真冬はとある荒れ果てた廃ビルへと向かっていた。
「そろそろ優一郎達は授業してるころなあ。いや、どうせ君月と喧嘩してグレンにボコられてそうだ」
呑気にそんなことを言っているが、事実、本当にそのような事が起こっていたことを真冬は知らない。そして、それから数分後。目的地の廃ビルへと到着すると、小さな人影がそこにはあった。
「あれ?まだ時間じゃないのにもう着いてたのか。“クルル”」
「ええ。でも、あまり時間がない。さっさとはじめましょう」
なぜ、ここにクルルがいるのか。それは数年前のある事がきっかけでたまにこうして二人で情報を交換し合うようになったのだ。そしてクルルと真冬は話し出す。
「クルル。お前が言っていた百夜優一郎は月鬼ノ組の研修教室に入った。が、おそらく研修生として過ごすのは一週間って所だろうな。すぐにグレンの奴が優一郎を黒鬼シリーズに挑ませるだろう」
「黒鬼…」
「ああ、お前の兄。“アシュラ・ツェペシ”がいるところだ」
「……」
「アシュラ・ツェペシもとい阿修羅丸は百夜優一郎につける。それでいいな?」
「…ええ。お願いする…ッ!?」
クルルは兄の話から暗い表情になっていると突然、クルルは真冬から頭を撫でられていた。
「俺がいるんだ。任せろ」
真冬のその言葉にクルルはクスリと笑う。
「ええ。期待してるわよ?」
「おうおう。期待しとけ。ここまで来たんだ。やり通すさ」
「そう…。それにしても人間もよくやるわね。黒鬼を所持できる者は全員“人体実験”を受けている……“あなたを含めてね”」
そう言ったクルルはまた暗い表情をする。
「なーに。まだ根に持ってるのか。別に気にちゃいねえよ」
「でも!あれじゃあ人体実験を“した”のは人間でも。“させた”のは私という見方もできるのよ!?」
必死に叫んでるクルルを見て真冬はまたクルルの頭を優しく撫でる。
「大丈夫だ。もしお前があの時俺に人体実験を“強制”させようがさせまいが俺は人体実験を受けていた。あの時クルル。お前は言ったな。俺のことを“駒”だと。なら俺は喜んでお前の“駒”になろう。それがお前に対する“恩返し”だ」
「…そう。わかったわ。けどこれだけは約束して。絶対に死なないで。あなたが死ねばこの“計画”は崩れる」
「わかってる。まぁ、俺が死ぬ事なんてほぼほぼないと思うけどな」
「そうね。日本じゃ敵なしじゃないの?人間、吸血鬼を含めてね」
「いやいや。怒った時のクルルには負けるぜ?」
「それどういう意味っ!?」
少しの時間クルルと真冬は笑い合った。そして
「クルル。そっちの方はどうなったんだ?」
「日本帝鬼軍と戦争をすると表明した」
その言葉に真冬とクルルの表情が真剣なものになる。
「そうか。じゃあそろそろ……」
「ええ。そろそろ本格的に動き出す……」
ーーーーー
クルルとの密会を終えて数日後。
「それではこの前やった呪術筆記試験の答案を返して解散にしまーす。この結果はこれから与えられる鬼呪装備のランク決めにも影響するので結果を受け止めて次回に活かすようにして…」
先生が、一人一人に答案用紙を配りながらそう言った。当然真冬にも答案用紙が来るわけだが、結果は全て満点だった。すると、シノアが真冬の答案をのぞき込んでくる。
「うっ。さすが真冬さん。これじゃ真冬さんをいじれませんね」
流石にシノアは全て満点とはいかないのか少し落ち込む。しかし突如優一郎の方を見てキラーンと目を輝かせ、優一郎の答案用紙をサッと奪う。優一郎も何かを察したのか隠そうとしたが少し遅かったようだ。
「うわーすごいこれアレじゃないですか!超人にしか取れないと噂のあの伝説の点数じゃないですか!みんなに見てもらいましょ〜」
シノアは優一郎の答案用紙を男子三人組の机の上におく。三人組は優一郎の点数を見て驚く。
「おおおおなんだこいつまじで0点だぞ」
「ほんとだすげぇ!!」
「この月鬼ノ組は吸血鬼殲滅部隊の中でもエリートの集まりじゃなかったのかよ?」
「答え全部ひらがなで書いてあんだけどそんな馬鹿がなんでここにいんだよ…」
「見んなコラアアア!!!」
ついに優一郎が怒り男子三人組組から答案を回収する。そしてシノアの方を睨みつけた。
「…てんめぇいじめっ子すぎんだろ」
「いじめっ子とはなんですか。トゲトゲしすぎてクラスに溶け込めないあなたを人気者にしてあげてるんじゃないですか」
「余計なお世話だっつの!!だいたい仲間やら友達やら吸血鬼殺すのにいらねぇんだよ!!」
「まーたそんなことを。チームプレイできない人は軍じゃ活躍できませんよ」
するを優一郎はシノアにビシッと指を指し。
