さいよわ───チートなエルフと魔人が護る最弱な彼女が綴る異世界黙示録   作:ぴんぽんだっしゅ

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ぐーちゃんとブランコ

とん。

 

かん、てん。

 

とん。

 

かん。

 

ぎゅうっ、っぎゅうー!

 

ぎゅうー!

 

うち、六堂愛那(りくどうあいな)モジってクドゥーナ、よっろしっくねー。

 

今、何してるかって?

そうだねぇー、ちょっとした約束を果たそうとしてる、って言えばかっこいいかな?ううん、否定しないで、貴方が言いたい事、うち解るよぅ!ずぇったいカッコイイに決まってるよね!約束を果たしに来るなんて、もうそれだけでカッコイイ!喜んでくれたらもっといいナ?

 

 

「何してるんだ?」

 

 

声の主は、振り返らなくてもちゃんと解るよ、うち。

だぁって、可愛いヌイグルミみたいなんだもん!悪く言っても非公認なゆるキャラかな!

紹介しましょう!ででんっ!グラちゃんでぇーっすっ!ホントは聞き覚えるのは不可能なくらい、長い名前を持ったドラゴンなんだけど。

なんとなんと、うちの召喚獣になっちゃったの、うん。そう、知らない内になってたんだけどねぇー。

 

「ん、待っててちょっちだから。」

 

そう、後ちょっち自由にさせてってば、ねぇ?出来上がったら一緒に遊ぼ。

テキトに返事した。

多分、そんな事くらいじゃ怒んないよねぇー、グラちゃん。

手元が狂うとアレだったり、アレしちゃったりだからね?ほっといて、見てて欲しいのさ。

 

「・・・ふん。」

 

「出来たぁ・・・」

 

グラちゃんの機嫌が良い悪いがまだ解んない、えーっと、会って5日でー、ヌイグルミになっちゃったのから数えるとぉ3日、かな?笑ってる事以外の表情が淡白なせいかも、解りづらいんだよ、コレが又。

 

そうこうしながらも完成。後は各パーツを組み合わせて釘を打ち込んで、固定したならOKだよ、ねぇ?

 

「これで終わりなのか。」

 

ちゃんと大人しくグラちゃんは、作業を唯見ててくれた。

ニンマリと口角を上げてうちはヌイグルミでも抱き上げる様にグラちゃんを抱え上げて、

 

「そ、ブランコって言ってねぇ。簡単に作れる玩具なんだよ。」

 

うん、うちがせっせと作ったのはブランコ。

何の変哲も無いし、魔法も関係無かったりする、そんなブランコなのだよ、ふふん。

え、勿体振るな?完成してから皆に見せたかっただけだよ。

他意は無いんだからね?絶対。

 

「何が楽しいんだ?」

 

グラちゃんは人間界に来て浅いからまだ解んないよねぇー、まだ3日だし。

ブランコは素晴らしいよ、なんたって3人で遊ぶのにぴったり(?)だし、1人で遊んでても変じゃ無いし、何よりも、うちが楽々作れちゃうし。

 

2㎡くらいの柱を二つ地面に埋めて、柱のある程度高い所に金属製、(今は鉄を使ったけどさ・・・)の円柱を通したら円柱に膝下に届く様に調節したロープを二本、頑張って頑丈にきつく絞めて括ったら、腰より一回り大きな、分厚ければなお良し!な板を用意して両隅真ん中にロープを通す穴を空けて、ロープを同上で完成だよ、色々はしょったけど、うん。

 

「こーやってぇ、こう。」

 

乗り心地を楽しんでるだけだよ?決して、童心に返ったみたいに燥いでなんかないよ?勘違いしないで欲しいの、うちもほら、繊細だから。

 

「ん、それの何が楽しいんだ?」

 

 

ブランコが完成したんだし試運転しなきゃ!って、腰掛けたまま両足を使ってバックする要領で後ろに下がり、そのまま立てる所まで下がったらー、両足を浮かすんだ、キィーキィーて鉄と擦れてロープが縄鳴りする音と、躰全身が浮いた様な錯覚が一瞬ありーの、すぐ又後ろに引き戻される。

両足をピンと真っ直ぐ伸ばすのも、いいけど勢いを付けたいなら、地面を蹴らなきゃ。

 

グラちゃんは真っ直ぐうちを見詰めて問い掛ける。

ちょっと考え込むけどそうだねぇー、うちはね、

 

