魔法科高校の劣等生 ~幼馴染たちと共に~   作:ローニエ

19 / 33
侵攻

時は翔人がテロリストを倒す少し前にさかのぼる。

講堂で討論会という名の演説が行われているころ、ほのかと雫はバイアスロン部の練習に来ていた。

 

「討論会どうなったかな?」

 

「気になる?」

 

「うん…私たち行かなくてよかったのかな?」

 

「他人の愚痴に付き合うなんて無駄だよ、ほのか」

 

(あれ?雫、深雪に影響されてる…?)

 

話題にしているのは討論会のことだ。

ほのかたちは翔人に言われていたこともあって、討論会には参加していなかった。

しかし参加していない分、気にしてしまうのは仕方がないだろう。

そう思っていたほのかだったが雫にその考えを両断されてしまう。

 

「はいはーい、みんな。今日は演習林が使える貴重な日だからガッツリ練習するわよ」

 

 

(討論会も気になるけど今は練習しなきゃ!なんだかんだ最近練習できてなかったし)

 

そう考え早速練習しようと思ったほのかだったが、

 

 

 

ドゴオンッ!

 

 

 

「え?」

 

爆発音が鳴り響きその考えは中断されてしまう。

爆発した方を見てみると実技棟から煙が上がっていた。

それを見てパニックになるバイアスロン部員であったが、

 

「みんなむやみに動いちゃダメ!今端末で調べるからその場で待機!」

 

部長の亜実が部員たちを落ち着かせる。

流石は部長だ、なんてほのかが思っていると後ろから雫に小声で声をかけられる。

 

「……これが翔人の言ってたテロ?」

 

「……多分。そうじゃなきゃ爆発なんておかしいよ」

 

「それもそうだね。これからどうする?」

 

「翔人君は俺が殲滅するから大丈夫って言ってたけど…」

 

「……人数もわからないのにそれは無理だと思う」

 

「だよね…」

 

雫の言葉にほのかが苦笑いしていると、亜実が一高が今テロリストに襲われていること、部活用CADの使用が許可されていることを告げた。

亜実がそう言い終わる瞬間、

 

ザッ

 

演習林の中からナイフを持った男がほのか目がけて走ってきた。

 

「キャァァァァ」

 

バイアスロン部の誰かが叫ぶが、ほのかは動けなかった。

ナイフを見て足がすくんでしまったからだ。

 

(ダメッ…足が…)

 

そう思ったほのかが目をつぶると、

 

「うわぁ!」

 

前から男の悲鳴が聞こえた。

恐る恐る目を開けてみると、そこにいたのは…

 

「遅くなったな、ほのか。怪我はないか?」

 

翔人だった。

 

 

 

 

 

 

-------------------------------------------------------------------------------

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翔人はそうほのかに告げるとすぐにテロリストへと向き直す。

そしてCADを操作した。

すると、

 

「えっ…?」

 

テロリストの姿が消えていた。

何が起こったのか理解していないバイアスロン部。

いや、きっとバイアスロン部でなくても今の現象を理解できるものは限られているだろう。

何が起こったのかわからない、と沈黙を続けていた一同であったがそこに翔人が声をかける。

 

「亜実さん、バイアスロン部に被害はありませんか?」

 

「え?う、うん。誰も怪我はしてないよ」

 

「そうですか、ならすぐに安全な場所へみんなをつれて行ってください。俺はテロリストたちを殲滅してきます」

 

亜実の答えに安心した翔人は、みんなを安全な場所へ誘導するように頼む。

その言葉にすぐさま頷いた亜実は部員をつれて安全な場所へと歩いて向かう。

しかしそんな中、ほのかと雫は翔人の前で立ち止まっていた。

 

 

「ほら、お前たちも亜実さんに着いてけ。早くしないと置いてかれるぞ」

 

その言葉に一瞬亜実の方を見た雫であったが、すぐに翔人の方へと向き直し、告げる。

 

