FF逃走中   作:知恵の欠片

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 マリアをエスコートしなければならないが、そのマリアは鎖でつながれていた。鍵を探し出し彼女を劇場まで無事に運ばなくてはならない…。


鍵を手に入れろ!

 シドはアウザーの屋敷の近くをうろついていた。偶然にも屋敷の角を曲がろうとしたときにユフィとハンターのやり取りを目撃していた。ハンターが裏の森のほうに向かったのを見届けると、すかさず屋敷の中に潜り込んだ。ラーサー達が欲しいであろう情報を得るためである。ドアを開け中に入る。すると足音のような音が聞こえる。少し近づいてみると、その音はぱったりと止んでしまった。

 

(ハンターだとしたら…わざわざ止まる必要はねえな…ってことは)

 

 彼は音のした方向に進むと駆けだす音がした。

 

「おおい、俺はハンターじゃねえぞ、そこにいるのは誰だあ?」

 

 彼の声を聞き足音が止まる。

 

「おーし、そっち行くからそのまま待ってろー」

 

 彼が進むとリディアが立っていた。目と目が合うと彼女はほっとしたような表情を浮かべた。

 

「よう、嬢ちゃん、無事だったか」

「ええ、なんとか…怖かったわ」

 

 後ろにいる女性を見てリディアに確認した。

 

「ひょっとするとあいつがマリアか?」

「ええ、でも手錠がされていて鍵までついてるの。どこかで鍵を手に入れないといけないわね…」

 

 なるほどと呟くとシドはラーサーに連絡を入れた。

 

 時は少し遡る。そのラーサーはノエルとともにチョコボ屋にいた。最初はハンター放出してため近づくことはできなかったが、今は近くにハンターの気配はなく、捜索するにはいいタイミングだったからである。中には自首用の電話があるが彼らの目的の物はこれではない。だがこれと同様いかにも見つけてくださいとばかりのものがあった。

 

「なあ、これはいかにも怪しくないか?」

 

ノエルが手にしたのは華やかな袋。中を開けてみるとかなりの額のギルが入っていた。

 

「とにかく数えてみてください…あ、一旦隠れましょう」

 

ラーサーはワープクリスタルから移動してきたハンターを目撃、とっさに小屋の道具の影に二人は隠れた。お金を数え終わったノエルが驚きながら言った。

 

「…ッ、100万ギルだ」

 

 なるほどとラーサーは短く返す。どうやらそこまで驚いてはいないようだ。さすがは帝国アルケイディアの王子である。そんなときシドから連絡が入った。

 

「よう、ラーサー。そっちは何か見つかったか?」

「チョコボ屋で100万ギルを発見しました」

「あん?なんだって!そりゃすげえな」

「きっとミッションに使うものだと思います、そちらは?」

「こっちは女優を見つけたぜ、ただ手錠の鍵がかかっていて連れ出せねえんだ」

「そうでしたか…引き続き情報を集めましょう」

 

 ラーサーは通話を終え、今の情報からわかることがないかと考え始めた。

 

「どうやら行ったみたいだ。どうする、移動するか?…おっと」

 

 ノエルが何かを見つけたようでラーサーは彼に尋ねてみた。

 

「どうしました?」

「あれは――」

 

 彼らの視線の先に、そこにはターバンを巻いたミンウがいた。彼は見られていることに気付かず防具屋に入る。

 

「エリア、いるか?」

「ミンウさん?よかった、近くにハンターは?」

「さっき通り過ぎて行ったから大丈夫だ」

「よかった…最初ここに飛ばされた時はどうしようかと…」

「大丈夫だ、私がついている」

 

 彼は笑って見せると彼女の手を取り店の外へ向かう。

 

「どこへ行くの?」

「オペラ劇場の中だ、ここより広い、それに女優のイベントはこの街が中心、そうなると逃走者もハンターも一時的にこっちに多く集まるはずだ」

「…わかったわ、あなたについていく」

 

 2人は店を出ると辺りを警戒し、モニターの向こうにもハンターがいないことを確認しオペラ劇場へと向かった。どうやらこちらはミッションには参加しないらしい。

 

「あいつら、何か策があって向こうへ行ったのか…?」

 

