さいよわ───チートなエルフと魔人が護る最弱な彼女が綴る異世界黙示録   作:ぴんぽんだっしゅ

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ドラゴンは倒せない2

クドゥーナはゆっくり目を閉じると碧色の髪が浮き上がりキラキラと輝くと何等かの力が働いて光の粒子がぐるぐると帯を引いて舞い、

 

「こーゆことね、やってんです。お疲れ、還っていいよ。」

 

 

光の奔流に取り巻かれて彼女が再びゆっくり瞳を開く。渦巻く水流を包んで顕現化するは、蒼い人形大の妖精。

ウインクしてウェリアは名残惜しそうに、クドゥーナの頬にキスをしながら光の粒子に戻って消えた。

 

「なるほどね、サモナーか。」

 

まるで魔法少女の変身シーンの様なクドゥーナの召喚を見せつけられた。

それを見て特に驚いた風でない京ちゃんが口を開く。すると、3人の視線がクドゥーナに集中する。

「うち、妖精と遊びたくて続けてた様な感じなんで。へへっ、バトルは正直苦手ってなのよ。」

 

鼻の下を擦って照れた様にはにかんで見せるクドゥーナ。バトル苦手なんだ?わたし、わたしも。

強力な弓ゲットして、少しはマシになってるかな?

妖精の召喚はそれ自体が強い訳なんじゃなくて、バラエティ豊かにしてくれるもの何だってこの時は全然思って無くて。漠然と、スゴく強いんだろうなって、思ってたっけ。

 

 

 

⇒急がなきゃいけないって理由が出来ました。に続く

 

 

 

「まだぁー?」

 

オークの巣を叩き潰した翌日の昼にはまだ早い頃、わたし達はクドゥーナの案内に付いてアスタリ山を歩いて山頂の方に進んでいた。

ドラゴンの影は此処まで無いでしょ。その代わりウルフやゴブリンにロカとよく遭遇するようになった。全く、案内が下手なんじゃないの?

空にふわふわ浮かんで翼を羽ばたかせているクドゥーナに向かって顔を上げ、声を掛けた。すると、皆も意見は同じみたいで視線が集中する。

 

「待ってみ。洞窟はあるんだけど小さいから、鉱山の入り口っぽく無いんっだよねー。」

 

陽光から避ける様に手で目蓋を遮るように遠くを見ているクドゥーナが特に変わった発見は無いと言いたげに答える。

その声に力が無いのがその証拠。

 

 

「それ、行くだけ行ってみましょ。」

 

さっきから小さな洞窟はどれも人の手が入った形跡は無くて。つまり、ハズレだったわけなのね。

ゴブリンの巣ならまだやる気になれるのに、奥まで進んで唯の行き止まりだと脱力感、スゴいよ?

例によって、京ちゃんもアンニュイにクドゥーナに返事を返した。一応、虱潰しに見つけた洞窟はどれも足を踏み込んで見るだけはしてきたんだから。結果はさっき言った通りだよ?

つまり、そう言うこと。特に何も無し。

 

「崖沿いに行って。そのまま右の道を道なりで見えてくると思うー。」

 

クドゥーナの声に又、空を見上げる。すると、喋りながらふよふよと羽ばたき、下へ降りて来た。相当眩しかったのか、瞳をパチパチ閉じて開くを繰り返す彼女。

「ついたー。もうダメ!お腹空いたー。」

 

途中、鹿を大きくして狂暴化させたみたいな魔物、ロカを弓で倒して魔石を拾うくらいの事はあったものの、特に何も無いまま洞窟に着いた。

そうそう、ロカの肉もクドゥーナが嬉しそうに回収してたのも追記しとこう。

 

もう太陽は頂点に来ている。道理でおなか空くわけだよね、お腹空いたー。

見れば、京ちゃんもガジガジと口寂しそうに歯噛みしている。それって、お腹空いた時にする事だっけ?

ヘクトルに視線を移すと洞窟の前で中を窺っているとこだった。奇襲でも案じてるのかも?

 

「んんん、じゃあーパンを焼こーおぅ。お昼になったしぃ。」

 

いい笑顔を張り付かせてクドゥーナが流れる汗を拭いながらそう言うと昼の準備を始める。そんな彼女に気付いてテーブル、椅子を並べるのを手伝っていると、京ちゃんも退屈そうに伸びを一つして準備に加わってきた。

クドゥーナに指示されて、たばこ大の円筒型の何かの種子を擂り粉木で擦ると白い粉になる。彼女に聞いて吃驚したけど、小麦粉らしい。正確には代用品でムル粉とアイテム名が付いてるんだとか。

 

「こんな素材でパンになる何て・・・意外と言うか、何て言えばいい?」

 

ふぁんたじーと言うか。ゴーナって花の蜜をムル粉と混ぜる、混ぜる、混ぜるとパン生地。

これに、コンロで焙った魔花の葉を振りかけてレンジに入れて数分後にはパンが焼けるんだから、不思議ー。

 

「パンが食べられてるんだからぁ、それでいいじゃんー。」

 

 

