FF逃走中   作:知恵の欠片

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今回は牢獄DEトークからスタート。確保された人たちは今…


アイテムを確保せよその2

 殺伐としたバラムガーデン、その正面にはほのぼのとした空間がぽつんとあった。逃走者を捕獲している牢獄である。そこには4人の逃走者が和気あいあいと会話をしていた。

 

「おれのなかま、まだにげてる、ぶじ」

「私の仲間もそうよ。アイテムも見つけたみたいだし」

 

 ガイとクルルが話している。二人は直接彼らを見たわけでなく、動物たちとコミュニケーションをとることができるため情報を得ることができるのだ。

 

「それができるのになんでハンターの情報を得なかったんですか…?」

 

 ホープの言う通りハンターの位置など聞ければ捕まるリスクは激減したはずである。

 

「おれ、まきぞえにあった」

「その時は焦ってたんだもん、しょうがないよー」

 

 ホープの発言にもしょうがないとあきらめを見せた二人だった。

 

「ここはものまね師のゴゴに何かものまねをしてもらおうよ!」

 

 捕まったことから切り替えて話題を変えたいクルルは無茶ぶりをしてみたが、ゴゴは冷静に返す。

 

「私もそうしたいところなんだが…いかんせん世界の違うもの同士ゆえ、万人に受けないと思うぞ…」

「じゃあここのメンバーが増えたらやってもらいましょう、誰か逃走者のものまねということで」

「ふむ、そうするか」

 

彼らの時間だけはのんびり気楽に流れていく。

 

そのガーデン方向約500メートル先、ちょうどゲート付近にラーサー達はいた。アイテムを交換したくてもそのあたりにはちょうどハンターがいるためなかなか近づけない。

 

「ちなみに本当に僕がアイテムをもらっていいんですね?」

「あたぼうよう、おめぇが手に入れたもんだ。それに俺ぁなんとかなる。これでも一度ハンターから撒いてきてんだぜ」

「ありがとうございます。引き続き慎重にいきましょう」

 

 ラーサーはシドの粋な計らいに感謝をし、慎重に風紀委員のもとに進んでいく。

 

 2階にいたアーシュラは教室にいた。先ほど忍者のミッションからずっと2階をうろついていた。理由はもちろんアイテム探しである。だが彼女のいる教室の近くにはハンターが歩いていた。

 

「レバーは見つかったのはいいけどここにはもう何もないみたいね、1階でも捜索しましょうか」

 

 彼女は慎重に出口を見る。しかし、ちょうどハンターと目が合ってしまった。

 

「っ!」

 

 ハンターから逃れるため全力で駆けだすアーシュラ。追いかけるハンター。だが彼女も恐ろしく俊足だった。なかなか距離が詰まらない。彼女はじりじりと迫りくるハンターから少しでも距離を稼ぐため目の前の教室に逃げ込む。教室内の大量のデスク型モニターがあるのでそれをうまく使いながら距離を稼ごうと踏んだのだろうか。しかし…

 

「あ、アーシュラ!?」

「!?」

 

 逃げ込んだ教室でばったりゼルに出くわした。アーシュラは返事をする余裕もなく教室の奥へ逃げ込む。間髪入れずハンターが突入してきた。

 

「こんの…バカ!!」

 

 彼女に悪態をつくゼルであったが、今はそれどころの状況ではなくなってしまった。ハンターのターゲットが一時的にゼルに移るが、アーシュラも同様に牽制され両者にらみ合いが続く。この間の隙を見計らって同室に隠れていたリルムは足音を殺して教室から一気に逃げた。ハンターはゼルにフェイントを仕掛けアーシュラに襲い掛かる。アーシュラは教室の奥の方まで詰められた。だがアーシュラは突如大きなジャンプをしてデスクを踏み台にし教室の外へと跳ねていく。アーシュラの突然の動作にゼルは唖然と見送るしかできず、ハンターはそのままゼルに近づき確保された。そしてハンターはそのままアーシュラへの追撃を始めた。

 

「あんのアマー…、俺ははめられたっていうのかよ…、くっそー!!と、いうか俺達のデスクに乗っちゃだめだろ!!」

 

 その場に一人残されがっくり膝をつくゼル。いくら悔やんでも確保されてしまえばおしまいだ。

 

(あの男と一緒に捕まるのは御免よ!!)

