FF逃走中   作:知恵の欠片

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 マリアのエスコート、今回は山場です。無事に女優をオペラに送り届けられるのだろうか…。ちなみに牢獄DEトーク中はゲーム中のどこかの時系列で並行して行っています。


仲間同士の助け合い

 Rrrrr!Rrrrr!メールだ。

 

「逃走者のラーサー、ノエルの活躍により競売場で鍵を獲得した。よっしゃ、でかした!」

「これでマリアさんを助けられますね」

 

 アウザーの屋敷で待機していたシドとリディアは吉報に喜んだ。ほっとした彼女は隣にいた彼に対して思い出したように話をした。

 

「それにしても不思議…シドって名前に私は縁があるみたいなの。あの人に私はいつも助けられていて…」

「ふん、どこかで聞いたような話だな」

 

 彼は頭を掻きながらイデアとの話を思い出していた。

 

(もしかすると他の奴らも…)

 

 一瞬そんな考えがよぎるが、深く考えるとぞっとしそうなため止めることにした。そんなときギィと扉が開く音がした。

 

「ラーサー達かな、早く迎えなきゃ――」

「待て」

 

 シドが静かにリディアを制す。

 

「こりゃあ、お呼びでない奴かもしれんぜ」

 

 そう、シドの勘通り屋敷に入ってきたのはハンター。じわりじわりと恐怖の旋律が彼らを襲う。幸い彼らがいたのは絵画が並ぶ部屋の近くで、いかようにも撒くことができるだろう。運悪く見つかってしまえばそこまでではあるが。

 

 時は数分前のことだ。競売場から出たノエルとラーサーは屋敷へと向かいながら鍵の話をしていた。

 

「俺に鍵を?」

「ええ、ノエルさんなら僕より速く走れますから、その人に鍵を託しておけば安心です」

「ラーサーはだいぶ心配性だな、わざわざそんな保険をかけなくても…」

「不測の事態に備えて、ですよ。」

 

彼らはアウザーの屋敷へと続く階段を数段登ったところで足を止めた。ハンターが屋敷に入っていくのが見えたからである。

 

「この状態で突入はできません…ハンターが出てくるのを見計らって突入しかないです」

「っ、走れ!!」

 

 ノエルが後ろを見ると、武器屋付近のハンターがこちら目がけて走っていた。距離はまだ200メートル弱は離れている。

 

「屋敷の外を二手に分かれましょう。無事を祈ります」

 

 こうして二人は駆け出し互いに逆の方向を進み森に隠れる。ハンターが追いかけたのはラーサーだ。だが彼が小柄だったのが幸いしてか、茂みに入った少年をハンターにとって探すのはなかなか難しいようだ。だが一度隠れた以上彼もまた、音を立ててしまうといけないため動けないのだ。

 

(後は任せましたよ…ノエルさん)

 

 彼は忍び寄る終焉に静かに待ち受けているのだった。

 ファリス達は道具屋の中にいた。アーシュラはまだ心に靄を抱えていた。

 

「リルムが気になるか?」

「…はい、自首してゲームを終えるなんて…私には信じられないのです」

 

 ファリスは彼女の意見を行くと息を短く吐き答えた。

 

「それはきっとお前の中の目的であり常識だ。リルムのそれとはただ違っているだけなんだよ」

 

 ファリスはアーシュラをそれらしい理由で納得させようとする。それでもアーシュラは食い下がらない。

 

「で、でもせっかく残ったのなら…」

「なぁ、お前に祖父はいるか?」

 

 突如ファリスは話を変えた。

 

「い、いや…お父様からは何も聞かされていませんが…」

 

 ファリスは優しい笑みを浮かべ続ける。

 

「俺もな、記憶の中に祖父なんて人はいないんだ。いたらどんなことしたかなっていろいろ考えるけどさ、リルムには考えるだけじゃなく実行まで移さなきゃいけないってことだ。意味わかるか?」

「ええ……」

「つまり、あいつにもそう言った事情があって、それは俺達が口出しすることじゃない、わかるな?」

「はい…」

 

ファリスはなんとかアーシュラを説き伏せた。

 

「でもファリス、納得は…」

「俺らが納得しなくてもだ」

「じゃあファリスは、納得はしていないんですね?」

 

 アーシュラの予想外の反撃にファリスは顔を背けた。

 

「さあね……あいつだって悩んでるさ、きっとな」

 

 この議論には答えはない。ないからこそ彼女らのように迷うのだろう。

 

 その彼女らが案じていたリルムはチョコボ屋に来ていた。無言のまま自首用の電話と相対する。電話を一本入れればそれだけで100万ギルに近いお金を手に入れられることができる。だが彼女はそれまでに何かミッションに参加しただろうか、他の仲間を助けただろか。答えはいずれもノーだ。いざ受話器を取ろうとしても不思議な罪悪感に駆られる。一瞬受話器へ伸ばした手をためらうくらいに。

