聖杯から英雄王が来るそうですよ?   作:春香秋月

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おはこんばんちわ。
春香秋月です。ドキドキの一話です。感想、ダメ出し等待ってます。


帰還、召喚、そしてウサギ弄り

――――――――――

「………ここは…?」

身体が分解されるような、構築されるような、記憶が失われていくような、流れ込んで来るような、漆黒であり、純白な、そんな感覚がある空間。

「………聖杯の中…。」

何度も味わった、あの日我(オレ)が死んだ時から味わってきた、見てきた空間であり感覚である。

我(オレ)の最後にある記憶は、聖杯の縁から見えた二人の雑種。衛宮士郎と紅き服のアーチャー。そして、アーチャーから放たれた、一本の剣。そして、ヤツのアーチャーの顔。やはり―――

「我(オレ)目は誤魔化せぬ。ヤツは、アーチャーは衛宮士郎と同一か…。そして、我(オレ)は聖杯に還ったのか…。聖杯戦争に負けた、か。」

我(オレ)は雑種である、衛宮士郎とやらに討たれた。ヤツの技は王の宝を模倣すると言う下劣は技ではあったが、ソレゆえに討たれたのだ。

「我が宝にも屈しぬとはな…。雑種にも少しは楽しめそうなモノが居るではないか。」

しかし、聖杯は壊されてもなお機能するとはな。

……、聖杯の中であるのならばセイバー、ペンドラゴンにも会えるのではないのか…?

「まぁ、良い。しかし、我(オレ)とて疲労することはある。しばし、眠ろうか…。」

サーヴァント故に肉体は疲労はしないし、睡眠の必要も無いが精神は磨耗し、疲労してゆく。

「……ぬ?」

我(オレ)が眠りにつこうとした瞬間、聖杯の中に手紙が落ちてきた。

「ほぅ?」

我(オレ)は‘ソレ’を手に取った。

『英雄王 ギルガメッシュ様へ』

「我(オレ)宛だと?」

我(オレ)はその手紙をもう一度見、開いた。

そこには―――

『悩み多し異才を持つ少年少女に告げる。その才能(ギフト)を試すことを望むのならば、己の家族を、友人を、財産を、世界の全てを捨て、我らの“箱庭”に来られたし。』

 

 

 

「わっ」

「きゃ!」

間を開けずに視界は開け、目にしたモノは上空4000mから自由落下する三人の雑種と一匹の猫。そして、世界の果てを彷彿させる断崖絶壁。眼下に見えるは、縮尺を見間違うほど巨大な天幕に覆われた未知の都市。

「いや、ヤツはただの雑種ではないな?」

あの男、ヤツだけはこの王の眼をもってしても見抜けぬか。

「ふむ、面白い…!」

他の自らよりも下のモノに対して絶対的な命令を下す雑種と、身に付けている首飾りによって触れ合った生命体の能力を得られる雑種など、どうでも良い。

「ぬ?」

どうやら、その様な事を考えていたら水面が近付いて来たらしい。

水面には、衝撃を吸収し落下速度をほぼ無にする魔術の様なモノがかかっているらしい。が、

「落下し、着水など王がとる行動ではあるまい。」

我(オレ)は霊体化し、水面の近くの陸に降りた。

そして、数秒後『ボチャン!』

と雑種共が水面に落下する音を聞きながら、我(オレ)は草に隠れているつもりの珍妙な者に問いた。

「この王である我(オレ)を呼んだのは、誰だ?」

 

 

 

「し、信じられないわ!」

「右に同じだクソッタレ。場合によっちゃその場でゲームオーバーだぜコレ。石の中に呼び出された方がまだ親切だ。」

「……。いえ、石の中に呼び出されては動けないでしょう?」

「俺は問題ない。」

「そう。身勝手ね。」

どうやら、先程の雑種と面白げな男が言い争いをしているらしいな。

「此処……どこだろう?」

「さぁな。まぁ、世界の果てっぽいものが見えたし、どこぞの大亀の背中じゃねぇか?」

「たわけ、この世界は亀が背負っておる世界などではなく、れっきとして生きている。」

我(オレ)は、冗談を吐く男に訂正をした。

「ん?あぁ、それもそうだな。」ヤハハハと笑う男。我(オレ)もそれにつられ、フハハと笑う。

「良い、王の前での冗談も許そう。して、貴様の名はなんと言う?」

「俺か?俺は、逆廻十六夜だ。そう言うあんたは?」

「ほう?貴様、我(オレ)に気付きながら問うか。」

他の雑種には気付かぬ事を気付くとは、やはりこの男は興味深いな。

「しかし、王が名乗る前に先ずは貴様等が名乗るのが先であろう?」

「あら、野蛮な前フリをどうもありがとう。けど、“貴様”って呼び方を訂正して。―――私は久遠飛鳥よ。以後は気を付けて。それで、そこの猫を抱きかかえている貴女は?」

「……、春日部耀。以下同文。」

「そう。よろしく春日部さん。で、先程から偉そうな貴方は?」

「雑種…、王に対して偉そうなどと、頭が高いぞ!」

我(オレ)は雑種共に対して一言声を張った。

『ビクッ!!』

その一言により、二人の雑種と男と一匹の猫と草むらにいる珍妙な者が体を強ばらせる。

「……、まぁ、良い。王の名を知らぬのなら、よく聞け。我(オレ)は人類最古の王にして、英雄の中の英雄王、ギルガメッシュなるぞ!!」

と、腕を組み少し不機嫌そうに宣言するギルガメッシュ。

そして、それを何故か正座で聞いている、十六夜、飛鳥、耀の三人+猫

 

