さいよわ───チートなエルフと魔人が護る最弱な彼女が綴る異世界黙示録   作:ぴんぽんだっしゅ

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ドラゴンがあらわれた

う・・・。

 

あちぃ・・・。

 

 

 

 

「これが?」

 

 

昼も過ぎていたのと、わたし達はちょっと珍客を迎え入れなければ行けないのとで、村外れの道端にテーブルを出して並べた椅子の上。

疑いの目を向けている京ちゃんの半目の視線が刺さる。向けられている主はそこに居た。

わたしはテーブルを背にそれが何かを思案する。

ヘクトルはテーブルに突っ伏して元から会話に参加してない、いつも通りっちゃいつも通りだったや。苦笑いしか出てこない。

それはいいとして、昼も過ぎているから暑いし。

パラソル無いのー?無いのか、残念。

 

「うん。そう──べヒモスだよぅ。」

白く大きな翼をはためかせる天使───じゃなかった有翼人のクドゥーナ。その彼女の目の前に黒い変な妖精?が居た。どうやら彼女が召喚したらしいんだけど。

ゲームを良く知らないわたしにはさっぱり、なんだけど?

 

「もう一度いい?えっと・・・」

 

京ちゃんの表情はあんまりに起きないから水をぶっかけられて飛び起きたみたいに目を見開いて驚いてるぽく、べひもすが相当な召喚らしいってのは理解った。

半日寝たんだから起き抜けは起き抜けだよね。

その京ちゃんがクドゥーナに覆い被り兼ねない勢いで変な妖精?べひもすとクドゥーナを交互に眺める。

 

「ベヒモス。って」

 

顔に作り笑いを張り付けてはいるものの京ちゃんにビビりまくりなクドゥーナは震える声で喋りながら、ベヒモスを指差す。

 

「俺様、偉いんだぜ。」

 

「鉱山でわたしにコクった?」

 

ベヒモスの言葉は二人にスルーされる。京ちゃんがクドゥーナを見詰めながらそう言ってから、見下ろす様にベヒモスと言われた妖精?に目を落とす。

ん?つまり・・・それって。

 

「うー・・・うん。そ、そう?たぶん。」

 

青に顔色は変わったもののクドゥーナは笑顔を崩さずに京ちゃんに向かって頷きながら喋る。

京ちゃんはわたしの隣に歩いて来るとテーブルを背にして椅子に座る。その表情は信じられないと言いたげに見えた。

 

「メニュー開いて確認したら居たの”ベヒモス”・・・」

 

にへらっと笑って頷きながらクドゥーナはベヒモスを見詰めている。

どこか、不安そうに見えなくも無いんだけど。右手でポリポリと頭を掻く彼女の態度を見るとそれも杞憂に思えるのは何故なんだろ。

 

「俺様が本気出せばこんなのらくしょーだぜっ、へへへ。」

 

 

「喋り方がおかしい、契約無しに召喚出来てる、なにより───小さい!なにこれっ。」

 

疑念を抱いたままに京ちゃんがクドゥーナに答えるその表情が一瞬の逡巡の後、ぱあっと華でも咲いた様に変化した。

ベヒモスの言葉は相変わらずスルー。

 

「ぬいぐるみが動いてるみたい。」

 

他の妖精に比べると大きい。だけども頭身が違う、違い過ぎて思わずにやけてしまうくらいなんだもん。

 

「二頭身になってるじゃない!」

 

「ぬいぐるみサイズなら町に居ようと騒ぎにならないな。」

 

こんなのドラゴンじゃ無いよ。ただのゆるキャラか、ヌイグルミじゃない。

ヘクトルの言う通り、これなら連れ歩いたって騒ぎにならない。なるわけ無い。

 

「可愛い・・・。」

 

呼び出した本人でもあるクドゥーナはベヒモスを、彼女の言う通り信じればグラクロなんちゃらってドラゴンさんの筈な、ヌイグルミ大の頭身になってしまったそれを。にへらっと笑いながら持ち上げ呟いて頬擦りした。

 

「肌はぬいぐるみじゃあ無いんだね、残念。」

 

わたしもクドゥーナから受け取ってグラクロと思われるヌイグルミの様な妖精を抱き上げた。

ザラザラしてて堅いじゃないの。うん、グラクロだ、コイツ。

 

「ね、クドゥーナ。この子も魔石で良いのかな?」

 

目の前のクドゥーナに視線を移す。困ったぽくビミョーな顔をしていた。

妖精って感じでは無いよ、ね。でもでも、召喚なら魔石がゴチソウなんだよねっ?

 

「あー、それだけどぉ。この子拒否するし、うちの召喚のはずなのに・・・還ってくれないンだよぅ。」

 

ビミョーな顔をしている理由がやっと。理解った。

グラクロだ。召喚なら還せるらしいってのは聞いてた。散々見せられてたし。

 

「退屈させんなよ、俺様はへへへ。ベヒモスだぞっ!」

 

直角に曲がった左右の角が触れば痛そうに尖って立派だった緑の牙は八重歯ほどに短くなった、この、ヌイグルミみたいなグラクロの還しかたが解らないから困った顔でイロイロ試してるみたい。

 

 

「いや、ベヒモスが肉喰うなって。」

 

わたし達はイロイロあって遅い昼食をこの道端に出したテーブルで食べてた所だった。

いつの間にかテーブルの傍に金色の瞳を爛々と輝かせてそこに居た。

京ちゃんの言う通り、クドゥーナは契約を決めたわけじゃないし、勿論召喚をしたわけでも無いのに。

顕現化して、現れた。

その瞬間を誰も気づかずに見てないから、クドゥーナの召喚の様な光を伴った召喚技術とか、そんなのを無視した現れ方をしたんだ、きっと、そうなんだ。

知らないけど。

わたしは、ってかクドゥーナ以外は召喚のイロハを解らないから、何をして契約で召喚してって理解出来ない。

しかも、コイツ、グラクロは。テーブルから肉を取って食べた。気づいたら食べてた。

そこでやっと気付いたんで、クドゥーナがメニュー画面の彼女の召喚を見て一言。『召喚してないのにぃ、召喚してるみたいなのぉ。』

 

「ベヒモスってドラゴン?」

 

もう考えるのが無駄に思えてくる、あのね。

コイツ、グラクロね、弱体化してんじゃん。可愛いけど。可愛いけど小憎たらしい口調で喚く。もう、クドゥーナに任せよう。諦めた、お姉さん。

全然ドラゴンらしさ無くなってしまったし。角くらいかな。

 

「違うと思ったんだけど、自分で竜だって言ってたしね。」

 

京ちゃんも憂鬱そう。面倒が増えたとか思ってそう。コイツ、戦力の足しになるのかな?

 

「退屈させたら、街ごと消し飛ばしてやるっ!ひゃっあははは。」

 

で、だ。口を開けば偉い、強い、俺様最強とか。ガキ大将みたいな事を延々と。京ちゃんの教育が必要と思います。

 

 

 

 

 

 

なんだ?このドラゴン。

 

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