FF逃走中   作:知恵の欠片

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 残る逃走者はリディア、ファリス、シド、ノエル、アーシュラのたった5名。そして凶悪なミッションにより脱落者が一気に増える…!


特攻

「ごめんなさい、ハンターさん…。次からは気をつけます…」

 

 アーシュラはメールを見て警告を受けたことを確認、もうドアを蹴り飛ばすことはしないとノビているハンターに誓って慎重に進んでいく。彼女はファリスが行ったほうのドアに向かった。中に入ると人の気配がない。

 

「もう先に行ったのかしら…」

 

 何とも言えない静寂感が彼女を襲った。

 

 そのファリスはハンターが出てきたところにいた。どうやら彼女が開けたドアは最初の場所に通じていたようだ。海の上で体幹を鍛えていた彼女は正確な着地をしたが、入り口に戻ってしまった以上タイムロスは免れない。ハンターにも警戒しなければいけないが、アーシュラの行為でハンターが一名減ったことは口には出せないがラッキーだった。

 

「もういっちょ中に行ってみるか!」

 

 再び最初に通った道を進んでいった。

 

 シドはジドール側のワープクリスタルの所で様子を覗っていた。

 

「けっ、だいぶやかましくなってきたぜ」

 

 腕のアラームを見て忌々しく思う。彼の選択肢は2つ。一つは飛空艇に監視されるであろう地上ルートかアラーム音の響くトンネルを行くかである。足が言うことを聞くかどうか――。

 

「いや、足が痛いだの痒いだの言ってられねえな。あそこにたどり着けねぇようじゃどのみちお終えよ」

 

 覚悟を決めたシドは武器屋を経由して最短距離でアウザーの屋敷に向かうことにした。表情にはだいぶ険しさがはっきりとわかる。だが30過ぎたオジサンが足の疲れが抜けていないとはいえまだ速い。脚力によっぽど自信があるのだろう。彼は恐れることなく堂々と地上ルートを駆け抜けていく。だが上空から監視していた2人が彼の姿を捕捉しハンターに通知すると、競売場の下のトンネルにいたハンターが動き出した。ハンターはすさまじいスピードで階段を駆け上がり競売場脇に出る。どうやら正面からシドを確保するようだ。彼は武器屋のあたりまで来ると階段の上にはハンターがいて、すでに獲物を狙う態勢に入っていた。シドは咄嗟にどこか隠れられそうな場所を探すが、そこでノエルたちと目が合ってしまった。シドはその瞬間だけ彼らを見たがすぐ目線をそらした。ノエルは彼の瞳を見ると、こう言われたように感じた。

 

(けっ、おめえらを売ることなんて俺にはできねぇよ)

 

 ノエルたちはシドの様子を見てハンターが迫っていると判断、すぐに建物の影に避難する。ハンターがすごい勢いで彼を追っていくと、2人はその先のアウザーの屋敷へと駆けだした。

 

「シド…」

 

 リディアがシドの走り去っていった方向を振り返るが、ノエルがそれを制す。

 

「振り返るな、俺達を巻き添えにするつもりはないんだろう」

 

 彼は彼女の手を引き、そのまま目的の場所へと向かった。だが彼らの向かう建物の内部にはまだファリス達を追っていたハンターが残っていた。上空からの監視している2人も2人の行動を逃しはしなかった。そのハンターに連絡を送ると即座に通報、二人を狙い始めた。ノエルはそうとも知らずにアウザーの屋敷のドアを開ける。中に入ろうとすると、ちょうどハンターが奥の階段から降りてきた。彼はリディアに指示した。

 

「ハンター、二手に逃げるぞ!」

 

 短い指示だったが彼女も頷き彼女は屋敷を背に左側、彼はその反対へ駆けた。ハンターがドアから出てくると狙った獲物は…、

 

「ひゃぁっ!」

 

 リディアだ。彼女は声にならないような悲鳴を上げながら走る。足場の悪い森に入った彼女だったが、走る速度はハンターとは段違いに遅くそのまま御用となった。

 

