FF逃走中   作:知恵の欠片

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 ミッション発動しハンターが増えた。逃げるスペースが狭い中ハンターが増えるとなると、逃走者たちのとる行動は…


マリアをエスコートせよ!

 とある建造物、確保された者たちはその中にあった牢獄にいた。外の様子は全く見えないが唯一モニターが各逃走者の視点で移されていた。そんな中逃走者全員に届けられたメールを見たエドガーが大声を上げる。

 

「なんだって!?あのマリアをエスコートだと!!」

「うわ…エドガー、びっくりさせないでよ!」

 

 傍にいたクルルはたまったもんではなかった。

 

「誰なんだ、そのマリアってのは?」

 

 ゼルが食いつく。彼はジドール移動中の間にさまざまな蘊蓄(主に自分の世界の自慢だが)を語っていたため、確保者の中では物知りとして有名になっていた。

 

「私たちの世界の女優さ。それもオペラのな。ちなみに彼女は私の仲間の――」

 

 エドガーにスイッチが入ってしまった。ゼルも自らの知的好奇心を満たすようで食い入るように聞き入っている。

 

「腹減ったアル…」

「腹減ったアル…」

「おれもはらへった…」

 

 一方クイナ、ゴゴ、ガイは残りもメンバーが戦っていることも、エドガーの話にも興味無さそうに自分の欲求を率直に述べる。もちろん彼らは3人のことなどほっといて話を続けていた。この奇妙な光景にホープとクルルは顔を見合わせた。

 

「相変わらず自由人が多いですね…」

「でもまともな大人が増えたはず…」

 

 二人が後ろを見ると…、

 

「……」

 

 アーロンは腰を床に卸していて、持っていた酒をそのまま呑んでいた。イデアも何かを考えているかのようでこちらのやり取りは目に入っていない様子だった。

 

「どうやら僕たち以外ツッコミはいないみたいですね…」

「えー…勘弁してよぅ…」

 

 二人とも肩を落としつつ、そしてツッコミを諦めて、今の状況のモニターを眺めるのだった。

 

 逃走者たちの中でメールを見て真っ先に動いたのはラーサーだった。ハンターがいないことを確認すると階下に素早く降り、ジドールへ向かおうとすると、先ほどハンターの追撃から何とか逃げ延びたノエルが彼に話しかけてきた。

 

「お前、行くのか?」

「もちろんです、ただ隠れているだけでは何も面白味はないですからね」

「そうか…それは俺も同じだな。俺も手伝うよ」

 

 二人は即同意した。マリアエスコート部隊の結成だ。

 

 ミンウはトンネルを通り抜け宿屋の裏側に来た。自分の位置が不鮮明なため彼は携帯電話を取り出す。

 

「とにかく周りの人たちと連絡を取らないと…」

 

 彼の時代にはない代物だったが先ほど移動してくる時に使い方を改めて教わった。情報があればハンターの位置を確かめられるかもしれない。確かにその用途は間違ってはいない。だが彼が連絡したその相手は…

 

「もしもし、エリアかい?」

「あ、ミンウさん。今どこに?」

「私は宿の裏に来ている」

「私は防具屋にいるんですが…、ハンター放出位置に近すぎて、ハンターの位置を確認することができないんです…動いたら見つかってしまいそうで…」

「ならば私が、うおっ!?」

 

 彼の見た先にハンター。気を緩めていたためか変な声を挙げてしまったが幸い気付かれていない。だがエリアにはその意図がしっかり伝わったようだ。

 

「まさか、ハンターですか!?」

「ああ、だが君の場所とは反対方向に向かっているようだ。私がこれから大丈夫かどうかそっちに向かうよ」

「助かります…、それでは」

 

 通話が終わるとミンウはハンターを注視しながら、違う女性をエスコートしに行くのだった。

 

 劇場内にはファリスとアーシュラがいた。彼女らは連係プレーによりノエルを見つけ追いかけて行ったハンターからうまく逃れることができた。客席から彼が逃げるところを見て、かつ捕獲の連絡が来ないとなると――――

 

「まだハンターはこの劇場の中にいるということになる」

「ワープクリスタルを使ってジドールのほうに移動したとは考えられませんか?」

「いや、移動した先に隠れる場所が近くにないんだ。となればノエルは一旦この下を出た後この建物の中に逃げ込んだと考えるのがもっともだろう」

 

 ファリスの名推理にアーシュラが納得した。一応断っておくが、彼女の世界に「名探偵」というジョブはもちろんない。海賊で培ってきた能力なのだろうか。二人は最初と同じ持ち場について引き続き監視を行っていた。ただ背後からは徐々に彼女らに歩みを進める影があった。そしてその人物の足跡がホール内に響く。気付かれた。

 

「っ、後ろ!!」

 

 ファリスの背後から予想もせずハンターが現れた。

 

「くっ、なんだってこんな…、喰らえっ!」

 

 彼女は銅の砂時計を使用、アーシュラとともに1階の方へと避難した。劇場内にハンターがもう一人追加されていたことをすっかり失念していたようだ。彼女たちは慌ててその場から撤退する。ノエルを追っていたハンターに出くわすことが無いよう祈りながら…。幸いにもそのハンターは逆方向に行っていたのだが、彼女たちには知る由もなかった。

 

 リルムはトンネルの出口に向かっていた。スタッフが彼女にミッションについてどうするか尋ねる。彼女は特に顔色を変えず答えた。

 

「マリア?あの色男なら何とかしようって考えるだろうけど、正直私には何もできないよ、とにかく見つからないようにするのが先決だよ」

 

 地の利を生かせるこのフィールドが彼女をより冷静にさせているのかもしれない。彼女はあたりを警戒しながら階段を上る。競売場の裏あたりに出た。

 

