魔法科高校の劣等生 ~幼馴染たちと共に~   作:ローニエ

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占拠

翌日の放課後。

 

「全校生徒のみなさん!」

 

耳に鳴り響くような大音声がスピーカーが流れた。

その大音声には色々な反応が見られた。

慌ててふためくもの、これからどうするか考えているもの、そしてその言葉の主を信じているものだ。

 

「―――失礼しました。全校生徒のみなさん!僕たちは、学内の差別撤廃を目指す有志同盟です。僕たちは生徒会と部活連に対し、一科生と二科生の対等な立場における交渉を要求します。…以上、1-A斎藤翔人でした」

 

そう言って放送が終わると生徒たちの反応は先ほどよりも大きな反応が見られた。

なぜなら二科生の有志同盟であるはずが、()()主席の翔人がいるのだから。

 

A組では…

 

「あいつ!一科生としてのプライドはないのか!」

「ふざけるな!」

「A組の恥さらしめ!」

 

などと男子を中心に翔人へと罵声を浴びせていた。

そんなクラスメイトたちの反応をみた深雪、雫はというと…

 

「まさか斎藤さんがこのような活動に参加しているなんて…」

「翔人………」

 

と不安になっていた。

それもそうだろう。

先ほどまで一緒にいた翔人が、裏切ったと言っても過言ではないのだから。

しかし、一番取り乱しそうなほのかはというと…

 

「大丈夫だよ雫、深雪。翔人君は絶対に私たちを裏切らないから」

 

と言い切った。

ほのかは昨夜話を聞かされていたため、そこまで驚かずにすんでいる。

きっと、聞かされていなかったら全校生徒の中で一番取り乱していたことだろう。

 

「ほのか……」

 

「ほのかは斎藤さんのことをとても信頼しているのね。やっぱり恋する乙女の力なのかしら?」

 

「えっ?み、深雪!?そんなんじゃないよ!」

 

「大丈夫よ、ほのか。私もお兄様もあなたのこと応援してるから。」

 

ほのかが深雪の言葉に顔を真っ赤にして反論しようとするが、そのとき深雪の端末が鳴り深雪は端末に来たメッセージを開く。

 

「……ごめんなさい2人とも。会長から放送室に来るように呼ばれてしまったから私は行くわね。」

 

そうほのかと雫に告げ、深雪は放送室へと向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………それでほのか、何を隠してるの?」

 

「えっ!?私隠し事なんてしてないよ!?」

 

深雪が去ったのを見届けた後雫がほのかに問う。

 

「とぼけても無駄。あんなことがあったのに取り乱さないなんてほのからしくない。…つまりほのかはこのことをあらかじめ知ってたってこと。違う?」

 

「………はぁ。やっぱり雫にはわかっちゃうか~」

 

「当たり前。何年一緒にいると思ってるの?」

 

「そうだよね…。翔人君に口止めされてたから雫にも言わなかったんだけど実はね―――――」

 

そうしてほのかは昨夜翔人に聞いたことを雫に話した。

 

「――――なるほど。翔人が危ないところに首を突っ込む癖は治らないんだね。相変わらず」

 

「まぁまぁ…。翔人君だって考えがあってやってるんだろうし。きっとまた誰かのためにね」

 

「そんな翔人のことが大好き♡、とかほのかは言うんでしょ?はいはい、ごちそうさま。」

 

「ちょ、ちょっと雫~!」

 

A組が荒れている中、この2人だけは通常運転だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そのころE組では…

 

「なぁ達也。これって結構やばいんじゃね?」

 

「あぁ、なかなかやっかいなことになりそうだ」

 

レオと達也が話しているとエリカと美月も2人のそばに寄ってきた。

 

「ねぇ達也君、これって大丈夫なの?」

 

「ですよね…。相手はあの翔人さん。いくら風紀委員や部活連、生徒会でも翔人さんには…」

 

達也は全くだ、と二人に共感していた。

放送室を不正利用していることは間違いない。

それで風紀委員がその場に呼ばれることも間違いないだろう。

しかしもし、翔人が抵抗して戦いになったらきっと風紀委員は全滅だ。

何せあの3巨頭の一人、風紀委員長渡辺摩利をダメージを食らうことなく一撃で倒すほどの実力を持っているのだから…。

達也がそう考え終えたと同時に、携帯端末に連絡が入った。

 

「噂をすれば…。じゃあ、行ってくる」

 

「おう!」

「頑張ってね~」

「お気をつけて」

レオ、エリカ、美月の3人はそれぞれ言葉をかけて達也を見送った。

 

 

「あ、お兄様」

 

「深雪、お前も呼び出しか?」

 

「はい、会長から放送室にくるようにと」

 