「風を感じるとこ?と、何も考えずに漕いでるだけで楽しい。」

 

チラッとだけグラちゃんを見る。

不思議そうな顔をしてた、乗ってみると解るよぅ、きっと。

そんな事を思いながら楽しいんだよと、説明する。

 

地面を蹴るのを止めて、両足をピンと浮かしたまま居たら自然とブランコは止まる、ゆっくり。

ふっふっふ、グラちゃんも乗ってみると良いよ。

 

「おっ、クドゥーナじゃあーんかっ!」

 

此処の主が、うちの名前を呼ぶ声がする。

そんなに一緒に過ごした訳じゃないのに懐かしいな、とっても。

小憎たらしい顔をいつもしてるけど、

 

「デフック、元気ぃ?うちに会いたくて泣いてなかったかぁー、うりうりぃ!」

 

ブランコから下りるとデフックが笑って駆け寄る。

知ってるよ、デフックは笑えば愛らしいんだ、笑ってれば。

口を開けば、やっぱり偉そうに演じたがりだしね。

カッコいいかどうかは別にして、カッコつけたいんだよね、デフックは。

軽ーくヘッドロックからの、蟀谷(こめかみ)グリグリはどぅよ?キくだろぅ、ね?

 

「たい、たいっ。子分は親分にそんなことしないんだぞっ。」

 

ヘッドロックから解放されると蟀谷を抑えて、恨まし気にうちの顔を見上げてくるデフック。

きぃっと額に眉を寄せて怒り出す、本気じゃないんだろうけど。

 

「はぁー、子分は辞めました。うちは新しい部隊の親分になりましたぁ、どうだ!」

 

ふっふっふ、子分になったつもり、無いんだかんね、デフック。

胸を張って見せる、一週間じゃ大きさなんて変わんないから、そんなに食い入って見ないの、胸ばっかを。

他も見なさいよ、この碧の髪なんて気に入ってるんだけどナ!

 

「クドゥーナ、ずっこい。」

 

「お早う、デフック。と、お久しぶり、もう探し物はいいの?クドゥーナ。」

 

胸をやっぱり見ながらデフックが、そう言って喋ってる後ろから、もう1人の此処の主がうちを呼ぶ声がする。

利発そうな顔をした、ちびっこのくせに大人な対応が出来る、ケイン。

 

「こーやってぇ、・・・お。ケイン、帰ってきたよー。探し物はまだだけどっ。」

 

 

ケインはそのまま歩いてすぐそばに寄って来た。

うちもまた、その顔を見て声を聞いてブランコをゆっくり降りることにする。

 

「そっかあ、じゃあまた居なくなる?」

 

そんな事を言って、うちを見上げてくるケインの綺麗に整った頭に手を乗せて撫でてやると、擽ったそうに目を閉じて気持ち良さげだ。撫でてやりながら、

 

「すぐに居なくなんないけどぉそんなに居着くわけじゃあ無いかなぁーって。」

 

少ししゃがんでケインと同じ目線になって答えたら。

ちょっとお姉さんだけど、うちだってちびっこ達を友達だって思ってる、だから見下ろして言う事じゃ無いって思ったから、さ。

 

「早く探し物見付かるといいね。」

 

そしたらさ、にこーっと

笑ってケイン。

 

「おー!ケイン、変わるぅ?」

 

うちも、にこっと笑い返して。

ブランコを指して勧めたのね。そしたら、

 

「いいの?」

 

嬉しそうにしちゃって、ケインたら。

すぐに走り出してしまいそうじゃんか。

 

「いいも何もここに置いてくし・・・少し考えたら解んないかなあ。」

 

「ケインが乗らないんなら俺っ、俺。」

 

「って言ってもケイン先ね。」

 

ケインに答えたのに、待ちきれないデフックがブランコのロープをもう掴んでて。

順番だよ、ケインが先だもんね?

