあるまい」
(誰かが・・・・・・か・・・)
僕は全体を見渡し、覚悟を決める。
「僕が行くよ」
「! 佐々木先輩、ここは僕が行きます・・・!」
「後輩を守るのも先輩の役目だろ? カッコつけさせてよ・・・」
「佐々木先輩・・・」
僕はは奴らが群がっている中心部にゆっくりと足音を出さずに歩く。中心部に着くと、奴らは僕に見向きもせずにさまよっている。
(本当に見えてないのかな・・・?)
僕は近くに落ちていた上履きを手に取り、遠くへ投げる。
頼む、あっちへ行ってくれ
奴らは上履きが廊下に落ちた音へと向かっていき、玄関前には奴らはいなくなる。
僕が玄関の扉をゆっくり開けると、皆が静かに近付いていくるが、その中の一人の持っていた刺又が入り口の枠に当たり、大きな音を立ててしまう。
その音を聴いた奴らが集まってくる。
「走れ!!!」
小室君はその音を聞くと叫ぶ。
「なんで声だしたのよ!黙っていれば、手近な奴だけ倒してやりすごせたかもしれないのに!」
「あんなに大きな音が響いたんだもん!無理よ!やあ!」
高城さんは小室君にそう言うが、宮本さんがその言葉に奴らを倒しながら返す。
「話すより走れ!!」
ほぼ全員がマイクロバスの近くまで来るが、奴らがまだ群がってきている。全員が乗るために、小室と佐々木と毒島は入り口近くで奴らを倒していた。
「急げ急げ!」
「早く乗れ!いつまでも支えられないぞ!!」
小室がそう叫んだとき、小室の死角から一体の奴らが襲いかかる。
「孝ぃ!!」
「!? ああっ・・・!」
小室が奴らに襲われる瞬間、近くにいた佐々木が咄嗟に小室を庇い、奴らに噛まれてしまう。
「佐々木先輩!!」
「佐々木くん!」
「あ、あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"!!!」
佐々木は肩の肉を喰い千切られ、血が流れ肩を喰い千切られた痛みから叫ぶ。
佐々木の肩の肉を喰い千切った奴らは毒島の木刀で倒される。
「佐々木・・・先輩・・・・・・ど、どうして・・・?」
「さっきも言っただろう・・・・・・? 先輩なんだから、カッコつけさせてよ」
佐々木は肩を抑えながら立ち上がり小室に向かって軽く微笑む。
小室は涙が目に溜まり、一筋の涙を流す。バスの中にいた皆も暗い顔を伏せる。
「佐々木先輩・・・ありがとうございました・・・・・・!」
「・・・・・・さあ、早く乗って・・・ここは僕が支えるよ」
佐々木の言葉で小室と毒島はバスへと乗り、バスは奴らをなぎ倒しながら校門を出て行った。
「行っちゃった・・・・・・あぁ・・・痛いな・・・・・・・・・寂しいな」
佐々木は自分の武器を握りしめながら呟く。
そして、奴らへと突っ込んでいく。
佐々木はここが自分の墓場だと決めたのだ。
奴らを倒していくが、肩の痛みに気を取られ囲まれてしまう。
「ここまで・・・かな」
そう呟くと、奴らは佐々木の全身の至る所に噛みつき肉を喰い千切る。
「あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"!! 痛い痛い痛い痛い痛い痛いksjすじぇjdmsかかいあk!!!!!! 」
佐々木は全身の痛みから言葉にならない叫び声をあげる。
「ボクハ───」
佐々木は噛み千切られて細くなった腕を空へと伸ばす。
「──────イキタイ」
その瞬間、佐々木の腎臓付近から鉤爪状になっている4本の何かが生え、周りの奴らを全てその何かでなぎ払う。
────この世界は間違っている
佐々木は人差し指を軽く曲げ、親指で音を鳴らす。
────
佐々木の両眼は眼球が赤く染まり、人間とは思えない何かになっていた。
────
佐々木は奴ら上空へ跳び、『
奴らの体はバラバラになり、肉と血が飛び散る。
────
佐々木は近くにいた奴らに飛びつき、耳を噛みきる。
「 不味いな・・・まるで腐りかけの魚の腸みたいだ・・・・・・ 」
佐々木は口元に着いた血を手で拭う。
────
「・・・僕を喰ったんだ。僕に喰われても、仕方ないよ ね?」
────
喰う者だった奴らが喰われる者になり、喰われる者だった佐々木が喰う者になった。
────・・・・・・
「・・・・・・僕は思う 世界が間違っているとすれば 歪めているのは───」
風が吹き、桜の花びらが舞う。それと同時に佐々木の髪も揺れ、黒色だった髪は白い髪に変わる。
「────この世界に存在するもの すべてだ」
続かない