 事情が見えないノエルは彼らがミッションに参加するものだと考えていた。ラーサーは捕まったパンネロのことが頭によぎっていた。

 

(僕もああやってパンネロさんをエスコートできればよかったのですが…)

 

 そこまで考えたが、気持ちを切り替え再びミッションについての思案を巡らせた。このお金が意味するもの、この街でお金を使う場所、総合的に判断して一つの答えが出た。彼らは作戦を決定するとその目的地へと駆けだしていた。

 

一方ハンターから逃げてきたファリス達は競売場でリルムと合流していた。

 

「姉御が無事でよかった」

 

 ファリスの無事を喜ぶリルム。

 

「姉御って?」

「俺は海賊やってるからな、王女は二の次だ」

「なるほど、道理で――」

 

 口調が荒いのかという言葉を飲み込んだ。

 

(それを言ったところでファリスの価値が変わるってことはないんだけど…でも言わなくてもいいよね…)

 

 変に刺激しても互いの関係が悪くなるだけだ。どうやらゼルとの会話で彼女なりに考えたようだ。ファリスもアーシュラのその部分を汲んだのだろうか、話題を変えてリルムに声をかけた。

 

「ところでリルムはどうすんだ?」

「自首しようと思う」

「えっ、まじかよ」

 

 予想外の答えにファリスは驚いた。リルムは「や、そんな予想外のことじゃないよ」と言った。

 

「私おじーちゃんに今までの恩返しがしたいの。だから144万ギルっていうそこまで大金じゃなくてもいいんだ。今の92万ギルでも十分なんだ」

 

77分を経過したことを確認したリルムが本音を打ち明けた。彼女の本音を聞くとファリスも本音で答えた。

 

「お前がそう言うならそれでいいと思うぜ、俺も子分たちに酒を振る舞えればいいくらいに思ってるからな。だがそう言うのを抜きにすると、このゲームを最後まで楽しみたい。昔に戻ったみたいで、こんな楽しいこともうできねえだろうし、な」

 

 アーシュラはそんなファリスの言葉を聞きながらハンターの警戒をしに階下に向かっていた。もし彼女らの質問に答えるなら自分はなんと答えるだろか。当初彼女は自分のはっきりとした目的を持っていた。だがこの短時間で多くの人と触れ合い、多くの考えを自分に取り込んでいた。王族の自分にとってお金を得ることも、名声を得ることも彼女にとって興味のないもので、心身を鍛えるためこのゲームに参加していたのだ。自らゲームを降りることはあり得ないものだと考えていたくらいだ。だが多くの者にとってはそんな目的で動いていること自体が希少な存在なのだろう。そんな思案にふけっているとトンネルからハンターが迫っていたのが見えた。幸い気付かれてはいないようだ。アーシュラは2人の場所に戻り逃げるように告げ、3人は南へと向かった。建物の物陰に隠れ様子を覗う。

 

「ふぅ、アーシュラのおかげで助かったぜ」

 

 ファリスが大きく息を吐いて言った。もう突然現れるハンターには懲り懲りらしい。

 

「ほんとね、私このまま自首しに行くから2人とも頑張って」

 

 リルムを見送った二人は近くの建物に入り隠れる。それは道具屋だったので、チョコボ屋は目と鼻の先にあることを彼女は知っていたのだろう。アーシュラはうつむく。まだリルムの自首に納得しかねていたのだった。ファリスは黙って隣にいるアーシュラと小さくなっていくリルムの姿を見比べていた。

 

 一方牢獄にいたはずの逃走者たちは一同競売場に集まっていた。一応確保者なので手錠をかけられているというなんとも奇妙な光景ではある。

 

「ここなんだ?」

 

 ホープに3回ほど説明をしてもらったが依然としてわかっていないガイ。

 

「競売場ですと何回言えばわかるんですか、いいですか、競売場ってのは…」

 

 ホープの口調で返すゴゴ。何度も説明しているが依然わかってもらえないらしい。

 

「で、これから何が始まるわけ~?」

 

 ユフィがぶすっとした表情で言う。まだハンターへの怒りが収まっていないようだ。

 