途中で深雪と合流し、放送室へと向かう達也であったが、その足取りはそれほど早いものではなかった。

 

「まさか斎藤さんがブランシュの仲間になっているなんて…」

 

「いや、まだ断定はできない。翔人ほどの人間がその手の輩の仲間になるなんて俺には思えない」

 

「しかし…」

 

「あぁ、わかってる」

 

そんな話をしながら、二人並んで放送室の前に到着する。

達也たちが放送室前に到着すると、すでに摩利、克人、鈴音、そして風紀委員と部活連の実行部隊が顔をそろえていた。

 

「遅いぞ」

 

「すみません」

 

そんなポーズだけの会話をし、達也は現状確認を行う。

放送が止まっているのは、電源を落としたからだろうか。

まだ中に踏み込んでいないのは、扉が閉鎖されているせいだろう。

翔人たちは何らかの手段で、鍵をマスターキーごと手に入れたと見える。

 

「これは明らかな犯罪行為では?」

 

「そのとおりです。だから私たちもこれ以上彼らを刺激させないように、慎重に対応すべきでしょう」

 

「こちらが慎重になったからといって、それで向こうの聞き分けが良くなるかどうかは期待薄ではないか?多少強引でも短時間の解決を図るべきだ。」

 

上から順に達也、鈴音、摩利だ。

どうやら方針の対立が膠着を招いているようだ。

 

「しかし渡辺さん。むこうには斎藤君がいるのですよ?彼は見た感じ聞き分けのいい生徒だと思います。それに強引に行ってもこちらがやられるだけだと思いますが」

 

「そ、それは…」

 

「市原、それはどういうことだ?」

 

ここまで沈黙を貫いていた克人が鈴音に問いかける。

 

「以前渡辺さんと斎藤君が模擬戦をしたんですが、渡辺さんが何もダメージを与えられず、斎藤君の攻撃を一度受けてしまっただけで倒されてしまったんです。」

 

鈴音は克人に近づき小声で答える。

この話をあまり広げたくないためだ。

 

「渡辺が?…そうか」

 

そう告げた克人は何かを考えているようだった。

 

「十文字会頭はどうお考えなんですか?」

 

達也のその質問に、意外感をたたえた視線が返ってきた。

 

「俺は彼らの要求に応じてもいいと考えている。もとより言いがかりにすぎないのだ。しっかりと反論しておくことが、後顧の憂いを断つことになるだろう」

 

「お前は本当にそう考えているのか?」

 

達也が克人の答えに言葉を返そうとした瞬間、翔人が放送室から出てきた。

いや、正確には本人が出てきたわけでなく幻影だ。

その幻影を見た一同は驚き言葉を失ったが、いち早く現実に戻ってきた克人は翔人に問いかける。

 

「どういうことだ?」

 

「そのままの意味だ。お前は本当に彼らの言うことが言いがかりだと思っているのか?」

 

「もちろんだ」

 

「……はぁ。そうか。やはり十師族はろくでもないやつばかりなんだな。お前と言い七草といい、この学校のトップであるくせに何もわかっちゃいない。だからこんなことが起きるんだよ」

 

翔人のその言葉に一瞬驚いた顔をした克人だったが、すぐに元の顔に戻る。

 

「翔人君、これはれっきとした犯罪行為だ。今から君たちを拘束する」

 

翔人が出てきたことで突入したい気持ちが抑えきれなくなったのか、強い口調で翔人に告げた。

 

「渡辺先輩、それはやめておいたほうがいいですよ。もし突入してこようものなら、俺の能力を使って中にいる生徒すべてを逃がします。彼らはまだ顔も割れてない。ここで逃がしたらまた同じようなことが起こりますよ?」

 

「くっ…」

 

翔人がそう告げると悔しそうに息をはく摩利。

そしてこの場は沈黙に支配された。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「翔人君、私たちはあなたたちの要求に応じるわ」

 

翔人の言葉に沈黙していた場に透き通った声が響く。

 

「七草?」

 

「先生たちは私たちにまかせるつもりみたい。なら私は彼らの要求に答えたいと思っているわ。」

 

「しかし、真由美!」

 

「言いたいことはわかっているつもりよ、摩利。…翔人君そういうわけだから放送室から出てきてもらえないかしら?」

 

「……わかった」

 

翔人がそう告げると、幻影は消え放送室のドアが開いた。

 

「それで交渉の段取りを打ち合わせたいのだけれど、話すのは翔人君でいいのかしら?」

 

「俺は行かん。お前なんかと二人きりなんてごめんだ。…壬生先輩あとお願いしますね」

 

「え、ええ」

 

紗耶香が了承したことを確認すると、翔人は教室に戻っていった。

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