「…はぁっ、はぁっ…速すぎよ…」

 

 彼女は膝を抑え肩で息をしながら呟く。彼女は今まで自分を助けてくれた人達に申し訳なく思った。自分がもし逃げ切ったせめてお礼に何かできればとも頭をよぎった。だがここはそんな優しい世界ではないのだ。自首をしない限り、もらえる賞金は全か無なのだ。

 

 一方時をほぼ同じくして、シドはまだ逃走を続けていた。彼は武器屋のトンネルの上部に一か八かジャンプしたところ、手すりの下部に手が偶然届いてしまった。それゆえハンターから一時的に距離を稼ぐことができていたのだ。だが、もう彼の足にも限界は訪れていた。ハンターが回り道をしてチョコボ屋脇の階段を昇ってくると、彼は飛び降りた。

 

「くそっ、もうだめだ、動きやしねぇ…」

 

 着地の衝撃にももう彼の足は耐えられなかった。ハンターも同様に飛び降りると、彼も御用となった。大きくため息をついたが、彼の顔には後悔は全くなく清々しい表情をしていた。

 

「あとの戦いは若えもんに任せるぜ…」

 

 彼はその場でどっかりと座り込み、限りなく広い空を眺め見ながら残る3名の逃走者に気持ちを託したのだった。この二人の確保情報は即座に伝わった。牢獄にいたユフィがメールを読み上げる。

 

「逃走者リディア、並びにシド確保。残る逃走者は3名」

 

 確保情報を聞き、残念がる声が各人から上がる。

 

「シドもリディアもすっごく頑張ってたのにねぇ、み・ん・う・さ・ん?」

「……お前には言われたくない…」

 

 ユフィはそのまま先ほど運ばれてきたミンウをなじる。

 

「そりゃもちろんアタシは何もしてないかもしれないけどさ、こんな時に私よりも年下の女の子を口説くってどうなのさ」

 

 彼女はそう問い詰めた。その場には当然エリアもいるのだが、彼女はすでに茹蛸のように顔を真っ赤にして目をそらせていた。

 

「まぁまぁ、エドガーより動機は不純じゃないんじゃない?」

「待て、そこでなんで私の名前が出てくるんだ?」

 

 パンネロがフォローになるのかならないのかわからない発言をした。

 

「エドガーは変態だからもてないのよね、ミンウさんはまだ誠実そうに見えるからあれだけど」

「……」

 

 クルルの発言にさらに肩を落とすエドガー。リルムの身代わりの代償はとてつもなく重いようだ。その彼らの脇ではゴゴとクイナがミンウ達の真似をしていた。

 

「すまない、エリア。私がミッションに参加すると決定しなければ…」

「ミッションに初めてワタシとあなたで参加したようなものアル。あなたと一緒にできただけでワタシは満足だったアル…」

「やば、似てる~」

「「……」」

 

 二人のものまねをみたユフィの呟きに同意したのか渦中の2人以外、爆笑していた。先ほどから表情をほとんど変えていなかったアーロンでさえも少しばかり口角が上がっていた。

 

「もう…、許してください…」

「すまない…」

 

エリアに至ってはすでに赤面を通り越して涙目で、ミンウも頭を下げる以外方法が見つからなかった。相変わらず自由人同士の会話がここでは成り立っていたのだった。

 

 上空のブラックジャックにてセッツァーと話していた少女がいた。逃走者のリルムだ。彼女は自首組というわけで牢獄とは違う場所へ移動されていた。この船の所有者のセッツァーのところがうってつけだったのでここに来ていたわけである。彼は外に残っていた最後の逃走者のノエルがアウザーの屋敷に潜り込むのを見届けると彼女に話しかけた。

 

「どうやら残った逃走者は全員あの屋敷の中みたいだな」

「そっか…」

 

