さいよわ───チートなエルフと魔人が護る最弱な彼女が綴る異世界黙示録   作:ぴんぽんだっしゅ

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街への帰還

色々あったけど無事氷の川から帰って。

報告の為にディアドの酒場に戻ると、店主であるディアドはいつもの様にカウンターの上のグラスに酒を注いでいるとこだった。

 

客の頼んだものか、ディアドが飲むためのグラスかまではそれはちょっと。

 

いらっしゃー…………まで声に出したとこでポカーンと固まったまま視線はこっちを見ている。

その大きな双眸で。

注いでいるグラスから酒があふれ出すのに気付いてないみたい。

 

そんなディアドに構わずカウンターの前までヘクトルがずんずんと進んでいく。

その後ろを、ヘクトルから店の扉の前でシェリルさんを任されたわたしが着いていく。

 

「早いね、まあ氷トカゲを1匹でも減らしてくれてたら依頼料も少しは…………って。そ、そう言えば報酬は要らないって話だっけ。まあ、1杯奢るよ。好きなの頼みな。心配しなくたってすぐ王都の討伐隊が来てくれるって。あんた達が出た行き違いで伝文が届いてね、ってホラホラ座って座って、どーぞどーぞ」

 

気を取り直したディアドはこちらの話も聞かずに。

やっぱりヒュドラが居たら無理だったかぁという雰囲気を出しそうになったのを飲み込み、それを笑顔で隠しつつ労ってくれてるんだろうなー。

 

1杯、皆に奢りらしいから思い思いのテーブルに座って、ヘクトルだけはカウンターの隅にドサッとへたりこむように座ったけど。

 

「酒、だめなんだっけぇ?でもこれしか無いから我慢してよ♪」

 

声のトーン高く陽気にそう言ったディアドが、わたしに差し出したグラスにはギューでは無い色の酒が。

 

それに、おまけでミルクも付いてきた。

ミルクはあるんだ…………牛なのかな?

 

「ま、無事で何よりです。飲んで飲んで、どぞ。そっちの人は寝たままだけどいいのん?」

 

「そっとしたげて、今は。ちょっと疲れて…………少ーし、頑張って寝てるだけだから、シェリルさん」

 

シェリルさんは寝たままヘクトルが背負ってきたんだけど。

 

皆で転移アイテムで帰還したとは言え、すやすや気持ちそうにずぅっと寝てる…………襲撃の時は半日起きなかったらしいから、今日も寝たままかもしんない。

 

わたしが目の前に置かれたミルクをそのまま飲もうとしたら、

 

「あ、ちょっと。そのまま飲んだらダメだって。この酒の割り代わりなんだからー」

 

人差し指を立てたディアドにダメ出しされた。

ミルクも貴重なのかも知れない。

 

「割りに使うならいいけど、そのまま飲んだらお腹が吃驚するよ。酷いことになるの解ってるから止めるけど、ミルクだけで飲むのは止めときな……?」

 

一体何のミルク飲まされてんだろ。

貴重とゆうより、お腹の心配されるミルクって。

 

わかった、殺菌とかそんな問題なんだ、たぶん。

日本じゃないってホント不便だわ…………酒は、美味しかった、残念な事に。

 

ギューは安い酒って聞いたけど、これは少しは上等なのかも知れないな。

 

「で、どうだった?」

 

「地図、役に立ったよ。ありがとな」

 

「氷トカゲも倒したしね、全部」

 

わたしが返した言葉にえぇ?と言う顔で固まり、視線だけでわたしとヘクトルを交互に見る。

いつの間にかグラスの中身を空にしてるヘクトルは、カウンターを枕替わりに突っ伏しながら、ぞんざいに礼を言う。

 

もう少しお礼くらいちゃんとしようよ。

視線の合ったわたしは自分を指差して、ディアドの反応を見る。

 

なんだ、やっぱり勘違いしてるよ、ディアド。

ゆっくり頷くから、わたしもコクコクっと頷き返す。

 

「レットが行ったとは言え全部倒しちゃった………………? 嘘……」

 

「嘘じゃないよっ。誓って」

 

カシャンっと手に持ってたグラスをディアドが落とす音がした。

 

勿体無い、何やってんのディアド。

 

氷トカゲに苦労させられてたんだから当然なのかな?わたしの声に黙って聞いてたんだろう回りが反応する。

 

口々に嘘だろ。とか、いやトロルを倒した奴等だ、やったかも知れん。とか、徐々に店内にじわじわと浸透していくのが伝わってくる。

氷トカゲを倒したって事が。

 

「なんだ。もっとどんちゃん騒ぎしてるかと思ったが」

 

そこに帰ってきたレットが加わる。

冒険者風の筋肉質な客の誰かが彼に詰め寄り何事か喋ると、

 

「ははははは。そこで寝てる嬢ちゃんなんかヒュドラをこう、ザックザクと斬ってたぜ。ああ、……そうだ! 俺たちはもう水に困らないぞ!!」

 

豪快に声を張って笑い始めるレット。

それに同調してどんちゃん騒ぎが始まった。

 

わたしなんか、酒臭い客の冒険者達に泣かれたし、その末に胴上げされちゃったんだから。

 

そんなのわたしだけされたら不公平でしょ?

だから、わたしなんかよりカウンターのヘクトルとあっちで寝てるシェリルさんに胴上げしてやってよ。と言ってやった、どうだ。

 

シェリルさんなんか寝たまま胴上げされてた。

 

ぶっ、ぷわははははっ

 

それ見てわたし嵌まっちゃった、ウケた、ツボった(笑)

 

ヘクトルはなんかだらーん!ってしたまま空中に舞う。

それ見てまたツボってさ。

 

 

 

それからのディアドの店はすっごく騒がしくてでもそれが、心地よくて楽しかったんだけどどーゆー訳かいつの間にか寝ちゃってた。

 

冒険者の人達には力いっぱい泣かれちゃったし、すっごく感謝された。

それにいっぱい料理を頼んでもらっちゃったんだけど、無事に起きてたのわたしだけだったし、また今度って言ったのは覚えてた。

 

 

それは──覚えてるんだけど。

……ここどこ?

 

起きて最初に目に映ったのは知らない天井。

どこだ?ここ。

ほんとに。

 

床にマットを敷いた上に寝転がってるわたし。

隣には鎧を剥がされてシェリルさん。

視線を動かすと部屋の隅に別のマットにヘクトルが寝かされてる。

 

酒場でどんちゃん騒ぎしてた途中から寝ちゃったんだわ、そんで誰かにここに運んで貰って寝かされてた、と。

 

ろくに働かない寝起きの頭でなんとかかんとか考える。

その時、ドアが立て付け悪いのかギッイイイとあまりよろしく無い音を立てて開く。そこにひょっこりと顔を出すディアド。

 

「起きた?夕食用意したから起こしに来たんだけどさ。冷めるから後の二人も起こしちゃって♪」

 

どうやらここって、ディアドの酒場の別部屋か二階なのかな。

 

 

 

その日は結局、ディアドに夕食を持ってきて貰って3人3様に食べ終るとそこでそのまま夕食を食べる前に戻ったみたいに寝てしまった。

 

次の日の昼はどんちゃん騒ぎして祝宴が用意された。

けど、わたしはシェリルさんに絡まれたら面倒ってのもあるけどお酒が癖付いちゃうのヤだったからすぐ、抜けてきちゃった。

だから後の事はしーらなーい。あははっ。

 

後で、タイユランの店見てみよう。

無事で生きてたら店開けてくれてる筈。

 

 

 

 

 

 

 




特に修正するところも見つからなかったのはまだまだダメな証拠かぬぅ
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