さいよわ───チートなエルフと魔人が護る最弱な彼女が綴る異世界黙示録   作:ぴんぽんだっしゅ

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蟒蛇(うわばみ)とお姫様

わたしの意識に色が付いたのは、次の日の遅い朝だった。

 

 

 

目覚めたのは宿の自分の部屋のベッドの上で、目覚めてまず全身を包む何らかの感覚が無い事に気付き、視線をそちらに向けると何故か、裸。

 

 

 

ま、自分の血もイライザの返り血も相まって凄ーく汚れてたし、凛子が脱がしてくれたのかも?ゲーテ、ジピコス・・・お前らなら・・・覚えておいて、必ずその記憶を全て消してやるから。

 

 

 

ん?バイじゃなくてレズじゃないのかって?

 

ゲーテとジピコスを男に見えないだけね、出会いから散々だった訳だし。

 

 

 

あ、凛子を揉みくちゃにしたいっ!て想いはあるのよ?やらかい肌に、わたしの肌を重ねて全身prprしたいっ!それは勿論!でも、あんまり怖がられて距離置かれると寂しくなるじゃない、だから今は泳がしてるの。

 

 

 

ゲーテもなかなか舐めた口だったけど、ジピコスは輪を掛けて人格を疑うような事をわたしに言ってきた気もする。

 

そんな感じでゲーテとジピコスに関してはなっさけないくらいしか感情は無い、以上。

 

 

 

にしても、エクセザリオスのこの時間をムダにしちゃう仕様は、本当にどうにかならないのかなー。

 

 

 

疲れはすっかり取れてて躰が軽い、これはお礼を言おうと凛子の姿を探す、勿論軽ーくおさわりくらいはさして貰えるかと期待に妄想しつつ、まずはお部屋。

 

 

 

「凛子ちゃーん?・・・キョロキョロ。」

 

 

 

部屋の扉を開けて、中を軽く見回す。

 

あ、ここには居ないか。

 

 

 

話し声は聞こえないけど、下かな、・・・ここにも居ない。

 

ナボールさんが厨房で忙しなく、昼の仕込みをしてるのが見えただけだった。

 

 

 

バイトは行ってない筈よね?

 

裏かな、・・・ここも違う誰も居ない、ってゲーテもジピコスも居ないし、稽古サボりを発見したのでゲーテにジピコスもお仕置き追加っと。

 

 

 

クドゥーナとどっか行ったのかなー、じゃぁ。

 

わたしは酒場行っちゃうもんねーだ!

 

 

 

酒場に入ると自棄酒気分で女マスターに、

 

 

 

「酒、いつもの出して。」

 

 

 

そう言うと、わたしのテーブルに次々女マスターがどちゃっと運んでくる酒が並ぶ。

 

初日に気付けにと、一息に樽酒を呷ってからは女マスターは酒を出してとわたしが言えば、テーブル一杯に酒を並べてから、わたしを放置する様になった。

 

 

 

面倒臭がるって何よ、ねえ。

 

ビールなら2ケース飲んでからが、気持ち良くなるとこだったりするんだから、わたし。

 

 

 

だから、好きなだけ呑めてる今、幸せよ?出来るなら帰らなくてもいいやって、呑んでたら思えちゃうくらい。

 

 

 

リアルじゃ、満足するだけ飲んでたらバイトじゃ足りなくなるし、親にカード取り上げられてからは抑えて呑んでる。

 

ウォッカとかアルコール度数の高いテキーラにして、量を減らして・・・そんなの気にせずゲーム通貨で飲み放題やりたい放題なのは、いいのよね。

 

ノルンに居る今は。

 

 

 

心残り無くなったら、移住するかな?

 

 

 

あ、でも。

 

ノルンでも嫌な事はある。

 

そんなの勿論なんだけど、この幸せの一時を邪魔する輩。

 

それが勝負を挑んでくる冒険者ならまだいいんだけど、ボコボコにした後の勝利の美酒は格別なのよ?だから冒険者は許してあげる、問題は役人面の、真面目な暑苦しい顔して酒場で待ち構えてるコイツ!