 

「いっそのこと自首なんてシステムなければよかったのにな…」

 

 彼女は皮肉にもそんなことを口に出した。きっと他の逃走者から何か言われると思うが、それを我慢さえできればたぶん問題ないだろう。それから数秒後、覚悟を決めた彼女は受話器に手を伸ばした。電話は指令室にいるイリーナの所につながる。

 

「こちらイリーナです」

「もしもし、私リルムです。自首します!」

 

 自首成立だ。メールが各逃走者に届けられる。

 

「ゲーム開始より82分36秒にて逃走者リルムは自首をした。これによって彼女は賞金99万1200ギルを得た。自首か…」

 

 オペラ劇場の客席にいたミンウがメールを読み上げた。

 

「もうそれだけ賞金がたまっているのね、私も自首しようかしら…」

 エリアも金額を考えると心が揺れる。

「私は――」

 

 彼は自首するつもりは毛頭もなかった。賞金を手に入れてアルテマを改良するため研究資金にするつもりだった。だが先ほどのリノアと名乗る少女のアルテマを目撃し、彼が努力しなくてもその魔法が発展するということがわかってしまった。こうなってしまった以上彼にとってこのゲームに参加する意義はなくなっていたのだ。ただ一つを除いて…。彼は再び言い直し、エリアに向かってはっきり言った。

 

「私は最後まで戦おう、そして全てが終わったら、伝えたいことがあるんだ」

 

 彼は知らず知らずのうちにエリアの手を握っていた。

 

 一方飛空艇に戻っていた確保された逃走者たちもリルムの自首に驚いていた。

 

(仕方あるまい…ストラゴスに何かしてあげたい、そんな幼心が彼女にはあったんだ。本当はゲームを最後までやりたかっただろうに…)

 

エドガーは彼女の祖父であるストラゴスを頭に浮かべながら、彼女の気持ちを推し量る。彼女とともに旅をしたからわかることであった。だが彼の耳にはそんな事情を知る由もない確保者たちの彼女に対する妬みが混じる言葉が聞こえてきた。

 

「僕もそれだけのお金があれば…リルムは途中で僕のことも見捨てて行ったし…」

 

 ホープの何気ない一言にお金を欲しいと思っていた人たちが次々に便乗する。

 

「ワタシだってたんまりお金あればあれこれ食べれたアル!あの娘ばかりずるいアル」

「私もお金欲しかったなぁ…ミッション参加しなくても自首すればお金は得られるものね…」

 

 クイナもパンネロもとても悔しそうに呟いた。牢獄の空気が悪くなっていく。イデアとアーロンは目を細め事態を見守っていた。そんな中エドガーは表情を変えずみんなに聞こえるように話した。

 

「お金かい、困っているなら私が相談に乗ろう。女性限定で」

「エドガーが言うとえっちぃ感じがするからヤダ」

 

 パンネロが恥ずかしそうに体を服の上から手で覆う。

 

「王様が援○発言なんて…」

「エドガーさん、失望しました…」

 

 エドガーの発言に大勢からブーイングが沸き起こった。

 

「わ、私はそんなつもりはないんだ…」

「アタシはお金がもらえるのならなんだっていいよー」

 

 エドガーを救うためか、ユフィの一言に一同が驚く。彼はその助け舟に乗り弁明する。

 

「ほら、そういった女性だっているんだ、要するに持ちつ持たれつで――」

「ってやっぱ体目的じゃん、この変態王様!」

 

だがそれはただの彼女の誘導尋問で見事に引っかかった彼だった。

 

「もうゲームは終わったから何をしてもいいんだよね?魔法剣二刀流…」

 

 クルルが構えた2つの剣に魔力が籠る。

 

「リミットブレイク!いつでもいいよね!」

 

 ユフィが巨大な手裏剣を構える。

 

「ミストナック!準備はオーケーよ!」

 

 パンネロは体からミストを放出させる。

 

「ま、待て…それは――――」

 

「「「問答無用!!!」」」

 

 

「なるほど…これがほかの世界の必殺技か、ものまねのレパートリーが…」

「言っている場合じゃないです!逃げましょう!」

 

 何とか関係のない人たちが部屋から退去すると最終的に彼は総叩きにあったようだ。中からとんでもない爆音が響いているが、今いる飛空艇に何も被害がないことを願うばかりだった。何とか事態は収束したようで他の逃走者たちが部屋に戻る。

 

「ねえ、変態はほっといて他の人たちを応援しよ?」

 