 

「あ、約束・・・覚えてたんだ。」

 

「玩具、作るって言ったもん、ね?」

 

一週間前、村を離れる時ケインと約束したんだ。

次来たら『いいもの』作るからって。

 

「その約束、セフィスとしたんだよ?」

 

「おーっとぉ!そぉだったかぁ、うちは勘違いしてたのかぁ。」

 

いつの間に現れたのか良く知ってる女の子の声が背中に響いたから。

振り返らなくても解るし、セフィスって自分で名乗ってるんだけど、肩越しに振り返るとちょっと不機嫌そうな顔したセフィスが見上げていて。

しなきゃって思ったからおどけてセフィスに応えたんだ。

そっか、セフィスとした約束だったね。

ごっちゃになってたけど、まぁいっか、うん。

 

「僕との約束、じゃあ忘れちゃった?」

 

「うんにゃっ、一緒に遊ぼう。で、いんだよねっケイン。」

 

 

「うんっ。」

 

そーだった、ケインとした約束は一緒に遊んで欲しいのだったっけ。

えっと、デフックとした約束はじゃあ何だったかな?色々有りすぎて忘れちゃったなぁー、シェリルにもある意味抹殺されそうになったし、オークにも、グラちゃんにも殺されそうだったもんね?グラちゃんを見ると、てこてこ歩いてセフィスに近づいてってる。

もう顔見知りになったのかな?昨日はあのあとグラちゃんすぐに寝ちゃったしなぁ。

 

 

「グラ、一緒に乗るか。」

 

あ、デフックがグラちゃんを掴んで持って行っちゃった。

セフィスはケインと何か話してて気づいて無いみたいなんだけど。

 

「・・・構わん。」

 

「よしっ、グラはここな。」

 

いやいや、1人用のブランコなのに・・・グラちゃんくらいなら、ま。

大丈夫でしょ、千切れたり無いよねぇ。

 

「えぇーいっ。」

 

「・・・視界が揺れるな」

 

デフックはニコニコしながら漕いでるけどグラちゃん迷惑そうー。

 

「ずっるい。デフック、ぐーちゃんはわたしと乗るのっ。」

 

あ、セフィスが気付いてやぱし取り合いになる。

ブランコじゃなくてグラちゃんだったけど、千切れたりしないよね?

 

「はい、はいっ。順番ね、定員オーバーしたら壊れちゃうよ、そしたら怪我するかもしんないし、・・・守ってね。」

 

止めてやんないと。

一応、年上だしお姉さんだし?

 

「「はーい!」」

 

みんな揃っていいお返事。

 

「次ケインだっけ?」

 

どっちかってゆーとケインびいきするよ?そうね、ケインはどこか大人びてて、デフックみたいに小生意気な事言わないし、両親の教育がいんだね。

 

 

「僕は後がいいや。」

 

「じゃ、んふふ。ぐーちゃんとわたしと乗るから、クドゥーナ。」

 

「はいはい。どうぞ、セフィス。」

 

でも、ケインはすぐに他の子に譲っちゃう。

デフックからグラちゃんを強奪したセフィスが小脇に抱えてうちの顔を覗き込んでくる。

ケインがいいなら、いいよ。

 

『グラちゃん。すっかりセフィスにヌイグルミ扱いされてるワケかぁ。』

 

「ぐーちゃん、やっほー!」

 

うちがそんな事を考えてる間に耳に届くセフィスの嬉しそうに燥ぐ声。

 

「セフィス、手は離しちゃダメだよーぉ。転けちゃうから。」

 

ブランコを見ればグラちゃんを肩車して万歳の様に手を広げて立ち漕ぎするセフィス。

危ないよ!そんな事をして怪我させる為に作ったんじゃないんだかんね?

 

「きゃははは、はあーい!」

 

「どうぞ、ケイン。」

 

一頻り燥いでブランコを楽しんだセフィスが、漕ぐのを止めるのを見ててケインに声を掛ける。

 

「勢い付いた方が楽しいよねぇー。」

 

「しっかり、握れよーケイン。」

 

「うんっ。」

 

ケインが腰掛けるとセフィスとデフックが一緒にケインの背中を押してブランコを揺らして、三人共楽しそうに笑い声を上げて遊んでるのを見ちゃうと、そうだよ!これこれって思ったんだ。

この無邪気に笑う小さな、でも大事なうちの友達の、楽しそうに遊んでるのを見たくて作ったんだかんね、このブランコは。

 

「お腹空いたねぇー、ぐーちゃん。ふふふ。」

 

「うーん、そうか?」

 

「クドゥーナが何か食べさせてくれるって、なあ。」

 

「デフックぅ、無茶言わないでよ。パン焼く暇なんて無かったのよ?うち。」

 