 

 

 

「改めて。」

 

 

 

頭下げてもダメだって、ダンゼだっけ?わたし、休憩が必要と思うの。

 

そもそも、相席許してないのに毎回椅子持ってきてわたしの目の前に座るわよね?パなくイライラするんだけど。

 

もち、相席聞かれても断るわ。

 

酒場に仕事を持ち込まないでよ?酒とちょっとした摘みを摘まむとこで無粋な話しとか、あー、酒がマズくなるじゃない。

 

あっちいきなよ。

 

 

 

昨日と打って変わってダンゼの服装はラフな白い皮シャツとスーツ用のスラックスかな、濃淡の黒い皮の生地でボタンが等間隔に三つ並んだシャツにはネクタイも括られている。

 

ラフにはなっても、この酒場には不釣り合いじゃない?お洒落とは違うんだろーけど、周りの冒険者たち見てよ。

 

ターバンみたく布を頭に巻いて、シャツは破れたのを修繕したあともくっきり、下は皆揃えたように七分丈ですね当てしてたり、具足着けてたりで見た目は変わるんだけど。

 

浮いてるわよ、ダンゼ。

 

 

 

「いーやっ。」

 

 

 

ほら、まだイライザにボコボコにされた傷が疼くような、何ともないような?用は、役人と顔付き合わせて旅なんて息苦しいから行きたくないだけって、そうなんだけどさ。

 

 

 

「イライザ居ればドラゴンだって、悪魔だって戦れるわよ。わたし、そう思うわ。」

 

 

 

よく考えて?イライザ居ればどんなモンスターが来たって負けないって。

 

 

 

ダンゼ、過保護なんじゃない?イライザならもっともっと強くなれるのに。

 

わたしに預けてくれれば、朝から夜まで調きょ、ううん鍛えてあげるんだけど。

 

ま、何やら二人の間には裂かれられたく無い空気ってゆーの?感じるし、無理は言わないけどね。

 

でも、預けてくれたらテクニシャンにして返すわよ?変に純粋ぽくて仕込み易そうだし。

 

 

 

「無茶はさせたくありません。昨日のは、無茶以外の何でも無いのです。」

 

 

 

「えーーー。」

 

 

 

ダンゼは灰色のケモ耳をピクピク動かして、イライザだけで安心でしょと説得するわたしを警戒してる。

 

 

 

何を警戒してるのか、警戒とは別な何かかも知れないと思ってたら。

 

 

 

「ダンゼの言う事聞いてあげてよー、シェリルちゃん。」

 

 

 

間延びした可愛らしい、酒場に似合わない声がする。

 

振り向かなくても解っちゃう、わたし達類友だもんね、赤い糸で小指通し繋がってるよね、きっと。

 

 

 

「ッ!・・・イライザ、いつから?」

 

 

 

肩越しに振り返ると、どこから調達したのか、バックルがあちこちに付いたジップアップが無駄にある、やたらとハードな革製の戦闘服だろうかライダース・スーツを更に、ごちゃごちゃハーネスとか付けたらこんな感じ?そんな出で立ちとは不釣り合いな、にこやかな微笑みを浮かべて話しかけてくる、声の主イライザ。

 

髪も一纏めにポニーテールにして、昨日よりは凛々しい印象付けだったりする。

 

ドラゴン退治の確認に向かう準備万端、てとこなのかもね。

 

 

 

わたしの好みド直球過ぎて、なんのご褒美何ですかっ、コレは?と思って軽く叫んだのはイライザには内緒にしとく。

 

 

 

「いま。」

 

 

 

細目で笑うイライザが簡潔にそう言うと、ダンゼが座っていた席を譲って、別のテーブルからダンゼがまた椅子を調達してわたしの左手に座った。

 

そして、ダンゼは女マスターを呼んで何やら注文している。

 

 

 

「話し方が随分・・・」

 

 

 

「楽ですよ?」

 

 

 

出会いからそう大して経って無いけど、イライザの喋り方って特徴ある付け焼き刃的な下手な貴族みたいな、そんな言葉使いだったのに今は何かフランクで。

 

わたしの言葉を遮った上に挑発的でも無く気さくな返し。

 

わざわざ遮った意味はあるんだろうか?

 

 

 

「そう、言う事聞いてって・・・ねぇ?」

 

 

 

グラスを空になるまで呷ってから、注ぎ直しながらイライザにわたしの答えを返す。

 

利けない理由があるのよ、行った所で危険無いこと解っちゃってるから、退屈そうだし・・・それにそれに。

 

 

 

「あはは、姐さん。聞いてあげられたら・・・」

 

 

 

背中に響くこの声は、ジピコスだ。

 

 

 

「ジピコス!」

 

 

 

「はいっ。」

 

 

 

振り返る気も起こらない、間髪入れずに酒場に響き渡るほど叫ぶ。

 

いつから居たのか解らないけど、サボって飲んでたのか。

 

 

 

