FF逃走中   作:知恵の欠片

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 ハンターが追加され、また学生たちもたくさんいてますます逃走しづらくなる環境、逃走者たちは無事に3階にたどり着けるのだろうか。


修羅場

「うげげ…どうしよう…」

 

 ミッションのメールを見てベッドの下で青くなるユフィ。彼女の心の中は自首するかどうかで悩んでいた。今自首すれば60万ギルは手に入る。これだけあればマテリアはたくさん購入できるくらいだ。だが、もう少し粘ればもっとお金も手に入る。幸いすぐ近くに自首用の電話があるため余計に悩ましいところだ。

 

(とりあえずここから出て考えよう…)

 

出るとそこには数人の生徒と先生らしき人物がいた。

 

「おや、あんたそんなところで何してんだい」

 

 そこにいたのは白衣を着た女性。年は中年かそこらのようである。

 

「いや、ここに隠れてて…」

 

「あんたずっとここにいるみたいだね。私はカドワキ。ここの先生さ。それより新しいミッションが発動したみたいだね。行くなら行く、自首するなら自首する、ぼやぼやしてると私があんたを捕まえるよ!」

 

「あ、はい…」

 

女性の勢いに押され保健室から出てきたユフィ。あることに気付いた。

 

「…あー!!結局自首するタイミングを逃した!」

 

 もうこうなってしまってはやけくそだと呟きながら、3階へ向かうユフィなのであった。

 

 ミッション終了まで残り9分、今の状況で一番チャンスなのはエドガー達であった。エレベーターは目の前にあり、すぐ3階に行くこともできた。だが…、

 

「エキストラが入ってきたせいでまさかエレベーター使われちゃうとは…」

 

 エドガー達はため息をつくしかなかった。下に行ったエレベーターをすぐ上に戻そうとボタンを押すが、下から誰か乗ってくるかもしれない。それがハンターならなおさらである。メンバーは銅の砂時計を2つ持ってはいるが、それでも用心に越したことはない。だがその彼らの後方には2階に現れた追加されたハンターが迫っていた。エレベーターがあと数秒でドアが開くという時に、そのハンターは3人に気付き突進してきた。

「嘘っ、ハンター!?」

「くっ、止まれ!!」

リルムの悲鳴に反応し、エドガーはためらいもなく銅の砂時計をハンターに放つ。ストップ効果によりハンターの動きは止まる。

 

「開いたぞ、乗り込め!」

 

 ファリスの一言でエレベーターに乗り込む3人。

 

「た、助かった…」

「この恐ろしい学園ともおさらばだな…」

 

肩の荷が下りたエドガーに女性陣も頷く。この3人はなんとか無事に3階にたどり着いたのだった。

 

 ミッション終了まで残り8分、逆に最も不利な状況にあったのがエリアとイデアの二人だ。アイテムもないどころか前後ハンターに挟まれていて、身動きがとれない。運よく見つからなくても数分はその場に拘束されるのは間違いなかった。

 

「自首も考えないとかな…、ここからだと駐車場の電話が近くて確実かも…だけど…」

 

 そう、駐車場に行くよりもはるかに近いエレベーターにたどり着ければこの恐怖も終了するのだ。だがハンターがガーデン方向から現れた。エリアは涙目になりながら身を小さくかがめるしかなかった。数十秒後なんとか無事にかいくぐることに成功したと気付くが、また逆方向からもハンターが接近していることに気付いた。

 

(もう…次から次へと来ないでよ…)

 

彼女は時が止まることを願いつつも、それは無常にも流れ続けるのだった。

 

 食堂にいたミンウはホールの様子をうかがっていた。

 

「だいぶ人が増えた…ハンターを見落とさないようにしなければ…」

 

 彼が学生寮側を見るとラーサーとシドの姿があった。お互いの目が合い近づいた。

 

「あなたたちは無事だったか」

「ええ、あなたも無事でよかったです」

 

 ラーサーが微笑みながら答えた。

 

「だが状況がやばいのは変わりないぜ、あれを見てみろ」

 

 シドが指を指した方向を見ると校庭方面から出てきたハンターがいた。うかつに進むことはできず物陰に隠れる3人。その少し遠くを見るとユフィが小走りに走っているのを見た。このままではハンターの視界に入ってしまう。だが声を上げるわけにもいかず、電話で連絡するわけにもいかない。呼び出し音が命取りになるかもしれないからだ。だがハンターが向きを変えて歩き出し、視界にユフィをとらえてしまった。ものすごい勢いで走っていくハンター。

 

「ん、げげっ!?」

 

素っ頓狂な声を上げてユフィは走り出した。だが彼女も忍者の末裔なのか、突如駆けだす音に反応しとっさに全力疾走でエレベーターホールに向かっていく。だが幸運にも人という障害物ができたのもあったおかげか、小柄なユフィのほうに分があった。彼女はすいすい流れるように駆け抜け、エレベーターの手前側についたが、それは3階でストップしたので、とりあえずボタンを押して素早く裏側に進む。裏にたどり着くとエレベーターは運よく1階で止まっていた。ハンターが到着した時には、すでに彼女の乗ったエレベーターは上昇していたのだった。

 

「はーっ、はーっ……ユフィさんに追いつこうなんてまだまだ早い…体力温存しといてよかったよ~…」

 

 気が抜けたようにエレベーターの床にへたり込むユフィなのであった。

 