「ここでちょっと様子を見るよ、ミッションは他の人たちに任せよう」

 

 どうやら他力本願をするようだ。

 

 シドはアウザーの屋敷の背後に来ていた。ハンターが近くに迫ってきていたため森に入って撒く作戦である。そんなシドに突如携帯電話が鳴り始めた。相手はラーサーだった。

 

「シドさん今どこにいますか?」

「俺はでっけえ屋敷の裏側だ」

「ちょうど僕たちの反対側ですね、実は僕たちは女優のミッションをやろうとしているのですが、情報を集めたくって」

「おめえ本当にミッション好きだな、わかった、俺の方でも調べてみらあ」

「ありがとうございます、では」

 

 電話を切るとシドは一息つくと「そんじゃ探すか」と意気込む。まだまだ若いものには負けられない、そんな気持ちが彼を急き立てた。

 

 ユフィは相変わらずアクセサリー屋に隠れながらお金のことばかり考えていた。

 

「残り51分、賞金が約83万ギル…こんくらいあればもういいかなぁ」

 

 彼女の頭には自首の二文字が浮かんでいた。それまで逃げ延びるためこの店の内装はばっちり確認済みだ。2階に隠れようとしたが、埃まみれの部屋で、隠れていても跡が残ってしまい、意味がない。また窓もすべてはめごろしとなっていて開け閉めができない。結局はカウンターの下でハンターとすれ違いざまに逃亡する手段しかなかった。と言っても彼女にはそれをやってのける自信さえあった。バラムガーデンでの活躍が彼女によぎったのだ。きっともう一回それが起こる。そうやって華麗に逃げ切ったら自首をしよう。彼女はそう言う算段を立てていた。

 

「もらえないで終わりだなんて一番よくないよね。何人かは名誉だのなんだの言ってるけど、少なくともアタシはそっち側の人じゃないから、やりたいようにやるだけよ。アタシなりに見せ場を作ってね」

 

 そう言った矢先、背後からドアが開けられる音がした。

 

(う…嘘でしょ…)

 

 算段は立てたものの、いざその場面がやって来ると動揺は隠せないようだ。コトリ、コトリと足音が部屋を響かせる。彼女はもう一度冷静になり計画を再確認した。数秒で作戦が鮮明に描き出される。

 

(いける!!大丈夫!)

 

 そう自分に言い聞かせていると、足跡を出している人物がカウンターに迫ってきた。どうやら登ろうとしているようだ。足がカウンターにぶつかる音がする。その人物の靴が目の前に出てきた。ハンターが履いていた革靴だ。彼女は覚悟を決めた。

 

「はっ!」

 

 彼女は一気に跳躍、カウンターを飛び越えて店外に向けて猛進する。ハンターもすかさず反応し彼女に手を伸ばすが、体格はユフィのほうが小さいため短距離の加速スピードは強化されたハンターといえども捕らえることはできなかった。ドアを勢いよく引き、思いっきり閉める。わずかな時間だけ足止めをすることができたが、問題はどこへ逃げるかだ。いや、彼女の中ではもう決まっていた。アウザーの屋敷の森だ。

 

(やっぱり森の中しかないね、木々が鬱蒼としていればしているほど、アタシの小回りさが活きる!)

 

 一気に速度をトップギアにし、階段を駆け上がる。20段近くある階段をわずか5歩で登り切り右手に回る。目の前に見えるのは森。森に入れば彼女にとって有利なフィールドとなる。だがそこまでの直線50mほど、ハンターももう背後まで距離を詰めている。捕獲か、逃走成功か――

 

 

 わずか5秒ほど、彼女は森に突入と同時に確保された。

 

「っ、ああーーーっ!!私のお金が!!なんでこんな時にハンターに遭うの!」

 

 彼女の悲痛な叫びがジドールの街に響く。自首のご利用は計画的に行おう。ハンターは、神出鬼没だ。

 

 Rrrrr!Rrrrr!メールだ。

 

「逃走者ユフィ確保。残り9人。やばいよ…」

 

 リディアは依然アウザーの屋敷のベッドの下に隠れていた。他の仲間が動いているか不明だが、一つ言えることはハンターが多い状態で隠れていても捕まるのは時間の問題である。

 

「仕方ない…私も頑張って動いてみよう」

 

 覚悟を決め、ベッドの下から出てきた。この街のどこかに女優マリアがいるとなると、彼女は一番怪しいところへ向かう。そう、ここに来て最初ハンターらしき人物が3人立ちはだかっていた場所だ。

 

「…、やっぱり誰もいなくなっている…」

 

 慎重に伺ってみるとハンターの気配が全くなくなっている。そのまま彼女は中に入っていくと様々な絵画が並んでいることがわかる。きっと家主の趣味なのだろうと考える。そのまま進むと彼女は人を見つけた。

 

「もしもし!大丈夫ですか!?」

 

 彼女が慌てて起こしに行くと、女性はゆっくりと目を覚ました。

 

「あれ…ここは?あ、手錠が…」

 

 女性が体を動かそうとすると、手錠に拘束されていることがわかる。リディアは情報を探るため自己紹介をすることにした。

 

「私リディアっていうの。あなたの名前は?」

「マリアです」

 

 このミッションの要であるマリアをとうとう発見した。だがどうやらこのミッションは鍵を探さなくてはいけないようだ。逃走者たちで協力して彼女のエスコートができるのだろうか、残り時間48分、賞金は86万4千ギルになった。

 




 FF6原作ではセリスが鎖につながれていましたが、そのそっくりさんの女優マリアにその役を譲ることにしました。エドガーは女好きではあるが、ゼルと話が合うのはきっとマッシュと似た空気を感じたのだと個人的解釈です。
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