「ドラゴン退治のチャンスよー、いってこーい。」

 

 

 

危険も無いしジピコスでも大丈夫、わたしが行くまでもない。

 

 

 

グラスを掲げてまた酒場に響き渡るほどの声で叫ぶ。

 

冒険者たちに解るように。

 

あ、ドラゴンは居ないからチャンスでも無いのかー、ドンマイ!ジピコス。

 

 

 

「姐さんも随分・・・喋り方が。」

 

 

 

困ったような声でジピコス。

 

いやまあ、体調もそうだけど、

 

 

 

「えー、もうお前らをロックオンすることもないだろーし、いいよー、これがわたし。わたしこーゆーのだから。」

 

 

 

叩き潰すようなやり取りを、お前らならやらなくてもいいよね?力抜きたい時も、あるのよ。

 

表出したい時は、もう知らない仲じゃ無いし、引き摺って大通りと言うステージに上げてしまえばいんだし。

 

 

 

「だらけてますなぁ。」

 

 

 

「まぁ、姐さんの中で何かあったんだろ?解りゃしねえがよ。」

 

 

 

「ああ、負けたからか?」

 

「かもな。」

 

 

 

なんだ、ゲーテも居たのか。

 

背中に声は響くけど、姿は確認しない。

 

今日は何をする気持ちにもなれない感じなんだ。

 

 

 

「ねぇ、貴方がたからも説得してくださいませんの?」

 

 

 

あぁ、ゲーテに向かって歩き出す、女スパイ的な格好した雰囲気天然なイライザは、ゲーテ達には何かまた言葉使いが変わった。

 

わたしは特別な存在と、イライザの中ではそうなってると自惚れてもいいわよね。

 

ダンゼとも、ゲーテ達その他大勢とわたしは違うんだ、イライザの類友だもん当然。

 

 

 

何か、ゲーテとジピコスが説得に加わってくるのも癪だし、振り返って睨みを利かせる。

 

 

 

「いやぁ、姫様。おれらじゃあ、・・・ですよね。顔で解ります。」

 

 

 

イライザ見て頬染めちゃってゲーテめ。

 

ま?ゲーテやジピコスじゃ触る事も憚られるお姫様なんでしょ。

 

いわば、アイドルみたいなもんじゃないの、それはゲーテの態度なんかもしょーがないかも知れないか。

 

 

 

わたしの不機嫌顔を窺ってからイライザに向かって答える。

 

うし、それでいいよ。

 

お前らなら間違いは犯さないと思ってたよ。

 

 

 

「むー、じゃぁじゃぁ。こうしません?わたくしが類友として頼みます。シェリルちゃぁん、お願いー。一緒に来て欲しいなって思うの、ダメ・・・?」

 

 

 

昨日はあった威厳が全くないイライザは、出で立ちドすとらいくで、どこか儚げで、なんと言っても可愛くて思わず助けてあげたくなってきちゃう。

 

でもなー、

 

 

 

「んー、何か・・・ノらない?みたいな。」

 

 

 

気持ちにも余裕ないような、体調もいきなし悪くなったかもみたいな?

 

 

 

「?、解りません・・・」

 

「昨日ので、抜けちゃった。みたいな。」

 

 

 

不思議な顔をして小首を傾げてイライザ。

 

困ったようなその顔もぷりてぃ!思わずギュゥッて抱き締めたくなるのを平然と我慢する。

 

 

 

言い訳。

 

昨日は昨日で今日は今日だもん。

 

実はわたし、苦しいかもよ?たっぷり寝たのに変ね・・・つまりアレじゃない?

 

 

 

「エヘへ、・・・解りませんね・・・」

 

 

 

「行ってもいいんだけど、今日はやだ、しばらくやだ、そんなカンジ。」

 

 

 

いやー、イライザちゃん。

 

幾らでその頬っぺたスリスリできるのかなぁー、幾らならお持ち帰りオッケ?思わずそんな下洲い言葉が思い浮かんでしまうくらい可愛いよ、わたしにとってどストライクだよ。

 

 

 

それはこっちに置いといて、ツラいな。

 

無理な作り笑いで乗り切れないかな。

 

 

 

「あ、・・・そ、そうですよね。ちなみに、重いの?」

 

 

 

「・・・う、うん。」

 

 

 

どうも勘が鋭いのか、嗅覚が鋭いのかイライザにバレちゃった、あはははは。

 

そうなの。

 

重い日なカンジ。

 

えーと、陸上の授業なら見学コースです。

 

もしかしたら、早退かな?とにかく苦しいや。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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