錬鉄と騎士王のduet   作:氷結cool

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どうも、氷結coolです。
今回は三人称視点でお送りします。
では、お楽しみ下さい。


武偵殺し
武偵高帰還


あたりはすでに日が落ち、この路地裏には深い闇に包まれていた。

表通りは日が落ちても店の明かりや街頭の光で日中と変わらぬ明るさがあった。

 

しかし、路地裏には光が存在せず辺りにごみが散乱し、ネズミやゴキブリが走り回っている。普通の人ならこんなところには入らないだろう。

 

そんな路地裏に一人の男。

男は服の上からでもわかるような体格のいい男で、そこら辺にいるチンピラなら一睨みで追い返すことができるだろう。しかし、そんな男が今額に汗を浮かべ頻りにあたりを見回していた。周りを伺いつつさらに路地裏の奥に足を進めていく。

 

ガサッ

 

後ろからの些細な音に反応し振り向けばごみをあさるネズミがそこにはいた。なんだ、ネズミかと安堵の息を吐いたが。

 

 

「・・・ずいぶん、遠くに逃げたものだ。だが貴様の逃走劇もここまでだ。このままおとなしく捕まるというのなら手荒なことはしないが抵抗するというなら手荒になってしまうがどうするかね」

 

 

そのような言葉が上から聞こえてきた。男が上を向けば建物の屋上には白い髪の男が立っていた。

その男は防弾チョッキを着用し、手には見たこともないような奇妙な剣を両手に持っていた。

 

男はこの男を知っている。

 

なぜなら男はこの男から逃げてきたのだ。ここら辺の地理には精通しているので人通りが少なく、入り組んで人に見つかりにくいここに逃げ込んできた。簡単に見つかるはずはないと思っていた。

 

 

「・・なんでここに」

 

 

「教えるわけがないと言いたいところだがまあ、いいだろう。簡単に言えば貴様の考えが単純に安直だっただけだ。犯罪を犯した犯人というものはなぜか、人通りの少なく入り組んだ場所に逃げ込みやすい。故にこの近辺にある人通りが少なく入り組んだ場所ここを探しに来たのだが、まさかこんなに簡単に見つかるとは思っていなかったがな。貴様のような男は安直なところに逃げ込むということだな。」

 

 

「・・なんだとてめえ。俺を馬鹿にしてんのか。・・・武偵だろうが何だろうがここで殺してやるよっ」

 

 

そういった男がズボンに差し込んでいた拳銃を取り出した。拳銃を構え、撃鉄を起こしいまだに屋上にいる男に向かって発砲する。

 

 

しかし、拳銃から放たれた弾丸は男にあたることはなかった。あろうことか、男は弾丸を体を軽く傾けることでよけたのだ。

銃を撃った男はあり得ないとさらに銃を撃ち込んでいく。

 

 

拳銃は簡単にはよけることなどできない。確かに拳銃は一発であれば一般人でもよけることは可能であり、武偵の上位の者は、撃たれた全ての弾をよけることもできる。しかし、一般人はほとんどまぐれであり、武偵は発砲される前に弾道の軌道を予測し、弾道から距離をあけてよけているのだ。

 

 

 

 

間違っても、男のように紙一重のようにぎりぎりで必要最低限でよけることはできない。これが男が知る常識だった。

 

 

「なんで当たらないんだよッ!さっさと死にやがれッ!」

 

 

更に銃を撃ち込んでいくが遂にカチッカチッと引き金を引いても弾が出なくなった。

 

弾切れだ。

 

それを確認した男は屋上から飛び降り、手に持った剣を振るい拳銃を切り裂く。

 

縦に切り裂かれた拳銃が男の手を離れ、ガチャッと音を立てて地面に落ちたが男は意に関せずに剣を男の首筋に押し当てた。

 

 

「ここまでのようだな。おとなしく罪を償え。」

 

 

「・・・がッ!?」

 

 

男の首に剣の柄を叩き込むと苦痛の声をあげ、崩れ落ちた。

 

 

それを確認すると懐から赤を基調とした携帯を取り出しあるところに電話をかける。

 

 

プルル・・プルル・・プルル・ガチャッ

 

『・・シロウ、こちらは残念ながらまだ見つかっていません』

 

 

「いや、こちらで発見した。無力化も完了し、後は警察に引き渡すだけだ。ポイントαで合流しよう」

 

 

『さすがですね、シロウ。分かりました。先にポイントαに行かせてもらいます』

 

 

