FF逃走中   作:知恵の欠片

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 ミッションが発動、逃走者には相当な重圧がのしかかる…


密偵からかいくぐれ

 時はミッション発動の数分前のことである。

 

「お前たち、準備は大丈夫だな?」

 

 銀髪の男のセリフに他の4人もそれに頷く。

 

「逃走者は誰一人手加減することなく鳴らせ」

「「「「はっ」」」」

 

 

Rrrrr、Rrrrr!メールだ。

 

「ひっ!?あ、なんだメールか…」

 

 保健室のベッドの下に潜り込んでいたユフィは肝を冷やしながら呟いた。

 

「これよりエリア内に5人の密偵を放った。密偵は逃走者を見つけると即時笛を鳴らしハンターを呼び寄せる。エリア内の3か所に密偵を停止させるレバーがあり、3つすべてレバーを操作することで密偵を追い払うことができる。ちなみにこの密偵はここバラムガーデンの傭兵であるSeedをも超える最強の忍者集団である……へ、忍者?」

 

 ユフィ自身も忍者であるためその脅威は十分わかっている。

 

「忍者?これは何なのだ?」

 

 同じく保健室にいたミンウに尋ねられるユフィ。

 

「足は速く、様々な術を使うことができる人だよ。まぁアタシみたいに最強なわけよ」

「……そうか」

 

 ミンウは呆れながら返事をした。どうやら彼は忍者に対する警戒度を一気に下げたようだ。

 図書館ではファリス達に合流したエドガーがいた。

 

「ところでお嬢さん達、忍者というのを知っているかい」

「ああ、とっても素早い奴だ。そんなのが5人も増えたとなるとさっさと止めにいかないとやばいな」

「ここに隠れているのもいずればれちゃうしすぐ出ないと」

「その必要はありませんよ」

 

突如誰もいるはずもない本棚の上から声がして3人が振り向くとそこには7,8歳ほどの少年がにんまりとした表情を浮かべていた。

 

「ぼくはエブラーナのツキノワです。それでは」

 

 ツキノワはすかさずアラームを発動させる。

 

「とにかく今は逃げなきゃ!」

 

 クルルは一目散に図書館の出口へ向かう。残った二人も一度は図書館から出かけたのだが、後ろから忍者が追ってこないとみてファリスがエドガーに声をかけた。

 

「俺はここで奴の動向を覗う。クルルはあんたに任せるぜ」

「しかしファリスは…」

「俺は俺でなんとかする。後は頼んだ!」

 

 ファリスに促されて図書館の出口へと駆けだすエドガー。クルルとの距離が50m以上は離れている。クルルが中央の案内板側の方向に向かったその瞬間、その付近にいたハンターに遭遇、反対方向へと逃げざるを得なくなった。遅れてきたエドガーはその様子を確認、素早く判断した。

 

(ここでハンターを私が呼び寄せればクルルは助かるかもしれない、だが図書館のアラームの音に気付きファリスまで巻き添えになってしまう…、致し方がないか…)

 

 エドガーはとっさに図書館方向に戻る。守ることは無理と判断したらしい。クルルはそのまま駐車場付近まで逃げたが、歩幅の違いすぎるハンターに直線では勝てるはずもなかった。そのままハンターの両腕に収まった。

 

「っはぁっ…っはぁっ…あーっ、悔しいっ!!」

 

クルルの叫びがエドガーの心に鋭く突き刺さった。

(すまない…、この借りは必ず…!)

 

無慈悲なメールの着信が各逃走者たちに届く。

 

「クルル確保、逃走者残り18人…」

 

 2Fにいたアーシュラが呟く。

 

「ちっくしょう…また捕まっちまったか」

 

 なぜかゼルも彼女の隣にいた。

 

「ついてこないでくれますか?」

「そりゃこっちのセリフだ!俺がエレベーターのドアを閉めようとしたときに転がり込んで入ってきたのはどこの誰だよ!」

「まさか女性を見殺しにしようとする品の無い人がいるとは思わなかったもので、そうでもしない限り私はあのドアをぶち破りあなたを大けがさせていたでしょう」

 

 相変わらず両者の火花は散っていた。ゼルは一度大きなため息をつき、話を切り替えた。

 

「とりあえず忍者という部隊が動いている以上停止ボタンを探さなきゃいけないからな。ここらを探すぞ」

「誰に向かって言っているのでしょう?私は最初からそのつもりです」

「くっそー…」

 

 アーシュラのそっけない態度にいらだちを隠せないゼル。

 

「相変わらずですな、アーシュラ殿」

 

 二人が見上げたその先には忍者がいた。何かの術を使ったのか壁に張り付いていた。エレベーターを使って登ってきたわけではなさそうだ。

 

「あなたは!?」

「お久しぶりでございます、エブラーナのゲッコウにございます。…御免!」

 ゲッコウのアラームの音にせかされ二人は二手に分かれ教室への逃避と探索を行うことを強いられた。

 

「エレベーター無しで登れんのかよ…、とにかくできるだけあいつから遠くに逃げなきゃな」

 

 ゼルはハンターよりも忍者のほうに恐怖を覚えたのだった。

 

 ゲートのそばに隠れていたラーサーはすでに行動を開始していた。向かった先はガーデン出口方面である。

 

「さすがにミッションが発動中なのに隠れているわけにはいきませんからね、あ、あれでしょうか」

 

 ラーサーが見やる先には密偵を停止させるレバーがあった。

 

「これをこうするだけですね」

 

 レバーを操作するとモニターにはストップの文字が表示された。

 

「あとふたつ。頑張って探しますか、あ」

 

