祖なるものもやってくるようですよ   作:双月崩

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第一話 孤独な祖龍が嗅ぎ付けたようですよ?

彼女は孤独(ひとり)だった。

 

いや、この表現では誤解を生みかねないだろう。

彼女は孤独(ひとり)になった。と言う方が正しいだろう。

 

彼女は眺めていることが常だった。

彼女の力は強大で、それが故に彼女は世界と関わりを持たなかった。

それでも彼女は、いやそれだからこそかもしれない。

彼女はこの世界に住むすべての生物が好きだった。

彼らが狩り狩られていく関係を、命の限り挑戦しあう姿を、共生関係を作っていく様を愛していた。

 

人類が喪われた文明の封印されし災厄を呼び起こすまでは

 

それは巨大な機械だった。

 

それは天を砕き、地を揺らし、嵐を引き起こした。

距離を無視した移動を行い、分裂して攻撃した。

エネルギーの塊を発射し、一帯を吹き飛ばした。

無限のエネルギーで自らを修復した。

 

それは確かに、古龍なら持ち得る能力(ちから)である。

 

しかし、それらすべてをたった一体で行うことなどどの古龍にも不可能だった。

 

古代から蘇った災厄を手にした人間たちは、モンスターたちを滅ぼしていった。

 

虫は燃えつき、獣は切り裂かれ、竜は落とされた。

 

古より生きる龍たちは、この災厄を滅ぼそうと立ち向かった。

伝説は目を覚まし、煉獄の王は蘇り、暗黒の王すら立ち向かった。

 

天が泣き、大地が砕けた。

大地が隆起し、海が沸騰した。

天候は荒れ、大気は汚染された。

 

神話のような戦いの中で、伝説はその怒りを強め、その身を赤く染め上げた。

 

戦いは熾烈を極めた。

 

四肢のある太陽が、霞隠しが、嵐と共に来たるものが墜ちた。

千古不易を謳う王が、天を廻りて戻りくるものが身罷った。

古より生きる龍すら落ち始めた時、伝説はさらなる怒りを身に纏い再び彼の地に降り立った。

怒りに身を焦がした伝説は、あまりの怒りに我を忘れ、終に災厄と共に彼の地を滅ぼした。

 

彼女はそのすべてを見ていた。

 

見ていることしかできなかった。

 

資格あるものの前以外に現れることが無い様に、自らを封じていたから。

 

すべてを収める能力(ちから)があったはずなのに

愛する命達が喪われることを防げたはずなのに

 

彼女には何も出来なかった。

 

そうして彼女は孤独(ひとり)になった。

 

永遠(ながいとき)を生きる彼女にとって、瞬きにも満たないはずの2~30年ほどの時間が彼女にはあまりにも長かった。

 

すべてに無気力になっていた彼女は、世界を越える(わたる)招待状(かのうせい)を見つける。

 

そして彼女は手を伸ばし

 

滅びた世界から旅立った

 

遠い思い出だけを胸に抱いて




蘇ったロボットのことは気にしないでください

今後一切登場しません
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