「できるね!俺は超スーパー活躍するね!」
「子供ですかあなたは」
「誰が子供だって!?」
そんな二人の会話に与一がまあまあと仲裁にはいる。
「でも優くんはあれだよね。子供の時吸血鬼の都市で監禁されてたから読み書きは日本語より英語やラテン語の方が得意なんだよね。今回は仕方ないよ」
そんな与一の言葉に優一郎が照れていると、君月が後ろから優一郎の答案を奪った。そして一言言い放つ。
「頭にクソでも詰まってんのか?」
「ああ!!?」
「君月。あの馬鹿で有名な百夜優一郎様だぞ。この点数が妥当だ」
「おおい!?真冬もそっち側かよっ!?」
めちゃめちゃキレている優一郎は真冬達二人にこう言い放つ。
「なんだよ偉そうにしてるてめぇらはじゃあ何点だったんだよ!!?さぞいい点なんだろうな!?」
そこで真冬と君月のアイコンタクト。そして二人はフッと笑いながら自分の答案を見せる。
「「右からラテン語呪術、英語呪術、日本語呪術、いやー俺達は日本語以外苦手だから帰国子女気取りの優さんにはとてもかないませんよ〜」」
そして心なしか優一郎からピキッという音が聞こえた。
「てめぇらは吸血鬼の前にぶっ殺ぉおおおす!!」
「上等だ来いやコラぁあああ!!!」
喧嘩し始めた真冬たちだが。真冬は流石に巻き込まれまいと避難した。
するとちょうど優一郎たちの喧嘩中にグレンが教室に入ってくる。
「おいなんだ相変わらずクソうるせぇなここは」
優一郎達はすぐさまグレンに気づき優一郎が叫ぶ。
「おいグレン!!てめぇいい加減俺に鬼呪装備よこせよ!!俺は吸血鬼どもに復讐するためだけに生きてんだぞ‼︎なのになんでこんなとこでクズどもと一緒に…「騒ぐな馬鹿俺が喋る…」」
君月は優一郎の顔をグイッと押させながら話す。
「なぜクラスを放置して10日以上も失踪したのでしょう?もう我々には鬼呪装備契約のための実力はあると思いますが」
「へぇ、おまえらクズどもに鬼と契約できるだけの実力があるって?」
「あるに決まってんだろ‼︎君月のクソにはないとしても俺にはある!!」
すぐさま反論したのは優一郎だった。が、そこからまた二人の悪口の言い合いになりまた喧嘩がはじまる。するとなにか先生と話していたグレンがいきなり刀を抜く。そして
「死んだ奴は修練足りてなかった自分を恨め」
そうグレンは言ったあと剣を床に突き刺した。
その瞬間真冬達全員に信じられないほどの重圧が襲う。
「があ?なんだこれ」
「し…心臓が締め付けられ…」
優一郎と君月がそんなことを言うが与一は何が何だかわからないと言ったふうに周りをキョロキョロしているだけだった。真冬とシノアもこれといって驚くわけでなく普通に立ってた。
そしてグレンがはい終了と言い剣をしまう。
「よーしじゃあ今意識があるやつ、見込みがあるこのまま訓練続けてきゃ鬼呪装備契約の儀に移れる可能性がある。あと立ってられた奴お前らは優秀だ。すぐに俺の剣と同ランクー『黒鬼』のシリーズに挑戦させてやる。で立っているのは〜優…君月…与一…いや、お前らは気絶しろよ」
そんなグレンの言葉に真冬とシノアはアハハと笑う。
「あのグレン様無茶苦茶な試験はいつものことですが与一くんを『黒鬼』シリーズに挑戦させるのはどうかと思います」
と、先生がグレンに言う。そしてグレンは目を細めてこう言った。
「俺の決定に文句あんのか?」
「文句は無いですが…しかし、与一君は心が安定していても鬼を受け入れられるだけの強さは…」
「はあ?強さがなきゃ死ぬ。ここはそういう世界だろ、おままごとやってんじゃねぇぞ」
そんな言葉のあと今度は真冬とシノアがグレンに発言した。
「でも、与一は優しすぎると思うんだけど?」
「そうです。鬼は弱い人間を嫌います。与一さんはきっと鬼に取り憑かれ…「うるせぇなぁ」」
グレンは二人の言葉を聞かずに与一の方へ向く。
「おい与一おまえ吸血鬼に殺された姉貴の復讐したいんだろ?なら命かけるよな?」
「い、命…?」
与一は命をかけると言われためらっていた。すると優一郎が与一にこう言った。
「与一。帰れ。ここはおまえみたいに優しい奴がいる場所じゃねぇよ」
俺も同意見だと君月も優一郎に賛成する。しかし、与一は少し考えたあとに。
「グレン中佐!!僕やります!!もっと強い力が欲しいから!!もう大切な人を失わないですむだけの力が欲しいから!!」
与一は決意を決めたようだった。そしてそれを見た優一郎はどこか悲しそうな顔をしていた。
なんだΣ(゚д゚;)
なんか真冬とクルルが甘いぞΣ(゚д゚;)
これからどうなることやら┐(´~`;)┌
感想とかあったらお願いします!!