そんな彼らを物陰から見ていた黒ウサギは思う。

(うわぁ……なんか問題児ばっかりみたいですねぇ……。)

召喚しておいてアレだが……彼らが協力する姿は、1ミリも想像出来なかった。黒ウサギは陰鬱そうにため息を重く吐くのだった。

 

 

 

「で、呼び出されたは良いがなんで誰もいねぇんだよ。この状況だと、招待状に書かれていた箱庭とかいうものの説明をする人間が現れるもんじゃねぇのか?」

「ふむ、確かに王を待たせるとはよい度胸だ。しかし、暇故に其処に居るウサギでも狩って暇でも潰そうではないか。」

その言葉に黒ウサギは身を震わせる。

(ウサギって、黒ウサギの事ではありませんよね…?きっと近くの草むらにウサギが居るのデスよね!?)

と、黒ウサギが現実逃避をしていると

「あら、貴方も気付いていたの?」

「あのようなモノで王を欺けるとでも思っておるのか?」

「勿論、俺も気付いてはいるぜ。これでも、かくれんぼじゃ負けなしだからな。それに、そっちの猫を抱いてる奴も気付いていたんだろ?」

「風上に立たれたら嫌でもわかる。」

「………へぇ?面白いなお前」

軽薄そうに笑う十六夜の目は笑っていない。四人は特にギルガメッシュは理不尽な招集を受けた腹いせに殺気の籠った冷ややかな視線を黒ウサギに向ける。黒ウサギは体を硬直させながらも、

「や、やだなぁ御四人様。そんな鬼神も失神しそうな怖い顔で見られると黒ウサギは死んじゃいますよ?えぇ、えぇ、古来より孤独と狼はウサギの天敵ですが、そちらの御方の視線が怖すぎて黒ウサギの心臓が既に爆発しそうデスよ。そんな黒ウサギの脆弱な心臓に免じてここは一つ穏便に御話を聞いていただけたら嬉しいでございますヨ?」

その問いに対して

「断る」

「却下」

「お断りします」

「王の為に死ねるのだ、光栄に思うとよい」

「あっは、取りつくシマもないですね♪……って、今の誰ですか!?黒ウサギはまだ死ねませんよ!?」

「貴様、許可も得ずに王に口答えするとは…。……散れ。」

『ゴゥッッ!!』

「ッッ!?」

「ほぅ、我(オレ)のを避けるか、中々によい瞬発力があるようだ。ふむ、よかろう。前の回避に免じて王を待たせたことを許そう。」

「……、あ、ありがとうございますデス。」

王により許しを得た黒ウサギではあったが、内心では

(今のは何ですか!?何も無い空間に金色の波紋が広がったと思ったら、剣の様なモノが飛んできた!?しかも、黒ウサギがさっきまでいた場所の土は抉れていますし、何ですかこの人は!?)

自分で召喚したのにも関わらず、殺されかけると言う事案に焦っていた。

「なぁ、王様?」

「なんだ、……、十六夜よ。」

「今のは、何だ?」

「ほう?ソレを問うか。よかろう、前のは我(オレ)の宝物庫にある宝だ。」

ギルガメッシュは答える。

「我(オレ)の宝物庫には全ての宝が入っておるからな。」

「へぇ?じゃあ、かなり凄いんだな。」

「十六夜よ、貴様は何やら面白そうだ。よかろう、貴様を我が臣下にしてやろうぞ。」

十六夜は一瞬驚いた様に目を見開き

「それは、ありがたいな。是非ともなりたいものだね。」

と、答えた。

そして

「あのー、そろそろ始めても良いデスか?」

黒ウサギが乱入した。

矢先に耀が黒ウサギの横に立ち、黒いウサ耳を根っこから鷲掴み

「えい」

「フギャ!?」

力いっぱい引っ張った。

「ちょ、ちょっとお待ちを!触るまでなら黙って受け入れますが、まさか初対面で遠慮無用に黒ウサギの素敵耳を引き抜きに掛かるとは、どういう了見ですか!?」

「好奇心の為せる業」

「自由にも程があります!」

「へぇ?このウサ耳って本物なのか?」

今度はギルガメッシュに臣下にして貰った十六夜が右から掴んで引っ張る。

「………。じゃあ、私も。」

今度は飛鳥が左から。

「ちょ、ちょっと待っ、王様、助けて下さい!」

「ふむ、貴様は王を待たせたのだ、それくらいの贖罪はして見せよ。」

ギルガメッシュは笑いながら答えた。

「そ、そんな…。御無体な――――!!」

左右に力いっぱい引っ張られた黒ウサギは、言葉にならない悲鳴を上げ、その絶叫は近隣に木霊した。

 




第一話、どうでしたか?
感想、ダメ出し等待ってます。
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