それを言うと電話が切れた。

切れたのを確認すると、男ーシロウーは今度は警察に連絡を入れ男の身元を引き取ってもらう事にした。

 

 

 

10分後

 

やってきた警察に男を引き渡し、依頼人に連絡を入れた。依頼人はご苦労だったなと言い、その後も簡単な確認事項を確認し電話を切った。

 

 

 

 

 

これで、シロウが請け負った依頼は完了した。

今回シロウが請け負ったのはイタリアに拠点を持つマフィアの逮捕。本来この仕事はイタリアの警察が負うべき仕事であるが海外にも知名度を持つシロウの実力を信用してイタリア政府が依頼を出したのだ。これが表向きの依頼の概要。ただ当然これがすべてではない。シロウは知らないがイタリア政府の狙いはシロウの実力を測るものではなく、パートナーの実力を測るものだった。イギリス屈指と言われたシロウのパートナーの実力を。

 

 

この依頼を受けて早3か月。マフィアの拠点は早く割れたのだが、問題はなかなかマフィアの仲間の全体像が判明しなかったのである。どれだけの規模があるのかを調べるのに時間が掛かった。2か月かかってようやくすべてのメンバーを確認し、今日万全の準備を整えてマフィアの一斉逮捕を行った。シロウはリーダーを含め、ほぼ全員を捕まえられたが一人だけ取り逃がしたのだ。それが先ほどの男。

 

事後処理も完了し、シロウはパートナーの待つポイントαに向かった。

 

 

 

ポイントαはシロウが泊まっているホテルのことだ。このホテルはイタリアでも有名なホテル。依頼主が政府だということだけあって宿泊場所もいいところをおさえてくれた。

流石に三か月の宿泊しているので慣れた様子で宿泊している自室に戻る。

 

自室の戻ると部屋には一人の女性。肩まである美しい金髪の女性がベットの腰かけ、シロウに背を向けていた。

 

 

「アルトリア。ただいま」

 

 

シロウは金髪の女性ーアルトリアーに話しかけた。アルトリアは声に反応し、シロウの方を向いた。

 

 

「シロウ、おかえりなさい。けがは特にないようですね、安心しました。」

 

 

「私があの程度の小物に傷などつけられはせんよ。とりあえず、依頼人に連絡をいれ完了の報告をしておいた。今日で任務は完了だ。急で悪いとは思うが明日の便で日本に戻るとしよう。」

 

 

その言葉にアルトリアは安堵の表情を浮かべた。

 

 

「それは良かった。ここの料理も素晴らしいのですが私としてはそろそろシロウの料理が食べたいと思っていたところです。・・・それにしても三か月ぶりの日本ですか。ずいぶん長いことこの任務をしていましたね。任務のせいでクラス分けの結果をまだ見ていませんのでシロウと同じクラスになれているのか心配ですね」

 

 

このようなマフィアの逮捕といった危険を伴う任務を行っていたのだがこの二人はまだ高校生なのだ。高校生がこのようなことはできはしないがシロウたちが行っているのは通っている学校が普通ではない。

 

 

 

 

 

東京武偵高校

 

凶悪化する犯罪に対抗するために新設された国家資格として”武偵”というものができた。武偵免許を持つ者は武装を許可され、逮捕権を有するなど警察に準ずる活動が可能になる。しかしあくまで武偵は金で動き、金さえ貰えれば武偵法の許す限りどんな仕事でも請け負う「何でも屋」の側面がある。

 

東京武偵校はこの武偵を養成する学校であり、二人はここに通っている。今回の依頼もこの東京武偵高校を通して、二人に依頼されたものだ。

 

通常の学校であればこのように3ヶ月もの長期の休みなど取れはしないがそれは武偵校。任務のレポートを提出さえすれば特に問題なく休むことが出来るし、本来は受けなければいけない定期テストも免除される。

 

それでいいのか武偵校。

 

そのお陰で東京武偵校は東京でも底辺に位置する偏差値を叩き出している。

 

「別にクラスが別になっても構わないだろう。授業は午前中しかないのだし、午後は強襲科のメニューを一緒にこなすのだから。」

 

その言葉にアルトリアはため息を溢した。相変わらずこの男は鈍いと思った。確かに授業は午前中しかないとはいえ、好きな男と同じ教室で授業を受けたいと思うものだ。それをこの鈍感男は気づいていないのだ。

 

 

未だに理解できていないシロウに再びため息を溢し、帰り支度を始めるアルトリアであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

▼▼▼

 