「大丈夫。今一高は戦場なんだから安全な場所なんて存在しない。なら翔人の周りが一番安全だと判断したから」

 

「いやいや、それは困るって。俺は今からテロリスト共を殲滅しに行くんだから。お前たちを危険な場所へなんて行かせられない」

 

「でも翔人は私たちを守ってくれるって言ったじゃん」

 

「まぁそうだけどさ…」

 

逃げ場を失った翔人は、まだ一度お話していないほのかへと話しかけようとする。

しかしほのかは何やら落ち込んでいる様子だった。

そんなほのかを見て、落ち込んでいる理由をすぐに理解した翔人はほのかへと告げる。

 

「…なぁ、ほのか。もし自分が何もできなかったな、とか考えているならそれは違うぞ?」

 

「えっ?」

 

その反応に理解が確信に変わる。

 

「テロリストに襲われて怖くないやつなんていない。むしろあそこで何らかの対処ができる方が異常だ。きっと狙われたのが、ほのかじゃなくて雫だったらきっと雫も何もできなかったはずだ。…だろ。雫?」

 

そう雫へと告げる翔人。

その意味を理解した雫は、その問いに答える。

 

「そうだよ、ほのか。私だって怖かった。だから元気だして。もう翔人もいるんだから大丈夫でしょ?」

 

そんな二人の優しさを受け取ったほのかは、

 

「うん、ありがと二人とも!」

 

「おう!」

「ん…」

 

そう二人に告げ、

 

(落ち込んでだけじゃだめだ。次はきっと…)

 

と、新たな誓いを立てた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あれこれ話してる間に亜実さんたちは行っちゃったみたいだな…」

 

「ごめんね…私が落ち込んでたせいで…」

 

「いや、別にいいさ。それよりさっきの話に戻るけど、俺はテロリスト共を殲滅しなくちゃならない。だから二人には安全なところで待っててほしいんだ」

 

「……安全な場所って?」

 

さすがに折れたのか雫が翔人に尋ねる。

 

「そうだな…多分十文字のとこらなら安全じゃないか?あいつはファランクスが使えるんだし、防御ならあいつの十八番だろ」

 

「確かに十文字先輩のところなら大丈夫そうだね!」

 

「決まりだな。じゃあ俺の手に捕まってくれ。飛ぶから」

 

「うん!」

「分かった」

 

二人がそう告げた瞬間、翔人は空間移動して克人のもとへと移動した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ぐはぁ!」

「うわぁ!」

「ぬわぁ!」

 

克人のもとへとほのかと雫を送り届けた翔人は、テロリストたちを殲滅しながら図書館へと向かっていた。

その中で翔人は一人思考にふけっていた。

 

(言われていた配置と違う…?)

 

狙いが図書館なのを翔人は知っていたため、図書館へと向かっていたのだが、向かうにつれテロリストたちの人数が減っていることに疑問を覚える。

 

(それかすでに誰かが倒してしまった…とかか?まぁ時間もずいぶん経ってるしありえないことじゃないが…)

 

そう考えながら走っていると前方から戦闘音が聞こえた。

少しスピードを速め、近づいてみると驚いたことに戦っているのはレオだった。

見る限り問題なさそうだが、このまま放っておくのもあれなのでCADを操作しテロリストたちを消した。

 

「えっ?」

 

「よう、レオ。大丈夫か?」

 

「翔人!?」

 

レオが翔人を見るとすぐさま後方へジャンプし、翔人と距離をとる。

その行動に疑問を覚える翔人であったが、レオの言葉ですぐにわかることになる。

 

「お前もこいつらの仲間なのか?」

 

(なるほど…)

 

レオの行動に納得した翔人はレオに話しかける。

 

「達也から聞いてないか?実は俺はあの同盟に潜入してただけなんだ。だからお前と戦うつもりはない。まぁ別にやるってなら構わないけど…」

 

その言葉に安心したレオは一息つき翔人に告げる。

 

