fate/stay night shaman king 作:鉄爪
「へぇ、昨日の今日でもうやってるのか。あれがサーヴァント同士の戦いだよ」
面白そうに下で起きている蛇と騎士の戦いを眺めながらハオは呟く
その呟きは一緒にいる少女の影へと向けられているものだ
その少女はそれに応える様子もなくただジッと祈るように手を合わせながら戦いを見つめている
「君は僕の抑止力となるために呼んだんだ。僕を止めることが出来るのは君かあいつらしかいないからね」
「わかっています。ですがあの女性の、喰べられてしまった女性の事を祈るくらいはさせてください」
儚き少女はもう一度祈りを捧げると今度はしっかりとした目で下の戦いを見始めた
「さぁ動くとするなら今だよ」
ハオがそう戦いを見ながら告げた時、片方のサーヴァントが勝負を仕掛けるように飛び出した
だがそれをもう片方のサーヴァントがその手の見えない武器で迎撃する
「あの斬り口。やはり剣か…まあセイバーだから当たり前か」
その時だった
ハオもそして隣の少女も同時に目を見開いた
「驚いた」
「私もです」
あんな人間が否、あれを人間と呼んでいいものかもわからない存在がいることに
「この聖杯戦争、やはりなにかがおかしいね」
「貴方が召喚されている時点で気付くべきだと思いますが…」
「そう言うなよ。仮にも英霊として認められて召喚されてるんだからさ」
と、くだらないやり取りを数度ほど繰り返す
昨日のハオを見ればこんな冗談の言い合いなどありえないと思うだろう
如何に人間が人類が憎かろうがそれでも身内には甘いのがこのハオという男なのだ
横にいるのが弟の葉ならば一緒にコーヒーでも呑んでいただろうか
「さて、僕は行かなくちゃいけなくなった。君はついてきても来なくても構わないけど、どうする?」
「私もあのマスターには興味がありますのでついていこうと…。」
「わかった、じゃあ向かおうか。場所はあの教会だ」
赤き鳥が羽ばたく
それは昨日見た赤い巨人と同じ印象を受ける摩訶不思議な鳥だった
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「やあセイバー。昨日振りだね」
「キャスター!?」
空から舞い降りたその姿をみてセイバーが剣を構える
「そう構えるな。僕は事を始めるつもりはない」
ハオは自身を乗せてきたそれを消すと両手を広げながら伝える
「それに今君を倒そうと動けば彼女が僕を止める」
その言葉でセイバーはハオの後ろにいる人影に気がつく
その姿をまじまじと見つめたあと再びハオの顔を見つめる
---「それは誰だ?」---と伝えるかのような表情だ
「彼女は僕の知り合いでね。僕が聖杯を手に入れるのを良しとしない存在だよ」
「マスター…ではないようですね」
セイバーはそう問いかける
だがその問いかけの答えを待ってのことではなくそれを自覚するための問いかけのようだった
なぜならキャスターの横にいるの少女がただの人間ではないという事が明確に分かった為だ
この少女はキャスターには及ばないがそれでも並の英霊では敵わない存在だとその直感が告げていた
「幾つか問いたいこともありますがそれらを弾いてあえて問いかけます。この場に何をしに?」
「君だって気付いたろう、あの人間ではない異形の存在を」
ハオは真っ直ぐにセイバーの目を見つめそう告げる
「そうですね。あのような存在は初めて見ました。あれは人間…でいいのですか?」
やはり思うこともあるのだろう
このネタに対し少し不安そうになりながらもセイバーはハオの答えを待つ
「僕らから見ればあれは人間ではない。アレは魂の形を忘れた存在。僕らはそういった存在を精霊と呼ぶけどあれをそれと呼ぶのは嫌だね」
彼らが穢れてしまう
と、憎々しげにハオは語る
長い年月を経て魂の形を忘れた幽霊は精霊と呼ばれる存在に進化する
これはハオ達シャーマンにおける定義で本来の形を忘れているためO.Sによって様々な形で具現化させることができるようになる
侍の霊を刀に、盗人の霊を刺身包丁になど例を挙げれば限りがない
あの老人はそれと同じような存在ではある
「けど問題があってね」
「問題…ですか?」
「うん。それは何故かアレが肉体を持っているということさ」
真剣な表情でハオは語る
「この際だから言うけど僕らはシャーマンと呼ばれる存在だ。そのシャーマンはこの世とあの世を繋ぐ者という意味を持つ。だから僕らは幽霊を己の武器として戦える」
「ですがアレはこの世の者ではないのに関わらずこの世のモノに留まっている。恐らく、ですが他の方の肉体を喰らって生き長らえているのでしょう。ですがそうやって肉体を調達することは出来ても魂は別です。時が経てば魂も朽ち果てる。それを無理矢理器に押し留めていれば形を見失ってもおかしくはありません」
「つまり、どういうことですか?」
「要約すると、あいつの相手はできるだけするな。今日の様子だと確実になにか奥の手のようなものがある。それにあいつはあの時嘘をついてる。それを君に教えるつもりはないがちょっと僕の癇に障ってね、君達に1つ情報をと思ったまでさ」
ハオは最後にセイバーに伝えたいことを伝える
「そろそろ君のマスターも帰ってくるだろう。僕は君達とは敵対関係だけれど君達がアレを相手にするなら僕は危害を加えることはしない。約束を破れば彼女が僕を止めるから」
ハオがそういうと後ろで少女が頷いた
これはその通りだという意思表示だろう
そう判断したセイバーはいつでも戦えるように纏っていた鎧を解除する
「情報ありがとうございます、キャスター」
「気にするな。ただ勘違いはするなよ?アレと敵対関係になれば僕からの干渉がなくなるという利点だけを考えていれぱ君はすぐに脱落するだろう。だから『間桐』に気をつけろ。奴らは何かを隠してる」
ハオはそう告げると夜の帳に消えていった