 

 アーシュラは急いでエレベーターのほうに向かう。だが2,3歩足を進めたところで彼女は固まってしまった。エレベーターがなかったのだ。すでにリルムが逃走するときに使ったためである。固まっていたのはほんの刹那であったがハンターにとっては彼女を確保するためには十分な時間であった。彼女は引き返し反対側のエレベーターに移動しようとしたものの、2階はほぼ一本道になっているため、ハンターと向かい合ってしまったら逃げ場はない。なすすべもなくハンターによって捕獲された。

 

「っ…!しっかり確認できていれば…私はまだやれたのに…」

 

 どんなに足が速くても、冷静な判断ができなければ、生き残れない…。

 

 

 

 Rrrrr!Rrrrr!メールだ。

 

「逃走者のゼル、並びにアーシュラ確保。残り14人。そうか…あいつもやられちまったか…」

 

 メールを読み上げたファリスはオープニングセレモニーの戦友が確保されたことを知り落胆した。そんな彼女は今アイテム交換に向かっていた。だがそこにはすでに先客がいた。エドガーだ。だがただ交換するだけのはずなのに、なぜかもめているようだ。

 

「お嬢さん、とても美しい…私とこの後食事はいかがかな?」

「興味無!」

 

 エドガーは風紀委員の銀髪の女性を口説いていたようだ。

 

「おめぇもなかなかしつこいもんよ」

「ああ、おっと次の客が来たぜ。あんたは何用だ?」

 

 風紀委員と言いつつもいかつい男、大柄な男、独特な口調の女となかなか個性的なメンバーがそろっているらしい。ファリスに気付いたようで声をかけた。

 

「図書館のゴミ箱に紙屑が入っていた写真だ。これでいいよな」

「勿論。之渡」

 

 銀髪の女性からファリスは銅の砂時計を受け取った。

 

「ついでにこいつも連れてってほしいもんよ」

 

 大柄な男が困ったように言う。隣の女性も短く「頼」と頭を下げた。

 

「…エドガー、行くぞ」

「何を言う。こんな壮麗でクールな女性がいるのに口説かないなんてもったいない、もちろんファリスもすごく素敵だぞ!」

「とってつけたように言われてもねぇ…」

「彼奴何言無駄…」

 

 この個性的な風紀委員たちもファリスも含めエドガーに対し完全に呆れてしまっている。だがその背後から甲高い声が響いた。

 

「見つけたぞ、色男!!」

 

声の主はリルム。表側のエレベーターから降りてきたようだ。

 

「やあ、リルム。こんなところで何をしているんだい?」

「それはこっちのセリフだよ。逃走中にかかわらず何また口説いてんのさ」

「それは女性を見かけたら挨拶をするのが筋ってやつでな…」

「はいはい、言い訳は後でね、上にハンター近いからすぐ逃げるよ」

 

3人は風紀委員に会釈し図書館のほうへ向かっていった。

「何とか終わったもんよ…」

「少女御陰助……」

「…あのリルムとか言う子をリストに加えろ」

リルムのおかげでなんとか事態に収拾がついたため風紀委員たちも彼女に感謝してもしきれないようだ。

 

 ノエルは保健室を出る時、食堂に向かっていくハンターを目撃、しゃがんで様子をうかがうが、こちらを向く気配はなく、足音を殺して正面側へと移動をした。ちょうど風紀委員とラーサーが会話をしていた。

 

「あいつ…ここになんで犬を連れてきてんだよ…」

 

 リーダー格の男がため息を吐いた。

 