「やめとくぜ。お前と戦ったら無事じゃすまないことはわかってる」

 

その言葉を聞いた翔人は微笑を浮かべ、レオと共に図書館へと向かった。

 

 

 

 

 

そんな感じで図書館へと向かった二人であったが、図書館へと着くころにはすべて終わってしまっていたようで、翔人たちが図書館へとつくと、中から達也、深雪、エリカ、そして達也に抱きかかえられた紗耶香が出てきたところだった。

 

「達也、もう終わっちゃった?」

 

「あぁ、もう図書館内部は片づけた。おそらく校内にいるテロリストたちもすでに片づけられているだろう」

 

「そうか…それより達也何で壬生先輩を抱きかかえてるんだ?怪我してるなら担架でも使って運べばいいのに」

 

「そ、それはだな…」

 

珍しく慌てている達也を疑問に思った翔人であったが、彼の横にいる二人を見ると達也を見てニヤニヤしていた。

それを見てさらに疑問が増える翔人だったが、壬生先輩が怪我をしてるなら早く治療した方がいいと思い、一同は保健室へと促した。

 

 

 

-------------------------------------------------------------------------------

 

 

 

 

その後保健室では紗耶香と翔人に対する事情聴取が行われていた。

その場には真由美、摩利、克人といった生徒首脳陣が勢ぞろいしていた。

そんななか紗耶香が次々とこれまでの出来事を伝える。

その事実に驚愕する三人であったが、中でも摩利は二人とは違う理由で驚愕していた。

紗耶香がこの同盟に入るきっかけになったのは、摩利に稽古を断られたことが原因だと告げたからだ。

しかし、摩利と紗耶香が話していると紗耶香の勘違いだということが分かった。

その事実に時間を無駄にしたことを泣きながら悔やむ紗耶香であったが、達也によって慰められ落ち着きを取り戻すと、

 

「問題はやつらがどこにいるのか、ということですか」

 

達也が保健室にいる全員に告げる。

その言葉に摩利や真由美、克人が異議を唱える。

しかし、自分の生活空間を侵されたことを理由に達也は深雪、レオ、エリカと共にテロリストを叩き潰すことを告げる。

 

「翔人、お前ならやつらの居場所を知ってるんだろ?」

 

「あぁ、知ってる」

 

「ちょ、ちょっと待て!忘れていたが翔人君に対しての話が終わってない。」

 

翔人が達也の質問に肯定すると摩利が二人の会話を遮った。

 

「それなら大丈夫です委員長。翔人はブランシュに潜入捜査していただけですから。放送室での件もすべて演技です」

 

達也がそう告げると、首脳陣たちは驚く。

 

「それは本当か翔人君?」

 

信じられないといったような声色で尋ねる摩利。

尋ねたいことは同じなのか、真由美や克人も翔人へと視線を向けている。

 

「ええ、まぁ。」

 

「知っていたなら、なぜ我々に報告しない!」

 

自身の質問に肯定の答えを出した翔人に詰め寄る摩利。

しかし、そんな摩利に驚いた様子もなく翔人は淡々と告げる。

 

「だって俺、七草と十文字のこと信用してませんから。信用してない人に大切な情報を話す必要がありますか?」

 

翔人の感情のない声に誰もが反応できない。

誰も何も話さないので、翔人が言葉を続ける。

 

「まぁそんなくだらないことはどうでもいいです。…それより達也やつらの居場所だったな。…ほれ」

 

そう言って翔人は自分の端末を操作し、達也に拠点のマップデータを渡す。

 

「恩に着る」

 

「気にすんな。それより俺も行くけど構わないだろ?」

 

「もちろんだ。お前みたいなやつが来てくれるなら助かる」

 

「了解だ。じゃあ俺は先に校門の前で待ってるな」

 

そう言い残すと、翔人は保健室を出て校門へと向かった。

 

 

 




次で一応入学編は終わりの予定です!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。