 彼女は短く返す。どうやら元気がなく少しばかりうつむいているようだった。しばし沈黙が生まれ、この場にはプロペラ音しか響かなかった。どうやら湿っぽい感じがしたので、彼は「もう仕事納めだな」と話を切り出してみるが彼女は乗ってくる気配を見せなかった。再び静かになってしばらくすると。その音にかき消されるくらいか細い声で彼女は質問をしてきた。

 

「ねぇ、傷男。私の自首のこと、どう思う?」

「何がだ?」

 

 彼は質問の意図がわからず尋ねた。

 

「結局あのジジイのために自首はしたけど、私何も他の逃走者に協力もしてないもん」

 

 普段から彼とよく話すためか、彼の前ではストラゴスのことを普通にジジイと発言するようだ。彼は自分自身の言葉で彼女を諭した。

 

「じゃあお前はお金を失ってまで危険を冒したかったのか?」

「そ、そんなわけはないけど…」

「ならそういうことだ、勝負の世界、オリ時もうまく見つけないといけないからな」

 

 彼はそう言うと再び彼女から視線を外しジドールの街を眺め入った。彼女は何も言わずそのままデッキから下がって行った。

 

「あいつもまだまだ甘ちゃんだな。自分のやった行動に自信が持てず、誰かに肯定してもらえなければいけないとは…。純粋過ぎてこんなゲームにゃ向かないね」

 

 先ほど捕まった逃走者たちは確かに他の逃走者たちのため役立ったかもしれない。ただ結局報酬を得るのは個人である。彼は自分のいるギャンブルの世界とは程遠い世界に彼女はいるのだと改めて感じながらにいた。

 

 アウザーの屋敷の中ではアーシュラが奥に最も近かった。彼女は別の絵画が飾られている部屋に到達していた。ちょうどこの部屋に入った時に大きな段差があったが、彼女は難なく着地する。

 

(ここも絵画がたくさん…いやな予感がする…)

 

 彼女は絵画を見ながら慎重に歩みを進める。その中に一つだけ違和感を覚えたのがあった。女性がサングラスをかけた肖像画があったのだ。一瞬アーシュラが凍り付くとその絵の中からハンターが飛び出してきた。

 

「っ、やっぱり!!」

 

 彼女はバックステップでとっさに距離をとり、後方目がけて走った。建物の大きい柱をうまく使いながらハンターとの距離をとっていく。先ほどのハンターほど遅くはないが、アーシュラの走力にはかなわないようで距離が縮まることはなかった。その時ちょうどファリスもこの部屋に入ってきた。段差に気付かず、バランスを崩される。すぐさま体勢を立て直すが、その隙を見てハンターがターゲットを変更する。

 

「っ、まじかよ!」

 

 ハンターの急接近に彼女は姿勢を低くして右側に勢いよく飛び込んだ。なんとか一撃を躱すことができたが、それでもハンターはなお迫ってくる。彼女は素早く立ち上がると柱を盾に両者がにらみ合いをした。アーシュラは二人が応酬する隙を見て次の道を捜索、ドアを見つけてこの場から脱出した。そのアーシュラの姿が見えたか、ファリスはごくわずかな時間でその扉までの脱出経路を頭に描いた。彼女は意を決すると、姿勢を低くして一気に加速、ドアに手を伸ばし開けようとした。だがハンターのほうがややそのドアに近かったか、ドアを開けているファリスの隙を見て体に何とか触れ、確保されたのだった、

 

「くそっ、ここまでか…楽しかったけどな、あともうちょい粘るべきだったか…」

 

 彼女は悔しそうに頭を掻きながら言った。一瞬の判断の誤りが確保につながるのだ。ここまで残る逃走者は2人、賞金144万ギルまで残り10分だ。

 




 設定上の年齢はユフィが16、エリアが15だったと思います。ミンウさんはいくつなんでしょうね。(大体20くらい?)16歳年下のリルムを口説きかけたエドガーよりは断然セーフなんですけどね。さて、次回はミッションも大詰め。残ったノエルとアーシュラはミッションをクリアできるだろうか。
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