「イリーナさんが言うにはこれからミッションにかかわることをやるのだそうですよ。もう終わったことですし、そろそろ切り替えないと…」

「むーっ!!あいつめー!」

 

 ホープが何とか彼女をなだめつつ説明した。効果はほとんどないようだが。

 

「エドガーはここの世界の住人なんだよな、もちろんここに来たことはあるんだよな」

「ああ、あるとも」

 

 ゼルとエドガーが話していた。すっかり打ち解けているようである。

 

「王様っていうくらいなんだから買い落とせないものなんてないよな?」

 

 それを聞くとエドガーは肩を落とす。

 

「お、おい、どうしたんだ?」

「いや、私もよくわからないんだが…大きな、手を伸ばせば届きそうだったんだが大いなる意思が働いて買いたくても買えないんだ…」

 

 エドガーは何かに怯えるように突如震え始めた。

 

「……?何のことだ?」

「すまん、忘れてくれ…」

 

 何でもない、何でもないんだと繰り返し呟くエドガーを見てゼルは戦慄した。だがそれを吹き飛ばすような明るい声が会場内に響き渡った。

 

「レイディーズ、アーンドジェントルメーン、では今日のオークションを始めようとしよう!」

 

 ゼルが再びエドガーを見やると、彼の表情はもとに戻っていたので一安心した。司会はそのままの調子で続けた。

 

「さあ…今日の品物はこちらです」

 

 後ろにいた煌びやかな服装をした女性が宝箱を目の前に出す。

 

「何やら箱が出てまいりました。さて……中身は…」

 

 中に入っていたのは鍵だ。高価そうなものでもない。

 

「実はジドールのある宝の鍵を外すために作ってあるものだ。この宝は見てみるまでのお楽しみだ。まずは…1万ギルからまいりましょうか」

 

「2万ギル!」

「4万ギル!」

 

 オークションが始まり鍵の値段が徐々に高騰していく。

「へぇ、これがオークションなのね」

 

 会場の独特な雰囲気にクルルが少し興奮している。

 

「さあ、いらっしゃいませんか」

「オホホホ!私に買えないものはございませんわよ。7万ギル!」

 

 見るからにお金持ちの女性が金額を述べるとさらに競争が激しくなる。金持ち同士の応酬だ。だが値段は10万ギルを超えたところ、わずかばかり静寂が訪れた。

 

「さあ、いらっしゃいませんか」

 

 司会が観客に促す。そろそろ上げ止めか…、そう思われたころ突如背後の扉が開いた。

 

「100万ギルです!!」

「「「「ひゃ、100万ギル!?」」」」

 

 会場が騒然とした。

 

「はいっ、こちらのお客様に決定!お持ち帰りくださいませ」

 

司会はにっと笑ってその客を呼びよせた。その客は…

 

「ラーサー、ノエル!」

 

 確保された逃走者から称賛を受けた2人は鍵を受け取り、お金を支払うと手を振りながら急いで出て行った。

 

「はいっ!本日はこれでおしまいです。次回をお楽しみにー!」

 

 司会の声が競売場内に高らかに響いたのだった。

 

「これ…きょうばい」

 

ガイが静かに呟く。ようやく物を見てわかったらしい。ホープはその様子を見てほっとしていた。がそれも束の間、ゼルが慌てていた。

 

「どうしたの?」

 

 隣にいたパンネロが彼に問うと、彼は青ざめて指を指した。

 

「はっはっは、100万ギルか……、あと1ギルあれば買えるのになんで買えないのかな……」

 

 彼女が見た光景は、エドガーがあらぬ方角を見て何かを呟いていたのだ。この光景は何とも不気味だったので、確保されたメンバーはしばらくエドガーをそっとしてあげることにするのだった。残り40分、賞金96万ギル。

 




 手錠をつけたままどこかの会場にいる…一瞬大晦日のガキ○カを思い出してしまうようなシーンだと書いた後でつくづく思ってしまいます。
 最後のエドガーのシーンについて、ゲームの仕様状99万9999ギルしか貯められないので、エドガーが以前言っていた競売の商品はすべて100万ギルで買い取られるもので無理ゲなわけです。(7は1億単位まで存在、8は千万単位まで、あとは私の知らない範疇です)
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