レンジにパン生地を放り込みながらクドゥーナは返事を返した。振り返るとふぅーと大きな溜め息を一つついて、わたしの視線に気付くとにこっと笑い返してくれる。彼女がメニュー画面を弄る素振りで虚空を人差し指が走ると、レンジの呼び出し音が聞こえてパンが焼き上がった。ちらと彼女はレンジを一瞥するとトングでパンを取り出し、用意されていたトレーに並べていく。

 

「昨日の肉ー、これね。残ってるから挟んで、どぞどぞ。」

 

メニュー画面からタッパに詰まった肉を取り出してクドゥーナがテーブルに置く。我慢出来ない。タッパを開けるとマスタードの鼻孔を擽る刺激臭。

 

「はぐはぐっ、うんまいっ!マスタード漬けの肉んまいっ。」

 

用意されていた箸で摘むと焼き立てムル粉パンに挟んだ。京ちゃんと一緒に用意した野菜も手早くトッピングして、いざ。かぶり付く。おぅ、いただきます忘れてた・・・遅れたけど、いただきます。

 

「・・・ま、いちお火は通したけどさぁ。レンチンくらいしよぉ?入れたら腐らないって解るけど。」

 

呆れ声の主はクドゥーナだ。京ちゃんもヘクトルもレンチンなんかせずにパクついているのが目の端に映る。見れば、クドゥーナはちょっと困った風で居て、でも嬉しそうに。自分のパンに肉を乗せてレンチンしていた。

 

「育ち盛りなんでっ!」

 

クドゥーナの非難の声に答える。親指についたマスタードを舐めながら。うん、行儀は悪かったかも知れない。違くて、肉が美味しいのが悪いんだ。きっと、そうだよね?反論は要らないよ。考えながら2コ目のパンに手を伸ばし、

 

「うち、ちゅーⅢなんだけどぉ?たぶん・・・年上よね?」

 

肉を乗せてレンチンしようとレンジを開くと、クドゥーナから驚きの声が上がる。中三・・・?彼女に顔を向けると言い澱んで、半目で見つめてくる。あれっ?わたしの方が子供っぽぃて言いたげな目だね。

 

「あ、わたし高2っ。ちゅーⅢなのにこんなに美味しいご飯作れてすっごいねっ。」

 

でもね、わたしの方がお姉さんなんだからね。と含ませた言葉を並べると、フッとせせら笑いを浮かべてクドゥーナを見つめて視る。

けど、ご飯に関しては完敗だよ。わたしのこんなに美味しいのが作れた試しないもんねっ。妹よりは上手だったけど、と彼女と妹を比べて思い浮かべ自分の世界に浸る。

 

「・・・はいはい。」

 

クドゥーナは誉められて嬉しい筈なのに、嬉しく無い?と困惑してるのか困ったような不思議な顔で少し間を置いて返事を返した。

 

「そろそろご飯が恋しいよぅ、ね。そう思わない?」

2コ目のパンを食べ終わりそうなわたしに言ったのか、皆に対してなのか理解らないけどクドゥーナが碧眼をキラキラさせて話を振ってくる。

残念だったな、

 

「わたし、食べてたし。」

親指のソースをぺろりとして、誰に言うでなくボソリと呟く。その言葉を耳にしたクドゥーナは、え?と言う顔のまま思考が追い付かずに固まる。

気にせず3コ目のパンに手を付けようとして、

 

「寿司に、唐揚げもパスタなんかもあったわよぅ。また機会見て行きたいって言えば行きたいけど、ね。」

京ちゃんに取られる。ちらりと視線を向けるとにっこぉり微笑む彼女が、頬に朱を引いた様に真っ赤にして喜びながら肉をパンに挟みつつ、日本食?食べてたわよ、とクドゥーナを言葉で挟み撃ちにする。

彼女がヘクトルも?と視線をヘクトルに向けるとヘクトルも親指を立てて頷く。

 

「何ーぃ?もしかして、さぁ。日本がこの世界にあるのっ?」

 

漸く我に返ったクドゥーナはぷりぷりと可愛く怒りながら。ヘクトルに視線を置いたまま恨めしそうに唇を真一文字にギュッ!と噛み締めた。よっぽど白米が恋しいんだろうなって、可哀想に思えたんだ。

年下って理解った余裕からかな?彼女に持ってた壁みたいのをちょっと弱くなった気がした。

 

「似てなくは無いが、な。」

 

「日本じゃぁ無いわよね、だからあるとは言えない、かあ・・・」

 

京ちゃんとヘクトルがハモる勢いで問い掛けに答えた。

京ちゃんは続ける様にわたし達は知っているニクスの国のあんなことやこんなことをクドゥーナに説明してあげてた。人魚が歩いてたなんて、実際に見ないと理解って貰えないよ、ね。

見ても人魚じゃないから理解できないのかも?

 

「ふーぅん、そうなんだ。白米食べたいよぅ。。。」

 

クドゥーナは理解ったのかどうなのか。再び、唇を真一文字にギュッ!と結ぶと悔し涙まで浮かべて。涙声になりながら白米が恋しいと叫んだ。

 

 

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