コードギアス 反逆のルルーシュ LOST COLORS R2~蒼失の騎士~   作:宙孫 左千夫

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コードギアス 反逆のルルーシュ LOST COLORS R2~蒼失の騎士~ TURN 3
③巻 0話『プロローグ』


 ジノ・ヴァインベルグから見た友の最初の印象は、よくわからない男だな、というものだった。

 初めて出会ったのはコンビで戦う御前試合だった。敵味方に分かれて戦うことになったが、友はスザクとの連携が全くと言って良いほど取れておらず、自分たちにあっけなく敗北した。

 その後は、どちらかといえば御前試合でじかにぶつかり合って引き分けたスザクの方に興味があったので、話しかけるのもスザクばかりになっていた。

 一度だけ、執務室のほうにあいさつに来たが、ちょうどその時はベアトリスより課せられた報告書作成の業務で、精神的に余裕がなかったというのもあり、特に会話もせずに簡単なもので終わらせてしまった。

 そして、しばらくたったある日、ジノは驚愕した。

 ブリタニア本国の、ナイトオブラウンズのみに入室が許されている高級士官用ラウンジ。そこに、なにげなく立ち寄った時の事である。

「アーニャはさ、“モルドレッド”に乗ってるけど極端に砲戦が得意ってわけじゃないだろ」

 と、ロイ・キャンベルと、

「どうしてそう思うの?」

 アーニャ・アールストレイムが、テーブルをはさみ、紅茶を飲み交わしながら雑談をしていた。

 そもそも、あのアーニャが他人と面と向かって会話しているだけでも驚きなのだが、さらにその雑談の雰囲気も、

「“モルドレッド”で結構、接近戦をしたがるし」

「よく見てるのね」

「昔からの性分でね。ごめん。不快にさせたかな」

「別に構わない。そう、あなたの言うとおり、もともと私の技能は近距離と比べて砲戦に特化しているわけじゃない。どちらも同じぐらい。好みで言えば、むしろ近中距離戦闘の方が好き」

「あえてモルドレッドのような機体にしてるのは、やっぱり肉体的なことが要因で?」

 と、かなり盛り上がっていた。

 アーニャは、携帯ではなくロイをまっすぐ見ながら頷いた。

「中近接戦闘。特に近接戦闘においては技量が比肩していても、私は体型の関係で、他のラウンズと比べて体力ではどうしても一歩劣る。それで、体力の差が出にくい砲戦仕様を専用機にした」

 ロイは、分厚いメガネが湯気で曇るのも気にせずに紅茶の香りを楽しんでいた。

「ラウンズ並みの敵を想定し、もし遭遇した際には砲戦で互角以上の戦いができるように、かい」

「そう」

「君の操縦データの結果でも、砲戦と近接戦闘の操縦において、砲戦の方が操作上の動作が少なく、体力の消耗が少ないことが証明されているね」

「その件に関する実験データは私のKMF開発チームしか持ってないはずだけど、もしかしてハッキング?」

「違うよ。そんな物騒なことはしないさ。君の公開されている戦闘動画や、これまでの模擬戦中で取ったデータなんかを自分で検証した」

「あきれた、ラウンズの業務、激しい模擬戦の合間でそんなことをしていたの?」

「大変だったよ」

「それで私のKMF開発チームと同じ結論に至ったのは大したもの。そう、私のモルドレッドは、今後、砲戦型から万能型へと体の成長に合わせてカスタマイズしていく予定。本来であれば、その方がこなせる任務も多い」

 ジノは、立ち尽くしてその会話を聞き入っていた。

 アーニャは、ラウンズになる前から“モルドレッド”に乗っていたわけじゃない。これはかつて、ジノ自身がスザクに告げたものだ。

 しかし、アーニャがあえて砲撃型の“モルドレッド”に騎乗している理由、というのは初めて知った。

 いつしか、ジノは吸い寄せられるように二人に話しかけていた。

「キャンベル卿」

 すでに接近には気づいていたようで、二人の視線はすでにこちらへ向いていた。さらにロイは気を使ったのだろう。彼だけは立ち上がって一礼した。

「これは、ヴァインベルグ卿」

「そんなかしこまった言い方をするな。同世代なんだしジノでいい」

 少しだけ、ロイは困惑したようだった。いきなりこんなことを告げられれば、誰でもそうなるだろう。

 それを受けて、ジノは再び言う。

「ああ、そうだな。私が卿呼びでは、私のこともジノとは呼びにくいな。では、今日から私は君の事をロイと呼ぼう」

「ジノ、いきなり入ってきてなにを言ってるの?」

 そのアーニャの言い様に軽い敵意が含まれているのを感じた。どこか昼寝などの安らかな時間を邪魔された際の、猫の威嚇を連想させた。

(アーニャに、こんな顔をさせるとはね)

 ジノはニンマリとした笑みを浮かべ、ロイの肩に長い腕を回す。

「私は君に俄然興味が沸いた!」

「ヴァ、ヴァインベルグ卿?」

「ジ、ノ。私の事はそう呼べ。ってか、どうやってアーニャを手なずけたんだ。はははっ、面白いやつだな」

「て、手なずけてなどいませんが」

「だから、そういう他人行儀な言い方は止めろって、ロイ」

「す、すみません」

 再度、アーニャが口を出す。

「本当に、何をしに来たのジノ」

 しかし、ジノはスルーした。

「さっき面白いこと言ってたよな。戦闘データとかなんとか、もしかして私のもあるのか?」

「えっ、あっ、はい。一応」

「よし、それなら私と模擬戦しよう。前回の御前試合では実際にロイとは戦ってないし」

「今からですか?」

「そう、今から」

「ジノ、ロイはいま私と話をしている」

 横から低い声がした。いつの間にか、アーニャはソファから腰を上げていた。

「おー怖。本当にどんな魔法を使ったんだよロイ。こいつがこんなに他人に興味を持つなんていままでに無かったぞ」

「ジノっ!」

 アーニャが、今度こそ明らかな怒りの声をあげた。

 それから、ジノとよく一緒に行動する人数がアーニャとの二人から、スザク、ロイを入れて四人になるのに、それほど時間はかからなかった。

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