fate/stay night shaman king 作:鉄爪
「そう、一体君はなにを抱えて生きてきた。それを問いかけたくてつい声をかけてしまったんだよ」
キャスターのその問いかけ
それを前にして俺は思考が一時的に停止した
その様子を見たキャスターは満足そうに微笑んだ
「なるほどね、それが君というわけだ」
そしてキャスターはそう呟いた
「それが…俺?」
その呟きに対して俺も無意識にそう呟いていた
それはまるで誘導されているように感じたがおそらくだけどキャスターは魔術の類を使ってはいない
使ってたなら遠坂が、セイバーが黙ってないはず
しかしセイバーは変わらず剣を握ったまま警戒の体勢をとったままだし遠坂に至ってはむっとした表情を浮かべたままである
俺は何を見抜かれたのかわからないままただ立ち尽くすしかなかった
「話は終わった?なら今度はこっちから質問してもいいかしら?」
その時遠坂がそうキャスターに向けて問いかけた
「あなたの質問に答えたとは言い難いけど答えたわ。ならこっちの質問にも答えて欲しいわ。それが話し合いってものでしょ?」
「確かにそうだね。それじゃあ君の質問に答えようじゃないか」
キャスターは興味の対象を俺から遠坂に移したようだ
ずっと俺の中のさらに奥を見つめていたような感覚が消えたから
「そうね、まず私が聞きたいのはあなたの目的よ。あなたは聖杯に何を望むの?」
聖杯に求める願い
それは英霊がどんな英霊なのか、どの英霊なのかを判断するにあたり大きな情報となるものだ
だからセイバーは魔術師として半人前な俺に真名も願いも教えることはできないといった
つまり遠坂が問いかけたいのはそういうことなんだろう
しかしキャスターから返ってきた言葉に俺は言葉を失うことになる
なぜなら彼のキャスターの望みが俺の予想と大きく違ったからだ
「僕の願い…か。素直に僕の真名を聞けばいいものを。けど聞かれたんじゃ答えるしかないじゃないか。僕の願いは…」
キャスターは遠坂の狙いを知った上で続けていく
「人間という種の滅亡さ」
「な…に…?」
「今、なんて…」
俺と遠坂はほぼ同じ反応をしていた
セイバーなんか口を開けたまま剣の先を地面に落としてしまっている
後ろのバーサーカーのマスターも同じく言葉を失っていたのだろう
黙ってこちらを、キャスターを見つめたまま動きを見せなかった
その反応を見てキャスターは満足そうにうなずいた
「言葉の通りだよ、人間。僕は君達を滅ぼすためにこの戦いに参加したサーヴァントだ」
やはり、聞き間違いじゃない
こいつは本気でこの世界から人間を滅ぼすつもりだ
「なによ、それ。冗談じゃないわ」
遠坂が声を荒げてそう叫ぶ
俺だって嘘だ!と叫びたい気持ちでいっぱいだ
だってそんな考えを持った人間が英雄になれるはずがない
けれど現にあいつはサーヴァントとして召喚されている
それにこれが嘘じゃないのはわかる
あいつのあの言葉は本気だとひしひしと伝わってきた
「君達人間は今も昔も何も変わらない。いつの時代もこの星を破滅への道を進めていくことしかしない。一度は信じてみようと思ったがそれも無意味だ。この『世界』の人間は信じるに足るものじゃない」
キャスターは坂の上の少女へと目線を向ける
「人間は己の欲を満たすことしかかんがえていない。その結果、その末路が君だろう?」
その言葉を受けたバーサーカーのマスターは驚きの色を浮かべていた
それがどういって意味を持っているのかはわからないけど核心をついた言葉だったということは確かだ
「だから僕は滅ぼすことにしたのさ」
そう言ったキャスターの目に見えたのは怒りと悲しみだった