「知り合いなんですか?」

「訳有、秘密」

「教えられんもんよぉ」

「なんでお前らが答えんだよ、とにかく例の物やるよ、ほら」

 

リーダーの男は2人を睨みつけつつラーサーに銅の砂時計を手渡した。ちょうどノエルはその場面に遭遇し、声をかけた。

 

「お、あんたらもアイテムを手に入れたのか」

「ええ、これでアイテム交換が終わったみたいです」

「そっか、そりゃ残念」

「とにかく逃げ切ろうぜ」

「あ、そうそう、あっちの方向にハンター行ったから気をつけろよ」

「おうよ、おめぇもな」

 

 ノエルはそのままゲートのほうへと歩き、ラーサー達は保健室側へと歩いて行った。

 

 Rrrrr!Rrrrr!メールだ。

 

「アイテムの配布はすべて終わった。引き続きハンターに警戒せよ…えー、そんなぁ…」

 

 学生寮をうろうろしていたパンネロはがっくり肩を落とした。

 

「まぁハンターに捕まらなかっただけよしとしようか、うん」

 

 前向きな気持ちに切り替えぶらぶら動き始めると、赤い服の男と緑色の服の女が確認できた。アーロンとリディアだ。パンネロはほっとして二人に声をかけた。

 

「さっきここにハンターいてびっくりしたんだけど、二人とも大丈夫?」

「ああ」

「というか私たちずっとここにいるんだけどハンターが来ないのよ、忍者には見つかったけど」

 

 リディアの発言にパンネロは驚く。

 

「アーロンさんは以前召喚士のガードをやってたっていうの。だからかな?」

 

 それはないだろとパンネロは心の中で突っ込んだが、彼らといればもしかすると見つからないと判断した。

 

「一緒について行っていい?」

 

二人からは異論が何も出なかったため彼女は共に行動をとることにした。

 

 一方食堂にはクイナ以外に新たに入ってきた人物がいた。ミンウだ。

 

「正直ここは食事を意識した場所だから明るく作られている。ゆえに隠れる場所も少ないのが現状だ。いったいどうしたものか…」

 

 現状についてどうすべきか思案している中、背後からはハンターが近づいていた。

 

「とりあえず入り口側から死角になるテラスへ移動しよう。見つかったら終わりだと割り切れればいい」

 

 そう思っていた最中、ハンターが静かに食堂に入ってくる。

 

(この足音…、どうやらハンターがもうそこにいるみたいだ…)

 

 祈るようにして待つミンウ、だが彼の眼の前にハンターはいくら待っても現れる気配はなかった。ハンターが向かった先はクイナによって外された大きなドアである。中で食べ物を食い散らかしていたクイナはそれにまったく気づかない。

 

「ワタシ生ものばかりは飽きたアル、そろそろ厨房を使って何か作るアルね」

 

 だがそのままハンターと対面したが、冷蔵室の中は当然スペースもなくそのまま御用となった。

 

「ウー、残念アル…まだまだ食べられたアルのに…」

 

 一度本当の牢獄に入ってもらったほうがいいのかもしれない。

 

 一方指令室では……。

 

「逃走者が一気に捕まりましたね」

「忍者がいた時はハンターが密集していたのもあったが、今はうまく分散していたな。問題はこのミッションでどれほど生き残れるか、だ」

「というと?」

「彼らの仲間を思う気持ちを測るミッションだ」

 

 ルーファウスがパネルを操作し、ボタンに触れた。残り80分、賞金金額が48万ギルを突破したところで新たなミッションが発動する!!

 




 風紀委員のリーダー(サイファー)の指示したリストは「骨のあるやつリスト」です。銀髪の女性(風神)をもたじたじにしたエドガーを楽々おとなしくさせたリルムはやっぱりすごいと思います。またクイナ出番なしで終了…。今回もそうでしたが、今後の話ではちょいちょい牢獄DEトークが入っていきます。
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