 クルルが満面の笑みで言うので誰も巻き添えは喰らいたくないので逆らいもせず、皆が賛成しモニターに食いついた。イデアは戦闘不能になっているエドガーにアレイズをかけ優しく起こした。床に倒れこんだままエドガーは呟く。

 

「はは…こんなはずでは…」

 

 すると彼女はしゃがみこみ、他の逃走者に聞こえないような小声で彼に話しかけた。

 

「あなた、流石ね」

「…なんのことです?」

 

 表情を変えない彼に対しイデアは真面目な顔で話した。

 

「とぼけなくてもいいわ、わざと道化を演じることでリルムって子を庇ったのでしょう?」

「っ!?そ、それは…」

 

 企みがばれて、ばつの悪そうな表情を浮かべるエドガー。

 

「大丈夫…黙っておいてあげるわ、あの子もあなたと一緒できっと幸せでしょうね」

 

 イデアはそう言って優しく微笑んだ。彼女がエドガーの手を取りモニター前へと連れていく。

 

「女性にその役をやらせてしまうとは…私もまだまだです。お次は私があなたをリードしますよ」

 

 エドガーはにかっと笑って見せた。もう攻撃のダメージはないようだ。彼女は「夫に怒られない程度にお願いしますわ」と彼に一言添えた。他の女性陣がエドガーの接近にぎゃーぎゃー喚く中、イデアがなんとかなだめながら、一同はモニター向こうの逃走者たちを応援するのだった。

 

 時は少し前に遡る。アウザーの屋敷の中のハンターは絵画が掛かっている部屋に入ってきていた。シドとリディアは柱の影を伝って隠れていた。だがハンターを警戒しながら、音を立てずに歩かなければいけないとなると、それは容易なことではないのだ。

 

(こいつ…だいぶ疑っているようだ…こりゃすぐ行ってくれそうにねえぞ…こいつを追いだせば、ラーサー達が何とか動いてくれるだろう…)

 

 シドは小声でリディアに伝える。

 

「リディア、ここは俺があいつを引きつける。入れ替わりでラーサー達が鍵を持ってくるだろう。後は任せたぜ」

 

 彼が振り返って入り口に行こうとすると彼女は手を握り止める。

 

「もう…私のせいで捕まってほしくはないんです…」

 

 彼女は今にも泣きそうな顔で訴える。美人の泣き落としに妻帯者のシドも心が大きく揺さぶられた。だが彼は心を落ち着けるため息を大きく吐くと、彼女の手をほどき、そして彼女の頭をくしゃくしゃに撫でた。

 

「俺は捕まりにいくわけじゃねぇ。次につなげるために行くんだ。それにこんなカワイ娘ちゃんがおじさんに泣き落としなんかしちゃだめだぜ」

 

 そう言うと彼は彼女の返事を待たずに素早く出入り口へ移動、マリアの近くに寄っていたハンターにわざと存在を認識させた。

 

「おっと、こりゃやべえ」

 

 ハンターが自分目がけて走ってくるのを確認するとシドはわざとらしいセリフを残し階段を一気に飛び降りる。

 

 屋敷外に一気に駆け出すと、ラーサーを探していたハンターとも遭遇、彼は1度に2人のハンターから追撃を受けることになった。階段をさっきと同じように一気に飛び降りる。追ってくるハンター2人は飛んで降りることがないためシドにとって階段は大きな強みにもなる。彼は宿屋を素早く右に曲がり、建物の影を利用して街の南端への移動を試みる。二人のハンターが宿の付近に到着するころ、彼の姿は捉えることができず、2手に分かれて捜索を行うが、彼はその間ワープクリスタルに駆け込みオペラ劇場へと移動した。

 

(あの嬢ちゃんに言った手前、捕まるわけにはいかねえからな)

 

 強い信念が彼を窮地から逃れさせたのだった。彼のおかげでノエルはアウザーの屋敷に突撃でき、ラーサーもハンターに捕らえられることなく逃げ延びたのだった。

 

「さすがシドさんです…、僕も頑張りましょう…!」

 

 彼は決意するとアウザーの屋敷へ入っていった。残り35分、賞金は102万ギル。

 




 初の自首が出ました。実際の番組でも自首するかしないかで迷ってると思いますが、私は自首反対派です。でも権利として存在している以上その批判はできないのですよね。皆さんはどう思っているのでしょう?よろしければお聞かせください。

他のシーンではエドガーとシドのイケメンっぷりを発揮する回でした。最近アーロンが空気になりつつあるので何とか活躍させたいのですけど、結局活躍できずでした。私の中での硬派なイメージが、ほかの逃走者との話をさせるのに足かせになっているかもです。それとミンウがエドガーに負けず劣らずのプレイボーイになっていたという、全国のミンウファンに土下座をしなければ…orz
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