シロウとアルトリアが今いるのはレインボーブリッジ南方に浮かぶ南北およそ2キロメートル・東西500メートルの人工浮島だ。二人はイタリアから飛行機にのり、東京にある人工浮島に戻ってきた。

 

そのまま二人はその足で東京武偵校の教務科に向かった。長期任務で休んだので書類を届けに来たのだ。

 

教務科はその名の通り教職員が所属しているところで前歴が自衛隊、警察OB、特殊部隊、傭兵、マフィア、殺し屋らしき人物まで多数在籍している。強襲科、地下倉庫と並ぶ東京武偵高の「3大危険地域」と呼ばれている場所のため生徒はほとんど近づくことはない。

 

そのため、教務科に近づくにつれ、先程までとはうってかわって生徒の姿が見えなくなった。

 

 

 

ただしそれは静かになることと同義ではない。

生徒の話し声ではなく、教師たちの騒ぎ声が教務科の部屋から響いてくる。

 

その声が聞こえる部屋まで歩いていき、扉を叩く。

 

 

「失礼します。衛宮 士郎とアルトリア・ペンドラゴン入ります。」

 

 

その声と共に部屋にはいるとそこは一般の職員室とは全く異なる異界だった。

 

まず目を引くのは長いポニーテールの女性。

 

名前は蘭豹

 

この近辺に響く大声を出しているのは主にこの人。

椅子に座ってはいるが足を机にのせながら昼間にも関わらず酒を飲んでいる。言っておくが現在の時刻は午後1時。間違っても職員が酒を飲む時間ではない。

 

更にこの女性は未成年なのである。年齢は19歳だったとシロウは記憶している。

 

口癖は死ね!と殺す!の二つ。

 

 

香港の「貴蘭會(グイランフィ)」というマフィアのボスの愛娘で、かつて香港で無敵の武偵と恐れられた女。そのあまりの凶暴さ故に香港では出入り禁止となり、各地の武偵高をクビになりながら転々としている。

 

そして、蘭豹の隣にいる女性が綴 梅子

常にラリっているようなダルそうな雰囲気を出しており、口には違法物だと思われるタバコを吸っている。

蘭豹とは違い、騒いではいないがこの女性も普通ではない。この人、タバコで根性焼きをやるなど真正のサディスティックなのである。なので、蘭豹と合わせて危険人物に認定されている。

 

 

そして、その隣にいるのが今回シロウ達が用のある教師である

 

高天原 ゆかり

 

東京武偵高校で探偵科の教諭。22歳。

シロウ達の元クラスの担当であり、笑顔を絶やさない穏やかな性格の持ち主だ。この変人奇人だらけの武偵校でまともな人のため、多くの人は高天原先生を頼る。

 

 

「高天原先生、お久しぶりです。長期任務での欠席書類を持ってきましたので確認をお願いします。」

 

 

そう言ってシロウとアルトリアの書類を一緒に差し出した。高天原はそれを笑顔で受けとる。

 

 

「お帰りなさい。衛宮君、ペンドラゴンさん。・・・はい、書類は確かに受けとりました。特に不備もありませんので問題ありませんよ。明日から新学期が始まりますので二人とも遅刻せずに来てくださいね。」

 

 

「・・・よお!お前ら帰ってきたのか。それならちょうどいい!いまから、殺ろうぜっ!」

 

 

高天原に書類を提出し、さっさと立ち去るつもりだったが蘭豹が話しかけてきた。

 

(最悪だ)

(最悪です)

 

蘭豹は二人のことをいたく気に入っているので暇そうなときを見計らって何時もこのようなことを言ってくるのだ。

 

 

「・・・蘭豹先生、お久しぶりです。すいませんが明日の準備が私もアルトリアもありますのでまた後日にしてもらえないでしょうか」

 

 

「あ?明日の準備?そんなものどうでもいいんだよっ!さっさと準備しなっ!準備しないならここで死ねっ!」

 

 

教師としてあるまじき発言だがこれは日常茶飯事なのでそこまでシロウもアルトリアも動じない。二人は揃って扉の方へと駆け寄り廊下に飛び出した。その勢いのまま、廊下を駆け抜け外に出る。

 

その途中で蘭豹の叫び声を聞いたが無視。捕まれば強制的に地獄の死合が始まるのだ。止まるわけがなかった。

 

数分の鬼ごっこの末なんとか蘭豹の追撃を逃げ切り、各々の自室に戻っていくのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 




誤字、脱字等があればご連絡ください。
次回からは一人称視点に戻します
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