「そうか…なんとか逃げ切ったようだな…」

「あいつもあいつで忍者の端くれらしいからな。とはいえハンターとほぼ互角なのか…」

「あいつは本当に忍者だったのか…」

 

 ミンウたちは食堂から保健室側に近づきながら今のやり取りを見ていたのだが、シドの一言にミンウが驚いた。どうやら保健室にいた時は本当に冗談だと思っていたらしい。

 

「いずれにしてもハンターがあそこに移動したのであれば、こんな目立つ場所にいては見つかってしまいます。一度保健室に退避しましょう。」

 

 ラーサーの提案に反対するものは誰もおらず、追われていないことを確認し保健室に一行は向かったのだった。

 

 ミッション終了まで残り7分、学生寮にいたリディアたちはまだその入り口付近にいた。3人の視線の先には慌ててエレベーターに駆け込むユフィの姿が見えた。ハンターの姿が見えなくなったのを確認して左手側に進む。

 

「アーロンさん、なんで左なんですか?図書館方向にハンターがいたはずですよ」

 

 パンネロは疑問に思い彼に質問した。

 

「さっき保健室の方に逃走者が3人いるのを見た。方向が被ったら見つかるリスクも増えるだろう。それを防ぐためだ」

 

アーロンはそうやって状況を読んだ。だが一行のだいぶ先、図書館からハンターが出てくるのを確認した。一行は駐車場の入り口の壁から慎重にハンターを覗う。ハンターの進路はまさかの駐車場側、自分たちが今いる場所に戻ってきている。

 

「ハンターが戻ってくる!?」

「このまま駐車場の方へ逃げるぞ」

 

 一時駐車場の中に隠れる3人。だがパンネロはどうも残り時間が気になるらしく、立ったまま質問をする。

 

「ずっと先を行ってガーデンの入り口側に向かうんじゃないのですか?」

「一旦隠れるだけだ。俺達の走力を考えて隠れながらエレベーターにはたどり着けない」

「…私、行くわ」

 

 パンネロがそのまま走っていく。彼女にとって待っているだけは辛いようだ。

 

「あ、ちょっと!…、止めなくていいんですか?」

「ああ、正解は一つとは限らない、それがあいつの物語だからな」

 

 リディアの問いにアーロンは冷静に答えた。2人は息を潜めて駐車場の入り口を見るとハンターが素通りするのが見えた。

 

「行くぞ」

 

 アーロンの指示に従ってリディアも動く。いくら人通りが増えて見つかりにくいとは言えども、ハンターに気付かれれば即終了ゆえ二人の足取りは相当重かった。残り時間を考慮しながらも、慌てることなく彼らは慎重に行動しなければならない。

 

 残りが6分になろうとしていた。この残ったメンバーの中で真っ先に動いたのはラーサー達である。

「僕には銅の砂時計があります。これで刺し違えても突破できるはずです」

「だがそれはおめえのために使うもんだぜ」

「逃走者が多く生き残ったほうがお互いのためにいいんです」

「けっ、好きにしろい」

 

 ラーサーの相変わらずのお人よしっぷりにシドも悪態を吐きながらも感心せざるをえなかった。

 

「ならば私が先頭を行こう」

 

 先ほどの行動に負い目を感じていたのだろうか、ミンウが偵察として自ら名乗り出た。彼が先に動き、その十数m後ろを2人が行く。ユフィを追いかけていたハンターはすでに移動していたようで付近に姿はなかった。彼らはためらわず階段を駆け上がる。ミンウが階段を登り切るやいなや、エレベーターは動きだし2階に移動した。

 

「裏に回るぞ!」

 

 ミンウは叫び裏のボタンを押しに行く。だがエレベーターは3階のままストップしていたので降りてくるのに10秒近くかかるだろう。エレベーターを待つ間に、表側のエレベーターから人が降りてきた。ハンターである。ハンターはそのまま裏側に回り込み彼らと向かい合い、そのまま突進してきた。

 

「ダメだ、間に合わない」

 

 ミンウの叫びにラーサーが反応した。

 

「今だ!!」

 

 彼はここぞとばかりに銅の砂時計を使った。ハンターが動きを止めている間彼らも無事エレベーターに乗り込むことができた。エレベーターが上昇し、固まったままのハンターを見下ろす3人。肩の荷が一気に下りたためか大きな息を吐き、どっかりエレベーターの床に腰掛けた。

 

「なくなっちまったな」

 

 シドが残念そうに声をかけた。

 

「ええ、でもいいんです」

 

 ラーサーはそれでも笑顔だった。シドもふっと笑みを浮かべラーサーを小突いた。

 

「全く…私も君と同じくらい勇敢であり続けたいもんだ…」

 

 一度決心がぐらついたミンウも彼を見て強くあり続けたいと願った。

 

 指令室では、戻ってきたイリーナとルーファウスが会話をしていた。

 

「あっさり突破してきましたね」

「アイテムを使った捨て身戦法でなければこれはかなり難しいからな」

「まだ残っている者たちはアイテムを持っていません」

「あぁ、残った6人は厳しいサバイバルゲームになるのは間違いないな」

 

 彼らは再び無言になりゲームを見守る。残りミッション終了まで時間は5分を切った。賞金は66万ギル。

 




 銅の砂時計の効果は1分間くらいです。ところで実際どうやって使うのでしょうか?(敵に投げつけるとか?)ちなみに被害に遭ったハンターは2回ともウォードです(笑)カドワキ先生は保健室の先生です。(特にここでは出番はありませんが)
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