ケイン以外、勝手な事を言うね、ったく。

あーあ、って思いながらも優しいうちはテーブルを出し、椅子を並べちゃう。

ケインを見ればまだ要領が解って無いのか一生懸命動かなくなったブランコを動かそうとロープを揺すってて。

そうじゃないんだよ、さっきまではセフィスとデフックが、背中を押してたからブランコは動いてたの、今は地面蹴らなきゃ。

そんなのを微笑ましいなって思ってる、多分にやけてるんじゃないかな、うちの顔。

 

「パン作るの手伝うよぉー、クドゥーナ。ね、デフック、ケイン、ぐーちゃん。」

 

テーブルを出したら真っ先にグラちゃんを座らせてセフィスが見上げてくる。

ん〜、1人で作るよりは子供達にも解るくらい、簡単に教えながら作る方が楽しいかもしんないか、額に人差し指と中指を揃えて突いて考えてる間にセフィスはみんなに声を掛けちゃう。

やるしかないかぁ、みんな手は洗ってからね。

 

「まあ、面白いかもしんないしな。」

 

「じゃ、僕はパン焼くよ。」

 

「・・・任せる。」

 

テーブルに集まってきて色々言われるけど、面白いかって訊かれたら普通ってうちは答えるね。

これは楽しいからするんじゃなくて、命のやり取りだし、食材になった生き物との。

 

「よぉく混ぜたら、」

 

先ずはこれ、ムル粉を必要なだけ作りまぁーす。

ちょ、デフック。擂り粉木振り回さないの!セフィスも粉のまま混ぜてもダメだよ?ケインを見習ってムル粉を用意出来たら、ゴーナの蜜と併せて混ぜるの。

こうやって擂り粉木で混ぜ終わったら、

 

「捏ね捏ね捏ね。」

 

人数分のまな板を出して、ひたすら捏ね捏ね捏ね。

デフックこっち見てて!こーやって捏ねたら、

 

「伸ばしますー、」

 

びょ〜んって伸ばして伸ばして〜、

 

「形を整えたらー、」

 

後は好みの形に整えたら完成。

あ、デフックもう少し小さい方がいいかな?レンジこれだしぃ。

セフィスは丸いのを一杯作ったねー、それ見たらうちアレを思い出しちゃった。

真似しちゃお!ん、ケインは基本的なコッペパンかと思ったら更に捻るの?

 

 

「あとはレンジにー、ポぉン♪」

 

思い思いの形のパンが出来た。

後はレンジに突っ込んでポン♪とスイッチ音を鳴らせば待つだけ、ちょっと数があるから数回こなさないとだけど、さ。

レンジと並んだパンとにらめっこしてたらケインが、

 

「クドゥーナ、僕見てるから遊んでていいよ。」

 

 

 

そう言うとレンジの前に腰掛けちゃって。

良い子だ、ケイン。

 

「じゃ、任すねぇ。」

 

 

 

「そぉーれ、そーぉれっ!」

 

「──クドゥーナよ。」

 

セフィスとデフックに背中を押して貰って楽チンブランコを楽しんでたんだ、皆してきゃっきゃしながらね。

すると、グラちゃんの声が聞こえて──テーブルに座ったまま?つまり、頭に直接言葉が届いてるのかな。

何て言ったかな。そうそう、テレパス?きっとそれなんだと思ったら、会話になった。

 

『ん?』

 

『何が楽しいんだ?』

 

『皆で楽しむのが楽しいんだよぅ。』

 

『ふむ、一人しか遊べないようだが?』

 

『・・・解った。も一つ作るよ、それならいいかな?ぐーちゃんて呼ばれてんだね?ぐーちゃん。』

 

『勝手にしろ、好きにすればいい。』

 

チャットしてるみたい、まるで。

だってそうじゃない?お互いの顔を見てるわけじゃ無いのに会話にはなってて、ついでに言っちゃうとね、ぐーちゃんとテレパスをやり取りしてる間も、きゃっきゃしてられた。

うちは、デフックにセフィスと燥ぎながら何の苦もなく、ぐーちゃんと会話をしてられたことに驚いた、これはチャットだったり、携帯電話と変わらない気がする。

離れてても双方向から、意思疎通出来ちゃうなんて。

しかも、ぐーちゃんとだよ。

 

そんな、他愛も無い事を考えて内心打ち震えてると、

 

「焼けたよー。」

 

そう言ってケインが声を掛けるのが聞こえて、デフックが走り出すからセフィスと手を繋いでゆっくりテーブルに向かって歩いたんだ。

 

 

 

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