さいよわ───チートなエルフと魔人が護る最弱な彼女が綴る異世界黙示録   作:ぴんぽんだっしゅ

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笹茶屋、倒れる

「ダンゼ、絶対むりです。シェリルちゃんを連れ出すのは危険かも知れません。」

 

 

 

妙に頬を朱に染めてイライザが、伏し目がちにわたしとダンゼの間に入った後、ダンゼの瞳を覗き込みながらそう言う。

 

わたしの左手にダンゼが座っていたけど、間に割ってイライザが入り込んだので椅子を引いて少し距離を取った。

 

 

 

「何がです?イライザ様。」

 

 

 

ダンゼは急に態度を変えたイライザをじぃっと見つめて説明を求める。

 

が、イライザは首を左右に振って男には解らなくてもいいのよと言いたげに、小首を傾げダンゼに向かって、

 

 

 

「女の子にはイロイロあるのです。」

 

 

 

そう言うと、横目にわたしを窺ってイライザがウインクをした。

 

どうもイライザが逆にダンゼを説得に回ってくれるみたい、とってもありがたいわ。

 

 

 

「は?」

 

 

 

ダンゼ、解らなくてもいいの。

 

ただ、今日の所は引いて欲しい、それだけ。

 

 

 

「日を改めるか、別の人員を集めれはよいのです。こうして冒険者さんは沢山集まってくれているのですから。シェリルちゃ、コホン、シェリルさんだけに頼らずとも良いでしょう?」

 

 

 

仰々しい黒い戦闘服と言う出で立ちのイライザは、わたしの顔の横に黒革に包まれた柔らかそうな乳房(ハードな戦闘服に包まれているので京の想像ですよ)を持ってきて前屈みに凛々しい口調でダンゼに食って掛かるのだけど、わたしの目の前にこんなのあるからヨダレ出そう、じゅる。

 

あ、出てた。

 

今、わたしふにょふにょなニヤけ顔してる、きっと、ううん絶対ヤバい顔になってる。

 

そこ、言い直さなくてもイイんだけどなー、京って呼んでくれてもいいんだよーイライザちゃーん。

 

 

 

「ドラゴンですよ?危険なんですよ、イライザ様。」

 

 

 

イライザだって強いし、何よりダンゼが働けばオーク10ぴきくらい軽いと思うんだけどなー、本気出し渋ってたけど・・・弱くは無いよね?ダンゼだって。

 

 

 

「あれで、シェリルちゃんが使えると思いますか?」

 

 

 

今度は言い直さないイライザが横目で、わたしのヨダレを我慢する情けない顔を見てくる。

 

 

 

「・・・ですね。」

 

 

 

それを見て何かを感じ取ったダンゼも逡巡してから頷く。

 

あれ、わたしいつの間にか・・・テーブルに顔めり込んでた・・・、我慢してても苦しいのは変わらないから、顔色も悪かったりするんじゃないかな、うん。

 

 

 

「代案を講じましょう、ここに居る冒険者さんだけでも10人はいるでしょう。」

 

 

 

わたしを見詰めてからイライザが溜め息を一つ吐く。

 

 

 

凛々しい口調で喋りながら酒場に居る冒険者達を順繰りに見回し、わたし抜きの作戦に切り替えさせて、居ないドラゴン退治に向かうみたいな口振り。

 

 

 

「数でドラゴンを抑え込みますか、ではその様に致しましょう。」

 

 

 

漸く、ダンゼもイライザに同調してくれた、ぽい?

 

 

 

そもそも、居なくなったのを二人は知ってるはずなんだけどね、ドラゴン。

 

 

 

冒険者達を連れてくには、餌が要るよね。

 

 

 

「がんばれー、イライザー。任せた、ゲーテ。」

 

 

 

苦しい・・・コレ来なかったら行っても悪く無かったのにな。

 

 

 

「様をつけなさい?性悪エルフ!イライザ様です。」

 

 

 

ん、ちょっとダンゼがわたしに距離を取ったよーな、冒険者達にあくまで要請をしてた時だけ畏まってた的な、演出だったりする?

 

今更じゃない。

 

 

 

さっきまでシェリル呼びしてて、性悪エルフ言うなんて、笑える。

 

 

 

「いーじゃん、この国の人間じゃないしー、わたしー。」

 

 

 

やだ、もう。

 

苦し過ぎる、部屋に帰ってベッドに飛び込んでそのまま寝たい・・・もう、言葉を選んでる余裕も無いや。

 

お気に入りだったのに、この青い革のタンガ。

 

 

 

「ジピコス、どうも姐さんが変だ。凛子呼ぶか、宿に運んで寝かせてやれ。」

 

ゲーテ、流石。

 

なんか感じ取ったかぁー、えへぇ、お前らには情けないとこ見せたくないのになぁ。

 

ギルマスなのに、わたし。

 

 

 

「あぁ、そーだなっ。」

 

 

 

なんか、されるがままにジピコスの背中に担がれて酒場を後にする。

 

 

 

「はーい、姐さん。宿につきましたよー、意識あります?」

 

 

 

そう言ってジピコスに、確認されながら下ろされたのは宿の一階、まだ食堂としてお客さんも見える。

 

厨房からは何事が?とナボールさんも顔を出す、恥ずいな、もう。

 

それは置いといてジピコス、荷物じゃないんだから、ゆっくり運んでよぉー。

 

色々デリケートなんだよ、これでも、さ。

 

 

 

「うっさいー、下腹に響く、止めー。」

 

 

 

くぅぅ。

 

叫べない、力が入らない、ヤバい。

 

 

 

「こんな弱ってたら俺でも勝てそうだな。にしても、こんな軽い躰してて、バケモンかって強さなのは吃驚もんだぜ。」

 

 

 

うん。

 

本当にね、ジピコスにも負けると思う。

 

負けたら負けたで、元気になったら100倍返し、な!?

 

それに、バケモン呼ばわりは失礼じゃない?わたし、乙女よ。

 

まぁ、色々、色々汚れだけどさぁー、あはははは。

 

 

 

他人に言えない性癖だらけで、乙女って!・・・自分で思って自分で脳内つっこみする。

 

もう、・・・喋るのも辛い。

 

 

 

「凛子ぉ、バイトはもう降りたんだろ?姐さんが弱ってら、みてやってくれよ。」

 

 

 

「う?うん、弱ってるのに酒なんて飲むかなー?」

 

 

 

あ、凛子居たんだ・・・どこ行ってたんだか。

 

弱ったわたしを見て、凛子も少し困ったような、パニくってるみたいな口調。

 

凛子の顔を見る余裕も無いかな、今。

 

 

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