 遠くに見えた門のほうから来るハンターの姿を見てその場で隠れた。

 

「あそこは入り口側からですね…ぐるっと回ってきたのでしょうか…」

 

 難なくハンターをやり過ごしたラーサーであるが、ハンターが来た方向から別の男が近づいていることに気付いた。シドだ。エリア、イデアをハンターの魔の手から救っただけでなくしっかり無事だったのである。

 

「情報収集も大事になります。きっとシドが何か知っているはずです」

 

 この少年、抜け目がない。

 

 Rrrrr!Rrrrr!メールだ。

 

「ラーサーの活躍により入り口付近のレーバーが解除。残るレバーは2つ」

「あの子すごいなぁ。私たちも頑張って探しましょう」

 

 学生寮をうろつくアーロンとリディア。その二人を見るまなざしが遠くにあった。それは逃走者でもハンターでもない、この男である。

 

(リディアが知らないおっさんと二人で仲良くしゃべってやがる!?というかリディアこれに出ているのか……、それにあいつなんで昔の格好をしてんだ…?いずれにしても鳴らすべきか鳴らさぬべきか……)

 

 エブラーナの忍集団を束ねる当主であるエッジは、自身の好意を抱く女性を見て思考を完全に停止させていた。その固まっている彼を見てひとりの女性が近づく。同じく忍集団の紅一点、イザヨイである。

 

「お館様、何をされているのでしょう?」

「おめえも見りゃわかるだろう。あそこにリディアがいるんだよ」

 

 エッジの発言にイザヨイはため息をついた。

 

「お館様、最初にご自身がおっしゃられたことをお忘れになったのでしょうか」

 

 確かにエッジは当初誰が相手であっても遠慮するなと言っていたのである。煮え切らない反応を示すエッジに対し、イザヨイが呆れたように言った。

 

「私が鳴らします」

 

 アラームの音に気付き二人は急いでここから逃げ出した。

 

「お館様、どうか落ち着いてください。では」

 

 イザヨイはさっと次のターゲットのもとへ飛び立った。

 

(ったく、こんなことなら逃走者名簿を確認しとくべきだったぜ…、ちゃんと逃げ延びろよ…)

 自身の任務を全うできないエッジ。頭を掻きながらつくづく思った。恋心とは恐ろしいものである。

 

 校庭の方ではリルムとホープはまだ留まっていた。

 

「そっか、ありがと、色男。じゃぁね」

(ひどいあだ名だ…)

 

 携帯電話を使って情報を集めていたリルムを見てホープはため息をつきながら思う。

 

「どうやら忍者があちこちで飛び回っていてなかなか大変みたい」

「やっぱりレバーを探すしかないのかな」

「でも実際ハンターは3体、忍者は5体。笛を鳴らしてもハンターが必ず来るとは限らない。だからここに隠れていても大丈夫だって」

「ほう、なかなか賢い娘がいますな」

 

 二人が驚いて後ろを振り向くと老人がそこにいた。

 

「拙者はザンゲツ。エブラーナの忍びの一人にございます」

 

 老人がアラームを鳴らそうとするとリルムは負けじと返す。

 

「どうせ鳴らしても無駄だね。ハンターが必ず来るとは限らないんだから」

 

 ザンゲツは冷静に返す。

 

「ほほう…、ですがこの袋小路に今再びハンターが現れれば一網打尽、どうなるかはお楽しみくだされ」

 

 老人がアラームを鳴らすとリルムは立ち上がり駆けだす。

 

「ま、待ってよリルム!隠れてれば大丈夫なんじゃない?」

「ちびっこは私に黙ってついて来ればいいの!さっきのはただの私のはったりよ!」

 

 とうとうホープと呼ばれなくなったことにへこみながらもリルムについていく。ザンゲツは小さくなっていく二人の影を見つめて呟く。

 

「若いうちは行動力に満ち溢れておる…、しかし動けばその分捕まるやも知れぬ…」

 

 ホールのほうに向かった二人はその予言のごとく学生寮付近を歩いていたハンターに目撃された。二人の逃げる姿を見てハンターが遠くから突進してくる。保健室の脇を通過し、ホープのほうをリルムが向くとハンターが彼の7,80m近くに迫っていた。

「速く!!」

リルムはホープに叫ぶ。二人とも必死に走るが、子どもゆえハンターとの距離はみるみる縮まっていく。リルムはエレベーターの階段を素早く駆け上がり、ホープも数秒ほど遅れて登り始めた。正面のエレベーターはすでに2Fで停止していたので裏側のもう一機のボタンを押す。

(このタイミングだと私たちは助からない…なら答えは一つ)

彼もすぐ後ろからついて来てはいたが彼を入れる時間はないと判断。素早く中へと入りこむと、速やかに閉じるボタンを押す。

 

「え…リルム…!?」

 

 ホープが愕然とした表情で彼女を見つめた。

 

「悪いね、ちびっこ!あとは頑張れ!」

 

エレベーターが昇っていくなかリルムが下を見やると、ホープは甲斐なくハンターに確保されたのだった。

 

「ホープ確保。残り17人か…」

 

 申し訳ないと思いつつも、自分の目的は果たさなくてはならない。両者を天秤にかけるのはほんの一瞬の判断なのだ。残り時間は105分、賞金は18万ギルを突破していた……。

 




 中央ロビーのエレベーターは2機設定です。(ゲーム内では1機のみでした)2Fの教室もぐるっと1Fと同じように配置されてあります。(教室内の構造はゲーム内と同じ)リディアはFF4からの登場ですが、エッジ並びに忍者集団はFF4TA仕様です。
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